駐在員妻のティータイム
海外で働くには2通りの働き方があります。
  • 組織に派遣してもらうという駐在員
  • 自分の意思で国と期間を選んで行く現地採用

駐在員は

駐在員
会社のためであれば世界のどこでも参上します
という、組織に対して最も忠誠心が高い日本のサラリーマンの鑑のような存在です。
一方、現地採用は

現地採用
日本から飛び出して海外へやって来ました
という、日本社会では無縁者的な存在で、組織への忠誠心よりも自分の人生計画を優先する欧米型キャリアを志向します。この記事では、インドで知り合った駐在員と現地採用から聞いた話を基に駐在員と現地採用の違いについてご紹介します。
 駐在員は、日本の会社に就職した人が業務命令によって海外へ長期派遣されるものです。会社の業務命令なので、渡航費等はもちろん会社の負担になります。しかし、あくまでも会社の命令のため、家庭の事情がどうであれ帰任の命令があれば帰国しなければなりません。子どもがやっと学校に慣れてきたころに帰国しなければならない、といった事態も発生します。
 一方、現地採用は、自分の意思で国と企業を選んで勤めるものです。自分の意思で来ているので帰任命令による帰国ということはなく、クビにならない限りはその国で働き続けることが許されます。しかし、待遇は駐在員に劣ります。日本での雇用関係はないので、日本の法令には縛られず、厚生年金もなければ健康保険もありません。国民年金は任意で加入できますが、現地給与の手取り分から自分で納めなければなりません。
駐在員 現地採用
メリット 待遇が良い 自分で期間を決められる
デメリット 自分で期間を決められない 待遇が悪い

現地採用が反対される3つの理由

私が現地採用での海外就職を検討したとき、多くの方から反対を受けました。理由は大きく分けると3つあります。
  • 駐在員と比べて待遇が酷すぎる
  • 現地採用は駐在員に比べて見下される
  • キャリアアップに繋がらない

待遇が悪い

他の記事で書きましたが、インドの現地採用は東南アジア等と比べると業務内容でも待遇でも非常に恵まれています。そして、インド人のローカルスタッフに比べれば遥かに良い待遇で生活できます。
しかしそれでも、駐在員の待遇との間には天と地ほどの差があります。
インドで見聞きした範囲で、駐在員と現地採用との待遇差についてまとめてみます。
駐在
現地採用
給与 日本で円建て、海外で現地通貨建て(またはUSD建て)の給与がある
現地通貨建ての給与のみ
住居 家賃 INR 10~15万

会社負担

家賃  INR 2~4万

自己負担

年金・健康保険 日本の厚生年金・健康保険が維持される 日本の健康保険はなし

年金は任意で国民年金へ加入できるが、自己負担

通勤 会社から専用の運転手付き社有車を付与される

(プライベート使用可)

タクシーで通勤

通勤代は自己負担

子どもの学費 アメリカンスクール・補習校共に全額会社負担 全て自己負担(アメリカンスクールに通わせるのはほぼ無理)
・アメリカンスクールと補習校の学費
 ※チェンナイの場合、入学金USD10,000、登録料USD4,000、授業料は小学校の場合年間USD25,000、それに加え補習校の授業料も発生します。
もちろん「駐在」「現地採用」と言っても会社の規模等によって差はあります。駐在でも現地採用と大して変わらない生活をしている人もいますし現地採用でも会社から専用の社有車を割り当てられている人もいます。上記はあくまでも一般的な例です。
さて、この待遇差について

現地採用
私も駐在員と同じくらい頑張っているのに、どうして駐在員だけ待遇がいいんだろう
と考えてしまう人は現地採用には向いていないかも知れません。駐在員は自分の意思で来ているのではないからです。私も会社からの命令でジンバブヘとかベネズエラへ行けと言われたら、かなり待遇を良くしてもらわないと厳しいです。駐在員の待遇に対しては

現地採用
自分は現地採用として自由を選んでいるんだから、自由のない駐在員に比べて待遇が劣るのは仕方ない
という割り切りが必要かなと思います。

駐在員に見下される

経済的な待遇が悪い件とは別に、現地採用は駐在員より立場が下である」と考え、現地採用の人のことを明らかに見下してくる人が時々います。日本国内でも、正社員が派遣やパートより偉いと考えている人がいますが、それと同じです。なぜ彼らがそう考えるかというと、組織のために滅私奉公の精神で働く人が偉い」という価値観が日本人にあるからのようです。
※これは中国人の場合は異なり、中国人と話すと「会社に飛ばされて来るより、自分で来た方が凄いじゃん」という反応を受けることが多いです。
これはより根本的な問題ですが、人からバカにされないように生きよう」と考えている限り絶対に好きなことはできません。経済的な理由、家庭の事情、求人のミスマッチ等で海外へ来られないのは仕方ありませんが、周りの視線が気になって踏み出せないというのは全く次元が異なります。
そもそも、どんな生き方をしても誰かしらからは反対されます。駐在員に対しても「家庭を顧みず会社の都合を家族に押しつける社畜だ」などと否定的なことを言う人もいます。全ての人に理解されたい。全ての人を説得できるようにしたい」などと思っていると何もできなくなります。周りにどう思われようと、自分と家族(親ではなく、パートナーと子ども)で決断すべきことだと思います。

仕事のスキルがつかない

現地採用というのは日本国内でいう派遣やアルバイトと同じで、使い捨てとして扱われてキャリアアップに繋がらない。日本への帰国後も、アジアでの現地採用は履歴書の空白期間として見なされる。
そもそも「アルバイトや派遣は使い捨てだ」という考え方からしておかしいと思いますが、現地採用の中でもどのような仕事に就くかによって異なると思います。しかし、現地採用として海外で働いてから日本へ帰国後にスムーズに仕事が決まっている人は大勢います
正直なところ、「アジアの現地採用は遊んでいるのと同じで履歴書の空白期間と見なす」などと言っている人は時代錯誤で、キャリアの内容を具体的に確認しないような会社は相手にする必要がないと思います。

理由1:現地採用でも裁量の大きい仕事が増えている

中国・香港などでは家賃を中心に物価が急上昇しています。シンガポールではビザ基準が上がり、駐在員でもビザが発給されないケースが少なくありません。このような国では、コストのかかる駐在員を置くのが難しく、今まで駐在員が担当していた仕事の現地採用への置き換えが進んでいます
一方、私のいるインド、それからベトナム、インドネシアなどでは駐在を希望する人が少なく、現地採用であっても人が集まりません。インドへの日系企業の進出は進んでいるのに対し、インドに来たがる日本人は少ないので慢性的に日本人不足です。従って、現地採用であっても裁量の大きな仕事を任せられます。
例えば私の専門である財務経理の分野であれば、会計・税務の取りまとめや本社への決算報告といった、日本であれば50代が担当するような仕事にインドでは30代前半でチャレンジすることができます。

理由2:外国人をマネジメントする仕事が増えていく

日系企業の海外進出はどんどん進んでいますが、一方でこれから外国人労働者の日本進出も進んできます。日本政府は出入国管理法を改正して新しい在留資格「特定技能1号」を創設し、外国人労働者を増やしていく予定です。外国人労働者が増えるということは、それらの新しい外国人をマネジメントできる人材が必要です。
しかし、日本国内で日本人に囲まれ日本語での仕事ばかりを経験してきた人が、いきなり外国人のマネジメントができるでしょうか?そこで、現地採用であっても海外で外国人と一緒に働いた経験がある人、特に外国人のマネジメントをした経験のある人が求められるはずです。
自分自身が海外で現地採用として働いた経験がある分、現地採用として日本で働いている外国人の気持ちも分かるのではないかと思います。海外に興味がある方は、日本国内で悶々としているよりも海外へ飛び込んでしまって問題ない時代になっていると感じます。

現地採用は怖くない

実際に来てみると、インドへ夫婦や子どもづれで来ている現地採用も少なからずいます。少なくともインドの場合には現地採用でも家族で十分に生活できます。そして、現地採用の経験を活かしてキャリアアップをして日本へ帰国している人も続々と出てきています。海外経験を評価してくれる先見の明のある会社は必ずあるので、「現地採用の経験は履歴書の空白とみなす」などと言っている会社を相手にする必要はありません。
海外就職に興味のある方は周りの話に流される前に、海外移住者の話を聞いたり、実際に現地へ足を運んで是非ご自身で確認してください。このブログでも必要な情報を発信していきます。
インドで就職するメリットについては下記記事もご参照ください。
コメント一覧
  1. たかてら れおな より:

    初めまして。現在インドのグルグラムで学生インターンをしている、たかてら れおなです。
    まだインドにきて2ヶ月半の自分にとってタツヤさんのブログは非常にためになり、特に現地採用と駐在の違いにまとめたブログは勉強になりました。

    いまインターンをしていて、インドでこれから働くことは魅力的だなと感じています。そのため現地採用も考えてみようとなっているのですが、インドで働く際に日本人に求められているスキルの中で、日本のビジネスマナーは身につけておく方がいいでしょうか。

    もしインドで働くことになれば日系企業に入社したいのですが、その時におそらくメールの書き方や名刺の渡し方など日本のビジネスルールが必要になると思います。そうであれば数年日本で働き、それからインドで勤務することも視野にいれようと考えております。

    タツヤさんの経験から、何かアドバイスがあれば教えて頂きたいです。
    よろしくお願いします。

    • TATSUYA より:

      たかてら れおな様

      コメントありがとうございます。
      新卒での海外就職には賛否両論あるのですが、私は賛成です。
      反対派の方の中には、たかてら様のおっしゃる通り、まず日本でビジネスマナー等を学んでから海外で働いた方が良いという意見の方が多いです。
      確かに、インドの子会社は日本本社に比べてしっかりとした研修がないので、最初のうちは多少恥をかくことがあるかも知れません。
      しかし、メールの書き方や名刺の渡し方などはインドの日系企業で現地採用として働いていても仕事の中で身につけていくことができます。
      また今の時代はブログやyouTubeなどを通じてご自身でビジネスマナーを学ぶことも可能ですし、そもそも新卒のうちに仕事で恥をかくことは全く問題ありません。
      ビジネスマナーの他に、会社の中でのコミュニケーションスキル等は海外の現地採用として働いていても、日本人の顧客とのやり取り等を通じて学ぶことができます。
      これらは、結局日本にいても仕事を通じて学んでいくものなので、日本でも海外でも同じかなと思います。
      日本でしか身につけられないスキルもあるのかも知れませんが、20代のうちにインドで働くことによってしか身につけられないこともあると思いますので、もしインドに興味があるのであればインドへ飛び込んでみるのは悪くないと思います。
      職種にもよりますが、私は経理の担当なので、もし経理希望であれば1~2年日本で仕訳の基礎を経験するのがオススメです。一方、営業などであれば最初からインドでもいいのではないかと思っています。
      まとまりがなくて、すみません。私はもっと早くインドに来たかったです。
      少し先になるかも知れませんが、新卒の海外就職についてはいつか記事に書きたいと思っています。

      https://www.kaigai-shushoku.com/events/past/special_2019_8/
      もう終わってしまいましたが、日本と海外のどちらでキャリアを始めるべきか?に関する(インドからも参加可能な)オンラインセミナーもあります↑
      定期的にまた開催すると思いますので、ぜひチェックしてみてください。

      • れおな より:

        TATSUYAさん

        詳しい回答、またセミナーの紹介ありがとうございます。
        TATSUYAさんの記事や紹介してくださったセミナーのサイト記事を参考に、もう少しインド就職について考えたいと思います。
        これからもTATSUYAさんの記事楽しみにしております。ありがとうございました。

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