ベトナム ホーチミン

当ブログ(アジアで暮らす)管理人のTATSUYAです。ベトナムのホーチミンのWebデザイン会社で2年半ほど勤務されている40代男性のT.K.さんに、ホーチミンでの仕事についてお話を伺いました。日本での職歴を活かして30代以降に海外就職を実現したい方にとっては、とても参考になるのではないかと思います。

記事中の※はT.K.さんのコメントではなく、ブログ管理人による補足事項です。

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日本の経験を活かしてマネジメント経験を積むためベトナムへ

海外で働きたいと思った理由を教えてください。

離婚をしたのですが、離婚をするときに相手が離婚を認めてくれずに揉めました。

相手から色んな恨みを買っていたため、日本にいると追われると思い、海外移住を決意しました。

また離婚で揉めてる時はストレスが強く、まともに仕事していなかったため、同年代の人にキャリアで負けている感じがしました。

ベトナムへ移住した2018年当時は38歳で、周囲の同年齢の中にはマネジメントをしている人も多かったですが、私はまだプレーヤーとして働いていました。

どうやってキャリアを取り返そうかと思ったときに、海外でマネジメントの仕事をしたいと思いました。

ベトナムを選んだ理由を教えてください。

理由は3つあります。

  • IT系の企業が多い
  • マネジメントの経験を積める
  • 英語力のハードルが低い

現在の仕事を選んだ理由を教えてください。

日本では通販事業部でWebマーケティングやコンテンツの制作管理などを担当していたので、ベトナムでもそのキャリアを活かせる仕事を探していました。

ベトナムにはWeb制作をしている日系企業がいくつかありますが、私はWeb系企業の他にシステム開発とかオフショア開発も受けました。

面接では希望給与を言わず、いくらの評価をもらえるのか確かめました。

その中で最も高い金額を提示してくれて、また事業内容がクリエイティブだと感じたため現職に決めました。

他の会社は立ち上げたばかりで方向性が見えないところなどもありました。

面接で聞かれた質問を教えてください。
  • 海外で働きたいと思った理由
  • ベトナムで働きたいと思った理由
  • スキルの詳細

日本の面接では、会社の事業内容をしっかりと調べ上げているかどうかを確認されることが多かったですが、そういった質問は少なかったです。

会社の事業内容よりも、何ができるのかのスキルに関する質問が多かったです。

なお語学力のレベルは全く問われず、英語チェックもありませんでした。

面接時点での英語力を教えてください。

TOEICは400点代でした。

マレーシアやシンガポールでは多少なりとも英語ができてないと厳しい印象がありますが、ベトナムでは日本語を話せるベトナム人スタッフも多く、そこまでの英語力は問われません。

とはいえ、最低限は喋れていないとキツいので、ベトナムへ移住してから英語を勉強しています。

ホーチミンには、セブ島で語学学校を運営している会社が経営している日系の英会話スクールがあり、50分約2,000円でフィリピン人の講師からマンツーマンレッスンを受けられます。

ベトナムの就労ビザ取得要件を教えてください。

ベトナムの就労ビザ発効要件は、4大卒で社会人経験3年以上です。

2018年頃までは政府の統制が緩くて上記の基準は厳密には守られておらず、新卒でも就労ビザを取得することができました。

ところが2019年くらいから厳しくなってきました。

但し、実際のところ今でも抜け道が存在するので、大学要件に関しては専門学校の卒業であれば、ひょっとしたら入り込む余地があるかも知れません。

※詳細はベトナムの転職エージェントにご確認ください。

就労ビザの申請にあたって苦労したことがあれば教えてください。
  • 犯罪経歴証明書
  • 以前の勤務先の在籍証明

の取得が少し大変かも知れません。

犯罪経歴証明書は各都道府県警(東京であれば警視庁)に申請をしますが、前職が海外であればその国の警察から取得しなければなりません。

タイからベトナムへ転職した人がタイの警察に犯罪経歴証明書を申請する時に苦労していました。

また以前の勤務先の在籍証明書は3年分遡らなければならず、以前働いていた会社に英語で作成してもらう必要があります。

例えば、社会人歴5年目で転職を2回経験し、3年→1年→1年と勤務していたのであれば、少なくとも1社目の3年働いた会社の在籍証明書が必要になります(転職先の業務内容と同じ専門分野で3年以上働いていた証明が必要)。

外国人登録は問題なくできましたか?

ベトナムへ渡航する前に日本のベトナム大使館で3ヶ月ビザを取得します。

ベトナム渡航後はResidence Cardを会社に取得してもらい、それがビザ代わりとなります。

Residence Cardはパスポートに貼られるステッカー式のビザではないので、パスポートとセットで常に持ち歩かなければなりません。

なお外国人採用に慣れていない会社ではResidence Cardの申請でトラブルが多いと聞きます。

なかなか申請が進捗しないとか、費用負担が会社と従業員のどちらになるのかが決まってないなどの問題があります。

また給料の受け取り口座の作成も、経理スタッフが同行してくれてスムーズに作成できました。

なお給与受取口座の作成には労働契約書が必要です。

日本品質のデザイン力で競合差別化

今お勤めの会社の事業内容を教えてください。

ALIVE Vietnamというデザイン会社に勤めています(https://alive-web.vn/)。

主な事業内容はWebデザイン、紙デザインです。

Webマーケティングも行っており、Webサイトを制作したときには集客まで実施します。

仕事の発注元は日本本社からのオフショア業務と、ベトナムの日系企業からの業務委託の2つがあります。

日本本社からのオフショアはベトナム人マネージャーが本社と直接やり取りをしており、私は担当していません。

私はベトナムの日系企業から受託している案件のマネジメントをしています。

ベトナムのローカル企業と比較した時の貴社の競合優位性は何でしょうか?

高いデザイン品質とプロセス管理能力です。

日本人の人件費は高いので、ローカルの競合他社と比較すると見積額は高いです。

ベトナムの企業に見積もりを出すと目玉が飛び出て逃げていきます。

しかしベトナムのローカル企業と比較するとコミュニケーションやデザインのレベル、製造プロセスが良いので、値段が高くても日系企業は当社へ発注してくれます。

ベトナムのローカル企業はコンテンツもデザインもぐちゃぐちゃなことが多いため、日系企業はローカル企業を信用していません。

例えば、クライアントが信頼感をアピールしたいと思っているのに、凄くポップなデザインで仕上げたらおかしいですよね。

ベトナム企業の多くは人間が読む目線を理解していないケースが多く、「認知→理解→共感」という行動のフレームワークに即したデザインを制作するのが難しい現状です。

例えば紙媒体でいうと、レストランのメニューにタイトルと価格と写真の配置がめちゃくちゃに配置されているケースがあります。

そんなデザインを見ると、クライアントは「こんなところに価格を表示しても分からないだろう・・・」と感じてしまいます。

他の日系Webデザイン企業と比較した時の貴社の競合優位性を教えてください。

ベトナム人スタッフの教育にとても力を入れており、デザイン力ではベトナムで一番だと自負しています。

日本人が満足できるレベルの品質をベトナム人スタッフに教えることができる日本人は少なく、日系のWebデザイン会社であっても日本と同じ品質の成果物を納品できる会社は少ないです。

当社は私の前任の日本人デザイナーが徹底した教育を行ったため、ベトナム人スタッフにも日本と同レベルの品質管理が引き継がれています。

T.K.さんご自身の業務内容を教えてください。

私自身の業務内容は以下の通りです。

  • ベトナム人スタッフの業務プロセス管理

ベトナム人は事前に計画を立てて業務を遂行するのが苦手で、目の前の業務を場当たり的に行う傾向があるので、日本品質の業務プロセス管理を行っています。

  • 納品物の品質管理

またベトナム人スタッフがデザインを仕上げたあと、デザインがクライアントの要望に即しているかどうかの品質チェックも行います。

このときにはデザインの背景を教えるなど、細かいテクニックよりも本質を伝えるように心がけていますが、前職までの日本での経験を活かせていると感じます。

  • 自社の営業やWebマーケティング

新しいクライアントからの問い合わせも担当しています。

日系企業の日本人から連絡があった場合には私が要件のヒアリングも行います。

一方、日系企業でもベトナム人担当者から対応がきた場合はベトナム人スタッフにヒアリングをしてもらいます。

給与水準に差があるため、ベトナム人スタッフだけで回せる仕事が増えると利益構造が良くなります。

最近はディレクターも育っているのでヒアリングから任せることもあり、ヒアリングからコンサルティングまでできる人をたくさん育てたいと考えています。

    私自身が手を動かす業務はできるだけ減らし、アウトプットのチェックとフィードバックの業務をできるだけ増やしたいと考えています。

    採用や人事評価も行いますか?

    マネージャーとして採用活動や人事評価も担当しています。

    給料額を決めるのは社長ですが、面談や人事評価は私が担当しています。

    ベトナム人は頻繁に転職をすると聞きますが、ベトナム人スタッフの離職率はいかがでしょうか?

    当社に限っては転職する人は比較的少なく、勤続年数の長いスタッフが多いです。

    離職率が低い理由は

    • 給料の上げ幅が多い
    • 裁量自由度を高くして仕事を担当してもらっている

    といったことが挙げられると考えています。

    出勤時刻と退勤時刻を教えてください

    8:00〜17:00です。

    日本の本社の出退勤時刻が10:00〜19:00なので、そこに合わせています。

    ベトナムは朝が早く、他の会社を見ても8:00スタートの方が多いです。

    残業時間は月40時間くらいです。

    ベトナムの文化としては残業しないのが当たり前です。

    しかし忙しければ必要に応じて残業してくれます。

    私の場合は、17:00くらいにベトナム人スタッフから「納品物の確認をしてください」という依頼が来るので遅くなります。

    会社の福利厚生について教えてください。
    • 医療保険(Wellbe)
    • 年1回の一時帰国渡航費用負担
    • 年1回の健康診断
    • 社員旅行

    などがあります。

    業務で英語を使う機会はありますか?

    当社は日本語を話せるベトナム人スタッフが多く、50人中10人が日本語を話せます。

    様々な情報もベトナム人にベトナム語で調べてもらって、日本語に訳してもらいます。

    フィードバックも日本語で行い、日本語のできるベトナム人スタッフに通訳をしてもらいます。

    本当にシンプルなことだけ英語で伝えることもありますが、最近は少し通訳に甘え過ぎているなと自覚しています。

    英語を使うのは社内というよりは、クライアントのベトナム人スタッフとの打ち合わせ時です。

    ベトナム人スタッフの人事評価などの際も通訳を入れるのでしょうか?

    日本語を話せないベトナム人スタッフへ人事評価を行うときには通訳に入ってもらいます。

    アカウントマネージャーが日本語を話せるので、人事面談も彼に通訳をしてもらいます。

    ベトナム人スタッフ同士はベトナム語でやり取りをしていますか?

    ベトナム人同士は会話もメールもベトナム語でやり取りをしています。

    たまにベトナム語で長いメールのやり取りをしているときは、トラブルが発生しているのではないかと思いGoogle Translateを入れて確認することもあります。

    ベトナムでの仕事を通じて英語力は向上したと思いますか?

    読み書きやヒアリングに関しては英語で問題なくできるレベルになりました。

    一方、スピーキングのところではまだ引っかかり、細かいニュアンスは日本語→ベトナム語の通訳で伝えることがあります。

    仕事をする上で苦労していることを教えてください。

    ベトナムでは日本に比べて前例がなく未知数なことが多く、初めて経験する問題に対して常に手探りで解決をしなければならないことが多いです。

    • ドメインの所有者名義を切り替える際、日本ではWebで手続きが完了するがベトナムでは公証入りの証明書が必要
    • 開発要件で決済システムを導入したくても、決済通貨がベトナム・ドンに対応していないことが多い

    など、日本では経験したことのない問題に次々と直面します。

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    次の目標はフリーランスとしてジョージアへ

    今後のキャリアプランを教えてください。

    ジョージアでフリーランスとして働いてみたいです。

    ジョージアは物価が安く、フリーランスが生活費を抑えて暮らすための国として人気ですが、ジョージアで仕事を探すのは難しいため、フリーランスとして日本などから仕事を受けて生活したいです。

    今の会社をクライアントとしてフリーランスで働くことも検討しています。

    海外就職を検討している方にお伝えしたいことがあればお願いします。

    海外へ来ると日本と比べて貯金ができるので、日本で株式投資をやっている方は住民票を抜かずに日本の口座を確保しておいた方が良いかと思います。

    日本を完全に切り捨てるような出国の仕方をするではなく、日本のサービスを残せるようにしておいた方が良いのではないでしょうか。

    私はロボアドバイザーに入れながら、日本の口座が減ったらベトナムの口座から送金しています。

    資産形成という観点ではオススメです。

    但し日本に住民票を残すと健康保険料の負担があり、特に1年目は辛いです。

    20代後半で海外就職を希望する人が多いと思います。しかしT.K.さんのお話を伺って30代以降で日本での経験を活かしてこそ実現できる海外就職もあることを実感しました。

    T.K.さんの体験談を読んでアジアでの海外就職に興味を持った方は、ぜひ【はじめてのアジア海外就職】実現までの道のりまとめの記事をお読みください。

    情報収集の方法から、海外就職実現までの段取りをご紹介しています。

     

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