
年間180日以上インドへ滞在する外国人は14日以内にFRROと呼ばれる外国人登録手続きをしなければなりません。
駐在員・現地採用を問わず多くの企業では会社の総務(インド人スタッフ)が手続きをしてくれるようですが、中には自分で手続きをしない方もいると思います。
この記事では、FRROの手続きの流れと必要書類をご紹介します。
なおインドのFRRO手続きは頻繁に変更になり、また地域によって求められる書類が異なるので注意が必要です。
Contents
FRROとは
FRROとは"Foreigner Regional Registration Office"の略ですが、インドに180日を超えて滞在する外国人は、必ず入国後14日以内に入国管理局に登録をしなければなりません。
申請期限の14日を超えても国外追放やビザ更新拒否などの問題は発生しませんが、ペナルティが請求されます。
- 到着から14日以降3ヶ月迄 21,600 INR(約3万円)
- 到着から3ヶ月以降 53,600 INR(約8万円)
FRROがなければ銀行口座を登録できないですし、インドからの出国やインドへの再入国もできないため、FRRO手続きを放置していると大変なことになります。
従来はオンラインで書類をアップロードしたあと、FRRO事務所へ行って手続きをしなければなりませんでした。
しかし、2018年からデリー・ムンバイ・バンガロール・チェンナイに限りオンラインだけの手続きで完了できるようになりました。
※対象エリアは随時拡大していく予定のようです。
FRRO事務所というのが非常にふざけていて、10時間待たされて「明日また来い」と言われることが1週間続く・・・といったことがザラにあるそうです。
私は2018年8月にチェンナイへやって来たので、幸いなことにFRRO事務所で無駄な時間を過ごす必要はなく、全てオンラインで完了することができました。
なお、e-frroになったと言っても非常に面倒臭いことには変わりありません。
日本の役所手続きの感覚で臨むとイライラするだけなので、相当な覚悟を決めて臨んでください。
とはいえ、最終的にFRROが承認されずインドから出られなくなったとか、逆に強制送還になったという話は聞いたことがないので、粘り強く頑張れば道は開けます。
e-frroの申し込み
オンラインのFRRO手続きは下記のe-frroというサイトから行います。
登録を進めると、申請に必要な書類の一覧が表示され、それらの書類をPDFで準備してオンライン上でアップデートします。
オンラインフォームの入力方法については、下記のブログでとても分かりやすく詳細に説明されています。
【2019年最新版】インド在住者必見!《FRRO/e-FRRO》オンライン申請方法を分かりやすく解説!
インドの役所は地域によって、担当によって言うことがコロコロ変わり、FRROも例外ではありません。
私の場合、以下のような書類が必要だと表示されました。
REQUEST LETTER & UNDERTAKING LETTER
Request Letter & Letter Of Undertaking Form Company/ Organisation Signed By Indian Host or Authorized Signatory With Name And Contact Number for Registration.
会社からのUndertaking Letterと、個人と会社でRequest Letterを作成します。身元保証書と招聘書のようなイメージでしょうか。Request LetterはFRROの承認をリクエストする文書でした。Undertaking Letterは「何か問題が発生したら会社の費用負担で本人を送還します」という内容の文書でした。会社に雛形を聞きましょう。
PASSPORT AND VISA
パスポートの写真のページ(有効期限が書いてあるページ)、インドへの入国日のスタンプが押されているページ、ビザのページのスキャンが必要になります。ものによって、PDFだったりJPEGだったりするので、提出時にフォーマットを確認してください。
RESIDENCE PROOF
Copy of Form C From Hotel / Lodge OR Electricity Bill / Landline Telephone Bill / Municipal Bill Of The Landlord Along With a letter and Photo-ID Card Of the Landlord Or Rent / Lease Agreement
字面通り読むと「Form Cか大家への請求書、そして大家のPhoto IDカードか賃貸契約書」と読めるような気がしました。
しかし実際に申請すると、以下の書類が必須でした。
- Form C
- 大家宛の電気代等の請求書
- 賃貸契約書
Form Cについては一悶着あったので、後ほど詳しくご説明します。
大家宛の電気代の請求書は大家の住所確認のために必要なようですが、どうしてFRRO(≒入国管理局)が大家の住所を知る必要があるのかは不明です。
まだ家が見つかっていない場合にはホテルにForm Cを発行してもらうことなどもできるようですが、住所が変わるとFRROも再申請しなければならないので、非常に面倒くさいです。
Contract Paper
会社との雇用契約書です。こちらは日本でのビザ申請の際に大使館へ提出したものと同じです。
Tenant Verification
家の賃借人に犯罪歴がないことを警察に証明してもらうための書類です。警察署へ行って発行してもらわなければなりませんが、これが地獄でした。
インド生活最大の苦行だったと言っても過言ではありません。「インド警察の凄まじさ」を目の当たりにしました。
詳しくは下記記事にてご紹介します。
※どうもニューデリー、グルガオンでは必要ないようです。
PHOTO
登録の写真が必要ですが、「背景は無地にすること」など様々な要件がありますので、下記サイトをご参照ください。
オンラインから上記のファイルを提出しますが、1度提出しただけでは終了せず、何度かいちゃもんをつけて出し直しをさせられます。
ある時は「Undertaking Letterには役員のサインが必要」と言われていたのに、次回の提出時には突然「Undertaking Letterは(日本人の)役員ではなくインド人のサインが必要」と言われるなど、とても混乱します。
全てのファイルを提出し、FRROから承認されると支払が求められ、カードで支払を済ませたら終了です。
英文卒業証明書(2019年7月追記)
私がFRROを申請した2018年9月時点では必要なかったのですが、2019年7月現在デリーでは英文卒業証明書のアップロードが必要となっているようです。
2019年7月現在ではチェンナイのFRROで英文の卒業証明書が要求されたという話は聞いたことがありません。
英文卒業証明書をアップロードするための専用項目はないので、「Others」という項目にアップロードするしかありません。
卒業証明書をアップロードしなかったらFRROオフィスから呼び出されるという情報もあります。英文卒業証明書は、インド渡航後に日本から送ってもらうのは大変なため、日本にいる間に取得することをおススメします。
※個人的には、英文卒業証明書を要求するべきタイミングはビザ申請時であってFRRO申請時ではないだろう・・・と思いますが・・・。
Form C
Form Cというのは外国人がFRRO事務所へ提出する住所証明なのですが、この発行が非常に面倒臭いです。順を追ってご説明します。
大家からFRROへ申請書をメールで送付してもらう
まず大家に「Form Cを作成するためのポータルサイトへログインするためのIDとPWをFRROから発行してもらうこと」の申込をしてもらわなければなりません。
ここで大家が面倒臭がって手続きしてくれないと、FRRO手続きが前に進みません。
Form Cを発行できなければFRROの承認が下りず、FRROの承認が下りなければ銀行口座も開設できずインドからも出られないので、大家が全く動いてくれない場合には
大家には、下記のサイトからForm C作成用マイポータルページのIDとPW発行を申請してもらいましょう。
上記サイトで"Registration Form(申請書)"が発行されるので、その申請書を印刷、署名してもらい、PDFをメールで送ってもらいます。
送信先のメールアドレスは拠点毎に異なりますので、下記のサイトから確認してください。
大家から上記メールアドレスへメールで送ってもらうものは下記3点です。
- サイン済申請書のPDF
- 大家宛の電気代等の請求書
- 大家のIDカード(PANカードなど)
FRROからForm C作成サイトへのログインID/PWを発行してもらう
私の場合、大家に申請をしてもらってから1週間以上経ってもFRROからの連絡がありませんでした。
マイページのIDとPWを発行するだけなのにどうして1週間以上かかるのか謎です。
FRROオフィスへ電話をしたところ、3日間ほど朝から晩まで何度電話をしても全く繋がりません。
そこでメールを5回ほど送ったところ、FRROから以下のようなメールが返ってきました。
要するに「メールじゃなくて電話で連絡しろ」という返信です。
あまりにも頭に来たので
I can't complete my FRRO procedure because of FRRO.
I have called FRRO on the phone more than 30 times but the call has never got through.
Please issue the ID and PW by e-mail immediately.
というメールを上記の通り赤字で、フォントサイズを48ptくらいにして、太字で、下線をつけて、立て続けに40通くらい連続で(同じメールを)送りつけました。
すると、さすがに目立ったようで、すぐにFRROから「今日中にIDとPWを発行します」という返事があり、その日の夜無事にIDとPWが発行されました。FORM Cを作成できました。
Form Cを作成する
FRROからIDとPWが発行されたらほぼ終わりです。
発行されたIDとPWで下記サイトからログインし、Form Cを発行します。
FRRO手続を放置するとどうなるか
出国時にはFRROを出国審査官に提出する必要があります。つまり、FRROの手続きが終わるまではインドから出られません。何かの間違いで(出国審査官がきちんと確認せずに)出てしまうと、今度は再入国できなくなる可能性もあります。
FRRO手続完了前に親が死んだらどうするの?と思いますが、日本大使館・領事館に泣きつくしかないと思います(泣きついて解決するのかどうかは不明です。すみません)。友人の結婚式の予定などを入れてしまうのはリスクがあります。
また、FRRO手続が完了しなければ銀行口座も開設できないので給料ももらえません。
なお日系企業では聞いたことがありませんが、インド系企業に勤めている方の場合、会社が必要な書類を用意してくれず申請が進まないという話を聞くことがあります。
インド系企業への就職にはかなりのリスクがありますが、具体的にはこういったところでリスクが顕在化します。粘り強く会社に交渉するしかありません。
FRRO取得後の手続き
FRRO取得後は年に1回、FRRO事務所を訪問して所得税の申告書(Income Tax Return)を提出しなければなりません。
あまり知られていませんが、ルールとして決まってはいるので念のため注意が必要です。
詳しくはインド生活 FRROへの年1回のINCOME TAX RETURN(所得税申告)提出の手続きをご参照ください。
FRRO手続のポイント
インドで物事を進めるポイントは、とにかく非暴力で「騒ぐこと」「目立つこと」「面倒な奴だと思わせること」のようです。黙って大人しく待っていると永久に放置されます。
暴力を振るったり乱暴な言葉を言ってはいけませんが、理屈が通っていて丁寧な言葉遣いであれば大声でワーワー騒いでも問題ありません。
ポイントは、怒りに任せて感情的にキレるのではなく、状況を有利に運ぶため冷静に計算して大声で怒鳴ることです。
たかが外国人登録手続ですが、インドに限っては上述の通り非常に大変です。
かなり多くの方が心を折られます。
心が折られてインドが嫌になって帰ろうにもFRROが終わらなければ出国できないので、逃げようがありません。
但し今はオンラインだけでFRRO手続きが完了するので、有料でFRRO手続きを代行してくれる日系企業もあるようです。
オンラインの手続きですらこんなに大変なのに、2017年以前はFRRO事務所へ行って毎日10時間以上待たされていたそうです。その頃の手続きは本当に地獄だったと思います。
インドはで必要となる「どんどん主張する」というスキルが最初に必要となるのがFRRO手続きなので、まさにインドの洗礼と言えます。
インド旅行は準備が大切です!インドに到着してから戸惑わないように、必要なものを準備しましょう。