以下に該当する方は必見です。
- 新卒での海外就職を検討している学生の方
- BIG4会計事務所と中小の会計事務所で迷っている方
私はしょーじさんの話を聞いて、正直なところ新卒での海外就職は誰にでもオススメできるものではないと感じました。
なぜなら、海外では仕事の細かいことを丁寧に教えてくれるわけではないので、「極めて強い覚悟」と「主体的に考えて行動する力」がある人でなければ、心が折れてしまうからです。
しかし逆に、しょーじさんのように高い成長意欲と強い覚悟を持った方であれば、日本での新卒一括採用よりも遥かに速いスピードで成長できるチャンスもあると思います。
実際、しょーじさんはまだ25歳ですが、短期間で非常に濃い経験を積んでいるため、私がしょーじさんと話した時にはまるで30代半ばの方と話しているのではないかと錯覚したほどでした。
従って、新卒での海外就職を検討している学生の方にはぜひしょーじさんの体験談を読んで頂きたいです。
これを読んで
と思った方は新卒で海外へ飛び込んだ方が良いかも知れません。しかし逆に
と感じた方は2〜3年くらい日本で経験を積んでから海外就職にチャレンジした方が無難だと思います。
実際、数ヶ月でギブアップして日本へ戻る方もいると聞きます。そうなってしまうと、せっかくの新卒採用という一生に一度の切符を手放すことになるので、その点については見極めが必要です。
またしょーじさんはインドで中小の会計事務所とBIG4を両方経験しており、両者の業務内容や身につく能力の違いについても詳しくお話を伺いました。海外の会計事務所に興味がある方にも大変参考になるお話です。
しょーじさんはTwitterで活発に情報発信をしているので、新卒で海外就職したい方、海外の会計事務所に興味がある方は必見です。
インド新卒海外就職についてブログ記事にして頂きました!
そもそも新卒海外就職はサンプル数が少ないので、もしも今後海外就職を検討されている方がいれば、1つの参考になればと思います👳#新卒海外就職 https://t.co/6R9cNpxgB8
— しょーじ🇮🇳@バンガロール (@shojishoji_in) March 28, 2020
記事中の※はしょーじさんのコメントではなく、ブログ管理人による補足事項です。
この記事はしょーじさんの仕事に関する記事ですが、生活に関する記事はバンガロールとデリーの物価・生活情報まとめ しょーじさんをご参照ください。
海外で働く日本人の方が生産性が高いと感じて新卒で海外就職
大学1年生の夏休みにタイの製造業の日系企業でインターンシップをしました。
そのとき、現地の日本人の姿を見て海外で働いている人の方が日本国内の日本人よりも高い生産性で働いている印象を受けました。
この経験から、若いうちから海外で経験を積んだ方が生産性の高い人材になれるのではないかと感じ、新卒での海外就職を決意しました。
また日本国内の新卒の就職活動では、エントリーシートを書いて数百名と争って仕事を取りに行かなければなりません。
私は、大勢と競争して価値上っていくよりも、他の人と差別化をすることで希少性のある人材になりたいと考えていました。
就労ビザの発行に職歴要件を求める国が多いため、新卒で就労ビザが下りる国は限られており、最初はベトナムとタイを検討していました。
シンガポールもいけるとは言われましたがハードルが高く感じたため、ベトナムが第1希望、タイを第2希望として自分で就職活動をしていました。
当時はインドのイメージは全くなく、インドのことは全く検討していませんでした。
自分の力で就職活動をしていましたが、4年生の10月頃になっても結果が出ませんでした。
そんな中、インターネットでグローバル人材塾(以下「GJJ」と言います)に出会い、インドが熱いという話を聞きました。
※GJJの詳細については海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由をご参照ください。
その結果、ベトナムとタイの活動は4年生の12月末に終わらせて、それ以降はインドに集中することにしました。
様々な話を聞きたかったので、インドでは不動産、製造業など幅広く5〜6社受験しました。
その中で、最初に内定が出た会社に入ることにしました。
入社したのは、インド系の中小会計事務所です。
「インドはタイやベトナムとは厳しさのレベルが違いますが大丈夫ですか?」
「インドでの仕事に耐えられるだけのメンタリティがありますか?」
といった質問が印象的でした。
やはりインドは厳しい環境なので、そこに耐える覚悟があるかどうかが問われます。
TOEIC 600点くらいでした。
ビジネス英会話はほぼしたことはなく、日常会話レベルでした。
英語を学んだ経験は、2回のフィリピン留学です。
大学1年生の夏休みにマニラ、2年生の夏休みにセブへそれぞれ1ヶ月ずつ行っていました。
1ヶ月でもとても効果があったと感じます。
1回目は本当に全く英語が話せない状況でしたが、2回目はある程度話したので発音を重視したトレーニングを受けました。
アメリカ英語を学びたいと思ったのでフィリピンへ行きました。
それ以外に、アジアの先進国を知りたいと思い、交換留学で香港へ1年間留学していました。
香港の大学の授業は全て英語でした。
初めての会計・税務実務を全て英語で理解しなければならない環境
インド国内で1度転職をしていますが、1社目はデリー・グルガオンを拠点に会計・税務・法務・労務などを幅広く扱うインド系の中小会計事務所のジャパンデスクでした。
新規営業と、既存顧客からの問い合わせ対応でした。
新規営業は、以前取引のあった顧客リストを基にメールや再訪問をしたり、商工会で名刺交換をした方に連絡を取ってアプローチをしていました。
会社からも新規営業に対する期待がありました。
新規営業での訪問では会社説明の他、既存の会計事務所からの切り替え提案、新しい社内制度の提案などを行っていました。
また私が新卒で入社した2017年はインドでGST制度が施行されたので、その税務申告対応の提案などをしていました。
※GSTとは日本でいう消費税に相当します。
既存の顧客に対してはMIS(月次の財務諸表)を提出したり、取締役会の開催をサポートしたりしていました。
また「従業員を解雇したいけどどうしたらいいか」などといった相談を受けたこともあります。
前職では平均10〜20社ほどの顧客を担当していました。
とても大変でした。商業高校を卒業しているので日商簿記2級は持っていますが、新卒のため当然日本での財務経理や総務の実務経験はありません。
英文会計の経験は全くありませんでしたが、初めての実務を全て英語で覚えなければならなかったため本当に大変でした。
前職は日本人が5人いて、全員グルガオンにいましたが、基本的には分からないことがあってもインド人に英語で質問して理解するしかない環境でした。
前職はインド人の仕事のリマインドが大変でした。
仕事を頼んでも進めてくれませんし、他の人から仕事を頼まれると、私が頼んだ仕事を放置してそちらの仕事をされてしまうこともありました。
前職では常に自分の振った案件の優先順位を上げ続けるのが大変でした。
私の仕事はほぼほぼリマインダーの仕事と言っても過言ではありませんでした。
本人に言っても動かない場合には上司にリマインドすることもありました。
酷い時は私が送ったメールを印刷して、スタッフのパソコンの上に貼ったりもしました。
給料支払遅延や未払があったからです。
給料の支払方法が銀行送金ではなく小切手送金だったのですが、小切手だと色々とリスクが多いです。
小切手の署名者が不在で署名を待っていなければならなかったり、署名が間違っていて署名を書き直してもらわなければならないこともありました。
給料の支払方法については面接時に確認することをオススメします。
※インドで会計事務所を開業されている野瀬大樹さんが下記のツイートをしていますので引用します。日系企業や欧米系の企業ではあまり聞きませんが、インドローカルの会社で給与未払や源泉税未納付などはよく聞くので注意が必要です。
インドで働くと、
・源泉税を引くけど納税していない
・社保会社負担分まで個人から引く
・社保引くけど納付していない
・退職したら納税証明書発行してくれない(できない)
・観光ビザで現金支給との提案
とかマジで結構あるから気を付けたほうが良いと思います。— 野瀬大樹 (@hirokinose) September 12, 2019
BIG4の会計事務所で、勤務地はバンガロールとなりました。
※BIG4とはDeloitte、KPMG、EY、PwCの、世界展開をしている4大会計事務所のことです。
私は税務関係の業務を担当していました。
インド人スタッフは何千人も在籍していますが、日本人はインド全体で6人(グルガオン3名、ムンバイ1名、バンガロール2名)です。
バンガロール拠点には私の他にもう1人日本人がいましたが、但し税務は私1人でもう一人は戦略コンサル関係の仕事を担当しています。
前職では担当企業は10〜20社でしたが、現在の顧客数はかなり多いです。
しかし日常のGST(消費税)、TDS(源泉税)の申告といった事務連絡はインド人スタッフが直接顧客とやり取りをし、私はアドバイザリー業務のみ行うため、顧客数が増えたからといって負担が著しく増えたわけではありません。
※アドバイザリー業務とは、顧客に対してインドの税務に関する助言をしたり、インドの税務に関する顧客からの相談に回答する業務です。
Big4の場合、顧客も大手企業が多く、優秀な財務経理マネージャーが在籍していることが多いです。
従って細かい部分はインド人の会計士から顧客のインド人財務経理マネージャーへ英語で説明してもらうことが多いです。
インド人同士で細かいことを詰めたあと、私は全体の概要を日本人の拠点長へ説明します。
20代であるにも関わらず、Big4へ税務相談をするような日本を代表する大企業の役職が高い方々と直接話をすることができるのがインド就職の魅力ではないかと思います。
一方、前職の中小会計事務所の場合、インド人同士だけで話がまとまらないことが多く、顧客の駐在員や本社経理へ日本語で詳細を説明しなければならない機会が多かったです。
また、現職は会社の規模が大きくて全体像が分からず、大きな業務の一部を担っているという感覚ですが、前職の方が幅広いことを担当したのでインドの会計・税務・法務などの全体像を掴むことができました。
インドの会計税務全般を幅広く自分で理解して日本語で説明する力をつけるためには中小の会計事務所の方がオススメです。
税務の面で新規顧客へ営業をかけることはあります。
新しい税務スキームの提案などを提案します。
インドの税制改正などを受けて、私自身がインド人スタッフに「こういうスキームを提案してみたいんだけど」と相談することもあります。
逆にインド人スタッフから「こういうスキームでお客さんに提案してくれないか」と相談を持ちかけられることもあります。
仕事の雰囲気はだいぶ違います。
前職では会計・税務・法務など幅広い分野に渡って様々な業務を担当しましたが、現在は日本人スタッフの中で業務に棲み分けがあり、私は税務に特化しているため、より専門的なサービスを提供することができています。
専門性を磨くという点では現在の方が優れた環境です。
また、より優秀なインド人と一緒に働ける環境という意味ではBig4はオススメです。
例えば、前職ではインド人スタッフへの仕事のリマインドが大変でしたが、現職のインド人は極めて優秀なため私からリマインドをしなくてもインド人スタッフが自ら考えて行動し、期日までに仕事を完了させてくれます。
また期日までに間に合わないのであれば、事前に相談してくれます。
正直なところ日本で働いたことがないので日本のことはよく分かりませんが、インドでは新卒だからといって教育があるわけではなく、常に自分で考えて主体的に行動する大変さはあります。
しかし一方で「自分の仕事は終わったが上司が帰るまで帰れない」「必要性を理解できない社内飲み会に参加しなければならない」といった理不尽さは全くありません。
厳しい環境ではありますが無駄だと感じるようなことは全くなく、自分のキャリアアップに直結することだけに専念できる環境だと感じています。
現職はフレックス制度を採用しており、10:30〜16:30がコアタイムのため、その時間は会社にいなければなりません。
残業はほぼありません。
残業代も出ませんし、定時時間内に死ぬ気で終わらせています。
10月末〜11月末にかけての税務申告の時期と、2月の国家予算のアップデートの時期は忙しいです。
国家予算のアップデートには税制改正も含まれるので、それを顧客へ説明する資料を作成しなければなりません。
いえ、自分で国家予算を全て読み込むわけではありません。
まず社内のインド人会計士が、税制改正案の中で全顧客に関係のある部分をピックアップして社内で周知します。
次に、日系企業担当者のインド人会計士(但し日本語はできません)が日系企業に関係のある項目をピックアップします。
私は、ピックアップされた「日系企業に関係のある項目」のみを読み込んで日本語へ訳します。
もし私が理解ができないところがあった場合には、インド人スタッフに英語で質問をすればきちんと説明してくれます。
Big4のスタッフは極めて優秀で税制改正についてもきちんと理解して的確に質問へ答えてくれるので、そういった面では安心感があります。
バンガロールで税務を担当しているのは私1人ですが、デリーには税務担当者の日本人がいるため、日本語訳についてはその人とダブルチェックをします。
適切な日本語訳が分からない時には、他社の日本人に確認することもありますし、他のBig4事務所が発表している資料や自社の過去資料を確認して表現を練ります。
それでも、どうしても誤解を生みかねない箇所については、あえて日本語へ訳さず英語のまま発表することもあります。
最初はとても苦労しました。
日常会話の英語は聞き取れても、会計の専門用語が分か利ませんでした。
特にインド人の英語が早口でついていけませんでした。
特にデリー・グルガオン(北インド)の人が話す英語はバンガロール(南インド)の人が話す英語と比べて若干早口で、しかも一部ヒンディー語も混ざってたので聞き取りづらかったです。
バンガロールのインド人はしっかり要約して分かりやすい英語で話してくれるので助かります。
インド就職をすれば英語力は伸びるとお伝えしたいです。
もちろん環境によりけりではありますが、ディスカッションをしなければ生きていけない状況が続くので、自分で話さなければならない環境に追い込まれます。
特に今の職場はインド人しかいませんし、そもそも日本人に相談したところでインド人に相談しないと話が進まないことばかりです。
年に1回の一時帰国費用は会社が負担してくれます。
また、年に1回会社の費用負担で健康診断があります。
※インドでは健康診断は法律で義務づけられているわけではありません。
もう少しインドにいて、MBAを取るなど専門性を伸ばしていきたいです。なお、専門を会計分野に限るかどうかはまだ決めていません。
今の職場には会計だけでなくIT分野など様々な分野での専門家が大勢いるため、様々な話を聞くことができ、とても刺激的な環境です。
そして将来的にはアフリカかシンガポールへ行ってみたいです。
アフリカへは1年ほど行ってみて、更に希少性を高めたいです。
一方のシンガポールについては、日本人としての価値ではなく自分の専門性だけで勝負できる人材になるために目指したいです。
インドでは自分の専門性だけで勝負しているわけではなく、日本人であることの価値がありますが、世界中どこへ行っても働いていけるようになるためにシンガポールで専門性を磨きたいです。
しょーじさんの体験談を読んでインド就職のイメージを持ってもらえたかと思いますが、以下のような不安もあるかと思います。
- インドで自分に合った仕事があるか?
- インドでビザは下りるか?
- インドに適した履歴書や職務経歴書の書き方
- 面接でのアピール方法
- 将来のキャリア戦略
こういう不安を一人で抱え込むのはつらいですよね。
インド就職の進め方に不安がある方は、海外就職に特化したキャリアコンサルタント・グローバル人材塾の無料キャリア相談を受けてみることをお勧めします。
百人いれば百通りのキャリア戦略がありますので、ぜひプロの力を活用してインド就職を実現してください。
グローバル人材塾の詳細は海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由の記事をご参照ください。