- 駐在員:会社の業務命令で海外へ派遣される
- 現地採用:自分の意思で国と期間を選んで行く
駐在員と現地採用の違いについて分かりやすいツイートがありましたので引用します。
駐在員くん🙆と現採さん🙋
駐在員くん
😍給料ヒャッハー
😆都心タワマンみたいな高級住宅タダ
😘平社員から管理職へ
😫なにこの仕事量
😫早朝4時の出張者出迎えからのフル対応現採さん
🤗ローカルスタッフ基準のゆる仕事
😊土日祝、有給病休もいただきます!
🤔キャリアパス?なにそれおいしいの?— ゆきの🇨🇳深セン現地採用x副業 (@yukino_asialife) November 15, 2019
上記のツイートは極端にステレオタイプ化されていますし、国によって状況は異なりますが、分かりやすいので引用しました。
きちんと戦略を考えれば現地採用でもキャリアアップはできますのでご安心ください。
駐在員と現地採用それぞれにメリット・デメリットがありますので、この記事ではそれぞれのメリットを比較してご紹介します。
私自身は、インドで現地採用として2年ほど働いており、多くの駐在員や現地採用と交流があります。
この記事を読めば、皆さんが駐在員と現地採用のどちらを目指せば良いかが分かります。
Contents
駐在員のメリット
まずは駐在員のメリット(現地採用のデメリット)をご紹介します。
待遇が良い
一般的に駐在員は待遇が良いです。
会社の業務命令に従うために家族と一緒に、または家族と離れ離れになって海外へ来るので、会社は手厚い保証をします。
日本での給料を保証した上に海外駐在手当を支給し、それに加えて住宅の家賃も会社が負担してくれます。
その住宅というのも、月20万円以上という高級マンションを支給してくれる場合が少なくありません。
駐在 | 駐在 |
現地採用
|
給与 | 日本の給与50万円
インドの給与30万円 |
インドの給与のみ20万円 |
住居 | 家賃 20〜30万円
会社負担 |
家賃 3〜6万円
自己負担 |
年金・健康保険 | 日本の厚生年金・健康保険が維持される | 日本の健康保険・厚生年金はなし |
通勤 | 会社から専用の運転手付き社有車を付与される
(プライベートでも使用可) |
タクシーで通勤
通勤代は自己負担 |
子どもの学費 | 全額会社負担 | 自己負担(学校に通わせるのはほぼ無理) |
駐在員の方が給与も良く、年金や健康保険にも入り、住宅や通勤手当、子どもの学費まで保証され、圧倒的に待遇が良いことがお分かり頂けるかと思います。
給与があまりにも違いますが、現地採用は20〜30代で来る人が多いのに対して駐在員は40〜50代が多いので、その点も考慮する必要はあります。
駐在員でも20代で来る場合は日本での給与支給額がもっと少ない場合もあります。
また、現地採用でもドライバー付き社有車を支給されている人も大勢いますし、会社が住宅手当を出している場合もあるので、上記はあくまでも目安です。
駐在員は会社の業務命令で海外へ来ているので、海外でも日本と同じような生活が送れるよう保証することが求められるからです。
配偶者や子どもと一緒に暮らせること、子どもが現地の日本人学校へ通えることなども会社が保証しなければなりません。
一方、現地採用は自分の意思で海外へ来ている身分なので、現地の基準で雇用されます。
駐在員と現地採用の待遇があまりにも違うので
私の当時の給与よりも高い家賃の家に住み、メイドに家事を任せて高級ホテルでお茶をして、ドライバーも保険もついて、そんな生活しながらインドの悪口ばかり書いてるブログを抜くまでインドブログをやめない!今日はインド独立記念日!笑#IndependenceDayIndia
— Kayoreena✈︎ (@kayoreena1021) August 15, 2018
という形で、駐在員との待遇の差をバネに頑張る現地採用の方もいます。
とはいえ、多くのアジアの国では現地採用であっても現地のローカルスタッフに比べれば遥かに給与が高いです。
日本のキャリアが途絶えない
現地採用で海外へ行った場合、日本へ帰る転職活動のとき、変人扱いをされて就活に困る人もいます。
という会社もあるようです。
海外駐在は、日本の会社に所属したまま海外へ行くことになるため、日本社会のレールから外れることはなく、このようなリスクはありません。
日本でのキャリアが途絶えないという点では駐在員は安心です。
この点、あまりキャリア計画を真剣に考えないまま現地採用として海外へ飛び出してしまい、日本への帰国時に転職活動で苦労している方がいるのは事実です。
海外に出ても雑用のような仕事ばかりやっていてはキャリアとして評価されない可能性が高いです。
そこで現地採用として海外へ行くのであれば、日本でも評価される専門性を磨いて帰国することがオススメです。
具体的には
- IT
- 会計
- 物流
がオススメです。
営業でも突出した成績を残せるのであれば日本で評価されると思います。
責任の大きな仕事を任されることが多い
駐在員の場合、若くても責任者として海外子会社の管理を任されることが多いです。
ローカルスタッフ、現地採用なども含めたスタッフのマネジメント、予算の作成や事業報告など、日本本社ではなかなか経験できないことを経験することができます。
一方、現地採用の場合には部下を持たないスタッフとして、駐在員の指示を受けて仕事をする場合が多いです。
但し、現地採用の場合でも
- ベトナム、インドネシア、インドと言った、駐在員に人気のない新興国
- 駐在員を送るほどの規模がない中小ベンチャー企業
であればマネジメントの仕事を経験することはできます。
現地採用としてマネジメントを経験している方の例としては、ベトナムに就職したT.K.さんの体験談をご参照ください。
「日本での経験を活かして30代後半からベトナム就職」T.K.さん
会社が事務手続きを全て手配してくれる
駐在員として海外へ行く場合には
- 部屋探し
- ビザの手配
- 現地での所得税申告
といった面倒な手続きは全て会社が代行してくれます。
それに対し、現地採用であれば全て自分で手配しなければならない場合もあります。
但し現地採用であっても会社のHRが全て代行してくれる場合もあります。
またそもそも、自分で手続きをした方が現地の国の制度や文化に対する理解が深まるので、自分の希望で海外へ来た現地採用の場合には「自分で手続きをしたい」と思う方も多いです。
現地採用のメリット
続いて現地採用のメリットをご紹介します。
確実に海外へ行ける
待遇や仕事内容などの面においては駐在の方が恵まれているものの、駐在は海外に行ける保証がありません。
多くの場合、海外駐在を目指すには社内で立候補をして競争に勝ち残らなければなりません。
大企業であっても海外駐在ができるのはほんの一握りという場合が多いです。
中には、転職で「海外駐在案件」「海外駐在候補」という求人もありますが、「やはり計画が変わって海外駐在できなくなった」と言われてしまうケースが非常に多いです。
私も、「入社後1年ほどは日本国内で実務を担当してもらい、その後海外子会社へ駐在してもらう」と聞いて入社したものの、実際には海外子会社の業績が悪く海外駐在どころか出張の機会も殆どなかった・・・という経験があります。
しかし日本採用である限り、海外へ行けなくても文句は言えません。
海外駐在を勝ち取るための職種・企業選びや社内での立ち振る舞いといったノウハウもあるのかも知れませんが、海外駐在を狙う場合には「海外へ行けない」というリスクはつきまといます。
なお、一流大学を出て高級官僚または超一流企業である総合商社やグローバルメーカーなどへ就職した場合には100%駐在できる組織もありますが、その組織へ入るまでの競争がなかなか激烈です。
一方、「現地採用として内定したのに海外へ行けない」などということはありません。
待遇などの面で不利にはなるものの、内定が出てビザが下りれば100%海外へ行けるのが現地採用です。
自分で国と期間を選べる
一流大学を出て高級官僚または超一流企業へ就職し100%確実に駐在できる場合でも、さすがに国と期間を自分で自由に決められるケースは珍しいと思います。
しかしそれでも期間や行き先まではなかなか自分では選べないと思います。
駐在員の待遇が良いのは会社の都合で海外へ行くからなので、逆に帰国命令があれば家庭の事情がどうであれ帰任の命令があれば帰国しなければなりません。
子どもがやっと学校に慣れてきたころに帰国しなければならない、といった事態も発生します。
一方、現地採用は、
現地採用の場合、「中国人と結婚したから中国で働き、ワークライフバランスを大切にしたいのでタイへ移住し、親が高齢になったから日本に戻る」というように、自分の家庭や趣味の事情に仕事を合わせることもできます。
その国で骨を埋める場合、フリーランスになる場合や起業する場合を除き、現地採用の方は将来どこかでまた転職をしなければならないので、将来の転職でも活かせるスキルを高めることが大切です。
接待などが少ない
冒頭のツイートに書いた通り、駐在員の場合は出張者対応で忙しい場合があるようです。
出張者を空港まで出迎え、1日アテンドし、夜の飲み会や週末のゴルフまで付き合わなければなりません。
会社によっては本社からひっきりなしに出張者が来る場合もあるので、自分自身の時間や家族との時間も持てず、海外へ来ているのに日本人との付き合いばかりという話も聞きます。
もちろん出張者対応の負担の大きさは会社や職種によって異なりますが、どこの会社でも駐在員は多かれ少なかれ出張者対応をしているようです。
現地採用でも出張者対応をしなければならない場合も聞くことは聞きます。
しかし駐在員に比べれば圧倒的に少なく、現地採用は出張者対応を免除されている場合が多いです(そもそも、現地採用の給料で頻繁にゴルフをするのは少し難しいかも知れません)。
なおバンコクや上海のように出張者が多く、ゴルフや飲み会などの娯楽が多い地域では駐在員の負担も大きくなります。
一方、インドの場合には出張者が来たがりませんし、来たとしても夜遅くまで開いている店も少ないので、中国や東南アジアに比べると駐在員の負担は少ないと聞きます。
ここまで、出張者対応が大変であるという前提で書いてきましたが、飲み会やゴルフが好きな方にとってはむしろメリットかと思います。
外資系・ローカル系企業への海外転職が可能
実は、これが現地採用の一番の醍醐味ではないかと思います。
残念ながら、日系企業で働いている限り駐在員>現地採用という枠に押し込められる場合が多いです。
しかし現地採用には、海外の外資系やローカル系の企業へ転職するという選択肢があります。
外資系やローカル系企業で働く場合には日系企業の営業担当として採用される場合が多いですが、香港やシンガポールなどの場合には日本から全く離れた環境で働く場合もあります。
ローカル企業の場合には社内に駐在員/現地採用という枠組みがありません。
外資系企業の場合には本社から来た駐在員の方が待遇が良いかも知れませんが、駐在員と現地採用の強固なカーストは日系企業特有と言われます。
海外の外資系企業で働いている方の例としては、新卒で海外就職を果たしたしょーじさんなどがいます。
海外での外資系企業への転職に興味のある方は、是非しょーじさんの体験談をご覧ください。
新卒でのインド就職に成功する秘訣とは?会計事務所勤務しょーじさん
駐在員と現地採用のどちらを目指すべきか?
駐在員と現地採用のどちらが良いのかは、価値観や目的によって異なります。
駐在員を目指した方が良い人
- 日本でのキャリアアップや待遇が保証される範囲内で海外へ行きたい人
- 勤め先の会社に駐在の可能性があり、そのポジションを狙える人
- 行く国や期間などは会社任せで構わない人
もし「海外へ行きたいのはヤマヤマだけど、悪い待遇で働くリスクがあるくらいだったら日本国内で働いた方がいいな」ということであれば、駐在員を目指すべきだと思います。
駐在員を目指す場合は絶対に海外へ行けるという保証もなく、行き先や期間も会社任せとなりますが、手厚い保証を受けられます。
海外駐在の可能性がある企業を慎重に見極め、その会社の中でどのようなキャリアアップをすれば海外へ行けるのかという情報をリサーチする必要があります。
現地採用を目指した方が良い人
- 100%確実に海外へ行きたい人
- 行き先や期間を自分で決めたい人
- 現地採用に伴うリスクを受け入れられる人
現地採用は、待遇などの面で駐在員より劣ってしまうのは間違いありませんし、日本に戻れるようスキルアップもしておく必要があります。
待遇面を考えると現地採用として海外へ行くことに躊躇してしまうかも知れませんが、個人的には海外へ行かないまま定年を迎え、死ぬときに後悔しないか?という観点で考えるべきレベルの問題かと思います。
もし「絶対に海外へ行きたい」というのであれば、たとえキャリアや待遇の面でマイナスが生じる可能性があっても海外へ行くべきかも知れません。
「看護師が語った、死の直前に誰もが口にする「後悔のことば」」によると、人が死ぬときに後悔するのは
1.もっと自分らしく生きればよかった
2.あんなにガムシャラに働かなくてもよかった
3.言いたいことははっきりと言えばよかった
4.もっと友達と連絡をとればよかった
5.もっと自分の幸せを追求すればよかった
ということだそうです。
「もっと大企業を目指しておけば良かった」「もっとお金を稼いでおけば良かった」などということで後悔することはないようです。
従って「海外へ行けなければ絶対に後悔する」ということであれば現地採用を目指すべきだと思います。
本当は絶対に海外へ行かないと後悔するのに、「現地採用は待遇が悪いからやめとけ」という周囲の反対意見にビビってしまい、結局海外へ行かないまま人生が終わってしまって後悔するのはもったいです。
従って、自分自身の「海外へ行きたい」という気持ちがどのくらいのものかは冷静に見極める必要があり、周りの声と自分自身の意思との戦いです。
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