インドに1年住んで感じた、インド貧困層の想像を絶する生活実態

この記事では、インドの貧困層の生活について、インドで1年ほど生活している私が気づいた範囲のことをご紹介します。

インドは日本人にとって想像を絶する格差社会のため、インドで勤務する日本人が貧困層のインド人と接する機会は少ないです。

しかし街を歩いていると物乞いやホームレスを大勢みかけることがあり、底なしの貧困の実態を感じることはあります。

スポンサーリンク

インドの貧困層の概要

インドの貧困層

世界銀行の定める国際貧困ラインは1日の生活費が1.9ドル(約200円)とされています。

1日200円で衣食住の全てを賄う生活を一生続けるというのは想像を絶しますよね。

世界銀行のホームページによると、インドにはそんな生活をしている人々が1億7000万人もいるそうです(2015年時点)。

Q9. 2015年時点で最も貧しい国はどこですか?

Q9.南アジア(インド、バングラデシュ)、サブサハラ・アフリカ(ナイジェリア、エチオピア、コンゴ共和国)などの人口の多い国は、極度の貧困層が多い国です。インドの貧困層は、1億7,000万人以上で、その割合は世界の貧困層の約4分の1です。人口13億人に対して貧困率が13.4%という結果は、インドには貧困者層が多数存在することを示しています。

国際貧困ラインである1日1.9ドルという金額はルピーに換算すると約135インドルピーなので、月収約4000ルピーということになります。

いくら物価が安いインドでも、少なくとも都市部では流石に月収4000ルピー(約6000円)で衣食住の全てを賄うというのは極めて困難だと思います。

どんなに安い食堂でも50ルピー(約80円)は払わないと食べられませんので、月収4000ルピーというのはホームレスをしながら1日2食でギリギリ食いつないでいける水準ではないでしょうか。

日本人のインドでの就労ビザ発行最低基準が月収13.5万ルピー、大卒の新卒給与が月収2.5万ルピー、ドライバーの給料が1.5万ルピー程度ですから、都市部の貧困層はギリギリの生活だと思います。

なお、上記の世界銀行の1日1.9ドルというラインは、それを下回ると生活を維持できない「絶対的貧困」の定義です。

それに対し、在インド日本大使館の資料によると、インドで「中間層」というのは年間所得が5,000ドルから35,000ドルの人を指します。

国際貧困ラインは上回るものの、年間の所得が5,000ドルを下回る人がインドの低所得層ということになります。

まとめると、以下のように整理できます。1ルピーは約1.5〜1.6円です。

階層 月収
富裕層 20万ルピー以上
中間層 30,000ルピー以上20万ルピー未満
低所得層 4,000ルピー以上30,000ルピー未満
貧困層 4,000ルピー未満

在インド日本大使館の資料では、2020年のインドの貧困層と低所得層の合計人口は9.2億人と予測されています。

インドの都市部に住んでいる貧困層

インドの貧困層

上記の定義で貧困層に属する1.7億人は、都市部でいうとホームレスや物乞いの人達だと思うので、仕事で関わる機会はほぼありません。

それに対して月収3万ルピー(約45,000円)以下の低所得層とは関わる機会がある日本人も多いかも知れません。

ホワイトカラーであれば社会人として2〜3年働けば月収3万ルピーは超える人が多いですが、ドライバーや工場労働者、レストランのスタッフといったブルーカラー層はほぼ低所得層に属します。

ホームレス

チェンナイの道路の高架下には、必ず大勢のホームレスが布を敷いて寝ています。雨風が凌げるためではないかと思います。

日本のホームレスは中高年の男性が多いですが、インドでは老若男女様々なホームレスを見かけます。

高速道路の高架下で、小学生くらいの兄弟が20Lのボトルの水をお椀に注いで飲みつつ学校の宿題をやっているという光景も見かけます。

物乞い

インドの観光地へ行くとかなら必ず物乞いや物売りを見かけます。小学校低学年程度の子どもが物売りをしていることも少なくないので、胸がしめつけられる気持ちになります。

一方、市内でも物乞いや物売りはいますが、私が住んでいるチェンナイの場合には出没ポイントは決まっています。

赤信号の点灯時間が長い交差点と、料金所の前です。

チェンナイ市内には5分以上待たされる赤信号があり、待っているといつも車の窓ガラスをコンコンとノックされ、見ると赤ちゃんを抱いた女性がお金を請求してきます。

最初は可哀相だと感じていたのですが、中には恰幅のよさそうな物乞いや、右手にスマホを持ち通話をしながら左手でお金を請求してくるような物乞いもおり、誰が本当に困っているのか見分けがつきません。

インド人
平日は普通にサラリーマンをしながら夜や週末に副業で物乞いをやっている人もいるんだよ

という噂(都市伝説?)も聞きます。

また私の友人から聞いた話ですが、朝の5時半に玄関のチャイムが鳴って叩き起こされたので、何かと思って出たら物乞いだったことがあるのだそうです。

インドには本当に困っている人が大勢いるのは間違いありませんが、物乞いを見るたびに心を痛めていたら身が持ちませんので、インドで暫く生活していると段々と感覚が麻痺して気にならなくなります。

障害者

インドの歩道は障害物だらけのため、5体満足の私ですら外を歩くのは並大抵のことではありません。

ましてや車椅子の方などはとても外を歩ける状況ではありません。私はインドで障害者雇用セミナーへ参加したことがあるのですが、インドの障害者の方はやはり家から中々出られず引きこもりになるのだそうです。

インドには日本のように障害者年金の制度や企業に対する障害者雇用義務などは存在しないので、障害者になると貧困一直線です。

インドには生活保護などもないので、貧困は常に死と隣り合わせです。

インドの障害者保護は、専らNGOなど善意で頑張っている人たちに任されています。

門番・メイドなど

ここからは貧困層ではなく低所得層に属すると思いますが、インドでは中間層や富裕層が住み込みの門番(主に男性)やメイド(主に女性)を雇用しています。

私はお願いしたことがありませんが、毎日来てもらって月に数千ルピー(1万円未満)と非常に安い給料で働いてもらえるそうです。

日本人が住んでいるアパートにはセキュリティがいることが多いですが、彼らは24時間アパートにいて、椅子にボーっと座っています。

夜は階段の踊り場にタオルを敷いて寝ています。チェンナイは5月になると気温が40度を超え、夜でも熱帯夜ですが、彼らは1日中クーラーにあたる機会はありません。

ある知り合いのインド人に聞いた話では、そのインド人が住んでいるアパートのセキュリティはオーナーから衣食住を提供してもらう代わりに無給の住み込みで働いているそうです。

朝から晩まで12時間以上も、携帯も新聞も持たずに同じ椅子に座ってボーっとし、夜になると椅子をどけてその場で横になって寝ている・・・という人も見かけます。

セキュリティが貧困層なのかどうか分かりませんが、日本人がインドに住んで接触する人の中では最も貧しい部類に属し、身近に感じるかも知れません。

スポンサーリンク

インドの生活保護や社会保障

インドの貧困層

インドの社会保障制度については詳しく知りません。しかし私が街を歩く限り、またインド人達の話を聞く限りは全く機能していないようです。

同僚たちの話を聞くと、インドには年金制度などが存在しないから、定年後の親は子どもが養わなければならず、親族間での協力が非常に重要になります。

日本人は無意識のうちに「何かあっても最後は日本政府が助けてくれる。路頭に迷っても餓死はしないだろう」という安心感があります。

実際、日本で生活保護を受給できず餓死してしまった人が全国ニュースになったことがありましたが、「人が餓死した程度のことで全国ニュースになる」などインドでは考えられません。

インドの道端には、生きているのか死んでいるのかすら分からないような人達が寝転がっています。

インド人は政府のことを全く信用しておらず、最後に信用できるのは親族だけという意識が強いです。

従って結婚も親同士の話し合いによって決められるケースが(特に農村部を中心に)依然として多く、同じカースト同士の内部で行われます。

特に私が住んでいるタミルナドゥ州ではカーストの影響が極めて厳格に残っており、また親族で財産を守らなければならないという意識が強いことから、従兄弟(いとこ)や再従兄弟(はとこ)同士での結婚も少なくありません。

カースト制度と貧困層との関係

インドの貧困層

インドへ来る前の私は

富裕層 = カーストが高い

貧困層 = カーストが低い

と考えていました。

しかしインドには「指定カースト・指定部族法」という法律があり、低いカーストの人達は役所への就職や大学進学などで圧倒的に優遇されています。

一方、私の知人では最高カーストのバラモンでも圧倒的な貧困の中から自力で頑張って稼いでいる人もいます。

現在では職業とカーストの紐づけは(ヒンドゥーのお坊さんであるバラモンを除き)強くありません。

もちろん、カーストと貧困との間にある程度の相関関係があるだろうとは思いますが、カーストと貧困を安易に紐づけるのは早計だと個人的には感じています。

カースト制度の詳細についてはインドに1年住んで感じたカーストの見分け方と差別の実態をご参照ください。

富裕層・中間層の貧困層に対する視線

インドのホテル

「インドは差別が激しい国」というイメージはあると思いますが、富裕層・中間層の人達の中には低所得層・貧困層の人達を敬遠したがることが少なくありません。

インドの富裕層は上記の写真のようなピカピカのホテルに宿泊したり、日本と全く変わらない綺麗なオフィスで仕事をします。貧困層が住む世界とはまるで別世界です。

最高カーストのバラモンについては、先祖から代々受け継いできたヒンドゥー教の知識を持っていますので、貧しくても尊敬を受けますが、一般の貧困層の人達は富裕層・中間層からは敬遠されがちです。

日本も格差社会と言われてはいますが、(相対的)貧困層であっても文字は読める人が多いですし、YouTubeを楽しんだりTwitterで発信することもできます。

しかしインドの貧困層には文字を読めなかったり、学校に全く通っていなかったりする人達も少なくありません。

一方でインドのエリート層はネイティブと同レベルで英語を話し、世界のどこへ行っても成果を出せる人達なので、まるで別世界の人達です。

中間層の人達が低所得層や貧困層を敬遠するのを見て、インドへ来た当初の私は「酷い差別だな」と憤っていました。

しかし1年住んでみると「確かに、中間層が低所得層や貧困層と関わりたくないと感じる気持ちは分かる」と思うようにもなりました。

私が低所得層と関わってイライラした経験、また知人から聞いた話を列挙します。

  • レストランで注文するとき、メニューに番号が書いてあったので「14番,25番,31番をお願いします」と言ったら、その番号を電卓にメモして勝手に足し算され、14+25+31=70番のメニューが出てきた(悪気は全くないです)
  • 「全品10%引き」ということで3品頼んだら、「3品なので30%引き」と言われた(客からすると嬉しいですが、自分が店の経営者の立場でこんな従業員がいたら教育するのが大変だろうなと思います)。
  • 夜中の3時に玄関のベルが鳴ったので何事かと思ったら、セキュリティから「玄関の前の灯りがついてます」と言われた(午後7時からずっと点けてるのに、なぜ午前3時に起こす?)。

インドの貧困層・低所得層はまともな教育を受けておらず文字も読めないような人が少なくないので、可哀相なのは間違いありません。

もちろん、貧困層・低所得層の方でも優れた人間性の方が大勢いるのも間違いありません。

しかし全体的な傾向としては教養がなくてマナーを欠き、興味や関心も中間層以上とは異なることが多いので、富裕層や中間層が貧困層を敬遠したくなる気持ちも分らなくはありません。

なんというか、「話が通じなさ過ぎて自分のメンタルが持たない」という感じです。

しかしながら、(少なくとも私が住んでいる南インドのチェンナイでは)貧困層の人達は決して私たちのことを攻撃してきている訳ではありません。

観光客を騙そうとする詐欺師に対しては毅然とした態度で臨む必要がありますが、レストランやスーパーで接する善良な人達にイライラしてしまうのは単に私の器が小さいだけです。

「悪気がないのは分かるから憎めないんだけど、いくらなんでもイイ加減にして欲しい!」と絶叫したくなるのがインドです。

常に限界を試してくるインド

インドの貧困層

インドにいると、世界の最底辺の貧困を感じることがあります。

「差別は良くない」「格差社会は良くない」と考えていても、綺麗事だけでは済まないと実感することが多々あります。

「貧しい人達は可哀相」と考えていると、その同情心に漬け込んで詐欺を働こうとする有象無象も山ほどいます。

まずは自分の身を守ることが最優先です。

インドでは、貧困問題、差別問題や環境問題を始め、世界の抱える諸問題が隠蔽されることなく白日の下に晒されていますので、関心のある方はぜひインドへお越しください。

スポンサーリンク