f:id:kaigai_life:20190122031914j:image

インドは飛行機で行ける範囲が限られており、高速鉄道(新幹線)も未整備なので、長距離列車を乗りこなせるようになると圧倒的に活動範囲が広がります。インド人は非常に長い距離でも鉄道で移動します。

例えば、北インドのディブルガルという場所からインド最南端のカニャクマリという場所までは約4200km離れていますが、Vivek Expressという直通の電車があります。毎週土曜日の夜11:05時にディブルガルを出て、到着までに3日と10時間50分かかり、費用は1,085ルピー(1,600円)です。

4200kmの距離を1,600円で移動できるって凄いですよね。4200kmというと、北海道の札幌市から沖縄県の那覇市までを直線距離で往復する距離に匹敵します。日本の場合は寝台列車がどんどん消滅し、いまや定期列車はサンライズ出雲・瀬戸しか残っていません。

一方、インドの場合は距離が長いので昼夜を問わず走り続けなければ目的地に辿り着かないというのが実情なようです。

このように便利なインドの鉄道ですが、日本の鉄道とは全く仕組みが異なるので利用にあたっては注意が必要です。この記事では、インドの鉄道を利用する時に注意すべきポイントをご紹介します。

スポンサーリンク

チケットはオンラインで事前に予約する

なぜチケットの事前購入が良いのか

ニューデリーやコルカタ、チェンナイなど大きな駅では外国人専用のチケット窓口が用意されています。しかし外国人専用窓口でのチケット購入には大きく分けて2つの点で注意が必要です。

  • 混雑する(酷い時には4時間待ち)
  • 外国人専用窓口までたどり着けない(妨害される)

多くの方はニューデリーからインドへ入ると思いますが、特にニューデリーの外国人専用窓口は混雑していることが多く、酷い時には4時間待ちということもあります。私の住んでいるチェンナイの場合はそこまで混雑していませんが、事前に予約した方がスムーズです。

そして、これはニューデリー限定の話ですが、外国人専用窓口へ辿り着く前に「そこは立ち入り禁止だ」と言って妨害し、旅行代理店へ誘導しようとする詐欺師が大勢います。そのような厄介なことに巻き込まれないようにするためにも、事前にチケットを購入しておいた方が無難です。

ニューデリー駅の外国人専用鉄道予約オフィスに関する詳細は下記記事をご参照ください。

チケットの購入方法

IRCTCというサイトでチケットの予約ができますが、インドの携帯電話番号を持っており、インドの銀行で発行されたデビットカードが必要です。外国人専用の予約枠は若干値段が高めのようなので、インド在住の方はインド人と同じ枠で予約することをお勧めします。

従来、インドの携帯電話番号を持っていない方はオンラインから予約ができなかったのですが、日本の携帯電話やクレジットカードだけでもスムーズに予約ができるようになったようです。

下記ブログに詳細の説明がありますので、ご参照ください。

インドのオンライン電車予約が便利に!外国人ツーリスト枠が取れます。

インドの長距離列車には1等、2等、3等、座席車などがあります。個人的には、1等と言えども飛行機に比べれば安く、インド旅行の大変さを考えると初めての方は1等寝台を予約することをお勧めします。

また予約の際、景色を楽しみたければ下の段を予約することをお勧めします。詳しくは後述します。

駅入場時にチケットを確認する詐欺師を警戒する

チェンナイエグモア駅外観

インドの場合、駅に着くとすぐにホームがあり電車が見えます。駅に改札はなく、日本の無人駅と同じ仕組みです。上記の写真はチェンナイエグモア駅ですが、道からすぐに電車が確認できると思います。

インドの電車は車内で検札を行うため、駅でのチケットチェックはありません。もし駅でチケットのチェックを求められたら、それは駅員のコスプレをした詐欺師です。詐欺の手口の詳細は下記記事をご参照ください。

なお、私はニューデリー以外の駅でそのような被害を聞いたことはありません。不安な方はニューデリー以外から入ることをお勧めします。少なくとも私が住んでいるチェンナイの駅の周りにはそのような詐欺師はいません。

ニューデリー駅では、荷物のセキュリティチェックの時にも係員のフリをしてチケットの提示を求められ旅行代理店へ誘導されることがありますが、チェンナイ駅ではそもそもセキュリティチェックを実施していません。

チェンナイエグモア駅セキュリティチェック
チェンナイエグモア駅セキュリティチェック

上の写真のように、かつてセキュリティ検査をしていたらしい残骸が放置されていますが、チェンナイではノーチェックで駅に入れます。

チェンナイの目と鼻の先にあるスリランカで2019年4月21日に大規模な自爆テロが起きたばかりなので、きちんとチェックをした方が良いのではないかと個人的には思っています。

スポンサーリンク

出発ホームは直前まで変わることに留意する

私はインドの空港で、何のアナウンスもなく搭乗口が突然変更になり大変困ったことがありました。

しかし突然発車ホームが決まるまたは直前に変わるというのは、インドの鉄道では日常茶飯事のようです。私が乗った時の様子をご紹介します。

私が乗る予定の電車は22:40発で、22:00頃に電光掲示板に表示されました。しかしプラットホーム番号の欄が空欄になっており、何番線に到着するのかが分かりません。下の写真の、列車番号16865 UZHAVAN EXPRESSES という電車でした。

チェンナイエグモア駅 電光掲示板

私はとても不安で、「もし私が乗る電車の発車番線が22:38分に決定したら、その場で走っても22:40に間に合わないのではないか」などと妄想をしてしまいました。結局、私の乗る電車の出発ホームが決定したのは22:20頃に発車ホームが決まり、4番線と表示が出ました。

その後、出発ホームは変更になりませんでしたが、直前に変わることもありますので電光掲示板は継続して確認してください(むしろ、直前までは確認しても無駄かも知れません)。

チェンナイエグモア駅 2等待合室

なおチェンナイエグモア駅では、1等客室用待合室の入口にはセキュリティチェックがいて勝手に入れないようになっていましたが、2等用はノーチェックだったので誰でも使えます。上の写真は2等待合室です。2等客室用の待合室にはトイレもあります。しかし殆どのインド人は駅のホームで地べたに座って(または横になって)電車を待っています。

出発時刻がよく遅れる可能性を考慮に入れておく

インドの電車の遅延が酷いことは世界的にも有名なことだと思います。インドの鉄道を巡っては、こんなジョークもあります。

インドの列車は定刻通りにきたためしがない。
ただしインド人は誰もそんな事に腹を立てる者はいない。
ところがである、ある日列車が定刻通り到着して、発車してしまったのだ。
乗り遅れた人たちは口をそろえて駅員に抗議した。
「いったいどうしてくれるんだ!いつも遅れるくせに!」
すると駅員はすました顔でこう答えた。
「ご安心ください、今の列車は昨日の列車です。本日の列車の到着はまだ先ですから。」

インド人の知人によると、最近はだいぶ改善されていて、遅延も減っているようです。減っていると言っても、インドでは1〜2時間程度の遅延は遅延のうちに入らないので、その点は考慮に入れていただく必要があります。

また遅延が減ったと言っても、8時間や9時間遅れることも未だにあります。なお最近では、途中で1〜2時間程度停車しても定刻で目的地に到着するような余裕のあるダイヤが組まれているようです。

日本では電車が1分遅れただけでイライラすることがありますが、インドへ来ると「電車がたったの1時間程度遅延して何の問題があるのか」という気分になるので不思議です。

パスポートは常時携帯する

先ほどお伝えした通り、インドでは駅での改札がない代わりに車内での検札が徹底しています。検札では、Eチケットの他に身分証の提示を求められます。

インドはホテルでも電車でも国内航空でも必ずIDの提示を求められるので、パスポートは必携です(インド居住者であればPANやAadhaarでもOKだという話もありますが、私は念のため常にパスポートを携帯しています)。

私が車内検察を受けたとき、車掌はパスポートを隅々まで1ページずつ確認していき、あるページで目が止まりました。「これはビザが切れてるじゃないか!1月5日で有効期限切れとなっているぞ!」と言ったので、「いや、就労ビザの期限が2021年7月って書いてありますよね?」と言うと、「じゃこの1月5日はなんなんだ!説明しろ!」というので、見るとタイのビザなし渡航での入国スタンプでした。

「これThailadって書いてありますよね? INDIAはこっちの就労ビザですよ」と言うと、黙ってパスポートが返却され無事に検札が終了しました。インドあるあるです。

景色を楽しみたければ下の段を予約する

インドの電車 2段ベッドの上段

私が利用したのは2等寝台ですが、シーツ・枕と掛け布団は準備されていました。なお、2段ベッドの場合、上の段を予約してしまうと梯子の上り下りが大変な上に窓がないため景色を楽しめません。基本的には下の段を予約することをお勧めします。

インドの地方を走る長距離電車では、駅に停車中を除いて電波状況が悪くほぼ圏外なので、正直なところかなり退屈です。携帯の電波が届かなくても退屈しないように本などを持って来ることをお勧めします。

スリに気をつける

インドの鉄道は個室毎に鍵をかけられるわけではないので、スリには気をつけなければなりません。カバンを置きっ放しにしてトイレなどへ行くと全て盗まれてしまう可能性があります。

パスポートやカードなどはセキュリティポーチに入れて常時携帯することをお勧めします。飛行機とは異なり、鉄道は様々な階層のインド人が利用するので、飛行機以上に警戒心を強めた方が無難です。

※もちろん「飛行機は油断して良い」という話ではありません。

扉から外に落ちないように気をつける

f:id:kaigai_life:20190122032923j:image

インドの鉄道は扉を開けっ放しで走っています。冷房などがついていない車両の場合には暑いので、扉の辺りにいると風通しが良く非常に気持ちが良いです。しかし、車両からの至近距離に信号や電信柱があるため、電車から身を乗り出すと頭がもぎ取られます。

ムンバイ近郊鉄道のホームページを見るとムンバイの鉄道で発生した事故の一覧を検索することができます。

参考サイト:Mumbai Suburban Accident Details

こちらで日付を絞って検索すると、確かにムンバイだけでも毎日死人が出ていることが確認できます。

ところで、あるときペットボトルを飲み干したのでゴミ箱に捨てようとすると、ゴミ箱が溢れかえっていました。そこで、その場にいた乗務員にどうすれば良いか聞いたところ「Oh,No problem」と言って、溢れかえったゴミを全てそのまま電車の外に捨てました。

車内はNo Problemになりましたが、線路はゴミだらけになったので問題は解決していません。インド人はよく"No Problem"と言いますが、要注意です。

注意をすれば楽しいインドの鉄道

インドの鉄道の注意事項についてご紹介しましたが、必要な注意を払えばインドの鉄道はとても楽しいです。

飛行機と違って様々な層のインド人が利用するのでインドの庶民の雰囲気を知ることができますし、インド特有のゆったりとした時間の流れを感じることができます。

インド旅行またはインド生活をするのであれば、飛行機だけでなく、ぜひ1度は鉄道を利用してみてください。

スポンサーリンク