経理は海外就職しやすい職種です。
私は、日本の事業会社の財務経理部門で約8年間働いたあと、インドの会計事務所で約4年働いてUSCPA(アメリカ公認会計士)のライセンスを取得し、今は中国の会計事務所で働いています。
- 海外の会計事務所でどんな仕事をするか知りたい
- 海外の会計事務所でキャリアアップができるか知りたい
- 海外就職をするタイミングを知りたい
そんな疑問にお答えします。
なお海外の日系事業会社の経理職も、会計事務所の仕事内容と大きく変わりません。
複数の会社を担当するか、1つの会社を深く掘り下げるかだけの違いです。
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Contents
日本人の会計人材が働ける国はどこ?
世界には200近くの国や地域がありますが、日本人が就職しやすい国は限られています。
就職先は日系企業か外資系企業のジャパンデスク
例えば、初めて海外で働く日本人が、アルゼンチンにあるフランス企業の経理へ就職しようと思っても現実的には難しいです。
いくらスペイン語やフランス語がペラペラでも、会社側にわざわざ日本人を採用するメリットがありません。
従って、まずは日本語を使う機会がある仕事に就くことになりますが、海外で日本語を使うのは日系企業の海外子会社か、日系企業を顧客とする外資系企業です。
会計業界の場合は以下の3つになると思います。
- 日系企業の経理職
- 日系の会計事務所
- 外資系の会計事務所(Big4やグランドソントンなど)のジャパンデスク
と思う方もいるかも知れませんが、日系企業と言えども海外の子会社は現地スタッフが多く、日本の本社と雰囲気が異なるケースは少なくありません。
ハードルは高いですが、海外の日系企業で経験を積んで専門性を伸ばした後なら、日本語を全く使わない世界で働くチャンスもあるかも知れません。
日系企業が多いのはアジアか欧米
日本人が海外就職をするなら日系企業と関わる仕事をすることになるので、必然的に日系企業が多く進出している国になります。
外務省の海外進出日系企業拠点数調査の2021年度版によると、地域別に日系企業が進出している数は以下の通りとなっています。
アジア | 53,431社 |
北米 | 9,827社 |
欧州 | 8,300社 |
中南米 | 2,803社 |
大洋州 | 1,337社 |
アフリカ | 927社 |
中東 | 926社 |
上記の表を見て頂けばわかる通り、圧倒的にアジア(主に中国と東南アジア)が多いので、求人も圧倒的にアジアが多いです。
欧米はビザが非常に取得しづらく、就職のハードルが非常に高いため、最初はアジアで就職することになります。
アジアの国別日系企業数
先ほどの海外進出日系企業拠点数調査で、アジアの国別日系企業数は以下の通りとなっています。
中国本土 | 30,454社 |
タイ | 5,856社 |
インド | 4,790社 |
ベトナム | 2,306社 |
インドネシア | 2,046社 |
フィリピン | 1,377社 |
台湾 | 1,310社 |
マレーシア | 1,210社 |
シンガポール | 882社 |
韓国 | 754社 |
香港 | 593社 |
圧倒的に中国本土が多いですが、中国はビジネス用語が中国語で、会計基準や税法なども全て中国語で理解しなければならないため、ハードルが高いです(中国語ができれば、会計関係の求人はあります)。
中国以外の国なら、英語さえできれば仕事を見つけることができます。
ベトナムやタイ、インドネシアのビジネス言語は英語ではなく現地語ですが、会計関係の仕事についているローカルスタッフには英語ができる人が多いです。
シンガポール、マレーシア、フィリピン、インド、香港は現地スタッフも英語で仕事をしていますし、現地の会計基準や税法なども全て英語で書かれているのでオススメです。
台湾や韓国は現地に日本語ができる人も多く、あまり求人が多くありません。
アメリカは就労ビザの取得が非常に困難で、たとえ仕事を見つけても抽選に当選しなければビザを取得できないケースが多いです。
最終的にアメリカで働きたい場合も、アジアで経験を積むと有利になる可能性があります。詳しくはアメリカ就職実現の道のり ~アジア就職の経験を活かす~の記事をご参照ください。
海外の会計事務所の仕事
日本人が初めて海外就職をする場合はアジアの国で働くケースが多いので、ここからはアジアの国で働くことを前提に、現地の会計事務所や日系企業の経理職での仕事内容についてご説明します。
香港・シンガポールとそれ以外の国では状況が異なるのですが、まずは香港・シンガポール以外の国や地域からご説明します。
日本人の給料は現地スタッフより高い
例えばインドの場合、インド人の大卒初任給の給与は約3万円です。
しかし、いくら経理未経験とはいえ皆さんが
と言われても困りますよね?
と言われても抵抗がありますよね?
そこで日系企業は日本人に対して、日本の給与水準に合わせて現地スタッフよりも高い給料を払います。
インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、中国などでも似たような状況です。
インドでは、外国人がインドで就労ビザを取得するために最低でも年収162.5万ルピー(約260万円)の給料を受け取らないといけないので、日本人は現地スタッフと比べるとちょっとした小金持ちになり、それなりに豊かに暮らせます。
他の国はインドほどではありませんが、日本よりはまだ少し給与水準が低いです。
但し中国は数年以内に追い越される可能性があります。
現地スタッフにもできる仕事は現地スタッフが担当する
日本で未経験者が経理の職種へ就職すると、まずは伝票を会計ソフトへ入力する仕事を担当し、徐々にレベルアップして財務報告書を作成する仕事を担当します。
また、監査法人へ就職した場合には、最初の2~3年は証憑を1つ1つ確認して監査調書を作成する地味な作業を担当します。
しかしアジアの会計事務所へ就職した場合には、それらの作業は全て現地スタッフが担当し、日本人は手を出しません。
なぜなら、わざわざ日本人に高い給料を支払って、現地スタッフにもできる仕事を日本人にさせるのはコストがかさむからです。
私も、インドの会計事務所でも中国の会計事務所でも、自分自身で手を動かして仕訳を入力したり帳票類を確認することはありません。
日本人に求められるのはマネジメントとブリッジ役
なぜアジアの日系企業がわざわざ現地スタッフの数倍もの給料を支払って日本人を採用するのかと言うと、日本のビジネスを理解していて、日本語で顧客や本社に説明できる人を求めているからです。
会計事務所の場合、例えばお客さんから
といった質問が日本語で飛んでくるので、現地スタッフに確認したり、自分で財務諸表を開いて状況を確認して日本語で回答します。
他にも、期末決算が近くなると
といった依頼が来るので、他のお客さんの決算スケジュールとの兼ね合いを考えつつ、スタッフとスケジュールを調整します。場合によっては
などと交渉します。
日系企業の現地法人の経理担当者の場合も日本人が担当する仕事は同じで、連絡先が社外の顧客から日本本社へ変わるだけです。
なお、法務や人事の場合には現地スタッフに全て任せて、海外子会社には日本人を置かない場合が多いです。
しかし経理の場合は締日までに決算を締めなければならず、本社経理が現地スタッフと直接コミュニケーションするのが難しいため、多くの会社が現地に日本人経理担当者を必要とするのです。
詳しくは海外就職するなら会計・物流・IT業界がオススメな3つの理由をご参照ください。
顧客から受ける具体的な質問内容
このように、自分が仕訳や監査を担当したわけではない財務諸表について質問が飛んできて、それに答えるのが日本人の仕事です。
例えば、先ほどの
という質問であれば、以下の手順で確認します。
- 6月と7月の損益計算書を見比べて、本当に減価償却費が減っているか確認する
- 減っていた場合、固定資産台帳を見て減っている原因を突き止める
日本で経理を経験した方であれば、「とりあえず固定資産台帳を見てみるか・・・」とあたりがつきます。
しかし、経理未経験だと何を確認したら良いのか分からないかも知れません。
その時、どのファイルを確認すれば良いのか現地スタッフと一緒に相談したり、自分でインターネットの情報などを駆使して調べられるのであれば問題ありません。
しかし、Google Translateで英語に翻訳した質問を現地スタッフに丸投げして、その回答が正しいのかどうか確認せずにお客さんへ回答するような仕事の進め方をしているとレベルアップしません。
単純な質問であれば良いのですが、複雑な質問を理解しないまま丸投げしてしまうと、お客さんからも現地スタッフからも「この人は理解しようとしていないな」と思って信用を失ってしまいます。
海外の会計事務所は、1から簿記や税法を教えてくれるほどの余裕はありません。他にも例えば
という質問であれば、恐らく法人税の加算調整が原因なので、現地スタッフから課税所得算出のエクセルシートを入手して、会計の税引前利益からどんな項目が加算調整されているかを確認したうえでお客さんに回答します。
未経験で海外の会計事務所へ就職しても大丈夫か?
さて、ここまでの例を読んでどう感じましたか?もし
と感じたのであれば、未経験のまま海外の会計事務所へチャレンジしてもきっと大丈夫です!
しかし逆に
と感じた方は、2~3年日本の会社で経理として働いてから海外へチャレンジした方が無難です。ここは性格によります。
正直なところ、経理未経験で海外の会計事務所へ飛び込んで働けるのは非常にタフな方で、8割の方は後者だと思います。
海外の会計事務所で働くのが不安な方は経理未経験者が海外の会計事務所へ就職すると直面する3つの問題をご参照ください。
香港やシンガポールは実務もやる
香港やシンガポールの平均給与は既に日本よりも高いので、現地で働く日本人の給与も現地スタッフと変わりません。
従って、仕訳や棚卸の実査などの実務を日本人も担当する場合があります(他のアジアの国と同じように、日系企業との窓口だけを担当する場合もあります)。
欧米も香港やシンガポールと同じで、日本よりも給与水準が高いので日本人でも実務を担当します。
「インドだと月収20万」「香港なら月収30万」と聞けば香港の方がお金が稼げそうな印象を持ちますが、実際にはインドの20万よりも香港の30万の方が生活は苦しいです。
私がインドのチェンナイ中心部で住んでいた家は築10年、3LDKの200平米で家賃6万円でしたが、香港の知人の家は中心部から地下鉄で40分、築30年以上の20平米の家ですら家賃が20万円近くすると聞きました。
香港とシンガポールは東京よりも物価が高いので、慎重な検討が必要です。
海外の会計事務所で身につくスキル
ここまで、海外の会計事務所で経験する仕事についてご紹介しましたが、このような環境で働いて、どのようなスキルが身につくのでしょうか?
海外の会計事務所で身につくスキルと、逆に身につかないスキルに分けてご紹介します。
会計税務の深い専門知識は身につかない
海外の会計事務所の日本人担当者に求められる知識レベルは、日本と居住国の基本的な会計税務知識です。
「基本的」というのは、簿記2級レベルの会計知識と、その国の所得税、法人税、消費税の基本的な理解です。
資格でいうと、ちょうどUSCPAくらいのレベルです。日本の公認会計士や税理士試験、簿記1級で求められるような深い専門的な知識は使いません。
例えば、「独立間企業取引の算定を、独立価格比準法で決めるのか?取引単位営業利益法で決めるのか?」といった難しい判断を、海外会計事務所の日本人が自分で調べて判断する必要はありません。
現地の会計は現地の会計士の方がずっと詳しいので、現地の専門家の話している内容を理解して、日本語で説明できるくらいの会計税務知識があれば大丈夫です。
逆に言うと、それ以上の深い知識は単に海外の会計事務所で働いていても身につかず、自分で勉強する必要があります。
もちろん自分で現地の会計基準や税法をガリガリ読み込んで、現地の会計士試験にチャレンジするのもアリです。
私はBig4で働いたことはありませんが、これはBig4でも同じだそうです。
- 自分で連結決算を締めて開示書類を作りたい
- 移転価格税制のプロになりたい
のように、会計のプロとして深い専門性を追求したい場合は、まずは日本で事業会社の経理か会計コンサル、監査法人、税理士法人などへ就職した方が良いです。
監査法人や会計コンサルであれば海外駐在のチャンスもあると聞きます(全員ではないそうですが)。
英語での実務経験を積むことができる
海外就職で経験できるメリットの1つは、英語での実務経験です。
日本で英語を使う仕事に転職するには、英語での実務経験を求められることが多いので、英語での実務経験がなければ英語を使う仕事に就けないという矛盾に直面します。
海外の会計事務所や経理職種は慢性的な日本人不足なので、英語の実務経験がなくても英語で仕事をするチャンスを得られます。
外国人のマネジメント能力や交渉力がつく
語学力よりも更に価値があるのは外国人のマネジメント経験だと思います。
という問い合わせを直訳してインド人へ伝えても
という回答が来て、全く話が噛み合わないことがあります。
本社の経理がGoogle Translateで英語へ翻訳してメールをするだけではダメです。現地に日本人経理がいなければならない理由がここにあります。
インド人に対して、どうして3.25の修正が必要なのか、理解してもらえるように背景から噛み砕いて説明する必要があります。
インドの状況がよく分かず不安な日本本社の経理と、日本本社の要求を理解できないインド人会計士との間に入って調整をしていく必要があり、まさに中間管理職のような仕事です。
全く文化の異なる外国人をマネジメントした経験があれば、日本へ帰って転職活動をするときに管理職の求人へも応募しやすくなります。
駐在のチャンスを待つか現地採用で転職するか?
会計税務の実務経験を数年間積んだ後、引き続き日本で働いて駐在を目指すか、現地採用として海外へ転職するかを悩む人が多いです。
それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
日本本社で駐在を目指すメリット
まずは駐在を目指すメリットを考えてみましょう。
専門性の高い仕事が多い
日系グローバル企業の本社経理であれば、連結決算や有価証券報告書・決算短信の開示業務など、レベルの高い仕事を経験することができます。
海外の日系企業子会社や会計事務所では、子会社の単体決算しか経験せず、連結パッケージの作成までは担当しても連結決算を経験することはほぼありません。
シンガポールなど地域の拠点の国であれば、例えば東南アジア全体の子会社の連結決算を担当する可能性もありますが、かなり大きな企業に限られ、狭き門です。
待遇が良い
駐在員は、会社の業務命令で、会社に決められた期間、会社に決められた国へ赴任します。
会社の業務命令なので費用は全て会社もちですし、健康保険や厚生年金なども日本と同じ条件で引き続き加入できます。
もしアジアの国へ駐在することになった場合は、日本での給料に加えて現地の給料とハードシップ手当などももらえて、かなり貯金ができます。
現地採用で海外就職するメリット
続いて現地採用で海外就職をするメリット考えてみましょう。
確実に海外へ行ける
これが最大にして唯一のメリットだと思います。
日本採用の海外案件へ応募する場合、「駐在を予定しています」というフワッとした案件が多く、実際は「やっぱり駐在はなくなりました」と言われてしまうケースもあります。
それに対して現地採用は海外の会社(日系企業の子会社も含む)から内定をもらい、ビザを取ってから入社するため絶対に海外に住めます。
しかも会社の業務命令ではないため(求人があれば)住みたい国に住めますし、次の転職をするまで好きなだけ住めます。
もちろんクビになる可能性もありますが、会計税務の専門性がある人は慢性的に不足しているので、簡単にクビになる可能性は少ないです。
日本での転職と海外への転職のどちらが良いか?
会計税務の専門性や待遇よりも、とにかく「海外へ行きたい」という人は現地採用で飛び込んだ方が確実です。
海外で働けば、会計税務の専門性は日本ほど身につかないかも知れませんが、外国人のマネジメント能力や語学力などを身につけることができます。
極端な話、海外に住んで日本へ戻ってきた後は必ずしも会計の仕事をする必要はなく、外国人のマネジメント経験を活かして全く異なる業界や職種で働いても良いと思います。
また、海外に住めば様々な人との繋がりやビジネスチャンスに巡り合うので、副業を始めたり起業したりする方も多いです。
海外に住むと、日本では思いつかなかったアイディアが生まれたり、日本では気づかないチャンスに出会ったりするので、意外と何とかなります。
会計事務所に勤めながら和菓子ビジネスを始めた人もいますし、プログラミングを学んでエンジニアになった日本人の会計士もいます。
現地採用で一旦給料が下がっても、海外でキャリアを積んで日本へ戻る時には収入が跳ね上がる人も大勢います。
従って、とにかく「海外へ行きたい」という方には現地採用はオススメです。
よく「現地採用は使い捨て」「アジアへ就職したら日本へは戻れない」などと言われますが、海外で英語を使って会計税務の実務経験を積んだ方なら日本へ戻っても何かしら仕事はあるので、その点は心配しなくても大丈夫だと思います。
それに対して、海外へは「行けたら行きたい」くらいの温度間で、それよりも待遇面や会計税務の専門性を伸ばしたいのであれば、本社採用の経理に就職して駐在のチャンスを待った方が良いと思います。
但し、いつまで待っても海外に行けず、年を取ってから後悔する人も後を絶ちません。
結局のところ、「どれくらい本気で海外へ行きたいのか」という気持ち次第です。
短期間で圧倒的にキャリアアップしたいなら迷わずインド!
私はインドの会計事務所で働いた後で中国へ転職しましたが、会計の業務経験が浅い方が短期間で成長したいなら圧倒的にインドがオススメです。
インドをオススメする理由は5つあります。
理由1:ビジネス言語が英語
インドのビジネス言語は英語で、インド人同士も英語で会話やメールのやり取りをしています。インドの面積は日本の9倍あり、インド国内でも地域によって言語が異なるので、英語が共通語なのです。
会計基準も法律も全て英語で書かれていますし、請求書や契約書も全て英語でやり取りされます。
仕事も生活も基本的には英語だけで問題がないので、現地語の習得に時間を割かれることなく、英語での会計実務経験のキャリアアップに集中できます。
「インド人の英語は訛っている」などと言われますが、インド人は欧米人とも英語で互角に戦っていますし、十分に世界で通用するので問題ありません。
理由2:日本語のできるインド人は殆どいない
中国や東南アジアの場合、日本語がペラペラな現地の公認会計士がいます。
会計の専門知識も浅く英語や現地語も不十分な日本人を採用するくらいなら、優秀な現地スタッフを採用します。
たとえスキルの低い日本人が採用されたとしても、現地スタッフから「あの日本人は仕事もできないくせに、なんで私達よりも高い給料をもらっているの?」という視線で見られかねません。
中国や東南アジアの会計事務所でも未経験の日本人が就職できる可能性はありますが、実務経験を求められる傾向は強いです。
それに対してインドで日本語が話せる人は殆どおらず、日本語が話せる会計士はまずいません。
従ってインドの場合、多少経験が浅くて英語力が不十分でも、向上心がある日本人なら会計の仕事を得られるチャンスがあります。
もちろん未経験だと苦労はしますが、インド人は親切で丁寧に教えてくれるので、キャリアアップできます。
理由3:スタートアップフェーズの日系企業が多い
中国、タイ、マレーシアなどの場合、既に日系企業が進出して数十年の歴史があり、運用が安定しているので、今までのルールに従って淡々と経理や監査をしていく場合が多いです。
それに対してインドは最近急速に日系企業の進出が増えており、大企業であってもインドではスタートアップフェーズであることが多いです。
従って、新しい仕組みをゼロから構築していく仕事が多いです。
これは大変勉強になります。会計の分野でいうと、業務フローや決裁権限規程、各種スケジュールやフォーマットなどをゼロから作っていくのです。
決められたルールを運用するよりもゼロから仕組みを作る方が遥かに理解が深まりますし、キャリアとしてのアピールにもなります。
理由4:日系企業数に対して日本人が少ない
先ほどの海外進出日系企業拠点数調査でインドはアジアの中で3番目に日系企業が多かったのですが、海外在留邦人数調査によると日本人の数は少ないです。
在留邦人 | 日系企業数 | 1社あたり人数 | |
中国本土 | 102,066 | 30,454 | 3.36 |
タイ | 78,431 | 5,856 | 13.38 |
インド | 8,145 | 4,790 | 1.70 |
タイは日系企業1社あたり13人の日本人がいるのに対し、インドでは僅か1.7人しかいません。
タイやマレーシアは住みやすく駐在員も多いのに対し、インドはまだ生活環境が大変なので日本人が少ないのです。
逆に言うと、職歴の浅い若手の人達にも多くの裁量が与えられ、様々な実務経験を積むことができます。
理由5:USCPA(米国公認会計士)を受験できる
外国人に会計の専門性を証明できる資格の1つにUSCPA(米国公認会計士)があります。
日本の公認会計士や税理士に比べると簡単な試験だと言われていますが、海外での知名度は日本の公認会計士よりも高いです。
海外で会計キャリアを積みたい人にUSCPAをお勧めする理由は海外就職にUSCPA(米国公認会計士)はどう役立つか?の記事をご参照ください。
USCPAを受験できるのはアメリカの他に日本、韓国、インド、UAE、ヨーロッパなどに限られ、日本人の多くが住む中国や東南アジアでは受験できません(2022年12月現在)。
海外で会計キャリアを目指す人の多くがUSCPAを受験しますが、中国や東南アジアで働く場合は受験のたびに日本へ帰国しなければなりません。
いくらコロナが終わったとはいえ、受験のたびに帰国するのは大変です。
インドなら現地でUSCPAを受験できるので、これは大きなメリットです。
インドで経験を積んでから他の国へチャレンジするのもアリ
まずインドで経験を積んでからシンガポール→欧米とキャリアアップしていくのも良いと思います。
新卒でインドの会計事務所へ就職し、そのままインドのBig4へ転職した方もいます。詳しい経歴は新卒でのインド就職に成功する秘訣とは?会計事務所勤務しょーじさんの記事をご覧ください。
海外就職に迷ったらキャリアカウンセリングがオススメ
この記事で、会計の専門性を磨けば海外で働けるというイメージを持ってもらえたと思います。
海外就職に興味があるものの、どこから手をつけて良いか分からない方は、グローバル人材塾の田村さんの無料カウンセリングを受けるのがオススメです。
これまでのキャリアや得意分野により戦略は変わってくるので、豊富な成功事例を基にプロの目で最適な提案を受けられます。
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