日本人から見るとインドは謎の国ですが、逆にインド人から見ると日本は謎の国のようです。
私もインドに住んでいると様々な質問を受けますが、その中で印象に残った質問を選んでご紹介します。
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日本語と中国語は違いますか?
これは、中国語も日本語も漢字を使っているため、会話もある程度通じるのではないかという疑問です。
日本と中国が全く別の国ということはよく理解しているですが、言語や料理といった文化面となるとやはり見分けをつけるのは難しいようで、
- 箸は日本でも中国でも使うのか?
- 日本料理と中華料理は違うのか?
- 中華料理にも寿司や天麩羅はあるのか?
といった質問も受けます。
自動車産業で働いてますか?
インド人にとって「日本」と言えば広島・長崎への原爆投下と自動車産業というイメージが強いです。インドには日本車がたくさん走っています。
車に全く興味のない私でも、さすがに街を走っている車が殆どスズキだということは気が付きます。インドにはTATAという車がありますが、トヨタ、ホンダ、日産などの車やヤマハのオートバイをよく見かけます。そして、横浜タイヤの看板もよく見かけます。
但しインドネシアのように「日本ブランドであれば何でも信用できる」というわけではなく、「日本には自動車産業以外にも強い産業がありますか?(インドには何もないけど・・・)」と聞かれます。
携帯電話はSUMSUNGやHUAWEIをよく見かけますし、家電はSUMSUNGやLGを見かけることが多いです。
そのように、「日本といえば自動車産業」というイメージが強いので、「日本人です」と言うと「自動車業界にお勤めですか?」と聞かれます。
日本にもアニメ以外のドラマや映画はありますか?
インドでは膨大な数の映画が撮影されていますが、日本でインド映画に触れる機会は殆どありません。
それと同様に、インドにも日本のドラマや映画は殆ど入ってきておらず、インド人が知っているのはアニメや漫画だけです。
日本のアニメは世界を席巻しているので、もちろん一般のインド人も存在は知っており、インドにもオタクは大勢います。
インドは仏教発祥の地ですが、手塚治虫「ブッダ」の英語版が売られています。
しかしインドでは、アニメ以外の一般の日本のドラマは全く流行っていません。
日本人とインド人が共通で知っている俳優はアメリカの俳優だけというのも寂しいものがあります。
広島と長崎にはまだ人が住んでいるんですか?
先ほども少し書きましたが、インドでも原爆投下は非常に有名です。
タクシードライバーにも「どこから来たの?」と聞かれて「日本人です」と答えると「オー、スズキ、ホンダ、ヒロシマ、ナガサキね」と言われます。
家の近くの食堂のおじさんは全く英語ができませんが、私が行くと「おー、ジャパン、ヒロシマ、ナガサキ、ボーン!」などと言われます。
日本と言えば自動車産業、そして広島・長崎の原爆投下というイメージが強いようです。
そして、広島・長崎に原爆が投下された瞬間の写真は(学校で習ったのか)みんな見たことがあるようなのですが、その後の復興については全く知られていません。
広島・長崎は原爆によって壊滅し、今でも人が住めない死の街になっていると思っているようです。そこで、広島・長崎の現在の写真をGoogleで検索して見せると、とても驚くとともに「素晴らしい!」と喜びます。
アメリカに原爆投下の仕返しはしようと思わないんですか?
最初にこの質問を受けたときはビックリしましたが、5人くらいから同じ質問をされたので同様の疑問を抱いているインド人は多いのかも知れません。
インドでは原爆のことはよく知られていますが、日本が中国大陸で戦争をしていたことや真珠湾攻撃のこと、それからナチスドイツと同盟を結んでいたことなどはあまり知られていないようです。
日本とアメリカの戦争を日露戦争の延長で考えていて「日本がアジアの代表として白人国家のアメリカと戦ったら、原爆を落とされて降伏させられ、アメリカ軍を駐留させることを強制させられた」と考えているようです。
スリランカ在住の日本人から聞いた話では、スリランカ人も「アメリカは絶対にやってはいけないことをやった。だから、私たちは日本が戦争に負けたとは思っていない。」と言っていたそうです。白井聡氏の「永続敗戦論」という本によると、中東の人々も同じ認識を持っているようです。
従って、「原爆投下に関してアメリカに反感を持っている日本人はいるが、アメリカに核攻撃で仕返しをしようと考えている日本人はほぼ皆無だ」というと、驚いた反応をされ「何故だ」と質問されます。
これに対しては逆に「ではインドがイギリスに植民地化されていたリベンジとして、インド人はイギリスを植民地化しようと計画しているのか」と質問すると黙ります。
日本にはどんな自然災害がありますか?
インドにはサイクロンがよく来て、洪水で人が亡くなります。私は経験がありませんが、2014-15年の秋にはチェンナイにも巨大サイクロンが来て、大勢の方が亡くなったそうです。
インド人に質問されて改めて考えてみると、日本では地震、津波、火山の噴火、洪水、台風、降雪、旱魃、猛暑など、ありとあらゆる自然災害が発生していることに気がつきました。世界の自然災害のニュースを見て「そんな自然災害は日本では聞いたことがないなぁ」などと感じた記憶がありません。
インド、特にチェンナイは1年中暑いため雪を見たことがない人が殆どで、「雪で人が死ぬ」ということを知らず、とても驚きます。
インドと日本の距離はまだまだ遠い
インドは親日でも反日でもありません。
日本車はたくさん走っているものの、日本は身近な存在とは言えず、日本のことを詳しく知っているインド人は多くありません。
しかし悪いイメージは持っておらず、ちょうど日本が北欧諸国に抱くようなイメージかと思います。