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スリランカ第1の経済都市コロンボは、私の住んでいるインドのチェンナイから飛行機で1時間ほどの場所にあります。

チェンナイからはデリーやムンバイへ行くよりもコロンボの方が近いです。

あれだけ広いインドはどこへ行っても「汚い、臭い、牛」なので、チェンナイの目と鼻の先にあるスリランカはインドと全く変わらないだろうと思っていました。

ところが、一歩スリランカへ足を踏み入れた途端、インドとのあまりの違いに衝撃を受けました。

しかしよく考えてみたら、あれだけ広い中国はどこへ行ってもある程度は似ているのに、海を越えて日本へ来ると全く雰囲気が違うので、それと同じかも知れません。

そこでこの記事では、インド在住の私がスリランカ(とは言ってもコロンボしか行っていませんが)へ行って感じたインドとの違いをご紹介します。

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スリランカは街並みが綺麗

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上の写真はコロンボ市内の様子ですが、日本と見分けがつかないほど綺麗です。

インドから来ると上の街並みがどれほど衝撃的か、この写真だけだと伝わらないと思うので、今度はインドの街並みの写真を載せます。

チェンナイの障害物

チェンナイはこんな感じです。

インドへ来たことがない方はビックリする写真だと思いますが、インド在住者にこの写真を見せると「チェンナイの道はとても綺麗ですね!」と、逆方向からビックリされます。

デリーなどの道はもっと汚いんです。

少なくとも車道は綺麗に舗装されて歩きやすいですからね。

インドの街中

インドと言っても広いから、特に汚い場所を選んでるんじゃないの?

と思われるかも知れませんが、そんなことはないです。

インドでも綺麗な場所がゼロとはいいませんが、探し出すのは極めて難しいです。

インド在住者なら誰でも、「これが標準だ」と思うはずです。

ここでもう一度、先ほどのスリランカの写真を見直していただくと、インドとスリランカがどれほど違うかお分かりいただけると思います。

インドではよく整備された高速道路でも牛がいて、料金所では物乞いが殺到してきますが、コロンボでは全くそんなことはありませんでした。

コロンボ市内は非常に綺麗で歩道は広く、インドの道路とは全く違って非常に歩きやすいです。道を横断するたびに決死の覚悟が必要なインドとは異なり、コロンボではすぐに車が止まってくれます。

インドの道路状況については下記記事の「外を歩くのが大変」の項目をご参照ください。

スリランカには日本食材の専門店がある

以前、インドでは日本食材が手に入りにくいのでバンコクへ買い出しに行くという話を投稿しました。

しかしバンコクは直行便で片道3時間ほどかかり、しかも深夜便しかないので体力的にもしんどく、週末だけで行くとヘトヘトになります。一方のスリランカはバンコクほど日本食材が充実しているわけではないものの、チェンナイから近く昼間の便もあるので土日だけで充分楽しむことができます。

スリランカの首都はスリジャヤワルダナプラコッテですが、経済の中心はコロンボです。コロンボはチェンナイから直行便で1時間半弱、往復の航空券代が約1万5千円くらいです。

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コロンボには「ジャランカ」という日本食材店があります。お菓子や調味料などが幅広く揃っています。チェンナイにも大阪フーズという日本食材店があり、デリーには大和屋という食材店がありますが、取り扱っている食材の幅は大和屋などよりも充実している印象です。

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値段についても、チェンナイではブルドックソースが1本1000円以上するのに、ここでは500円程度で購入することができるのでお得です。バンコクまで行くのは大変ななので、週末気軽にコロンボへ来て買い出しをするのはありだと思います。

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スリランカでは中華素材や中華料理店が充実している

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コロンボでは、空港を始め至る所で中国語の文字が目につきます。これはインドとは対照的です。チェンナイには中国語の表記も中国食材店も全くありません。グルガオンもバンガロールも似たり寄ったりです。

チェンナイにも中華料理店はありますが、かなり珍しいです。それに対しコロンボは街中の各地で中国語の表記を見ることができます。コロンボは中華料理店も非常に充実しており、しかもインドの中華料理店とは異なって中国人が経営・調理しています。

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今や欧米からアフリカまで世界中どこへ行っても中国人だらけになっていますが、インドだけは中国人が非常に少ないです。

インドは中国の勢力拡大を警戒しており、またカシミール地方で領土紛争を抱えていることもあって仲は決して良くありません。今や世界中どこへ行っても中国人が大勢いますが、インドは非常に中国人が少ないので、意図的にビザの発給制限をしているのではないかと私は推測しています。

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ところがスリランカでは、街中で中国人を大勢見かけます。中国は一帯一路を掲げてミャンマー、パキスタン、スリランカなどインドの周辺諸国に勢力を伸張しています。

スリランカには中国人が経営する安いローカルの中華料理店がたくさんあり、中国語表記のメニューもあり、安い値段で本格中華を楽しめます。インドで全く中華料理を食べることができず困っていた中華料理好きの私にとって、週末にスリランカで中華を食べられるというのは大変な息抜きになります。

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中華食材の店も充実していて、中華系の調味料などは一通り手に入るようです。チェンナイでは韓国系の食材が最も充実していて、日本の食材も多少は手に入りますが中国系の食材は全く手に入りません。

インドとスリランカの気質の違い

大陸の中国と島国の日本とでは、顔つきは似ていても文化や考え方が異なることが少なくありません。それと同様に、亜大陸のインドと島国のスリランカとでは人の気質が異なると感じることがあります。

私はインドに在住しているためインド人と接することに慣れており、インド人と見た目の似ているスリランカ人と接したときにカルチャーショックを受けたことがありました。その事例をご紹介します。

予めお断りしておきますが、インド在住者としてかなりインドに肩入れした内容になっています。しかし、私の性格とスリランカの国民性が合わなかったというだけのことで、インドがスリランカに比べて優れていると主張したいわけではありません。

スリランカからインドへ戻るとき、コロンボの空港に搭乗時間の2時間半前に着いたのですが、チェックインカウンターが長蛇の列になっていました。通常の空港ではチェックインカウンターの列は1列に並んでいて、空いたカウンターから順次通される空港が多いのですが、コロンボ空港はスリランカ航空のチェックインカウンターが20以上もあり、それぞれのカウンターに列ができていました。

この程度のことはインドでもよくあることなので今更驚きません。どのカウンターも非常に進みが遅く、40分以上待たされました。そして、3番目くらいの順番になったとき、「チェンナイ行きのお客様は21番か22番カウンターで優先受付をします」と言われたので、そちらへ向かいました。

すると、22番カウンターは閉まっていて、21番カウンターは1組の受付をしています。1組ならすぐ終わるだろうと思って待っていたら、その人たちのビザに問題があったのか物凄く時間がかかり、更に1時間近く待たされました。

他のカウンターも長蛇の列のため並び直す気にならず、イライラはMaxに達していました。全てのカウンターが開いているのではなく、半分は閉まっていて、大勢のスタッフが暇そうに談笑しています。

「いつまで待たされるんですか?」と聞いても「終わったら順次対応しますので待っててください」としか言われません。そして、私の後ろに並んでた中東系の人達が「こちらへどうぞ」と、別の列の2番目へ案内されました。

更に10分ほど経ったあと、搭乗時間まで1時間を切っていたので「搭乗時間まで1時間ないんですけど」と強く言いました。スリランカ人はインド人以上にモタモタしてるので、出国審査や手荷物検査に時間がかかり乗り遅れるのを恐れていたのです。

不安とイライラが絶頂を迎えていたとき、「時間がないから早くしてください」と係員に伝えると、先ほど私達の後ろに並んでいて別の列へ案内された中東系の客の後ろへ案内されました。既に1時間半近く待たされており、この先も入国検査やセキュリティチェックで時間がかかることを想定するとイライラしてしまい「あの乗客より先に並んでるんだけど!だいたい他のカウンターが開いてて暇そうにしてる人が大勢いるんだから開けて対応したらどうなの?もし乗り遅れたら責任とってくれるの?」と主張しましたが、知らない間にかなりの大声になっていました。

インドでは、常に主張をしないと「問題が存在しない」と判断され、その結果飛行機に乗り遅れても責任は取ってもらえません。大声を出せば良いというわけではないものの、理不尽な対応をされた時にはハッキリと大声で主張して「問題がある」と認識してもらう必要があります。私は知らない間にこのインド流のやり方が身についてしまっていました。

インドの場合、このように大声でまくし立てるとどうなるかと言うと、周りの人たちが「どうしたどうした」と言ってゾロゾロと集まってきます。そして、あーでもないこーでもないと話しあった挙句、どうにかなります。

インドの空港職員も絶対に謝罪はしないものの、インドであれば「分かった。次は確実にあなたを案内するからここで待っててくれ。まだ搭乗時間までは1時間もあるから乗り遅れることはない。大丈夫だ。私を信じてくれ」などと言われるでしょう。

問題は何も解決しないものの、とりあえず「私が飛行機に乗り遅れることを心配している」ということは認識してもらえそれなりにケアしてもらえるので一旦気持ちが落ち着きます。具体例については下記記事をご参照ください。

しかしスリランカ人の対応は全く違いました。「ここはスリランカです!大声で騒ぐのは辞めてください。言葉遣いに気をつけてください」などと言われました(「スリランカだから何だよ」と思いましたが・・・)。これはインドでは全く経験のない対応です。

インド人は、こちらの主張に理があればとりあえず黙りますし、間違っていれば猛烈な勢いで反論してきます。ただ、いずれにしてもインドにおいて大声で自分の意見を主張する態度そのものが問題にされたことはないです。

スリランカのスタッフは、自分達の対応の非を認めないばかりか、人の話を全く聞かず「大声で主張するような野蛮な客の言うことなど聞く価値もない」と言わんばかりの態度で、こちらの言うことには全く耳を傾けずに「騒ぐな、静かにしろ」の一点張りでした。

確かに大声を出すのが下品で野蛮なのは間違いないものの、私も最初のうちは礼儀正しく静かにクレームを言っており、その段階で迅速に対応してくれていれば騒ぐ必要もありませんでした。

そして、手続きが終わった後もスタッフが睨みつけてきました。この根に持つ雰囲気もインドではなかなかないことです。インド人は、ガンガン自己主張をするものの、問題が済むとサッパリしています。

以前、チェンナイの警察でトラブルがあって「あなた方は信用できない!」とまで怒鳴りつけたにもかかわらず、翌週海辺でバッタリ会ったら「おー!あの時の日本人じゃないか!チェンナイは楽しんでるか?」と明るく声をかけられたりしたこともあります。

以前スリランカで働いていた日本人が「スリランカ人は愛想がいいんだけど、どうも裏表がある」「問題の原因究明や解決よりも言い訳ばかり」「『スリランカ人VS外国人』という構図を作りたがる」と言っているのを聞いたことがあったのですが、今回少しそれを実感しました。

インド人は無愛想で空気を読まずにしつこい人が多いので非常に鬱陶しいのですが、裏表がなく素直で分かりやすく、また何だかんだ言って真面目な人が多いので、不気味なところはありません(北インドの観光地の詐欺師は別です)。

一方のスリランカ人は、みんな非常にとてもニコニコしているのですが感情を抑圧していて表裏があるように感じ、私にとっては非常に苦手でした。

繰り返しになりますが、私はスリランカが悪くてインドが良いと言いたいのではありません。あくまで、私の性格とスリランカの国柄とは相性が悪いと感じたということです。私はハッキリとストレートに物事を言う性格なので、中国・インド・アメリカのようにガンガン意見を戦わせる国(ローコンテクストの国)では居心地が良い一方、空気を読まなければならない国(ハイコンテクストの国)の場合はとても苦労します。

スリランカは島国なので日本と同じく和を大切にする気質なのでしょうが、かと言って日本のように客が不満を感じないよう、予め察して迅速に対応してくれるわけでもありません。スリランカにはインドとは違うスリランカなりのコミュニケーションの方法があるのだと思いますが、私にはまだよく分かりません。スリランカは非常に私と相性が悪い国だと感じました。

自分の短い経験と知人の話だけで国民性を決めつけるような記事を書くのは視野が狭いと思われるかも知れません。しかし、実際に訪れて感じるすぐに分かる雰囲気というのもあるのではないかと思いますので記事にしてみました。

インドと一緒にされたくないスリランカ人

インドは大きく、スリランカは小さい国です。インド人からすると「スリランカなんてインドみたいなもんでしょ」くらいに思っています。

しかし、スリランカ人は絶対にインドとは一緒にされたくありません。これは私がインド在住の日本人から聞いた話ですが、ある日系グローバル企業の南アジア拠点をインドのデリーに設置し、その子会社としてスリランカを位置づけると、スリランカ人は反発したほうです。

「スリランカはインドの子分ではない!」という主張です。そこで、スリランカ支社のレポートラインをインド支社からシンガポール支社へ変更したらスリランカ人の怒りは収まったそうです。

大国は周辺の小国を自国の一部または属国であるかのように扱い、小国が猛反発するという構図はよく見られます。

ロシアVSウクライナもそうですし、中国VS台湾もそうです。

インドはスリランカに内政干渉をしたり、インド軍がスリランカ軍と戦争をしているわけではありませんが、つい10年前までスリランカ国内でインド系住民(タミル系)と純スリランカ系(シンハラ系)が内戦をしていたこともあり、スリランカのインドに対する感情は複雑です。

日本人も、海外へ行って日本人と中国人を一括りにされて「ニーハオ」などと言われたら腹が立つかと思いますが、それと同じようにインドとスリランカは区別しなければなりません。

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