記事中の※はT.F.さんのコメントではなく、ブログ管理人による補足事項です。
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中国語 + 専門性を求めて中国へ
最初は日本でアパレルの仕事をしており、「しばらく頑張りたい」と思っていた矢先に、閉店が決まってしまいました。
その時に、「これから働くなら興味あることで楽しんで働きたい」と思いました。
私が何に興味を持っていたかと言うと、中国語です。
中国語に興味を持ったきっかけは、高校の時に選択科目の中に中国語があったことでした。
中国語を勉強を始めてみたら、例えばビスケットを「乾いた餅」(饼干)と書くなど、中国語の表現方法が面白いと感じました。
アパレルのお店が閉店したことをきっかけに、ずっと独学で勉強していた中国語を活かしたいと思って台湾へ1年くらい行きました。
留学をした時点では日本で中国語使って働きたいと思っていました。
しかし帰国後にいざ日本で働くことを考えると、日本には日本語が上手く専門性もある中国人・台湾人などがいっぱいいたので、中国語力だけに加えて専門性も磨く必要があると感じました。
そこで私も海外へ行き、語学力に加えて専門性を磨く経験を積みたいと思いました。
私は様々な仕事を転々としていて、しかもアルバイトが多く正社員の経験が短かったので、職務経歴書をどう書いたら良いか分かりませんでした。
職務経歴書の書き方についてはグローバル人材塾にサポートをしてもらいました。
※グローバル人材塾については海外就職の希望者は必見!グローバル人材塾をオススメする3つの理由の記事をご参照ください。
1年間の留学を通じて台湾には土地勘があったので、できれば台湾で働きたいと思いました。
しかし台湾は就労ビザの承認基準が厳しく、2年の正社員の経験が絶対に必要と言われたため、ビザが通る可能性は低いと言われました。
シンガポールも中国語圏ですが、台湾同様にビザの条件が厳しかったので、中国全土+香港で探しました。
中国の中で特別に広州が良かった訳ではなかったのですが、上海と広州が求人が多かったです。
4〜5社くらい面接して頂き、最終的に広州に決まりました。
正直なところ1回も広州へは行ったことがありませんでしたが、仕事が面白そうと思ったので選びました。
ただ、そうは言っても広州自体にも魅力を感じていました。具体的には
- ご飯が美味しい(と聞いた)
- 広州、深圳、香港の3都市で発展していくという計画もある
- 香港が近くて遊びに行ける
といったことが挙げられます。
上司の人柄に興味を持ったためです。
今の上司は16年くらい広州で働いており、面接でも自然体で色々とお話をして頂きました。
面接のとき、仕事で大事にしていることを質問したところ「お客さんを裏切らないこと」「責任を持って仕事をすること」とおっしゃっていたので、私と価値観が似ていると思いました。
この人と一緒に働けたら面白そうだと思ったので入社を決めました。
留学期間中に、自分が住んでいるマンションの管理人から「日本人が部屋見学に来るんだけど、通訳してくれない?」と聞かれて、部屋紹介をする仕事のイメージが湧いたというのも応募する理由の中に入れた。
- 中国で働きたい理由、選ぶ理由
- 志望動機
- (店長候補を募集していたので)店長としての意欲はありますか?
- 長所、短所
- 留学中に苦労したことはありますか?
- 台湾ではどんな生活をしていましたか?友達はできましたか?
- 語学留学で努力をしたことはありますか?
- これまでの転職理由は何ですか?
- 家族の方は海外就職に前向きですか?応援してくれますか?
会話力は、日常会話できるレベルでした。
資格試験としては、HSK5級を取ってから行きました。
読み・書き・聞く・話すの4技能のレベルが同じくらいで、バランスが取れていました。
なお英語力は全く問われませんでした。
貿易などをしている仕事であれば中国語力に加えて英語力も問われるようです。
就労ビザの取得では入手に苦労した書類がいくつかありました。
ビザの代行業者は頼まなかったので、ビザセンターに問い合わせをして何の書類が必要なのか詳しく聞かなければなりませんでした。
- 無犯罪証明書(警察署を訪問して1ヶ月ほどかかりました)
- 在職証明書(短期間で転職したため4社から取らなければなりませんでした)
以前働いていた職場から日本語で在職証明書を取得し、現職のスタッフに中国語へ翻訳してもらいました。
正直なところ「ビザが通るかどうかは分からんな」という状態でビザ申請を始めたのでドキドキでした。
内定が出てから渡航までに3〜4ヶ月かかりました。
「アパレルをやっていたのに急に不動産営業をすることの辻褄が合わない」と言われ、なかなかビザがおりませんでした。
前の経歴とこれからの経歴をいかに合わせるかが重要です。
居留許可を取るには銀行の口座を取らないといけませんが、銀行の口座を開設するのに1ヶ月くらいかかりました。
銀行口座が開設されるまでは現金で生活しないといけないので大変でした。
居留許可については、中国へ来てしまえば問題なく登録できます。
ただ私の場合、銀行の登録の時に日本のマイナンバーが必要でした。
※口座開設に必要な書類は銀行にもよって、支店によって異なります。
外国人登録は入国から1ヶ月くらいかかりました。
なお、居留許可の前に就業証の取得が必要で、居留許可を取るためには健康診断の結果も必要でした。
面倒なのは、手続きのたびに写真をいちいち最新のものにしなければいけないことでした。
日本人駐在員への不動産紹介を担当
- 日本人駐在員向けの不動産の紹介
- アフタフォロー(電球の交換など)手配
などを行なっています。
ワンルームであれば7,000元(105,000円)から取り扱っていますが、現地採用の住宅の価格帯からは外れるので駐在員のみが対象になります。
サービスマンションやホテルであれば17,000元(255,000円)くらいからあります。
収入の柱は仲介手数料ですが、入居後も毎月何%かはアフターフォローの費用が会社の売上として入るようにしています。
- 部屋の開拓
- SNS(インスタグラム)運営
- 新規顧客の開拓
- 上司の顧客の引き継ぎ
- 内見の手配、資料作成
- アフターフォローの手配
まず私自身がある程度、部屋を選定することが多いです。
そしてお客様が「この部屋いいなぁ」と気に入られたら、オーナーと金額の交渉をします。
そして部屋をインスタグラムなどのSNSや会社のホームページへ掲載します。
私が掲載したネット経由の問い合わせがくることもあるので、それにも対応します。
そして、入居が決まったあと、アフターフォローの手配もします。
日本人のお客様からの連絡窓口は全て私宛に来るので、24時間いつでも連絡を受けられるように携帯をオンにしてスタンバイしています。
「お水を注文したい」「電球が壊れた」「テレビがつかない」といった、住んでからの問題を一旦自分が受けて、中国人スタッフに行ってもらって対応してもらいます。
日本人の繋がりで飲み会などの参加して知り合いを作ったり、日系の会社に電話をしてテレアポをし、挨拶したついでに近くをうろうろして日系企業を見つけたら飛び込みもします。
テレアポは、100件電話して1件会ってもらえるくらいです。
現在、広州にいる日本人は7000人くらいで、コロナウィルスで1000人くらいは帰っているため残りは5000〜6000人くらいです。
一方、日系の不動産屋は10件くらいあるので、パイの奪い合いとなっています。
私が勤めている会社は、初めて中国へ来る人に取っては手厚いサービスですが、慣れている人にとっては過剰サービスとなってしまっているようです。
広州に知人も友人もいない私にとって、ゼロからの新規顧客開拓はなかなかハードルが高いです。
上司が仕事を始めた16年前とは状況が全く異なるようです。
上司が仕事を始めた時には飛び込み営業でセキュリティに止められることもなく、広州に不動産の会社も少なかったので、テレアポでも飛び込みでも案件に繋がりやすかったようです。
「インド就職で最も苦労するのはリマインド」30代男性N.S.さん
「インド就職には目的を持つことが重要」30代女性Y.A.さん
9:00~18:00が基本で、1週間40時間です。
それを超えて残業があったら、残業分を平日で休みにして対応します。
また、内見が土日に入って休日出勤したら、その分も平日休みとなります。
残業代は出ませんが、残業の時間を調整できるようになっています。
本来、3〜5月が繁忙期のはずですが、初年度の今年(2020年)はコロナで繁忙期を味わえませんでした。
3〜5月時期に1年の売上が決まると言われているのですが、2020年は大変です。
ただ、上海から広州へ動く人の対応など、国内で移動する人の手配はあります。
また退去する人も多く、日本にいたまま退去手続きをし、残った荷物は会社の人が来て荷物を仕分けて送るという対応をしています。
自宅から会社までは徒歩20分のため、歩いて通勤しています。
20分は長いと思いましたが、慣れれば全然歩けます。
- 家賃補助3,000元(45,000円)
- 医療保険(450元(6,750円)のうちの50元(750円)を会社が負担)
- 健康診断が1年に1回
- 誕生日に1日休める
- 年に1度の一時帰国負担(5000元くらいまで、日本への往復チケットの支給)
1人きりの環境で精神的に成長
出勤時刻は朝9時なのですが、中国人スタッフは出社後に朝ごはん食べ始めて9時10分くらいまでは朝ごはんを食べます。
上司もピーピー言わないので、私も出社後に朝ごはんを食べるようになりました。
お客様からお菓子を頂いたり、サービスマンションから月餅を頂くが、それをお昼の時間や退勤のちょっと前にみんなで食べたりすることもあります。
また中国には国家出勤日がありますが、その日にやることがないと上司が判断したら「今日は早めの5時で上がろう」などと勝手に切り上げることもあります。
ただ基本的に、中国の方は真面目に、静かに仕事をしています。
- 言葉のニュアンスの違い
言葉のニュアンスが違うと感じることがあります。
1人とても日本語ができる中国人スタッフがいますが、それでも「この感覚は分からないのか」ということがあります。
例えば、お客様の部屋に入るときに靴を揃えるのを忘れてしまったりします。
- 時間の感覚の違い
また中国の方は時間の感覚もルーズです。
例えば、お客様のお部屋へ訪問する予約を15時に予約していたのに、14時50分くらいに
「30分くらい遅れそうです」
「17時になりそうです」
などと連絡が来たりします。
2〜3時間くらい前に教えてくれたらなぁと思うのですが、これは言っても直りません。
- すぐ転職する
経理や事務関係の人は安定して5〜6年長く働いてくれますが、現場に行く「給料が低いが重要なポジション」の人はコロコロ人が変わります。
給料とやりがいが見合ってないと感じているようです。
まだ知り合いも少ないため、パワハラやセクハラなどに遭ったことはありません。
ただ、一部の会社では気をつけた方が良いという話も聞きます(触って来るなど)。
広州は現地採用より駐在員が多く、駐在員の方は殆ど男性なので、女性は目立ちます。
そして、女性に関する噂が立つのは早いため、私自身のことも色々と噂されてしまいます。
そもそも、自分で希望して中国へ来ている私は、駐在員男性の方とはなかなか話題が合わないと感じるので、関係づくりが難しいです。
私は広州に知人も友人もいないため、新規営業をするには飲み会などで駐在員と関係づくりをするしかないのですが、女性1人で新しい場所へ行くのはなかなか緊張します。
また、飲み会へ行くのも1回300〜500元(4,500〜7,500円)かかるので現地採用の私にとってはなかなかの負担になります。
ゴルフをして営業をしてくるという方法もありますが、ゴルフはお金がかかるので自腹で参加するのは厳しいものがあります。
会社によってはゴルフの費用を負担してくれるようですが、いま勤めている会社はゴルフも飲み会も自腹なので難しいです。
せっかく飲み会にお金を使うのであれば、楽しく話せる方とプライベートで行きたいというのが本音です。
また、せっかく中国にいるので習い事や中国人との友人づくりなどにもお金を使いたいです。
しかし、新規営業のためには仕事のための飲み会にも参加しなければならないのでジレンマを抱えて悩んでいます。
駐在員はお金を持っているので「奢ってあげるし、仕事もあげるから」と言われて1対1の飲み会に誘われることもあるのですが、正直なところ私はキャバクラ嬢ではないので、そういった飲みへ行くのはなかなか気が進みません。
私の仕事では、これから初めて広州へいらっしゃる方に広州について説明しなければなりません。
土地勘のない広州に初めて来たのに、広州について説明しなければならないのが大変です。
広州の気候やオススメのお店など、生活の年数や経験や時間によって積み重なってくる知識だと思うので、広州へ来たばかりでゼロから広州のことを学んでいかなければならない私にとっては難しいところです。
ただ、美味しいお店を見つけた時には「ここは美味しかったですよ」と、駐在員の方にそのまま情報提供ができるのは嬉しいポイントです。
また、住む人によってニーズが異なるので、人のニーズを汲み取って提案しなければならない点も大変です。
例えば、安いところが良い人もいれば、綺麗なところが良いという人もいます。
どのようにニーズにマッチさせていくかも勉強になります。
台湾での1年間の留学を通じて日常会話に不便はありませんでしたが、広州での仕事を通じて仕事で使う単語が分かってきたなと実感し、ビジネス中国語力は伸びてきたと思います。
ただ仕事では日本人と関わる機会が多く、中国語を喋る機会が少ないです。
契約が決まるまでは上司の指示を受けつつ日本人のお客様とやり取りをするのみで、契約が決まってから初めて中国人のオーナーと中国語でやり取りをします。
仕事で使う割合としては日本語の方が多く、日常会話の中国語力を落としたくないのでローカルの友達を作るなどして中国語を喋る機会を増やしていきたいと思います。
広州には知人が全くおらず、自分で考えて何でも1人でやらなければならない環境のため、孤独感はありますが精神的には強くなりつつあると思います。
我ながら、これだけ孤独で苦しい環境でよく頑張っているなと思います。
今は苦しくても乗り越えるときだと思います。
上司からは、私に既存の顧客をつけてあげたいという期待をかけられているので、上司の期待に応えられるようにならなければ・・・というプレッシャーもあります。
海外へ飛び出してしまえば意外とどうにかなる
色々と迷っているのが正直なところです。
まだ結果を出せていないので、今の会社で結果を残して店長になれるまで頑張りたいという気持ちがあります。
実績があれば、次のところでも評価されるのではないでしょうか。
しかし一方で、英語を学んで香港や台湾へ行ってみたいという気持ちもあります。
香港で仕事を探したとき、香港のビジネス言語は英語のため中国語だけで仕事を探すのは難しいと言われ、英語を身につけたいとも思っています。
もともと父が自営業をやっていることもあり、ずっと会社員を続けるつもりはなく、将来は独立して自分で何かをやりたいという気持ちもあります。
海外で働いてみたいと思ったのは高校生の頃ですが、長いあいだ海外で働くというのは結構ハードル高く「自分には無理だろう」と思っていました。
それから10年経って、タイミングが合って海外へ出てきましたが、「もっと早く来れば良かった」と後悔しています。
なので、もし海外が気になるなら「無理そうだ」と思っても飛び込んでしまうことをオススメします。
来てしまえばどうにかなるものです。
周りから反対されるかも知れませんが、行きたいと思ったらその時に行かないとビザがもっと厳しくなる可能性もあります。
時間が経てば経つほどハードルが上がってしまうかも知れませんので、まず行動した方がいいと思います。
しんどいことも色々とありますが、今しんどいと思っても将来的には財産になるはずです。
日本に対して不平不満がある人も多いと思いますが、離れてみて初めて分かる日本の良さもあり、そういう経験を通じて愛国心が芽生えることもあると思います。
逆に「こういうところは日本は遅れてるよなぁ」という悪いところも分かります。
「自分はこういうところで育って来たから、こういう解釈をするんだ」というのは、生まれ育った環境から外に出てみて初めて分かるものです。
海外就職は、新しい人生を始めるきっかけになります。
行ってみて無理なら帰ればいいと思うので、迷ってるならまずは一歩踏み出せばいいと思います。
海外へ出れば日本で当たり前だと思っていたことが当たり前ではないことに気がつきます。
T.F.さんはSEKAI WOMANという世界で働く女性のためのポータルサイトでコラムを執筆していますので、そちらも是非ご覧ください。
中国は本当にコロナ収束したのか?広州在住者が見る新型コロナの現状
また、T.F.さんの体験談を読んでアジアでの海外就職に興味を持った方は、ぜひ【はじめてのアジア海外就職】実現までの道のりまとめの記事をお読みください。
情報収集の方法から、海外就職実現までの段取りをご紹介しています。