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1年の途中で日本の会社を退職して海外移住した人がやるべきことの1つに、所得税の還付申告があります。

結婚していたり生命保険に入っているなど、控除する項目がある場合には、これをやらないと払い過ぎた税金が戻ってこないので、国に1円でも多くの税金を納めたいという特別愛国心の強い方以外は手続きをした方が良いでしょう。

戻ってくる額は人によりますが、数万円から数十万円が戻ってくる場合もあります。

所得税の還付申告とは

日本で働いていると、毎月給料から所得税が天引きされます。そして毎年11月頃に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類を提出して会社に年末調整を計算してもらうと、12月の給与で払い過ぎた所得税が一部還付されます。

12月末に会社を退職して海外移住する場合には手続きをしなくても特に問題がないのですが、年末より前に会社を退職すると年末調整が行われないため、所得税を払い過ぎの状況になっています。

そこで、税務署に還付申告をすることにより払い過ぎた税金を取り戻します。

還付申告の時期

還付申告の時期は申告年の翌年1月1日から5年間です。

たとえば2019年6月に会社を退職して海外移住した人の場合には、2020年1月から2024年12月となります。つまり、移住前にはできないということです。そこで、2つの方法があります。

  • 移住翌年の一時帰国時に申告する
  • 国内に住む人に納税管理人になってもらい、納税管理人に手続きをしてもらう
納税管理人とは
海外にいる人に代わって国内で税金を納めたり還付を受けたりする人のことです。住民税でも納税管理人を立てますが、国税でも別途手続きをする必要があります。

住民税の場合、海外移住の時点では未払いの住民税が残っているので、(役所が取りっぱぐれることのないよう)市役所で住民票の国外転出の手続きをしたときに市役所側から納税管理人を立てるための案内をしてくれます。

ところが国税の場合、還付申告をしなくても国は損をせず、手続きをしなかった納税人が損をするだけなので、こちらから連絡をしなければ税務署から手続きの案内はしてくれません。

納税管理人を立てる場合には、海外移住をする前に管轄の税務署へ行って納税管理人を立てるための申請書を提出する必要があります。

納税管理人は親族に担当してもらう場合が多いですが、信用できる親族がいない方は友人でも可能ですし、会計事務所などに頼むこともできます。

納税管理人を立てていれば、一時帰国のタイミングを待たなくても翌年1月以降いつでも還付申告をすることができます。納税管理人による申告をした場合には、納税管理人の口座へ還付金が振り込まれます。

還付申告を行う管轄税務署

全国各地に税務署がありますが、どの税務署でも還付申告ができるわけではありません。管轄の税務署は確定申告の場合に準じますが、国税庁のホームページにQAがあります。

国内に住所を有さなくなった場合の確定申告書の提出先

国内に住所及び居所を有しないこととなった者の納税地については、次の順番で判断します。

(1) 国内において行う事業に係る事務所等を有する場合
その事務所等の所在地
(2) (1)以外の者で、その納税地とされていた住所又は居所にその者の親族等が引き続き、又はその者に代わって居住している場合
その納税地とされていた住所又は居所
(3) (1)及び(2)以外の場合で、国内にある不動産の貸付け等の対価を受ける場合
その貸付けの対価に係る資産の所在地(その資産が二つ以上ある場合には、主たる資産の所在地)
(4) (1)~(3)により納税地を定められていた者が、そのいずれにも該当しないこととなった場合
その該当しないこととなった時の直前において納税地であった場所
(5) (1)~(4)以外で、その者が国に対し所得税の申告及び請求等の行為を行う場合
その者が選択した場所
(6) (1)~(5)のいずれにも該当しない場合
麹町税務署の管轄区域内の場所

分かりにくいですが、海外移住者の場合には通常(2)または(4)となるはずなので、海外移住をする直前の住所を管轄する税務署へ還付申告を行います。

還付先の例
麹町に住んでいた人が浅草に住む親を納税管理人に指定したあと2019年6月に海外移住した場合
⇒浅草税務署ではなく麹町税務署に還付申告を行います。

還付申告の手続き

還付申告の手続きは、申告書を郵送するか管轄の税務署へ行って手続きを行います。電子申告を利用して郵送で手続きを行う場合には下記の国税庁ホームページをご参照ください。

国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、所得税、消費税の申告書や青色決算書などを作成できます。作成したデータは、電子申告(e‐Tax)を利用して又は印刷して税務署に郵送等で提出することができます。

但し、書類に記入間違いがないか、管轄税務署が合っているか等様々な心配があったので、私は税務署へ足を運びました。

還付申告は確定申告と異なり2月15日から3月15日の間にやる必要はないので、税務署の職員が暇そうな比較的余裕のある時期に行けば職員の方には非常に丁寧な対応をして頂けます。私の場合は申告書を税務署の方に作成して頂きました。

還付申告に必要な書類

還付申告を行うとき、申告書の他に書類は2つあります。

源泉徴収票

会社を退職するとき、退職する会社から源泉徴収票をもらう必要があります。以前は源泉徴収票の原本を添付する必要がありましたが、2019年4月以降は源泉徴収票の添付が不要になりましたのでPDFでも大丈夫です。

詳細は国税庁からのお知らせをご確認ください。

なお、上記リンクのお知らせには記載がありませんが、税務署に確認したところ2019年4月1日以降の申告であれば、2018年以前分の還付申告であっても源泉徴収票原本の添付は不要です。

※実際、私は2019年6月に税務署で還付申告をしましたが、源泉徴収票の原本は要求されませんでした。

但し、原本の添付が不要でも源泉徴収票がなければ申告書に記入すべき金額が分からないので、PDFで源泉徴収票を受け取った場合でも必ず源泉徴収票は印刷して税務署に持っていきましょう。

控除証明書等

所得税の控除を受けられるのは、例えば以下のような場合です。

  • 配偶者の所得が低い場合(配偶者控除、配偶者特別控除)
  • 生命保険、地震保険に加入している場合(生命保険料・地震保険料控除)
  • 国民年金を支払っている場合(社会保険料控除)
  • 医療費を年間10万円以上支払っている場合(医療費控除)

例えば保険料や年金の控除であれば保険会社や年金事務所から秋ごろに送られてくる控除証明書を添付します。

控除の内容によって添付すべき書類は変わりますので、詳細は下記国税庁のホームページをご参照ください。

申告書に添付・提示する書類

国民年金を前払いすることで控除額を増やす

会社勤めの場合には、毎月給与から厚生年金が天引きされます。ところが海外移住をする場合には年金は給与から天引きされないので、日本国籍の場合に限り任意で国民年金を納付することができます。

年金を納付すると所得税が控除されますが、控除されるのは年金の対象月ではなく支払月が属する年です。

例えば、2019年4月に2020年1月~12月分の年金を納めた場合、この納めた年金は2019年の所得控除対象となります。

従って海外移住者の場合、どうせ年金を納めるのであれば海外移住する年にできるだけ前納した方が得になります。

具体例
2019年8月に移住した人が2020年1月~2020年3月までの年金を前払で納めた場合
⇒納付額は2020年ではなく2019年の所得税から控除されます。

2020年には日本で給与がなく、日本国内で所得がないため年金を払っても控除を受けられないので2019年中に払ってしまった方が得ではないかと思います。

初年度の場合、年金が前納できるのは通常翌年3月までだと思いますが、海外移住した年(日本国内で所得があった年)にできるだけ前払してしまった方がお得です。

有効期限は5年

冒頭でもお伝えした通り、還付申告の時期は申告年の翌年1月1日から5年間です。海外就職実現者にとって見落としがちなポイントなので、還付申告をし忘れていた方はぜひ今からでも申告して税金を取り戻しましょう。

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