これからインド生活を予定している方の中には、果たしてインドで暮らしていけるか不安のある方も多いと思います。
また実際にインドへ駐在後、あまりにも生活が地獄すぎて苦しんでいる方も少なくないと思います。
インドは好き嫌いが両極端に分かれる国と言われており、好きな人は永住したいと思うほどハマるものの、嫌いな人は蕁麻疹が出るほど拒否反応を起こします。
東南アジアと比べればケタ違いにキツい環境であるのは間違い無いので、地獄だと感じるのも無理はありません。
先日ツイッターで「日本とインドのどちらが暮らしやすいですか?」というアンケートを取りました。
インドに住んだことがある皆さん、日本とインドはどちらの方が暮らしやすいですか?
現地採用以外の方もぜひご回答ください。
「『暮らしやすい』という言葉の定義による」などと難しいことは考えずに直感でご回答いただけたら嬉しいです。— TATSUYA@インドwith中国妻 (@asia_kaigailife) January 7, 2020
200名の方にご回答いただき、「日本よりもインドの方が暮らしやすい」と回答した方は38%に留まりました。
という感想をお持ちの方もいるかも知れませんが、インドのツイッターアカウントは殆どが経営者、現地採用、留学生、インド人の配偶者など「自分の意思でインドを選んで来た人」なので、もともとインドが好きな人が多いです。
それでも62%が「日本の方が暮らしやすい」と回答しているということは、駐在員と家族の場合にはこの割合が更に高くなると思います。
参考までに、タイの現地採用にアンケートを取ったところ、85.1%が「日本よりタイの方が暮らしやすい」と回答したそうです(タイの日本人向けフリーペーパー「DACO」2018年11月20日版「現採白書」より)。
この事実を見ただけでも、インドが東南アジアより遥かに厳しい環境であることが想像できるかと思います。
私の独断と偏見ですが、インド在住の日本人を分類すると
- インドが大好きで、快適に生活している:1割
- インド生活は大変だが好きなので大丈夫:2割
- インド生活は苦痛だが何とか耐えている:4割
- インド生活には耐えられず精神崩壊寸前:3割
という印象です。
ちなみに私自身はかつて4年間インドの会計事務所に勤務していましたが、「インド生活は大変だが好きなので大丈夫」でしたが、周囲で精神崩壊している人達を大勢見てきたので事情は分かります。
この記事を読めば、インドの何が大変なのか、どう対処すれば帰任まで乗り切っていけるかが分かります。
Contents
なぜインドの生活は地獄なのか
インド生活が地獄になってしまう理由は無数にありますが、主な理由を3つご紹介します。
食べ物が日本人の口に合わない
インドではヒンドゥー教の教義上、牛肉や豚肉、そしてアルコールはなかなか手に入りません。
バンガロールは例外的に牛肉もビールも簡単に入手できますが、私が住んでいたチェンナイは極めて保守的な地域のためアルコールと肉の入手が極めて困難です。
韓国食材店などへ行けば肉も含め最低限の食材は揃いますが、たとえ売っていても決して美味しくはない冷凍肉です。
インド人の味覚は日本人とは違うため、インド料理はたまに食べる分には良くても日常的にインド料理を食べるのはしんどいです。
これは逆も同じで、日本在住のインド人は日本米が口に合わず、わざわざインドから米を輸送するそうです。そのくらいインド人と日本人の味覚は異なるようです。
日本食レストランは大都市でも10〜20軒程度しかなく在住日本人が集まるため、就業後や週末にも職場や取引先の人と顔を合わせることになります。
インド在住の日本人が東南アジアへ旅行して立ち寄った居酒屋で、現地の日本人が
などと話しているのを聞いたら「海外生活をナメとんのか!」という気分になりますよね(実話)。
中国や東南アジアであれば、その辺の屋台やローカルレストランにフラっと寄って美味しいものを食べられますが、インドの屋台は期待できません(そもそも不衛生です)。
インドで美味しいご飯を食べるには、自炊でも外食でも茨の道です。
イライラすることが多い
インドはとにかく物事が進みません。例えば、以下のような問題が発生します。
- 朝10時に来ると言っていた空調の修理が夜6時に来る
- 水道から赤錆びた水が出たり、頻繁に停電したりする
- 外を歩けず運動不足になる
インドではイライラする理由があまりにも多すぎて、挙げだすとキリがないため別の記事でまとめました。
インドの生活が大変である8つの理由【インド駐在・就職予定者必見】をご参照ください。
時間もお金もあるが、やることがなく退屈
インドでは日系企業であっても日本国内ほどの長時間労働や休日出勤等はなく、時間は比較的あります。
一方お金についても、駐在員は手厚い手当てがありますし、現地採用であっても物価が安い分日本より余裕のある生活を送れるのが一般的です。
しかし、お金と時間があったとしても暇で退屈という人が少なくありません。
外へ出ようにも散歩をできる状況でもありませんし、日本のようにちょっとしたコンビニなどもなく、カフェを探すのも大変です。
やっとインドにもユニクロ、無印良品、セブンイレブンなどが進出し始めましたが、まだ数店舗程度です。
インドの面積は日本の9倍あるので、日系のお店はほぼないに等しいです。
インドの映画館は英語字幕すらない現地語のものが多いですし、リラックスできるモールも少ないです。
娯楽の少ないインドでは次第に家へ引き籠るようになり、監獄生活のようになってしまう方も少なくありません。
私は刑務所に入ったことがないので実体験はありませんが、調べたところ、禁固刑の囚人など退屈すぎて病んでいる時に人は時の経過を遅く感じるようです。
人間、年齢を重ねれば重ねるほど時の経過は早く感じるのが一般的です。小学生の頃は1年がとても長いように感じますが、大人になると「また年越しか」となりますよね。
ところがインドにいると時間の経過がとても遅く、小学生の頃よりも1年が長いのではないかと感じるほどです。
「駐在はたった2〜3年の辛抱!」と思っても、その2〜3年が果てしなく長いのです。
では、こんなに大変なインド生活をどう乗り切れば良いでしょうか?
インドに対する本音を吐き出す
一番大切なのは、一人で抱え込まずに吐き出すことだと思います。
特にパートナーのインド駐在へ着いてきたご家族の方などは、パートナーに愚痴を言ったら仕事のモチベーションを下げてしまうのではないかと不安かと思います。
インド在住の日本人に愚痴を言う
インドのキツさはインドに来なければ実感できないので、日本に住んでいる知り合いに愚痴を言っても中々共感してもらえないと思います。
インドの愚痴はインド在住者に話すのが一番です。
一番話しやすいのは仕事の同僚や取引先、そしてお子さんがいる方は日本人学校や補修校の保護者の方だと思います。
などと怒り出す方は聞いたことがなく、みんなインド生活は多かれ少なかれ苦労しているので、「インド生活には耐えられないんです」と本音を打ち明けることで信頼関係が深まるかも知れません。
仕事や学校以外でインド在住の日本人と知り合う方法をご紹介します。
日本人会・商工会
デリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイなどの大都市には日本人会や日本商工会がありますので、そこに参加して繋がりを作りましょう。
私が住んでいたチェンナイは特に活発で、日本人会は新年会、運動会、夏祭り、忘年会などを開催していました。
特に忘年会は名物で、新入会員の方が毎年「新人芸」をやります。9月頃から3ヶ月くらいかけて準備します。
チェンナイ在住日本人の結束は深く、忘年会当日は日本へ帰任した人達も東京で集まって忘年会の様子をZoom?中継で見ているという話を聞いたことがあります。
チェンナイ商工会は毎月第3木曜日に「三木会」を開き、会議の後の立食パーティーで繋がりを作ることができます。
日本人会や商工会で気が合った方と後日会うのも楽しいですよね。
日本人サークル
インド各都市にも日本人サークルがあり、様々な活動をしています。
月刊Charoというフリーペーパーが日本食レストランなどに置いてあるので、その巻末にある日本人サークルから気になったものへ参加しましょう。
マラソンやサイクリング、フットサルなど体育会系が中心ですが、バンドなどもあります。
最後に、個人的に一番オススメなのがTwitterです。
インドで日本人に耳寄りな情報を収集するのは大変なので、インドの日本人Twitterコミュニティ同士で情報交換をしながら支え合ってインド生活を乗り越えています。
India Goさんというアカウントがインドの情報をたくさん発信しており、多くのインド在住者がフォローしています。
India Goさんのアカウントのフォロワーから、話の合いそうな人をフォローして情報交換していくと良いかも知れません。
なお、本記事のコメント欄でもインドへの愚痴を吐き出してくださっている方がいるので、皆さんも良ければコメント欄で愚痴を吐き出してください。
聞き上手な日本人に話を聞いてもらう
インド在住の日本人にはインドの大変さを理解してもらえますが、インド在住の日本人は1万人もいないためコミュニティが狭く、気を遣うかも知れません。
などの悩みを聞いてもらう相手を見つけるのは難しいかも知れません。
悩みを聞いてもらう相手がいないときにオススメなのはココナラ 愚痴・相談サービスです。
ココナラは個人のスキルを売り買いできるオンラインマーケットですが、愚痴を聞いてくれる人達が大勢登録しています。
必ずしもプロのカウンセラーばかりではないですが、キャバ嬢やホストなどの接客のプロも多数登録しています。
会社で大きな責任を負った皆さんも、日本なら帰り道にスナックへ寄ってママに本音を聞いてもらう機会があるかも知れません。
しかしインドには日本語で本音を言えるお店がないので、吐き出す相手を見つけることは大切です。
間違って若い現地採用社員に愚痴を吐き出すと大変なことになる場合もあります(詳しくは駐在員から現地採用へのセクハラ・パワハラエピソードまとめをご覧ください)。
インドで抱えているモヤモヤは第三者に吐き出しましょう!
参考リンク:ココナラ 愚痴・相談
日本の悪いところを思い出してみる
先日、下記のツイートをしました。
「インド生活は大変じゃない?」と言われます。
確かに大変ですが
・朝6時台に家を出る
・夜11:30頃に帰宅
・夜ご飯は帰宅後または会社の近くで外食
・満員電車に片道1時間半
・遅刻厳禁
・海外旅行は年1程度という東京の生活の方が、控え目に言ってインドの10倍くらい大変でした🙄
— TATSUYA@インドwith中国妻 (@asia_kaigailife) January 19, 2020
日本は清潔でサービスが素晴らしく、ご飯も美味しくていつでも快適に過ごすことができます。
しかし、高品質なサービスは労働者側の負担によって成り立っているので、働く側からしたら大きな負担になります。
具体的には
- 通勤ラッシュに遠距離通勤(日本に専属ドライバーはいない)
- 高い家賃(会社は家賃を負担してくれない)
- 長時間労働(家族と過ごす時間は短い)
などが挙げられるのではないでしょうか。
これらは全て東京を始めとする大都市圏の欠点なので地方へ行けば違うかも知れませんが、地方だと都市に比べて職種が限定されてしまいます。
インドでは、上記に挙げたようなストレスからは解放されるはずなので、イライラしたら日本の欠点を思い出してみるのも良いかも知れません。
「おうち時間」を充実させる
外に出てもイライラするだけなのであれば、おうち時間を充実させるのも一つの手です。
家の中が刑務所から御殿へと様変わりします。
ドラマや映画を楽しむ
せっかく時間があるので、前から見たいと思っていた映画やドラマを見たり、電子書籍を読むのも1つの手です。
私の知り合いはインドで持て余した時間を活かして、以前から見たいと思っていた連続テレビ小説「おしん」の全297話をNHKオンデマンドで見たそうです。
インドの家は広いので、プロジェクターを買ってPCやスマホと繋げ、大画面でネットフリックスを楽しむのも良いと思います。
しかし、日本の動画サービスは海外からは接続できません。VPNサービスを契約し日本のサーバーへ接続しなければなりません。
私はセカイVPNを使っていました。
VPNの会社は多くありますが日本の会社なので日本語で全ての手続きが完了しますし、問い合わせも日本語で丁寧に対応してくれます。
VPNへ接続することで、AbemaやHulu、NHKオンデマンドなどの日本の動画配信サイトを見ることができます。
ところで、インドはYouTubeプレミアムに安く加入することができます!
YouTubeプレミアム1180円?するので入ろうかどうしようか迷ってましたが、インドだと約210円で加入できることが判明!
ネットで調べたら、日本からVPNを通って私の住んでいるチェンナイのサーバーまでわざわざアクセスしてYouTubeプレミアムに申し込んでる人が大勢いることを知って少し感動しました。
— たつや@インド🇮🇳→中国🇨🇳 (@asia_kaigailife) April 16, 2021
この機会にYouTubeプレミアムへ申し込んで、広告に時間を奪われず動画を楽しむのも良いと思います。
自宅で体を動かす
インドの道はデコボコで交通事故も多いため、とても歩けません。
通勤は車が基本で、運転手が自宅まで迎えに来るため、意識しなければ1日1000歩も歩かないでしょう。
運動不足はストレスの原因になるので体を動かした方が良いですが、外は大気汚染で運動すればするほど健康を害するので、室内での運動がオススメです。
YouTubeなどでヨガや筋トレの動画はたくさんあるのですが、1人だとモチベーションが続かないですよね。
私も、YouTubeでストレッチの動画を見ようと思うと、面白そうな動画がオススメされて、気がついたら2時間以上ゴロゴロしてしまう・・・なんてことばかりです。
モチベーションを保つために、おうちヨガ
個人的には、予約が取りやすく、少人数制で質問をしやすいオンラインフィットネススタジオのSOELUがオススメです。
インドの広い家でインド時間の午前1時30分から午後10時30分までレッスンを受けられます。
ヨガマットなどは、インドのモールへ行けばどこでも格安で売っていますので手軽に始められます。
リアルタイムで生レッスンを受けられることと、少人数のグループレッスンで先生からアドバイスを受けられることが大きな魅力です。
インド生活の運動不足とストレスを解消しましょう。
公式サイト:通わないフィットネススタジオSOELU
越境テレワーク(EOR)で働く
最近は駐在員妻、駐在員夫の人達が海外に在住しながらフルリモートで日本の会社に就職する例も増えています。
キャリアの断絶になりませんし、時間を有効に活用することができます。
越境テレワークについては企業が、海外在住の人材を継続雇用&新規採用するときに心がけることというダイヤモンドオンラインの記事で紹介されています。
リクルートやJACリクルートメントなどの日本の転職エージェントに相談してみると良いと思います。
但し駐在員妻・夫の立場で、海外の越境テレワークをすることがインドの滞在許可の規定上許されるのかどうかは私は分かりません(詳しい方がいたらコメント頂けると嬉しいです)。
東南アジアへ旅行する
インドはユーラシア大陸の東西中央にあるため、東南アジアへも中東へもアクセスが良く、日本から行きにくい国へ旅行をしやすいです。
インド自体も悠久の歴史を持ち面白い史跡や絶景がたくさんありますが、インドにウンザリしている方はとてもインド国内旅行をする気にはならないでしょう。
もしインド生活に疲れてしまったら、タイ、マレーシア、シンガポールなど東南アジアへ行ってリフレッシュするのがオススメです。
東南アジアへ行けばイオンもあり、回転寿司もあり、セブンイレブンやファミリーマートもあるため感動します。
シンガポールへの旅行についてはインド在住者がシンガポールへ買い出しに行く時に必要な情報まとめをご覧ください。
バンコクへの旅行についてはインド在住者がタイのバンコクへ買い出しに行く時に必要な情報まとめをご覧ください。
また、日本へ一時帰国した時にインド生活に必要なアイテムを購入して、インド生活をより快適なものにすることも大切です。
インド生活に役立つアイテムについては【インド駐在予定者必見!】赴任前に買うべきインド生活必須アイテムをご参照ください。
それでも無理ならインドを諦める!
インドを乗り切る方法をご紹介しましたが、嫌いな国を無理に好きになろうとしても無理です。
あまり我慢しすぎて離婚になった夫婦も何組か知っています。
あまりストレスを溜め込みすぎず、どうすれば早く日本へ帰れるか考えた方が良いかも知れません。