香港で現地採用として働いている20代男性のKさんに、香港生活についてインタビューをしました。
とても快適な香港生活ですが、住宅状況が極めて大変ということが伺えます。
なお、本記事では1香港ドル=約14〜14.5円で計算しています。
※仕事に関するインタビューではありません。
香港の就労ビザ・その他手続関係
原則は、大卒であれば3年ほど同じ職種での経験があることが望ましいです。高卒の場合には、10年ほどの職務経験があることが望ましいです。
但し、香港人の業務を守るため、香港人にできない業務であることが必要となります。
以前、エステティシャンの方がビザを申請した時に「それは香港人にもできる仕事だろう」ということで却下された事例があったという話を聞いたことがあります。
シンガポールのように、特定の大学出身者が優遇されるという話は聞きません。
また香港の場合、配偶者ビザでも就労できるというのが大きな特徴です。なお職務経歴は目安程度で、新卒でビザが下りたという事例も聞いたことはあります。
大学の学部と職種が一致していなければならないという話は聞いたことがありません。特に出身学部は気にしなくて良いと思います。
以前勤務していた職場からReference Letter(在職証明のようなもの)を出してもらう必要があり、その収集に苦労しました。
就労ビザのエージェントからは、新卒以降の全ての勤務先からReference Letterをもらうことを求められます。
過去の全ての勤務先のReference Letterが必須なのかどうかは分からないのですが、私の場合は2社経験していました。
1社は3年未満、もう1社はかろうじて3年を超えているという状況でしたので、2社ともReference Letterをもらいました。
香港移住後の手続き
香港住民としてのIDカードをイミグレーションオフィスにて申請しなければなりません。このIDカードは香港人・外国人を問わず、香港に住む12歳以上の人全員が申請をしなければなりません。
ビザさえ持っていれば、IDカードの申請はスムーズに完了します。パスポートを持っていくと現地で写真撮影を行い、1週間ほどで作成されます。
以前はスムーズに口座を開設できたそうですが、マネーロンダリング対策などの影響で年々厳しくなっているようです。私は3回くらい銀行へ行き、その度に新しい追加書類を要求されました。担当者によって言うことが異なる場合もあるので困りました。
最も苦労したのが住所が記載された証明書です。IDカードには住所が書いていないため、香港の住所宛に届いた公共料金の請求書などを提出する必要がありました。
もしまだ最初の請求書が届いていない場合には、在職している会社に「この人はこの住所に住んでいる」という、役員のサイン入り証明書を作成してもらう必要があります。
また、会社との雇用契約書も提出します。香港の生活を始めるにあたって、銀行口座の開設が一番大変でしたね。
香港の家賃と住宅事情
最初に住んだ家は家賃が管理費・インターネット代込で月8,000香港ドル(約11.2万円)、120sqf(約11平米)、築50年で、中心地である香港島にありました。
2つ目の家は家賃が管理費・インターネット代込で月11,000香港ドル(約15.4万円)、220sqf(約20平米)、新築で、中心地であるセントラルまでは電車で約30分です。
香港の家は機能的に作られていて、トイレの上にシャワー、キッチンの流しの下に洗濯機が収納されている家が多いです(但し現在の家はトイレとシャワーは別です)。
先ほどお話ししたの部屋の広さは、シャワーやキッチンも含めた広さです。
今の家は違いますが、以前住んでいた家は、もともと1つの部屋を細かく分けてトイレやシャワーを設置した部屋でした。
従ってトイレ・シャワーの場所に換気扇がなく、湿気を取るためにはシャワーの扉を開けて部屋の換気扇や窓で換気をしなければならないため、部屋全体に湿気が周り不快でした。
香港の家では一般的にベッド、冷蔵庫、電子レンジなどの必要最低限のアメニティは付いています。ただ私の部屋はテレビが付いていなかったので、テレビは自分で買ってきました。
アプリで探しました。28hseなどのアプリがあります。アプリに不動産の写真や地図などが掲載されているため、それを見てWhatsAppで大家に直接連絡しアポイントメントを取ります。
不動産業者もありますが、日系の不動産業者は駐在員が使うような高級なアパートしか紹介してもらえません。
地元の中小の不動産屋であれば9,000香港ドルくらいから紹介してもらえるそうなのですが、私が訪れた地元の不動産屋は大手だったため10,000香港ドル以上でなければ取り扱わないということでした。
敷金は家賃2ヶ月分が一般的で、礼金はありません。不動産仲介料は家賃半月分であることが多いですが、元々の家賃が高いので決して安くはありません。
アプリを通じて部屋を探した場合には当然ながら仲介手数料は発生しません。通常は2年契約で、最初の1年は固定、2年目は1ヶ月前に通知すれば退去できるという契約が多いです。
固定というのは、例えば3ヶ月で退去した場合でも6ヶ月で退去した場合でも最低12ヵ月分の家賃は支払わなければならないということです。
契約のたびに家賃の値上げを要求されることも多く、知人のケースでは20%の値上げを要求されました。香港も中国大陸と同様に、借家人よりも大家の立場が極めて強いです。
香港の生活費
1ヶ月の主な生活費
項目 | 香港ドル | 日本円 |
家賃 | 11,000 | 154,000 |
食費 | 3,000 | 42,000 |
電気代 | 250 | 3,500 |
水道代 | 50 | 700 |
携帯電話代 | 100 | 1,400 |
交通費 | 500 | 7,000 |
合計 | 14,900 | 208,600 |
外食の場合、香港セントラルであればどんなに安くても35香港ドル(約500円)はします。それで食べられるのはローカルの麺料理(米線とよばれるもの)です。
私は50〜70香港ドル(約700〜1000円)程度のファーストフードで食べています。和食のファーストフードもあり、ご飯、味噌汁、魚、漬物などの定食がその程度の値段で食べられます。
日本のラーメンも70香港ドル程度です。ベトナム料理であれば、フォーとサイドメニューとドリンクでそのくらいです。
仕事が忙しく、またキッチンが狭いこともありなかなか自炊をする気にならないため、常に外食です。なので、スーパーで売られている野菜や肉などの物価はわかりません。
一人暮らしをしている日本人の方は常に外食をしている方が多い印象です。香港人は家賃が高いこともあって実家の親と同居しているケースが殆どで、親の作ったお弁当を持ってきている人が多いです。
水道代は2ヶ月で1400円程度、電気代は2ヶ月で7000円程度です。自宅のWiFiは家賃に含まれています。暑いのでエアコンを毎日つけていた時期でもそのくらいです。
携帯電話は日本でいう楽天モバイルに相当する格安携帯電話を契約しているため、月1400円程度です。通常の携帯電話よりも少し通信が遅いのかも知れませんが、格安携帯電話で不便を感じたことはありません。
普通の携帯電話の場合には1ヶ月で約4500円ほどです。なお、格安携帯電話でもデータ通信のみでなく電話番号も付与され、SMSも利用できます。
香港は狭く公共交通機関だけで何処へでも行けるため、タクシーは飲み会で終電を逃した時など以外は利用しません。
電車とバスは初乗り5香港ドル(約70円程度)です。香港島から九龍へ渡る時には10香港ドル(約140円)ほどかかります。
ありません。オクトパスと呼ばれる、日本でいうSuicaやIcocaのようなカードにチャージをして毎回運賃を支払います。現地採用の場合、通勤費は従業員負担のところが多いです。
私は家事代行サービスは頼んでいませんが、共働き夫婦などの場合に頼んでいるという話は聞きます。夫婦の場合、家事を外注して共働きにした方が貯金は増えるようです。
香港で2回病院を利用したことがあります。1回目はモノモライの治療、2回目は腹痛でした。香港の企業は現地採用でも福利厚生として医療保険へ加入することが一般的で、医療保険で治療代はカバーされます。
但し法定ではないため、会社によっては医療保険へ加入していない場合もあるかも知れません。私は香港内で1度転職していますが、運が悪く2回とも転職の間に病院へ行ったため、全額自己負担となりました。
モノモライの治療は7,000円ほど、腹痛は5,000円ほどでした。ただインフルエンザにかかって点滴を受けた知人は数万円かかったという話です。公立病院へ行けばもっと安いらしいですが、待ち時間が長いそうです。
私は治療を急いでいたので私立病院へ通いました。香港の病院も日本と同じで平日昼間の診療が基本で、土曜日は割増料金を取られます。病院の清潔さなどは日本と変わりません。なお、香港の会社では健康診断は実施されません。
散髪代は150〜250香港ドル(2100円〜3500円程度)かかります。香港にもQB Houseはあり、60香港ドル(900円)程度で散髪できます。
クリーニング代は、以前ズボンを出した時は20〜30HKD(約300〜450円)程度でした。なお、お子さんがいる家庭ではインターナショナルスクールや日本人学校へ通わせるため、日本に比べると学費は高くなります。
その他香港生活全般
私は日本人よりも香港人の友人と過ごすことが多いです。職場の同僚や、同僚から紹介してもらった友人と一緒に過ごします。また香港にはLanguage Mixのイベントがあり、そこで知り合った香港人とも友達になります。
香港人はハイキングが好きなので、ハイキングへ出かけます。香港は狭い地域にも関わらず山が多く、私の家の裏道も登山道になっています。
長期休暇は日本ほどなく、春節や国慶節が3〜4日ほど、それからイースターなどのお休みがあります。春節も国慶節も中国本土に比べると短いです。
香港はインドネシアなどと比べて日本人とローカルスタッフとの給与の差が小さく、遊びに行くときも費用などの面で気を遣わなくて良いので気楽です。また香港人は文化的にも日本との距離が近く、気軽に話しやすいです。
想像以上に英語が通じなくて驚きました。香港セントラルでは比較的通じますが、九龍半島のローカルなところへ行くと英語はほぼ通じず、広東語が必須になるところが多いです。
英語よりはまだ標準中国語の方が通じる印象です(標準中国語と広東語は方言の違いというレベルではなく、全く異なる言語と言っても過言ではないほど異なります)。
一度、家のドアが開かなくなったことがあってマンションのセキュリティへ電話をしたのですが、英語で電話をすると「英語は話せない」と言って電話を切られたことがありました。その時は友人に電話をして、友人からアパートのセキュリティへ電話をしてもらって開けてもらいました。
良い点は、香港人が細かいところを気にしないところ、人の目を気にしないところです。生活していてとても気楽です。悪い点については、住宅だけです。
住宅以外は日本の生活と変わらないほど快適です。治安も全く問題ありません。一時的にデモの地域には近づかないようにしていますが、大きな問題はありません。
日本と異なり所得税が給与天引きされず、自分で納めなければならない点です。香港も所得税は累進課税制度ですが、日本の所得税に比べれば遥かに安いです。
毎年4〜3月を基準として、翌年度の5〜6月頃に申告書が郵送され、申告書の提出後8月頃に正式な納付書が届きます。翌年の予定納税と前年度の差額分を支払います。
香港には年金もあり、会社と従業員が5%ずつ積み立てます。1度だけ引き出すことができるので、帰国時に積立分を引き出して帰ります。
いつかタイかマレーシアには暮らしてみたいです。やはり香港は家賃が高く住宅に対するストレスが大きいので、いつか物価が安いタイやマレーシアでワークライフバランスのある生活を過ごしてみたいです。
Kさんの体験談を読んで香港就職のイメージを持ってもらえたかと思いますが、以下のような不安もあるかと思います。
- 香港で自分に合った仕事があるか?
- 香港でビザは下りるか?
- 香港に適した履歴書や職務経歴書の書き方
- 面接でのアピール方法
- 将来のキャリア戦略
こういう不安を一人で抱え込むのはつらいですよね。
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