という疑問にお答えします。
予算が月10万ルピー(約15万円)以上ある方はインド各都市にある日系の不動産エージェントに頼めば間違いはありません。
日系の不動産エージェントなら治安が良く快適で素晴らしい家を紹介してもらえますので問題ありません。
しかしインドで起業した方や現地採用の方などの場合には家賃を抑えたいと思いますので、その場合には一般的には日系の不動産は利用できません。
そこでこの記事では、日系の不動産エージェントを頼らずにインドで家を探すときのポイントについてご紹介します。
インドでの家の広さと家賃相場
インドの家は2LDK以上が多く、1人暮らし向きのワンルームや1LDKなどの家はあまり多くありません。
※インドではLDKではなくBHK(ベッドルーム、ホール、キッチン)と呼びますがLDKと同じです。
現地採用の場合、デリー・グルガオン 、バンガロール、チェンナイであれば家賃相場は2.5〜4万ルピー (約3.75万〜6万円)です。
ムンバイは家賃が著しく高く、現地採用でも4〜6万ルピー(約6万〜9万円)のところに住んでいます。
それよりも安いところへ住もうとすると治安が悪くなる場合があるので、もし家賃を下げたい場合には一緒に住んでくれる人を探してルームシェアをする必要があります。
なお、家具つき物件(Furnished)の場合には家具なし物件(Unfurnished)よりも5000ルピー ほど高くなります。
初めて来たインドで家具を買い揃えるのは大変なので、インドによほど長く住みたい方やインドに慣れている方以外は、家具つき物件に住むのが一般的です。
インドでの家の探し方
日系の不動産エージェントを使わない場合、家を探す方法にはインド人が経営しているローカルの不動産エージェントを使うかインターネットで情報を探します。
インターネットで家を探す
インドで家を探すインターネットサービスとしては
- non-broker
- 99acres
などがあります。これらのサービスを使えば不動産仲介手数料はかかりません。
ただアプリを使う場合には、自分でUBERやOLAを使って物件まで辿り着かなければならないため、インド国内で引越しをする方ならまだしも初めてインドへ来たばかりの方は心細いかも知れません。
※UBERやOLAについてはインド旅行者必見!便利な配車アプリOLAとUBERの特徴と利用方法という記事にまとめていますのでご参照ください。
インドのローカル系不動産エージェントで家を探す
もしインターネットサービスを使って自分で探すのが不安な場合には、インドローカル系の不動産エージェントを使いましょう。
ローカルの不動産エージェントは日系エージェントと異なり、現地採用向けの3〜4万ルピーの物件も扱っています。
私はインドのチェンナイへ来て2年弱ですが、街角に物件情報をペタペタと貼っているような不動産業者は見たことがありません。
インドのローカル系の不動産エージェントはほぼ個人で、口コミをもとに営業活動をされているのではないかと思います。
従って、職場の同僚などに信頼できる不動産エージェントを紹介してもらうのが一番です。
もし職場の同僚にあてがない場合には、インド在住者のTwitterをフォローしてコメントをつけるかDMを送り、良い不動産エージェントがいないか聞いてみましょう。
少し古くなっているかも知れませんが、インド在住者のTwitterリストが下記ブログにまとめられています。
家探しに限らず、現地採用、起業家、留学生、インド人配偶者など自分の意思でインドへ来た方はTwitterでインド生活の情報収集するのがオススメです。
各地の日本人会へ参加してもほぼ駐在員しかいないので、現地採用などの方が必要とする情報はなかなか手に入りません。
などと思うかも知れませんが、心配無用です。
インド在住者はインドでの家探しが大変なことは理解しており、みんな喜んで助けてくれますのでご安心ください。
インドのローカル系不動産エージェント利用時の注意
会社の同僚に紹介された方や、Twitterで多くの方からお勧めされた方であれば大丈夫だと思いますが、不動産エージェントが信頼できるかどうかは慎重な見極めが必要です。
インドのローカル系不動産エージェントの中には、以下のような酷い業者もいます。例えば
- 仲介手数料を払ったらすぐ連絡がつかなくなる(オーナーとの各種交渉をしてくれない)
- 人の希望を全く聞いてくれない
といった話をよく聞きます。
これを避けるためには、まずオーナーとの賃貸契約書を締結するまで仲介手数料は支払わないようにしましょう。
そして人の話を聞かない不動産エージェントはさっさと断って、信頼できる他のエージェントを探しましょう。
と、こんな感じで人の話を全く聞かないインド人は(不動産エージェントに限らず)大勢います。
モジモジしていると向こうのペースに押されてしまうので、自分の意思はハッキリと伝え"No"なら"No!"と大きな声で言いましょう。
インドで家を探すときの注意事項
ここからはインドで家を探すときの注意事項をご紹介します。
治安の良いエリアか
インドの大都市は広いので、同じ都市内でも治安の良いエリアと悪いエリアがあります。
どこが治安の良いエリアかは分からないと思うので、就職先企業の同僚に確認したり、Twitterで質問をしたりして事前に確認することをオススメします。
ムンバイの場合は家賃が高いですが、家賃を節約して治安の悪いエリアに家を借りてしまうと危ないので念入りな事前確認が必要です。
また、たとえ治安の良いエリアを選んでも門がない家やセキュリティのいない家だと(特に女性の場合)ストーカー被害に遭ってしまう可能性もあるので、門があってセキュリティがおり、玄関の外にも鍵がついている家がオススメです。
停電対策用の自家発電装置があるか
地域によって差があるものの、インドでは停電が頻発します。
大抵の場合は数秒程度で回復しますが、1時間以上停電することもあります。
特にインドの夏は猛暑で40度を超えるので、停電してエアコンが止まると地獄です。
暑すぎて寝つけず、水をかけながら耐え忍んだなどという話も聞きました。
そこで、停電時にバックアップ(自家発電装置)があるかどうかが極めて重要ですが、インド人オーナーに
と言われたからといって安心してはいけません。
注意しなければならないのが、バックアップの範囲です。
家によってはバックアップの範囲が証明と扇風機だけで、エアコンや冷蔵庫はバックアップの対象外という場合もあります。
そこで「100%バックアップか?冷蔵庫やエアコン(AC)もカバーされるか?どのくらいの停電に持ちこたえるか?(1日か?1週間か?)」と言ったことを詳しく質問する必要があります。
インドの街を歩いていると、上記のような機械をよく見かけますが、これが自家発電装置になります。何百万円もするそうです。
ギザの大きさ
インドでは無制限にお湯が出るわけではなく、上記のギザと呼ばれる設備でお湯を沸かして、その範囲内でお湯を使います。
シャワーを浴びる數十分前に電源をオンにして、シャワーを浴びる直前に電源を切ります。
ギザの大きさはアパートによって異なるのですが、他の家と比べてギザが小さいと思ったら注意しましょう。
デリー・グルガオンの冬は気温が1桁まで下がるので、ギザの大きさは重要な問題です。
築年数(築2〜5年程度がオススメ)
古い家はボロいためオススメしませんが、内見してOKであれば古い家に住む分にはそこまで問題ないと思います。
問題は新築物件です。新築物件の場合には
- すぐに入居できない
- 故障が多い
という場合があります。
新築物件であっても、完成していればすぐに入居できますが、中には「工事中ですが、あと1週間で終わります」などと言われる場合があります。
「1週間で終わる」と言われても1ヶ月以上かかるのがインドなので、未完成の新築物件は要注意です。
またインドの場合、新築物件は故障が多く、入居者が何度か直して2〜3年経つとまともな物件になるケースが少なくありません。
新築物件の場合、例えば水漏れや扉の立て付けなので故障が多いので注意が必要です。
窓や扉の立て付けなどに問題がないか
一見綺麗に見える高層マンションでも、雨漏りがしたり嵐の時に窓ガラスが割れて雨が振り込んできたりといったことがあります。
また、窓が閉まらず汚染された大気がモクモクと入ってくるといった例もあります。
このようなことを避けるため、立て付けなどに問題がないかどうかは確認してください。
1階と最上階は避ける
インドはとても暑いので最上階は照り返しが酷く、とても暑くなります。
一方、1階(インドではGround Floorと呼びます)はゴキブリなどの虫がたくさん発生したり、セキュリティ上の問題があります。
セキュリティ問題については全ての窓に鉄格子がはめられて絶対に外部から侵入できないようになっているマンションもあります。
しかしその場合は逆に、火事などが発生した時に玄関以外に逃げ場がないといった事態になりかねないため注意が必要です。
オーナーの居住地
日本の場合にはハウスメイトなど不動産管理会社がアパートの管理をすると思いますが、インドではオーナーが直接管理をするのが一般的です。
水漏れが発生したり扉が壊れたなどといった場合にはオーナーに連絡して修理してもらいますが、オーナーが離れているとなかなか来てくれない場合もあります。
ただオーナーが離れたところに住んでいてもセキュリティや管理オフィスの人が対応してくれる場合もあるため、故障時には誰がどのように対応してくれるのかを確認する必要があります。
一方、オーナーが近くにいると頻繁に訪ねてきてクレームをつけられたり、勝手にマスターキーで家に入られたりする事例もあります。
もしオーナーに勝手に家へ入られたくない場合には「絶対に勝手に入らないで」と予め強く言っておく必要があります。
オーナーとの相性
正直なところ、これまでに挙げたものと比べても最も重要なのはオーナーが良い人かどうかです。
オーナーが良い人であれば、家の設備が壊れたりしてもすぐに交換してもらえますし、エアコンの修理などでも積極的に協力してもらえます。
ところがオーナーの対応が悪いと、何をするにもストレスになります。
従って、家選びの時にオーナーの人柄を見極めることがとても重要です。インドに来たばかりでインド人の人柄を見抜くのは難しいかも知れませんが・・・
個人的には、オーナーの人柄が悪い時に最もトラブルになるのは退去時の敷金返還ではないかと考えています。インドでは退去時にオーナーが敷金を返金しないというトラブルがよくあるようです。
チェンナイの敷金は家賃の6ヶ月分というのが一般的です(なお、デリー近郊では1ヶ月分が一般的だそうです)。
いくらインドの物価が安いと言っても、家賃6ヶ月分というのは数十万円となるためバカになりません。
駐在員の場合には敷金も会社負担ですが、現地採用の場合には個人負担なので、もし敷金が返って来なかったら大きな痛手になります。
そこで、インドで敷金が返って来なかったときにどういう対抗手段を取れるのか?を検索しました。
すると、「法的措置なんて期待できません。一番有効なのは、毎日粘り強く大家の家に行って扉を叩き、金を返せと要求することです」などという回答が散見されます。
Even if you don't have a legal front, simply ask him/her for money
• Politely &
• Publicly &
• DAILY
Believe me, law will never get you anywhere. But this may.
しかし家を返還したその日に空港へ行きインドを出国する外国人にとって、毎日大家の家を訪ねるというは有効ではありません。
もし家の明け渡し後にもインドに滞在する場合はホテル代がかかりますし、その期間中に敷金が返金される保証もありません。
そもそも「法的措置が有効に機能しない」というのがいかにもインドっぽいです。
以前ある方から聞いた話ですが、いくら大家に談判しても全く敷金を返金してくれないので、知り合いの政治家に相談したらすぐに返金されたそうです。そこで、敷金を無事に返還してもらうには
- 他にも日本人が住んでいるマンションに住む
- 信頼できる不動産屋に仲介してもらう
などの方策が考えられます。
日本人のテナントを歓迎している大家であれば「敷金を返金しなければ日本人コミュニティに悪い噂を流しますよ」という脅しが効くかも知れません。
また、良い不動産屋の紹介であれば、オーナーに対して「あの不動産屋に悪い噂を流しますよ」という脅しが効くかも知れません。予め考えられる対抗手段としては、その程度しか思いつきません。
このような心配をしなくて済むように、信頼できる不動産エージェントから評判の良いオーナーの物件を紹介してもらうことが重要です。
インドで家の契約をするときの注意事項
最適な家が見つかったらオーナーと契約をしますが、契約時にも幾つか注意事項があります。
ここで交渉が決裂したら家を探し直しですが、地域によっても契約内容は異なるようなので、その地域の一般的な契約条件を職場の同僚などに確認することをオススメします。
なおインドでの不動産契約では特に保証人は求められません。
費用負担の範囲を確認する
マンションによっては家賃の中に電気代、WiFi代、ハウスクリーニング(メイド)費用などが含まれている場合があります。
オーナーの家の1部屋を間借りする(下宿)場合などは、ご飯も作ってくれる場合などもあります。
一方、家賃の他に自分で電気代やWiFi費用を払わなければならない場合もあります。
これは家によって異なるので契約書を確認しましょう。
デポジットの金額を確認する
インドでもデポジット(敷金)を預けなければなりませんが、地域によって目安が異なります。
都市 | デポジットの目安 |
デリー・グルガオン | 家賃1ヶ月分 |
ムンバイ | 10万 or 20万ルピー |
チェンナイ | 家賃6ヶ月分 |
バンガロール | 家賃10ヶ月分 |
ムンバイは「家賃○ヶ月分」という形ではなく、10万ルピー、20万ルピーなどキリの良い金額をデポジットとするケースが多いようです。
家に住む場合には
- 敷金(デポジット)
- 前払家賃(1ヶ月)
- 不動産仲介手数料(1ヶ月、但しインターネットサービスを利用した場合は不要)
の金額が必要です。
しかしインドの銀行口座開設には3ヶ月近くかかるケースも多いため、上記初期費用は日本の貯金からの持ち出しが必要です。
最低契約期間(Lock-in period)を確認する
最低契約期間は1年であることが多いです。
例えば最低契約期間が1年である場合、3ヶ月で解約しても1年分の家賃を払わなければなりません。
1年を経過したら(2ヶ月前など)契約書で定められた期間までに伝えれば違約金なしで解約することができます。
日本の携帯電話のように「2年間のうち1ヶ月間だけしか解約できない」などということは通常ありません。
※ベトナムではそういう(1年のうち1ヶ月しか解約できないという)契約もあると聞きましたが、インドではまだ聞いたことはありません。
なお、Lock-in periodを2年にしてもらう代わりに家賃を値下げしてもらうといった交渉が可能な場合もあります。
修理責任を確認する
電子レンジや冷蔵庫が壊れた、ドアが壊れたといった場合の修理責任がどちらにあるかは明確にしておく必要があります。
家具つき物件の場合は修理責任が曖昧だと確実にトラブルになるので、必ず明確にしておいてください。
私の知人には、トイレが壊れたのでオーナーに修理してもらったら10万ルピー(15万円)請求されたという人もいました。
基本的には賃借人の責任になることが多いですが、エアコンのみオーナーが100%修理するといったケースもあります。
修理責任が賃借人にある場合、物件に初期不良がないかどうか、家の隅々まで目を皿のようにして確認しましょう。
家賃の上昇率を確認する
特にムンバイで多いようですが、「毎年4月に家賃が10%アップ」といった契約があります。
こちらも、相場観を職場の同僚やTwitterの方々に確認する必要があります。
最後に
インドの家探しは日本とは異なる苦労がたくさんある一方、日本と比べて融通が聞く部分もあります。
契約よりもオーナーとの信頼関係が重要であったりする場合もあるので、オーナーの人柄を見極めることがとても重要です。
そして「失敗した」と思った場合には、Lock-in Periodを過ぎたら素早くと引っ越しましょう。