インド駐在が決まった方や、インド就職を決断する方は、インドで生活をして健康に悪くないのか不安ですよね。
結論から言うと、インドでの生活が健康に悪いのは否定できないと思います。
私は2018年から1年ほどインドに在住していますが、私がインドに住んでいて感じる健康上のリスクについてご紹介します。
しかし、事前に問題点を知っておくことである程度の対策は可能です。
この記事を読めば、インドで生活する際の健康上のリスクと対策が分かります。
深刻な大気汚染
インドの首都デリー・グルガオン の大気汚染は世界一酷いと言われています。特に11月から2月頃は最悪です。
大気汚染指数(AQI)というものがあり、Googleで"AQI"と検索すると表示されます。
100を超えると健康に悪いと言われていますが、東京は80程度、中国の北京は500程度、ニューデリーは酷いと999などと表示されます。
私は2018年5月にニューデリーへ行きました。5月は比較的マシと言われていますが、それでも外を歩いているとすぐに喉が痛くなりました。
ニューデリー・グルガオンにいるならマスクは必須です。しかしインド人は滅多にマスクをしません。
グルガオンにある大抵の日系企業や家庭には空気清浄機があるそうですが、外資系やインド系には空気清浄機はありません。
従って、屋内でもPM2.5のリスクに晒されます。デリー・グルガオンで就職する場合には、面接の際に空気清浄機があるかどうかを確認した方が良いと思います。
そして自宅でも空気清浄機の購入は必須です。空気清浄機のフィルターはすぐに真っ黒になってしまうので小まめな清掃が必要になります。
一方、部屋の換気も必要なので、常にAQIの数値を確認しつつ数値が低くなったタイミングを見計らって窓を開け換気をする必要があります。
ある日本人に聞いたのですが、マスクをして会社に出社したらインド人から「インドをバカにしてんのか!」と怒られたそうです。しかし自分の身を守ることは第一ですから、怒られてもマスクはしましょう。
- PM2.5を防止するマスクを準備する
- 職場に空気清浄機があるか面接でチェックする(現地採用の場合)
- 自宅用の空気清浄機を購入する
- 大気汚染指数をチェックし、数値が低い日は換気をして散歩する
- 外で長時間散歩をするときには大気汚染予防マスクが必須
マスクについては、通常のマスクでPM2.5を防止するのは難しいです。
N95という米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格に合格した呼吸保護具を装着しましょう。(参考サイト:外出時の「PM2.5」対策)
南インドのチェンナイやバンガロールは、デリー・グルガオンに比べれば空気はマシです。しかし日本に比べれば遥かに悪いです。
上記の写真はチェンナイを走っている二輪車ですが、物凄い排気ガスを出しています。
ビーチ沿いを歩いていれば特に問題は感じませんが、上記の写真の通り排気ガスをガンガン排出するバイクやオートリキシャが多数走っているため大通り沿いを歩くとすぐに喉が痛くなります。
不衛生な水事情
水道水を飲めないのは日本以外のアジア諸国であれば当たり前ですが、インドの水道水は特に酷いです。
シャワーから突然赤錆びた水が出てきたりします。
上記の写真は私の家のバスタブですが、これは長期間放置したわけではなく、水滴が乾いたあと2〜3日家を留守にして帰ってきたらこのような状態になっていました。
水が蒸発し、水分に含まれていた汚れが出てきたものと思われます。インドの水道水は本当に汚いので、たとえ沸騰させたとしても料理には使うべきではありません。
口をゆすぐくらいなら大丈夫と言われており、インド在住の日本人の皆さんは水道水でウガイをしているようです。
しかし私の家の水道水は海水が混ざっているのか、一度ウガイをした時に塩水の味がして気持ちが悪かったのでペットボトルの水で口をゆすいでいます。
私が住んでいるチェンナイは海辺の街なのですが、地元の人から聞いたところによると2015-16年の大洪水の時に上水道の中に塩水が流れ込んでしまって、それ以来一部の地域で水道水が塩水になってしまったようです。
上水道の中に海水が流れ込むということは、その程度の配管設備だということです。
水が汚いため、洗濯をしても綺麗にしてるのか汚してるのか分からないような状況です。従って、大切な服はインドへ持って来ない方が良いです。これは洗濯屋へ出しても保証はありません。
飲み水については20リットル75ルピー(約120円)でデリバリーしてもらうことができます。これを上の写真のようにウォーターサーバーに挿せば、水を安全に飲むことができます。
20リットルの水は非常に重いので、女性の1人暮らしの方は苦労しているようです。
川の汚染は極めて深刻です。
川の水は濁って魚はおらず、悪臭を放っていて常にゴミが散乱しています。
車に乗っていても吐き気を催すおどの悪臭で、私は日本で経験したことがないほどの汚染ぶりなのですが、1960年代の神田川などもこうだったのでしょうか。
運動不足
インドでは駐在であれ現地採用であれ車移動が基本になります。駐在の場合には家族1人ずつに車が割り当てられるので、どこへ行くときも車移動になります。
現地採用の場合には社有車がつかない場合もありますが、自分で配車アプリでタクシーを予約して利用します。
電車やバスを利用するのは非常にハードルが高く、また外を歩くのは極めて困難なため、意識しなければどうしても運動不足になります。
特に北インドでは、上述の通り大気汚染も深刻です。
私はインドへ来る前、東京の生活で特に意識しなくても会社へ通勤するだけで毎日1万歩は歩いていたのですが、インドへ来てからは1000歩も歩くかどうかというところです。
健康診断を受診しない
駐在の方は日本の安全衛生法?に従って一時帰国時に健康診断を受診するはずです。
しかし現地採用の場合、インドでは健康診断の義務づけがないため
などという人もいます。
特に健康に悪いインドに生活しているわけですから、健康診断は小まめに受けましょう。
個人的には一時帰国のときに健康診断を受診するのがオススメです。人間ドックのここカラダなどのサイトで健康診断を受信できる病院を検索できますので、一時帰国前に予約して日本で受診しましょう。
インドに来る場合は健康リスクを覚悟する
駐在員本人は逃れられないかも知れませんが、家族帯同をされる場合には慎重に検討されることをオススメします。
特に、ここまで大気汚染が酷く外で遊ぶこともできないような環境というのは子どもにとって良い環境とは思えません。
現地採用の方は、健康リスクを負ってチャレンジしたいかどうかを是非ご検討ください。
転職エージェントの中には
などという人がいたのですが、さすがに「問題がない」ということはないです。
「インドへ来ても健康上の問題はない」というよりは「健康上の問題があることを覚悟の上で、それでもインドへチャレンジしたいか」という決断です。
健康の心配ばかりして、やりたいことをできないまま終わってしまうのも精神的には不健康かも知れませんので、後悔のないように決断して頂ければと思います。