インドのグルガオンで現地採用として働いている30代の男性N.S.さんに、インドで働く理由やインドでの仕事について詳しくお伺いしました。
以下の方は必見です。
- 30代から海外就職で新しい職種へチャレンジしたい方
- 東南アジア就職とインド就職を比較したい方
インドで働くにあたって、最も重要になるのがインド人スタッフへのリマインドだというのがとても印象的です。
インドでの就業や移住に興味のある方は必見です。
なお、N.S.さんのグルガオンでの生活についてはグルガオンの生活は大変だが得るものが多い!30代男性N.S.さんをご参照ください。
希少性を高めるためにやってきたインド
私は九州で育ちましたが、多様性が低く「右に倣え」という世界でした。
ところが学生時代に海外へ行く機会があり「世界って広いんだなぁ」と感じ、もっと外の世界を知りたいと思うようになりました。
英語というツールを使えば世界を広げられるということも分かり、世界で活躍したいと思うようになりました。
卒業後しばらくは家庭の事情もあり日本で働いていましたが、30歳のタイミングで海外へ行くことに決めました。
海外就職の軸は大きく分けて3つあります。
- 海外で英語を使う
- 自分で行ったことのない国でチャレンジしたい
- 営業を経験したい
前職は全く関係のない仕事をしていて、物を売る仕事をしたことがないので、営業を経験してみたいと思いました。
インドの他にシンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシアを検討していました。
まずシンガポールは就職のハードルが高く、エージェントの雰囲気も経験者を優先しているように感じました。
結局シンガポールは1社も面接に進むことができず、未経験で営業職にチャレンジするのは難しいと感じました。
次にマレーシアについては、ホテルのジャパンデスクの求人が多かったのですが、私は営業を希望していたので求人に魅力を感じませんでした。
60社くらい応募して、4社から内定を頂きました。
ベトナムの日系旅行会社、インドネシアの人材紹介会社と引越し業者、そして今回入社したインドのメーカーです。
※管理人注:インド、ベトナム、インドネシアは30代の未経験でも新しい職種へチャレンジしやすいです。詳しくは【海外就職】未経験の職種へ転職したい人にオススメしたい国3選の記事をご参照ください。
ベトナムは旅行会社のインバウンドデスクでしたが、職場が日本人だらけで英語を使う機会がないとのことだったのでキャリアアップに繋がらないと感じ、また手取りが10万円台と待遇が悪かったので魅力を感じませんでした。
インドネシアの引越しの仕事は日系の駐在員がメインで、引越しのアレンジしかしないため、営業職には繋がらないと感じました。
インドネシアの人材会社は、待遇は悪くなかったのですが、私はサービスではなく物を販売する経験を積みたかったのでインドのメーカーの方に魅力を感じました。
インドは大手企業の求人が多かったですが、女性を求めている求人が多い印象でした。
そんな中、現職はトントン拍子で話が進み、逆に「早くオファーを承諾してくれ」と言われました。
下見はせず、面接も全てスカイプだけで完了して内定をもらいました。働き始めた時が初入国でした。
物の営業をしたいという理由には、人が物を買うときの購買心理を知りたいという動機もありました。
またインドはベトナムやインドネシアと比べて英語がよく通じるため英語力アップも望めますし、単純に面白そうだと感じました。
ただ、「インドが面白そう」と言っても別にボリウッド映画やヨガといったインド文化に魅力を感じているわけではありません。
インドはまだまだ希望者が少なく、インドで働くのはマイノリティだと思いますので、インドで働くことによって希少性を高めたいと考えています。
TOEICは795点で会話には特に支障はありませんでした。ただインド人の発音は分かりにくく困っています。
もともとTOEICは360点程度でしたが、セブ島へ7ヶ月語学留学をしました。特に勉強に力を入れている学校だったので成果を出すことができました。
インド人の業務進捗管理に追われる日々
日系のメーカーで法人営業をしています。既存クライアントの訪問が半分、新規営業が半分といった割合です。
日系企業への法人営業なので、社外では日本人と関わる機会が多いです。日本人の意思決定者と接触して弊社製品の導入を決定して頂くことが私の仕事です。
私が関わるインド人は社内のインド人営業担当者や管理部門で働いている人が多いです。
ただ、お客さんのインド人スタッフとも関わることはあります。
最終的な意思決定者は日本人であっても、製品導入の細かい段取りはインド人スタッフとすり合わせます。
もちろん社内外のインド人とやり取りをするときは全て英語です。
今後はインド人との接点を増やしていきたいと考えています。
日本人サークルなどの会合、飲み会に顔を出して新しいお客様と接点を持ちます。
飛び込みやテレアポだとさすがに難しいかも知れませんが、飲み会から接点を持った人は話をしっかり聞いてくれることが多く、門前払いをされることは少ない印象です。
概ね想定通りのキャリアを歩むことができています。
お客さんが購入を決定されるときの動機なども学ぶことができ、とても勉強になります。
但し、私は営業職なので新規受注の取り方などで悩むだろうと予想していたのですが、実際には売上ノルマの達成などよりもインド人の業務管理で悩んでいます。
上述の通り新規顧客の開拓は比較的順調で、正直なところ日本人との関わりでそこまでは難しいことはないと感じています。
一方、インド人との関わりでは本当に苦労することが多いです。
インド人の仕事の進め方が日本人と異なる点としては
- 物事が急に決まり、突然変更される
- 口頭で意思決定をして文書化しない
- 上司に絶対服従で自分で考えて動かない
といったことが挙げられます。
例えば、自分の仕事が終わってないのに「定時だから」といって、仕事を放り出して帰ってしまうインド人がいます。
ある日の朝、その日に絶対に通さなければならない稟議があったので、スタッフAに「絶対に今日稟議を通してね」と言ってオフィスを出ました。
しかし私が夕方にオフィスへ戻るとスタッフAは既に帰宅していました。
稟議決裁システムを見ると稟議は決裁されておらず、「書類の申告内容が間違っていたので今日は稟議を通せません」と書かれています。
しかし私が稟議内容を見直すと申告内容に間違いはなく、「申告内容が間違っている」というのはスタッフAの勘違いでした。
今日中に稟議を通したいって朝から行ってるのに、緊急度が伝わらないのです。
こういう場合はスタッフAの上司に相談して強引に通してもらいます。
インドの組織はトップダウンで物事が進むため、高い役職の人に話を通すと物事が速く進みます。
しかし上司に相談してもダメな場合には結局翌日になってしまい、お客様にご迷惑をかけてしまうこともあります。
お客様に謝るのも私の仕事のうちですが、インド人スタッフは「とりあえず謝っておけば良い」と思っているところがあり、簡単に「今日は無理だから来週」などと言います。
インド人同士であればそれで構わないのだと思いますが、上司やお客さんが日本人の場合には困るので、そのインド人の感覚を修正するのが私の仕事です。
そうは言っても長い人生で培われてきたインド人の感覚は簡単には治らないので、根気強くいい続けるしかありません。
たとえ高い役職になったからと言って、日本人の感覚を分かってくれるわけでもありません。
インド人に頼みごとをした後には、頼んだことを覚えておいて常にリマインドし続けなければなりません。
日本での仕事のように「依頼したから、返事を待っていよう」という考えでは、いつまで経っても返答はありません。
但し、全てのインド人が緊急の仕事を放り出して帰ってしまうわけではなく、中には日本人の期待値を理解して適切に対応してくれる方もいます。
インド人の習慣を変えるのは無理なので、優秀なインド人を見つけだして協力してもらうことでプロジェクトを進めていくしかないと思っています。
私は営業なので、本来は販売戦略で悩むべきだと思うのですが、業務の進捗管理のことで悩んでばかりなので、正直「こんなことで悩んでて良いのだろうか?」という不安があります。
インドで働き始めて約半年が経ち、未だにインド訛りが一部分からないことがありますが、業務上は支障ありません。
英語力は多少は伸びていると思います。インド人が使っている言い回しなどをマネして使うことで表現力を磨いています。
特にトラブルが発生した時には絶対に英語を理解しなければならない状況になるので、初めて聞いた単語でも1発で覚えられます。
知らない単語や表現があれば、その場でGoogleで調べて使ってみると、すぐに身につきます。
インドではローカルスタッフ同士でも英語で会話をしていて(但し白熱するとヒンディー語で話し始めることがあります)、インド人同士のメールは全て英語です。
ヒンディー語のメールが飛び交っているのは見たことがありません。
このような英語の環境に身を置けるのもインド就職の良いところではないかと思います。
グルガオン現地採用の待遇
営業でお客さん先を訪問するので、現地採用でも1人1台ドライバー付きの営業車を割り当てられています。
入社時に健康診断書の提出は求められましたが、入社後に会社で健康診断を実施してくれることはないため、自分自身の健康管理には気をつけなければなりません。
正直なところ、駐在員の待遇についてはよく知らないので、駐在員との待遇差については細かくは分かりません。
一方、現地採用だからと言って駐在員から差別されたりバカにされたりと感じたことはありません。
ただ取引先の駐在員から「男性の現地採用っているんですね。現地採用は女性だけだと思ってました」と言われたことはあるので、「現地採用=女性」というイメージを持っている方はいるかも知れません。
正直、今の生活は無理して節約して頑張っているわけでもないし、ここでキャリアを積めば数年後には自分自身の市場価値が跳ね上がると考えているので、誰から何を思われていようと気にしていません。
最後に
私は下見をしないままインドへ来てしまいましたが、一度インドへ下見をしに来ることをお勧めします。
インドは広く、デリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイという都市によって雰囲気も違うらしいので、一通り見て回って比較した方が良いかも知れません。
N.S.さんの体験談を読んでインド就職のイメージを持ってもらえたかと思いますが、以下のような不安もあるかと思います。
- インドで自分に合った仕事があるか?
- インドでビザは下りるか?
- インドに適した履歴書や職務経歴書の書き方
- 面接でのアピール方法
- 将来のキャリア戦略
こういう不安を一人で抱え込むのはつらいですよね。
インド就職の進め方に不安がある方は、海外就職に特化したキャリアコンサルタント・グローバル人材塾の無料キャリア相談を受けてみることをお勧めします。
百人いれば百通りのキャリア戦略がありますので、ぜひプロの力を活用してインド就職を実現してください。
グローバル人材塾の詳細は海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由の記事をご参照ください。