海外就職のプロに聞いた国別の就職実現者推移

海外就職に興味があるけど、どの国に行けばいいんだろう

という疑問をお持ちの方は多いのではないかと思います。

私も海外就職を決める前に色んな国のエージェントの話を聞きましたが、どの国のエージェントからも

生活に必要な物は一通り揃うので不自由はありません。仕事は英語が基本なので、キャリアアップになります。

と異口同音に言われたので、国ごとに何が違うのか理解できませんでした。しかし実際は全く違います!

例えば、タイの「生活に不自由はない」とインドの「生活に不自由はない」は次元が異なりますし、ベトナムの「仕事で英語を使う」とシンガポールの「仕事で英語を使う」も次元が異なります。

この温度感を取り違えると「こんなはずじゃなかった」になりますが、現地へ行ったことがないとピンときませんよね...

特にコロナウィルス以降、事前に現地を訪問して下見をするのが難しくなったので、本ブログ(アジアで暮らす)では、現地へ行かなくても現地の状況が手に取るようにわかる情報発信を目指しています。

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近年の海外就職の傾向

今回は、10年以上に渡って960名以上の海外就職をサポートしてきたキャリアコンサルティング会社・グローバル人材塾に、約10年間にわたる国別の海外就職実現者数の推移を伺いました。

この記事を読めば、国ごとの特徴や今後の変化を理解することができるので、海外就職の国選びで間違うことはありません。

欧米、東南アジア、中華圏、インドそれぞれの実績をご紹介します。皆さんの国選びの参考にしてください。

グローバル人材塾の詳細については海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由の記事をご参照ください。

GJJ卒業生海外就職実績_page-0013

2011年にスタートして以来、海外就職者数は堅調に伸びています。2020年~21年はコロナで一時的に落ち込んでいるものの、海外就職に関するGJJへの問い合わせは増加しており、長期的には増加傾向にあると言えます。

コロナ前は、一都三県以外の方が海外就職の情報収集をするのはなかなか難しかったのですが、コロナ以降は海外就職セミナー等が全てオンライン化し、都道府県毎の情報格差がなくなったことから、これから海外就職の希望者は全国的に拡大していくものと思われます。

なお上記の海外就職者には、海外と関わりのある日本の会社へ転職した人や、海外から日本へUターン転職をした方の人数も含みます。

さて、この記事で紹介したいのは渡航先の国の傾向です。

下記の円グラフはGJJのコンサルを受けた海外就職者の渡航先国別の割合ですが、2015年と2019年を比較すると大きな違いがあることが分かります。

2015年と2019年の海外就職変化

2015年から2019年にかけて、シンガポール・香港の割合が大きく減って、ベトナム・インドネシア・インドや欧米の割合が増えています。

これには理由があります。2020年と2021年はコロナのため例外でしたが、長期的な傾向は変わりません。本記事ではこの謎を解明していきます。

※以下、某グラフの縦軸の単位は人数、横軸の単位は暦年です。

欧米就職

欧米就職者推移

欧米就職の人数の推移です。具体的にはアメリカ、ドイツ、チェコ、オランダ、イギリス、スウェーデン、スイスなどです。

以前はGJJから欧米就職を実現している人は毎年1~2名しかいませんでしたが、近年は10名弱まで上昇しています。

これは、欧米就職希望者が増えているのではありません。欧米は昔から人気がある地域ですが、就労ビザの要件が厳しすぎて就職を実現するのが難しかったのです。

しかし、GJJが研究を重ねる中で欧米就職の道筋が分かり、欧米就職の実現者も増えていきました。具体的には、日本から欧米へ直接就職するのではなく、一旦アジアの国へ就職して経験を積んでから欧米へ就職すると実現しやすいそうです。

詳細はアメリカ就職実現の道のり ~アジア就職の経験を活かす~の記事をご参照ください。

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アジア就職

ここからはアジアの国となりますが、アジアの国は以下のカテゴリに分けます。詳しい理由は【海外就職の動機別】オススメのアジアの国リストの記事をご参照ください。

対象
既に実力がある人 香港・シンガポール
短期間でキャリアアップしたい人 ベトナム・インドネシア・インド
ワークライフバランス重視の人 タイ・マレーシア
ゼロから新しいものを生み出したい人 カンボジア・ミャンマー・フィリピン・ラオス
中華圏に興味がある人 中国・台湾

香港・シンガポール就職

香港シンガポール就職

グラフを見ていただくと分かる通り、香港就職者は5人未満で安定的に推移していますが、シンガポール就職者は2016→2018年にかけて急減しています。しかし、シンガポール就職の希望者が減ったわけではありません。

シンガポールはアジアの中では抜きん出て清潔で治安も良く暮らしやすいため、希望者は後を絶ちません。しかしビザの要件が年々厳しくなっており、シンガポール就職を断念した人が増加してしまいました。

それまでシンガポールで働いていた人でもビザの更新ができず、他の国へ流れた人もいました。シンガポールは学歴別にビザ発行の年収要件などが決まっており、とてもハードルが高いため、英語力と専門性を磨いてからチャレンジすることをお勧めします。

ベトナム・インドネシア・インド就職

ベトナム・インド・インドネシア就職

ベトナム・インドネシア・インドは成長市場なので、新しいビジネスチャンスが豊富にあり、裁量の大きなポジションでの求人も多いです。短期間でキャリアアップをしたい方が最初にチャレンジするべき国として最もお勧めできます。

欧米を目指す方は、インド→シンガポール→欧米とステップアップしてくのがスムーズかも知れません。

2017年にシンガポール就職者が20名を割って以降、20名を超える人が渡航している国はベトナムとインドだけとなりました。

特にインドは、2013→2015→2017と、就職者数が増加しています。これはインドへ進出する日系企業が増加していることと、デリバリーや配車アプリ等のオンラインサービスが整って以前よりは暮らしやすくなったことが要因に挙げられます。

3ヶ国ともコロナで一時的に大幅減となっていますが、これからも伸びていくことが期待できます。

私自身はインドの会計事務所で働いており、日系企業のインド進出サポートなども行っておりますが、コロナにも拘らず、どんどん新しい日系企業がインドへ進出しており新しい引き合いを頂いています。

英語力を磨きたい方はインド、英語力よりも仕事の専門性を重視する方はベトナム、日本人に対する信頼感をビジネスで最大限に活かしたい方にはインドネシアがオススメです。

以下の体験談を比較して頂くと、ベトナムでは比較的日本語のサービスが充実しているのに対しインドでの生活・就職がスーパーハードであるのを実感して頂けると思います。

シンガポールの転職エージェントが言う「生活に不自由はないです」とは「日本と全く同レベルの生活を送れます」という意味ですが、インドの転職エージェントが言う「生活に不自由はないです」とは「生きていく分には問題ないです」という意味なので、注意が必要です。

マレーシア・タイ就職

タイ・マレーシア就職

マレーシア・タイは昔から政情が安定しており、長年に渡り多くの日系企業が進出してきたため、日本人が大勢暮らしています。一方、シンガポールや香港ほど物価は上がっておらず、日本の製品も揃っていて非常に暮らしやすい環境です。

タイやマレーシアの日本製品や日本食の豊富さは尋常ではなく、バンコクに至っては日本の地方都市よりもファミリマート、セブンイレブンやローソンが多いのではないかと思うほどです。

ベトナムやインドネシアにも日本食や日本製品はありますが、タイやマレーシアよりも量や品質は劣るようです。インドに関しては日本食・日本製品は期待してはいけません。

タイ・マレーシアはベトナムやインドに比べると市場が成熟しているため、短期でキャリアアップできるような裁量の大きい仕事は少ないですが、ワークライフバランスを重視した人生を送りたい人には以前から人気があります。

特筆すべきは、唯一マレーシアのみ、コロナにも拘らず2019年から2020年にかけて就職実現者が増加しています。

これは、コロナによる「おうち時間」の増加に伴ってオンライン市場が拡大し、コールセンター(BPO:Business Process Outsourcing)の求人が増加したためです。

この傾向は今後も続くものと予想されます。

中国・台湾就職

中国台湾就職

中国は、アメリカに次いで在住日本人者が多い国ですが、就職希望者は多くありません。日系企業の進出ラッシュは2000年代前半であり、GJJが創立された2010年ごろには既に進出が落ち着いていました。

以前は英語だけでチャレンジできる求人も多かったようですが、現在は仕事でも生活でも中国語が必須となっているため他の国と比べて就職のハードルが高いです。従って、現在中国への就職を希望する人は中国語ができるか、中国が好きか、中国と関わりのある人が殆どです。

しかしAIを始めとする最先端の科学技術分野で中国はアメリカに追いつき追い越す状況にありますので、逆に中国語を習得して中国でのビジネス経験があることは将来的にアドバンテージにある可能性もあり、中国就職希望者少ない今の状況はチャンスとも言えます。そのうち欧米並みにビザの取得が難しくなるかも知れません。

台湾については、市場が成熟しており、日本語ができる優秀な現地人材が多く、またワーキングホリデービザで滞在する日本人も多いため、韓国と並んで就職実現者は多くありません。

ラオス・ミャンマー・カンボジア・フィリピン就職

ミャンマー・カンボジア・ラオス・フィリピン就職

ラオス・ミャンマー・フィリピン・カンボジアは、まだまだインフラが未整備で求人も少なく、生活も大変であるため、いずれの国も就職者は5名未満の状況です。

ベトナムやインドよりも更に市場が未成熟なため、逆に言うと起業したい方や新しいビジネスにチャレンジしたいというフロンティア精神がある方には最もチャンスの多い環境と言えます。

将来的にベトナムやインドの市場が現在のタイやマレーシアのように成熟してきた後、カンボジアなどが伸びてくるのではないでしょうか。

最近ミャンマーは政情が不安定になっていますが、一刻も早く政情が安定して経済成長が再開することを願っています。

自分の目的に合わせて国を選ぶ

どの国へ就職するかを考えるときには、海外就職を通じて何を得たいのかを考えることが大切です。

ワークライフバランスを重視して豊かな生活を送りたい人がインドへ行ってしまったり、短期間で濃い経験を積んでキャリアアップをしたい人がマレーシアへ行ってしまうとミスマッチが生じます。

転職エージェントは現地の情報を豊富に持っていますが、皆さんが就職して初めて報酬が発生するので、ネガティブな情報は発信しづらいです(これはエージェントのビジネスモデル上当然のことなので、エージェントは悪くないです)。

一方、現地採用の書いている個人ブログは個人の主観によるため、偏った情報であることも多いです。

このブログも現地採用の個人ブログですが、私の主観だけに偏らずに海外就職の良いことも悪いこともバランス良く発信できるよう、色んな方にインタビューをして情報収集をしています。ぜひ、他の記事を読んで現地のイメージを掴んでいただけたらと思います。

また、一人で海外就職を進めるのに不安がある場合にはGJJの無料カウンセリングを受けてみるのがオススメです。特定の国に偏らない客観的な情報を得られます。

無料カウンセリングの際に「"アジアで暮らす"を見たとお伝え頂くと、グローバルキャリアデザインコース申込時に特典があります。

「アジアで暮らす」読者限定特典
  • 入会金永久無料
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最初のカウンセリングは無料ですし、スカイプでも受講できます。グローバル人材塾の詳細については海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由の記事をご参照ください。

※この記事では国毎の違いをかなり断定的に書いていますが、もちろん個別にはタイやマレーシアでキャリアアップになる求人もありますし、ベトナムやインドの求人が全てチャレンジングなわけではないです。しかし色々な方の話を伺った結果、全体的な傾向としては上記の通りで間違いないと感じているので記事にまとめました。

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