アジアでの就職で英語力アップを期待している方もいると思いますが、本当に向上するかは疑問な方も多いですよね?
実は、インドへ来るとかなりの英語力アップを期待できます。
なぜなら英語に対する考え方が変わるからです。
ある面ではイギリスやアメリカで語学留学する以上の効果があるのではないかとすら思います。
私の英語力はもともとTOEIC800点、英検準1級レベルで英会話などは苦手でしたが、1年ほどインドで働いており英語での業務に対する苦手意識などはほぼなくなりました。
そこで、私の経験からインドで英語力が伸びる理由と、インドで英語を使うときの注意点をご説明します。
この記事を読めばインドへ来て英語力がアップし、英語に対して苦手意識がなくなっている未来をイメージすることができます。
Contents
海外就職でインドを選ぶと嫌でも英語力が伸びる3つの理由
インドでは嫌でも英語力が伸びる理由は3つあります。
理由1:英語を使わなければ生きていけない
英語力を鍛える最短の方法は、とにかく話してみることです。
「話す⇒間違える⇒通じない⇒調べる⇒言い直す」というプロセス(いわゆるPDCAサイクル)を回せば回すほど早く上達します。
インドではPDCAを高速で回さなければならない状況へ強制的に追い込まれます。
この点がタイやベトナムなどとは異なり、また「強制性」という点では欧米よりもインドの方が英語を話す機会が多いのではないかとすら思います。
例えば、タイのバンコクで生活している日本人に聞くと、生活で英語を使う機会は殆どないそうです。
多くのお店で日本語が通じますし、日本人コミュニティを通じて様々な情報が手に入るからです。
また日本語ができるタイ人も少なくありません。
ところが、インドではそうはいきません。
まず、役所の手続きや銀行の口座開設、家主との交渉などは全て英語でやらなければなりません。
インド在住の日本人はまだまだ少ないため、日本人向けの説明や日本語のサービスなどはありません。
ここまでであればアメリカ、イギリスやオーストラリア等の英語圏諸国も同じだと思いますが、インドには更に特有の理由があります。
世界の他の国と比較したときのインドの特徴としてとにかく信じられないようなトラブルが多いことが挙げられます。
- レストランで注文したものが出てこない
- 「お釣りがないから、近くの店で両替してくる」と言って30分経っても帰ってこない
- 40度の中エアコンが壊れたのに修理業者が1週間経っても来ない
- レストランで注文した内容と伝票の内容が全然違う
- 翌日が突然祝日になり、期日通りに資料が出て来ない
などなど、他の国では絶対にあり得ないような水準の強烈なトラブルが津波のように毎日押し寄せます。
詳しくはインド駐在・インド就職を始めてインドの生活で苦労すること8選という記事をご参照ください。
などという話も聞きますが、インドにはそこまで日本人が多くないため日本語では情報収集ができず、自分から英語を話さなければならない状況が強制されます。
日々発生するトラブルに英語で立ち向かっていかなければなりませんので、必然的に常に自分から強く主張していかなければ生き残れません。
参考までに、私がインドへ来て初めてインド人と戦ったときの様子をご紹介します。
インド生活で最もヤバかった体験 ~インド警察との闘い~という記事を読んで頂けば、英語で戦っていかなければ生きていけないイメージが湧くのではないかと思います。
理由2:間違った英語を話すことへの恐怖がなくなる
アメリカ在住者、オーストラリアやニュージーランドの在住者に話を聞くと、こんな声を聞きます。
ところがインド在住の日本人から「いつまで経っても英語力に対するコンプレックスが抜けない」といった声は殆ど聞きません。
インド在住日本人の英語力がアメリカやイギリス在住日本人よりも高い、というわけではないと思います。
ではなぜインド在住者が英語力で悩まないのかというと、インドはとにかくトラブルが多く、サバイバルすることが最優先なので英語で悩んでいる場合ではないからです。
「遅延してたはずの飛行機が定時運行に戻っていて、Final Callになっている。しかも搭乗口が勝手に変わっていて、どこへ行けば飛行機に乗れるのか分からない」という緊急の状況で
空港職員と会話が通じなければGoogleで単語や表現を調べたりしますが、そのとき英語力のことなど頭の隅にもありません。
インドでは直面する問題のスケールが大きすぎて目の前の問題に集中せざるを得ません。
「完璧な英語を話そう」とか「間違えたら恥ずかしい」などという悩みが贅沢に思えるほど、切羽詰まった状況に追い込まれます。
間違ってようが何だろうがどんどん話をして、伝わらなかったら調べて言い直す・・・の繰り返しです。
どんなにシャイな性格でも、インドではモジモジしていたら(命は取られませんが)無限に時間とお金を浪費することになります。
日本人が英語を話せないのは「完璧な英語を話さなければならない」という強迫観念があり、間違いを恐れて話さないからだ・・・ということはよく聞きますよね?
欧米では周りが完璧な英語を話しており、インドのような緊急事態に追い込まれるわけではないので、完璧主義の傾向が強まり自信を喪失してしまう人が多いようです。
一方、インドでは「間違った英語を話すのが恥ずかしい」という感覚が吹き飛びます。
インドには英語がネイティブという人は基本的にいません(海外在住のインド人などは別ですが)。
「インド人の英語」と言っても、上は英米のネイティブと全く変わらない流暢な英語を操る人から、下は簡単な単語を知っているだけという人まで千差万別で、様々なレベルの人がいます。
そして、上述の通りインドには様々な言語が混在しているため、ネイティブレベルのインド人も非ネイティブの人と会話をするのに慣れており、英語が訛っている、間違っているからと言ってバカにされることはほぼありません。
英語力が低くても、中身のある話をしていれば一生懸命聞いてくれます(但し話の中身は問われます)。
相手も非ネイティブですので、自分ではなくインド人の英語が間違っていることもあります。
従って、「どっちが間違ってるか分からないんだから、当たって砕けろの精神で突っ込んでいって、通じなかったら直せばいい」くらいの気軽な気持ちになり、「間違ったら恥ずかしい」という意識はなくなります。
インドには、インド訛りの英語で
などということを真顔で言う人もいるくらいです。
このような環境なので、英語圏在住の日本人に比べてインド在住の日本人は英語コンプレックスが弱いのではないでしょうか。
理由3:英語が事実上のインドの共通語
インドでは州毎に母語が異なり、インド人同士でも州が異なると英語でなければ会話が成立しない場合が少なくないため英語が事実上の共通語となっています。
公式にはヒンディー語という言語が公用語とされていますが、南インドにはヒンディー語を全く話せないインド人もいます。
インドはイギリスの植民地となっていたため、インドでは税金の申請や行政手続も全て英語で対応してもらえますし、各種セミナーなども必ず英語で開催されています。
タイやベトナムなどでも仕事で英語を使う機会はあると思いますが、現地人同士が英語で日常会話をするということはないのですよね?
フィリピンやシンガポールと同じく、インドも多言語話者が共生しているため英語が共通語となっており、現地人の英語力が高い傾向にあります。
インドの言語状況についてはインドに住んで感じたインドの言語状況という記事で詳しくご紹介していますので、ご参照ください。
インド就職で英語を習得するときの注意点
インド人は英語の他にそれぞれの母語を持っており、英語は国内の共通語として使用しています。
従って訛りは強く、文法的にも間違っているケースが少なくありません(「インド英語」と呼ばれます)。
インドで英語を身につけても、シンガポールや香港などのアジア諸国で就職したり、日本で英語を使う仕事に就いたりする分には特に問題ありません。
但し将来的に英語圏へ行きたいという場合には、オンライン英会話などでネイティブスピーカーと話をして訛りを矯正した方が良いかも知れません。
詳しくはアジアで訛った英語を身につけるのが不安な人に伝えたい3つのことという記事をご参照ください。
まとめ
インドは英語を使う機会が豊富にあり、また英語を使わなければ生きていけません。
そして、間違えに対して寛容という環境があります。
インドは「ネイティブと変わらない完璧な英語を身につけたい」という人には不向きかも知れませんが、完璧な英語を身につけなければならない人というのは通訳などごく一握りの人だと思います。
多くの人は英語でビジネスをする、または英語で海外の人達とコミュニケーションを取って人生を楽しむことが目的だと思います。
英語でコミュニケーションをする一歩を踏み出すために必要な精神力は、インドでこそ磨かれると言っても過言ではありません。
英語力の向上にインドの環境を生かして頂けたらと思います。