中高年シニア世代が海外就職で成功するポイント【50代・60代必見】

昨年(2022年)から、海外就職が盛り上がりを見せています(詳しくは海外就職希望者が増え続ける理由【円安だけではない】の記事をご参照ください)。

特に、50代以上(シニア世代)の海外就職希望者の増加が著しいです。

私はインドで働いたあと、中国へ移住して働いている30代ですが、確かに50代以降で初めての海外就職にチャレンジする方をよく見かけます。

そこで本記事では、海外就職のプロであるGJJの田村さつきさんに、海外就職を希望するシニア世代が増えた背景と、シニア世代が海外就職を実現させるポイントをお伺いしました(GJJの詳細はこちらの記事をご参照ください)。

田村さんご自身がシニア世代を迎え、海外就職を目指す同世代にエールを頂きました。

50代以降で海外就職を目指す方は必見です。

海外就職を希望するシニア世代が増えている背景

シンガポール

最近、50代以上の海外就職希望が増えている背景には何があるのでしょうか?

人生100年時代の到来

これまでの人生80年の時代は、65歳で引退をしたあと数年間の引退生活を過ごし、70代に入ると健康上の問題で活発に動くのが難しくなるのが一般的でした。

しかし衛生面や医療の発展によって寿命が伸び続けており、最近では「人生100年時代」と言われるようになりました。

寿命が長くなるにつれて健康寿命も長くなり、最近は70代でも活発な人が多く、80代以上でITを使いこなしている人も増えています。

100歳まで生きると考えると、65歳で定年した後に引退生活を送るにはあまりにも長く、50代や60代から新しいことにチャレンジしたいと考える人が増えてきました。

このツイートの通り、50代や60代から海外を目指しても遅いということは全くありません。

終身雇用制度の崩壊

2023年現在のシニア世代(55歳以上)はバブル世代(1965年から69年生まれ)以上の世代で、まだ就職氷河期は迎えておらず、新卒として入社した頃は終身雇用制度が当たり前の時代でした。

当時は、会社に勤務していれば安定して給与が上がっていき、退職金で豊かな老後が送れるという時代でした。

しかしその後、バブルが崩壊して終身雇用制度や年功序列型賃金制度が崩壊し、ジョブ型の雇用や成果報酬制度が取り入れられるようになりました。

会社から40代、50代で早期リタイアを迫られるケースも増えています。

つまり、会社を信じて頑張ってきたが、会社から捨てられてしまったということです。

50代になって再就職をせざるを得ない状況に追い込まれた時、もしくは役職定年を迎えて平社員に戻った時に、閉塞感のある日本に残るではなく、成長する海外で活躍したいと考える人が増えているのではないでしょうか。

海外生活に対する憧れ

2023年現在のシニア世代が活躍してきた時代は、1社に長く勤めあげるのが当たり前の時代で、海外就職という選択肢を検討するのは難しい状況でした。

ここ10年ほどで海外就職も広まり、転職エージェントなども整備されてきたので、今の20-30代で海外就職を希望する人は、自分で海外へ転職してしまいます。

しかし30年前は、海外で働きたいと思っても会社の配属に任せるしかない時代でした。

会社の業務命令で海外へ行く機会が得られなかった人は、海外就職を諦めるしかありませんでした。

そのような方が、子育てや住宅ローンなども一通り終えてシニア世代を迎えたときに、若い頃からの夢だった海外生活を目指して海外就職にチャレンジしています!

シニア世代が海外就職をするメリット

香港の夜景3

では50代以降で海外就職にチャレンジすると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

現地の人脈を作りやすい

日本で働いていると、どうしても家と会社の往復生活になりがちです。

特に都会で暮らしていると、地域コミュニティの繋がりは薄く、家族や職場以外で人間関係を作るのは難しいのではないでしょうか?

そして、職場や取引先との人間関係は利害関係もあるため、純粋な友達になるのはハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。

特に男性の場合、会社を定年退職して職場の人間関係が途切れてしまうと、孤独になってしまうという話もよく聞きます。

しかし海外へ行くと、現地人の友達だけでなく、日本人の友達も作りやすいです。

海外の各都市には日本人コミュニティがあり、出身の都道府県や出身大学、趣味(スポーツや写真、語学、映画など)のサークルがあります。

会社の業務命令で来た人も多いですが、自分の意思で海外へ来た人も多いため、同じ志や価値観を持つ人達との繋がりを作りやすいです。

日本の職場では「どうして海外なんて行くの?」と変わり者扱いされていても、海外で知り合う日本人は海外に興味がある人ばかりなので、とても居心地が良く、利害関係を抜きにした友達を作れます。

こういった繋がりは、セカンドライフをとても豊かにしてくれるのではないでしょうか?

視野が広がる

海外で生活すれば、当然ながら仕事でも生活でも外国語を使います。仕事は主に英語で、生活は現地語を使います。

そして海外生活はカルチャーショックの連続で、日本で慣れ親しんだ仕事のやり方が通用しない場合もあります。

GJJメンバーで60歳から初めての海外就職へチャレンジした方(Mさん)がいますが

  • 人生初の転職
  • 初めての海外勤務
  • 初めての印刷業界
  • 初めての工場管理

を経験し、毎日が新しい挑戦でした。

同じことを繰り返す日々を送るより、新しいことにチャレンジして視野を広げた方が脳の老化を防ぐとも言われています。

海外就職は20代後半でチャレンジする人が最も多いですが、20代だとキャリアアップや将来の不安が先行して、海外生活そのものを楽しめない人も多いです。

シニア世代は20代と比べて、将来の収入やキャリアアップへのプレッシャーは少ないですから、異文化体験や日々の海外生活そのものを純粋に楽しむことができます。

また、子どもの都合に合わせて生活し、教育資金を確保しなければならない30代・40代の子育て世代に比べて、子育てが一段落したシニア世代の方が身軽で、新しいことにチャレンジできます。

まさにシニア世代こそ海外就職にチャレンジする絶好のタイミングではないでしょうか?

転職や起業の力がアップする

60歳からパソコンを習い始め、80代でアプリ開発をした世界最高齢のプログラマー若宮正子さんが話題になっていましたが、60代以降でも新しいビジネスを始めたり起業したりするのは遅くありません。

海外就職そのものを目的として海外就職するのも良いですが、キャリアアップや起業のためのステップとしても海外就職は良い経験になります。

海外で働くと日本にはないビジネスやサービスを目にすることもありますし、逆もあります。

現地で築いた人間関係のお陰で新しいビジネスを思いついて起業する可能性もあると思います。

海外で新しく始めた趣味から仕事を見つけられる可能性もあるのではないでしょうか?

日本の大手企業であれば部署ごとに業務が細分化されていますが、海外であれば幅広い業務を1人で回さなければならないことが多く、トラブル対応能力も鍛えられるため、起業に必要な能力が身につきます。

生活コストが下がる

日本では数年前に老後資金2000万円問題が話題になっていましたが、いくら円安やデフレで日本の物価が海外と比べて下がっているとはいえ、まだ東南アジアの方が(シンガポールを除き)日本よりは物価が安いです。

実際、定年後に日本の年金を受け取りながらリタイアメントビザでマレーシアやタイへ渡り優雅な生活を送るシニア世代も増えています。

海外就職であれば、少し早い50代からでも現地で働きながら海外生活に慣れつつ、貯金をすることもできます。

年金受給年齢の引き上げも話題になっていますが、人生100年時代では50代でやっと折り返しですから、50代からでも海外で生活する力をつけるのは将来の役に立つのではないでしょうか。

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シニア世代が海外就職をする際の注意点

上海 全景

一方、シニア世代の海外就職には注意も必要です。ここからは、シニア世代が海外就職をするにあたって気をつけておかなければならないポイントをご紹介します。

職種はマネジメント職が中心になる

50代以上でも海外就職を実現している人は大勢いますが、若い世代に比べると求人が少ないのは事実で、全ての職種で募集があるわけでもありません。

しかしGJJでは毎年、50代以上で海外就職を実現している人がいます。

シニア世代の募集はやはり管理職が中心で、特に工場管理の求人が多いです。

営業であっても、フロントの営業専門と言うよりは営業スタッフのマネジメントが多く、自分で営業をするケースでもプレイングマネージャーとなる場合が多いです。

では、シニア世代の海外就職先の最有力候補として挙げられる工場長とは、具体的にどのような業務なのでしょうか?

60歳でインドネシア就職を実現したMさんによると、アジアにおいてもメーカーの競争力は以下の3点です。

  • 低コスト
  • 正確な納期
  • 安定した品質

そこで、工場長に求められる役割は、とにかく上記の3項目を達成して競争力をつけるため、また従業員の安全のため、ISO9001(品質管理マネジメントシステム)と5Sを十分に理解し、完璧に行うことだそうです。

また、いくら努力してもトラブルは避けられないため、トラブルで顧客を失わないよう得意先と良好な関係をつくっておくことも重要です。

そして購買部門、関税担当、総務関係は汚職に巻き込まれやすいので、余分な支払いがないか、単価は適切かを常に細かくチェックする必要もあります。

工場長の経験がないと心配になるかも知れませんが、Mさんによれば、工場経験のない商社マンが立派に工場経営をしている例もあり、経験がなくても一時期頑張ればキャッチアップできため、あまり経験にこだわる必要はないそうです。

海外のビジネスは日本よりもスピード感があり、日本本社のゆっくりしたスピードで仕事をしていたら競争に負けてしまうこともあるため、海外の状況を日本本社に説明してサポートを得ることも重要です。

海外就職先はアジアの国が中心

これはシニア世代に限った話ではありませんが、初めての海外就職での渡航先はアジア(特に東南アジア)が中心になります。

海外就職といえども、これまで日本語で仕事をしてきた日本人が就職するのは日系企業の海外子会社か、日本人や日系企業をクライアントとする外資系企業の営業職が大半です。

いくら外国語ができても、日本語を全く使わない仕事、例えばアルゼンチンに進出するフランス系企業で海外未経験の日本人が仕事を得るのは難しいでしょう。

日系企業の多くが進出しているのはアジアや欧米ですが、欧米は人気が高くビザの要件が厳しいため、比較的ビザが下りやすいアジアで就職するケースが大半です。

最近は、インドネシアやベトナムでシニア世代の求人が多いです。

家族の合意が必要

家族がいる方の場合には、家族の合意も必要です。

Mさんの場合は海外就職の前にインドネシアで語学留学をしましたが、留学の条件は、単身で行くこと、退職金には手を付けないことだったそうです。

海外移住には、引っ越し代などで最初にまとまったお金も必要ですし、語学力不足であれば事前に語学留学をしなければならないケースもあるので、家族との事前相談が必要になります。

シニア世代が海外就職で成功するポイント

ニューヨーク

ここまで、シニア世代の海外就職のメリットと注意点をご紹介しましたが、それを踏まえてシニア世代が海外就職で成功するポイントをご紹介します。

成功=納得感

20代や30代では、海外就職で経験を積んだ後、日本へ帰国して再度転職し、昇格や昇給を実現しているケースも多いです。

しかしシニア世代の場合、海外就職に昇格や昇給を求めてしまうと苦しくなる可能性が高いです。

海外就職をすると現地で雇用契約を結ぶことになるので、日本の厚生年金や雇用保険からは外れ、日本よりも待遇が下がるのが一般的です。

若い人の場合には、一時的に待遇が下がっても、それを投資と捉えてキャリアアップを狙っていくことも可能ですが、50代以上で海外就職をした方が日本へ帰国してから昇格・昇給するのは現実的ではありません。

日本の大企業で管理職を経験し役職手当をもらっていた人の場合、海外の現地採用での待遇は見劣りします。

従ってシニア世代の場合には、お金を求めるよりも、前述したやりがいや人間関係、視野を広げて豊かなセカンドライフを始めることなどを目的とするのがオススメです。

先ほど「海外就職で転職や起業の力がアップする」とも書きましたが、ビジネススキルのアップは現地での生活や人間関係、趣味などを大切にした先にあるものです。

始めからお金だけを目的にしてしまうと、豊かなセカンドライフの可能性を台無しにしてしまう可能性があるので注意が必要です。

田村さんはアメリカで豊かな老後を送っている現地のシニア世代と交流をしましたが、完全に引退せず、不労所得を得つつもパソコン一台で気ままに仕事をするセミリタイア(サイドFIRE)をしている人が多かったそうです。

豊かなセカンドライフを送るために、心から楽しめる仕事や趣味を見つけることはとても大切です。

従って、シニア世代の海外就職の成功とは、お金を稼ぐことよりも、後悔しないセカンドライフを送ることと言えます。

新しいことを学ぶ気持ちを大切にする

日本国内では各業界で人手不足が問題になっていますが、これは海外の日系企業も同じで、日本人の採用に頭を悩ませている会社は多いです。

マレーシアやタイなど住みやすく人気のある国は応募も多いですが、ベトナム、インドネシア、インドなどの国では人が集まらず苦労している企業が多いです。

特にインドの場合には人気が低く、若い人が就職しても2~3年で退職してしまうことが多いです。

インドでの経験を活かして、日本や別の国へすぐにキャリアアップしてしまうのです。

日本での採用活動の場合、50代の人を採用するよりも20代の人を採用した方が長く勤めてくれる可能性が高いので、若い人に対するニーズが高いです。

しかし海外の場合には、若い人でも長く勤めあげることは期待できず、むしろ3年で辞める20代よりも5年以上勤めてくれる50代の方が有難いと考える企業もあります。

ではなぜ海外でも50代よりも20代の方が求人が多いのかと言うと、一般的には若い人の方が新しい環境への適応能力が高く、学ぶ姿勢があると考えられるからです。

逆に言うと、シニア世代であっても新しい環境や経験にチャレンジする姿勢があればチャンスがあると言えます。

日本で高い役職に就いていたからと言って、海外就職をした後で周囲の現地スタッフや日本人スタッフに対して見下した態度で接してしまうと、反発を招きトラブルを招きかねません。

また、泥臭い仕事をしなければならない場合もあり、その時に「どうして自分がこんな雑用をしなければならないんだ?」という態度だと周りから嫌がられてしまいます。

上司が年下や外国人である可能性もあります。

豊かなセカンドライフを実現することを第一目的に考えて、日本での経験を活かしつつも新しいことにチャレンジする姿勢があることをアピールすることが、海外就職を実現するポイントと言えます。

新興国での健康等のリスク

先ほどお伝えした通り、シニア世代に限らず、日本人が初めての海外就職をする場合の渡航先は東南アジアであるケースが多いです。

60歳でインドネシア就職を実現したMさんによると、シニア世代の新興国生活では以下のような点に注意が必要です。

  • 地方では満足な医療を受けられない可能性がある(大都市の一流病院を選ぶ)
  • 高齢になってからの海外一人暮らしになるため、何かあった時の備えが必要(大都市での居住が望ましい)
  • インドネシアではアパートから職場の玄関まで車での送迎があるため運動不足になる(意識的に運動する)
  • 野菜不足で栄養が偏る(朝食で補う)
  • 交通事故が多発する(外国人が事故を起こすと面倒なので、信頼できる運転手に頼む)

50代以上でも海外就職の可能性はある

ニューヨーク4

以上、シニア世代の海外就職事情についてご紹介しました。

30代の私から見ても、新しいことにチャレンジするシニア世代の方はとても尊敬できます。

海外就職に興味があるものの

  • 自分の語学力で海外就職にチャレンジできるのか分からない
  • どうやって求人を探したら良いのか分からない
  • 自分にはどんな仕事が向いているのか分からない

など、様々な悩みがあると思います。

そんな方にはグローバル人材塾の田村さんの無料カウンセリングを受けてみるのがオススメです。

2023年現在、年間登録全体(約3700名)の約10%強が50代以上のシニア世代の方で、毎年シニア世代で海外就職を実現している方がいます。

初めての海外、初めての転職であれば不安なことが多いと思うので、キャリアのプロに相談することが大切です。

これまでのキャリアや得意分野により戦略は変わってくるので、豊富な成功事例を基にプロの目で最適な提案を受けられます。

無料カウンセリングの際に「"アジアで暮らす"を見たとお伝え頂くと、特典があります。

最初のカウンセリングは無料ですし、Zoomでも受講できます。グローバル人材塾の詳細については海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由の記事をご参照ください。

 

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