インド就職の6つのメリットと唯一のデメリット

インド就職に興味があるんだけど、実際のところインドって他の国と比較してどうなんだろう?

そんな疑問にお答えします。

私はインドで現地採用として働いて1年半ほどになり、他のアジア諸国で現地採用として働いている方々と定期的に情報交換をしています。

インド就職には、他の国にはない多くのメリットがあります。

先日、以下のツイートをしました。

この記事では、上記ツイートを掘り下げてインド就職のメリットとデメリットを詳しくご紹介します。

この記事を読めば他の国と比べてインド就職にどのような特徴があるのかを理解することができます。

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キャリアアップに繋がる仕事

最も人気のある国はタイとマレーシアですが、タイやマレーシアの場合には日本人が多いため競争が激しく、また駐在員も多いため現地採用だと裁量の狭い仕事が多くなりがちになります。

私の場合は経理でしたが、あるマレーシアのエージェントからは、こんなコメントを頂きました。

マレーシア
現地採用ですと基本的には駐在員の下働きに相当するポジションが多いですね。現地人をマネジメントする場合でもルールは本社が決めて、それを運用するポジションであることが多いですね。

実際に複数の人材エージェントから会計関係の職種としてご紹介頂いた求人は仕訳入力作業など裁量の狭い仕事ばかりで、キャリアアップへ繋がっていくイメージが湧きませんでした。

インドの場合、他のアジア諸国と比べて人気がないので現地採用の数が少なく、駐在員も来たがらないため、慢性的に日本人が不足しています。

中国 タイ インド
人口 13億人 7000万人 13億人
日本人数 12.4万人 7万人 9000人

※日本人数は「海外在留邦人数調査統計(平成30年要約版) 」より

上記の表を見て頂くと、いかにインドに日本人が少ないか実感して頂けるかと思います。

インドには日本人が少ないので、現地採用でも現地人スタッフのマネジメントなど裁量の大きい、キャリアップへ繋がる求人が多いです。インドで具体的にどんなスキルが身につくのかは下記記事をご参照ください。

未経験でもチャレンジできる

キャリアアップに繋がる裁量の大きい仕事が多いという点では、シンガポールや香港といった国も同様です。しかしインドが違うのは、ビザが取得しやすく未経験職種へもチャレンジしやすいという点です。

シンガポールや香港の求人は「英語でのマネジメント経験3年以上」など、そもそも英語でビジネスをした経験がなければ応募できない求人が少なくありません。海外駐在等の経験がない人の場合には、どこかでその3年の経験を積まなければなりません。

海外就職未経験の人が初めて英語での職務経験を積む国としてインドはとてもオススメです。インドへの日系企業の進出は確実に増えていますがインドへ来たがる駐在員や出張者は少ないです。従って、たとえ職務経歴が浅くてもインドで頑張る覚悟があればポテンシャルで採用してもらえる可能性が他の国よりも大きいです。

そこで、海外未経験の方はまずインドで海外経験を積んでから香港やシンガポールを目指した方が、日本から直接行くよりもスムーズに転職できるのではないでしょうか。

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待遇は良く物価が安い

シンガポールや香港は未経験職種で応募しづらいだけでなく、物価が高いことも難点です。家賃に至っては東京の2倍以上の相場ではないでしょうか。タイ、マレーシア等も物価は安いですが、インドは更に安いです。給与と物価の比較でいうとインドの方が有利です。

タイ インド
日本人の最低給与 5万バーツ

(約17.5万円)

13.5万ルピー

(約21.6万円)

現地の大卒初任給

平均月収

2万バーツ

(約7万円)

2万ルピー

(約3.2万円)

比率 2.5倍 6.75倍

インドの場合、日本人にのみ上記の額面から30%の所得税を引かれるためもう少し安くなりますが、それでもインドであれば現地採用でも比較的余裕のある暮らしを送ることができます。インドの現地採用は、余程無駄遣いをしなければ貯金もできれば旅行もできます。

給与の他、福利厚生でも比較的インドは恵まれている印象です。インド現地採用の福利厚生については下記ブログで分かりやすく解説されていますのでご参照ください。

【現地人材コンサルタントが解説!】インド現地採用の《福利厚生》とは?

結婚している方の場合、「奥さんが専業主婦で旦那だけ仕事をする」(またはその逆)というスタイルを現地採用で実現できるのはインドくらいではないでしょうか。

旅行について補足しますと、インドはユーラシア大陸の中心に位置していますので、東南アジアへも旅行しやすいですし、日本からはとても行きづらい中東や中央アジアへも気楽に旅行をすることができます。

そして、日本へ帰るよりもトルコやイタリアへ行く方が近いくらいです。インドは歴史が長い国のため、国内にも魅力的な観光地がたくさんあります。

ここまで、インドの待遇と物価の概要をご紹介しましたが、インドでかかる生活費の詳細については下記記事をご参照ください。

ビザを取得しやすい

シンガポールを筆頭に、アジアでもビザの要件が厳しくなる国が増えてきています。

以下の表は、2019年4月現在の就労ビザ取得要件比較表です。

学歴 職歴 最低月収
シンガポール 原則大卒 関連業務経験 SPD 3,600

(JPY 28万)

中国 大卒 2年以上 他の項目を含め

総合的に判断

タイ 制限なし 制限なし TB 5万

(JPY 15万)

インド 制限なし 制限なし NR 13.5万

(JPY 21.6万)

シンガポールは年齢と学歴によって最低年収が変わります。同じ大卒でも、シンガポール政府が参考にする「世界大学ランキング」で一定の基準を満たす大学を卒業していると優遇されます。

中国は月収、学歴、職歴、中国語力などが点数化され総合的に判断されます。2017年以降導入されたこの点数制度によって中国のビザ取得が非常に難しくなっています。

一方、インドのビザ要件は「年収が162万5千ルピー以上(以前は「年収USD 25,000以上」でしたが2018年に改定されました)」であることだけで、学歴や職歴などの要件は一切関係ありません。中卒でも高卒でも大丈夫です。

インドで問われるのは経歴や資格ではなく覚悟!過去より未来です!

インドは、本気で自分を高めたい、変えたいという覚悟のある全ての人に扉を開いています。

なお、タイも就労ビザに学歴要件はありませんが、先ほど述べたとおりインドの方が仕事の条件が圧倒的に良いです。貯金もできるため、高卒の方がインドへ来て貯金をし、通信制などで大学の資格を取って別の国を目指す・・・といったことも現実的に可能ではないかと思います。

タイ就職との比較について下記の記事をご参照ください。

英語力が鍛えられる

上記の「裁量のある仕事が多い」「日本人が少ない」「物価が安くて給料が高い」といった条件は、インドの他にベトナムやインドネシアにも当てはまります。

インドがベトナムやインドネシアと決定的に異なるのは、インドでは事実上の共通語が英語であるということです。ベトナムやインドネシアでも「ビジネス言語は英語」という話は聞きますが、それは日本人とベトナム人が会話をする場合の話で、現地人同士は現地語でコミュニケーションを取ります。

しかしインドの場合には州が異なればインド人同士でも英語でなければ話ができません。北インドは共通語として比較的ヒンディー語が優位だそうですが、南インドの場合は間違いなく英語が共通語になりますし、北インドであっても大卒以上の人は流暢に英語を操ります。

インドでは嫌でも英語力が伸びます。どうして伸びるのかについては下記記事をご参照ください。

「日本ブランド」が通用せず個人の実力勝負

東南アジア諸国は歴史的に日本との関係が深く、人々が非常に親日的で、(特にインドネシアなどの場合)日本人であるというだけで敬意を払われるという話を現地エージェントからよく聞きました。

一方インドでは、「日本人だというだけで敬意を払われる」ということはなく、個人の実力が試されます。もちろん日本に対するイメージは悪くなく、自動車や家電を中心に日本製品に対する信頼は厚いです。

しかし「日本人であること」よりも「あなたは何ができるのか」ということが問われます。たとえ日本人であっても(欧米人であっても)、拙い英語で構わないので自分の意見をしっかりと主張していかなければインド人からは相手にしてもらえないでしょう。インド人と互角に議論できるようになれば、世界中で勝負できる度胸がつくのではないでしょうか。

唯一のデメリット:生活がハード

言うまでもなく皆さんお分かりのことだと思いますが、インドの生活はとてもハードです。「唯一のデメリット」と言っても、このデメリットは非常に大きく、上述した6つのメリットを全て吹き飛ばしてしまうくらいの威力があります。

とはいえ、インドはアフガニスタンのようにテロが発生するわけでもなければ、北朝鮮のように政府の圧政があるわけでもありません。また南米や南アフリカのように、白昼堂々強盗されたり刺されたりということも聞いたことはありません。

では何が無理かと言うと

  • 食べ物が口に合わない
  • 時間通りに物事が進まない
  • 日本のものが手に入りにくい
  • インド人が時間にルーズすぎる
  • 大気汚染

具体的にインドで苦労することについては、下記の記事をご参照ください。

インドが生理的に無理な人は、蕁麻疹が起きてしまうほど本当に無理です。一方、平気な人にとっては何も問題ありません。インドは良くも悪くも非常に強烈なインパクトがあり、人によって好き嫌いがハッキリと分かれる国です。

そう言えば去年インドに行ったような気がするけど、あんまり印象に残ってないなぁ

なんて人は聞いたことがありません。

このブログではインドのリアルな状況を知って頂きたいと思い様々な情報を発信していきますが、本当にインドに適応できるかどうかは実際に来てみないと分かりません。インド就職を検討している方はぜひスカイプ面接だけで決めてしまわず、ゴールデンウィークやお盆休み等の長期休暇を利用してまずは実際にインドへ足を運んでみてください。

インドでの生活は決して楽ではありませんが、他の国では得られないメリットがたくさんあることは上記で述べた通りです。インドでは1年間で5年分の力をつけられると個人的には感じていますので、一定期間、歯を食いしばって頑張ってみる価値はあるのではないかと思います。

この記事を読んで「海外就職にチャレンジしてみたい」と思った方!

どのように海外就職を実現すれば良いのか、海外就職の始め方と実現への道のりまとめという記事にまとめていますのでご参照ください。

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