インドへ赴任・転職し、最初の関門であるFRROとPANカードを取得すると、次に待ち受ける関門は銀行口座の解説です。
どの銀行で口座開設をすれば良いか、どこから手をつけて良いか不安な方が多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では、私が2018年にインドで銀行口座を開設したときに必要となった手続きをご紹介します。
私は開設までに1ヶ月以上かかりました。
現地採用の方は、どの銀行口座で開設するのかを選ぶときにPF還付問題に気をつけることが重要です。
この記事を読めば、銀行口座手続きの概要と口座を開設すべき銀行の選び方が分かります。
AXISやHDFCで銀行口座を開設するのがオススメな理由
個人的には、AXISやHDFCがオススメで、ICICIはお勧めできません。
理由は、ICICIはFRRO(外国人登録証)が失効した瞬間に口座凍結されてしまうからです。
インドへ来たばかりの方は、インドを離れる時のことまで考えられないかも知れませんが、インドへ来た時からインドを去る時のことを考えておくことは重要です。
ICICIで口座開設をしている人からは「FRRO失効日に凍結された」「日本に6ヶ月いたら、FRROはまだ失効してないのに口座凍結された」などという愚痴をよく聞きました。
外国人が銀行口座を開設するにはFRRO(外国人登録)が必要なので、逆に外国人登録が失効すると銀行口座を持っていてはいけません。
つまり、本来のルール上はFRROが失効したら銀行口座も閉鎖されなければならないのですが、これは困ります。特に現地採用は困ります。
なぜなら、従業員数が20名以上の会社ではインドの年金(PF)が強制控除され、退職まで積みあがります。年金額は給与の24%(会社と従業員が12%ずつ負担)なので、入社から退職まで積みあがると何百万ルピーという金額になります。
この何百万ルピーという年金は、退職後数か月して初めて還付されます。
退職後、PFが還付されるまでの間にFRROの有効期限が切れてしまうと、銀行口座が凍結されて数百万ルピーの年金還付額を引き出せなくなります。
現地採用だけでなく、駐在員の場合も所得税の還付などがある場合もあります。
駐在員・現地採用問わず「日本へ帰国後、インドの銀行口座が凍結されて預金を引き出せなくなった!」という声を聞いたことが何度かあります。
凍結された銀行口座の残高を引き出すにはどうすればいいかというと、もう一度インドで就職してFRROを銀行に提出するしかありません。
結論としてはAXIS BankやHDFC Bankは内部統制が緩く、口座凍結リスクが低いです。
但し内部統制が緩いぶん、AXIS Bankは支店担当者の言うことが信用できない点には注意が必要です。
現地採用のPF還付についてはインド現地採用のEPF(従業員積立基金)還付手続きまとめ【成功談】をご覧ください。
「PF還付は退職する時に考えればいいや」ではなく、今すぐ見てください。
退職後に対策をしたのでは手遅れになる手続きもあります。
退職後に数百万ルピーを失っても後の祭りなので、注意が必要です。
SBI銀行はどうなの?
ICICIが厳しくて、AXISやHDFCが緩いことは有名なのですが、他の銀行は知りません。
インド在住者はよくTwitterで情報交換をしているので、Twitterでインド在住者をフォローして「○○銀行はどんな感じですか?」と質問してみたら良いかも知れません。
もちろんAXISやHDFC口座が凍結されないという保証はありませんが、インド在住者のTwitterなどを見ている限りは凍結されたケースは聞きません
銀行講座開設に必要な書類
結果的に、私が銀行口座開設に必要だったのは以下の書類です。
- 証明写真(特にサイズの指定はなし)2枚
- パスポートの写真ページのコピー(直筆サインをする)
- パスポートのビザページのコピー(直筆サインをする)
- パスポートの直近の入国スタンプページのコピー(直筆サインをする)
- 会社が発行する在籍証明書
- PANカードのコピー(両面・直筆サインをする)
- FRROコピー(直筆サインをする)
- 実家宛の(日本の)電気代または水道代等の公共料金の請求書
- 日本のマイナンバーの番号
但し、インドでは何事も変化します。
役所もそうですが、銀行も支店によって、担当によって言うことが変わる可能性があります。
従って、念のため事前に銀行窓口へ口座開設に必要な書類が何かを確認しに行くことをオススメします。
書類提出後の手続きの流れ
銀行に一通り書類を提出した後、銀行の担当者がオフィスへやってきました。
本当に在籍しているかを確認するためです。
その後「銀行口座開設完了のお知らせ」というSMSが銀行から届き、デビットカードと小切手帳が届きました。
デビットカード受領後、4桁の暗証番号を電話で登録します。手続きは、銀行から送られてきた「利用の手引き」的な書類に記載がありました。
デビットカードにはVISAかMASTERが付いているので、海外でも利用することが可能です。
これだけの手続きですが、申し込みから口座開設完了まで1ヶ月以上かかりました。
私のインドでの銀行口座開設体験
地場の銀行の中には対応が悪いところも多いので注意が必要です。
例えば、2020年3月にはコロナウィルスで「面会するのは危険だから銀行口座は開設できない」などという担当者がいたそうです↓
なお、私氏は「面会とかしなくていいから他に口座開設する方法を開示しろ!」と遺憾の意を表明したとのことです。
— 柿ピー@インド現地採用🇮🇳 (@husyouhei1886) March 14, 2020
ここからは口座開設がどのくらい面倒くさいのかを実感していただくために、私の体験をご紹介します。
まずは、口座開設に必要な書類を確認するために銀行を訪れました。
- そして1時間後 -
ということで、その日は帰宅することにしました。
インドでは常に担当者の名前を控えておかなければならないということを警察の体験で痛感したので、担当者の名刺を頂いて帰りました。
後日、言われた書類を一式揃えて銀行へ行き、受付の人に先日もらった名刺を見せて「◯◯さんに言われた書類一式を持ってきたので、口座開設の手続きをお願いします」と伝えて書類を渡しました。
1時間ほど待っていると(もはや1時間待つことくらい何とも思わなくなりました)、先日の銀行員が申請書類を持ってやってきて「どうして来る前に電話をくれなかったんですか?!」と言われました。
「いや、電話をくれなんて一言も言われてないけど・・・」と思いつつ、指定された申込用紙に名前、電話番号、住所、メールアドレスなど必要な事項を一通り記入しました。
さらに30分ほど待つと先ほどの銀行員が電話を持って走ってきて「上司から電話です」と言ったので、なにごとかと思って電話に出ると「FRROのコピーに直筆サインが必要です。それがないと口座開設はできません」と言われました。
まぁそういうこともあるだろうと思って、念のため想定できる書類は(言われたもの以外も)一通り持ってきており、FRROの証明書も持って来ていました。
「やっぱり他にも必要書類があったじゃないか!」と思いつつ、「FRROは手元にあるので大丈夫です。それ以外に必要な書類はないですか?」と聞きました。
すると銀行員の上司は「FRRO以外にはないから大丈夫です」と言ったので、さすがに大丈夫だろうと思って電話を切りました。
30分ほどすると銀行員から
と言われたので、やれやれと安心して銀行を出ました。
銀行を出てから10分ほどすると銀行員から電話がかかってきて「ちょっと話があるから戻ってきてくれ」と言われました。慌てて戻ると
と言われました。
そして2週間ほど待つと、口座開設完了のメッセージではなく、担当の銀行員から「勤め先の実在性を確認する必要があるので今からオフィスにお伺いします。」という電話がありました。
私が「今からって言われても、今はバンガロールにいるので明後日に来てください」と言うと、「わかりました」ということでした。
そこで翌々日にオフィスで待っていましたが、待てど暮らせど来ません。
午後2時くらいに「いつ来るんですか?」と電話をしたら「今日はチェンナイを離れてるので来週伺います」とのことでした。
そんなやり取りがずーっと続き、日程調整がつかないまま2週間が経過した後、ようやく銀行員がオフィスへやってきました。
そして、何をするでもなくオフィスのインド人の同僚と雑談をして「5日ほど待ったら口座開設完了のSMSが届きます」と私に告げて帰っていきました。その後もちょくちょく電話があり
など、バラバラと色々なことを聞かれ、その度に「5日ほど待ったら口座開設完了のSMSが届きます」言われる日々が続きました。その後2週間ほど連絡がなかったので銀行員に問い合わせの連絡をしました。
そこから更に2週間ほど待ち、ようやく口座開設完了のSMSが届きました。そして更に1週間後の昨日、ようやくデビットカードと小切手帳が届き、口座開設が完了しました。
なお銀行員は電話には出ずメールにも返信せず、なぜかWhatsAppでメッセージを送ると回答がありました。
インドでは「5分」と言われたら1時間、「5日」と言われたら1ヶ月以上待たされるのが基本のようです。