京都

私は東京生まれ東京育ちで、高校までは他道府県出身の方と関わる機会が殆どありませんでしたが、大学へ進学してから他道府県へ旅行する機会が増え、また他の道府県出身者とも接する機会が増えたため、日本国内で色々とカルチャーショックを受けることがありました。 

しかしそれでも日本に住んでいた時には東京と神奈川以外に住んだことがなかったため、接していたのは他道府県出身者と言っても「東京に住んでいる他道府県出身者」でした。

ところがインドへ引っ越してから、首都圏に全く住んだことがない人とも接する機会が増え、さらに色々なことに気がつきました。

意外なことですが、私だけでなく海外へ住んでから他の都道府県出身者と関わる機会が増えて日本国内のことについても視野が広がった・・・という声を聞くことがあります。

そこでこの記事では、高校まで東京出身者以外とほぼ関わることのなかった私が、大人になってから他道府県出身者と接してカルチャーショックを受けたことをご紹介します。ちなみに、記事の7割は京都に関することです。

この記事の内容は完全に私の独断と偏見のため、私の意見が東京出身者の多数派かどうかは分かりません。

自分自身とマスコミの東京中心意識

東京にいた時は意識しなかったのですが、日本国民全員が東京のことを知っているかのような前提で話している自分に、インドへ来てから気がつきました。

東京の地名を知らない人がいることを想定していない

 インドのバンガロールを歩いていた時に「表参道の雰囲気に似ているなぁ」と感じた通りがありました。そこで、一緒にいた日本人に

この通りって表参道に似てますよね

と言ったところ

日本人
私は東京出身ではないので表参道がどんな雰囲気なのか知らないけど、似てるんだね

と言われたことがあります。

このとき、私は自分が「表参道のことを知らない人がいるというこを忘れていた」ということに気がつき、大変恥ずかしく思った記憶があります。そして、これは私だけではないように思います。例えば以下の記事をご覧ください。

①一発目の食事が麻布・西麻布・六本木・青山・表参道
基本的に何も知らない系の金持ちダメ男は、女の子をキラキラした街に連れて行けばいいと思ってる。麻布でお寿司、青山でフレンチ、表参道でイタリアン。キラキラした所疲れません?ってか、交通の便が悪くない?!神楽坂や乃木坂あたりの静かなところを探してくれる男性が◎

この記事では怒涛の如く東京の地名が並んでいます。このブログを書いた方は、読者が「麻布・六本木・表参道」と「神楽坂・乃木坂」といった地名だけでなく、その土地の雰囲気まで知っている前提で書いています。

神楽坂にも麻布にも行ったことのない人には、この記事はチンプンカンプンではないかと思います。

記事の作成者には全く悪気はなく、東京在住でない人を排除しようと意図的に考えているというわけではなさそうです。単に東京の地名を知らない読者がいることを忘れているのではないかと思います。

では東京出身の私が他の都市のことを知っているのかと言えばそんなことはなく、例えば大阪の梅田・心斎橋・難波・天王寺のそれぞれの雰囲気の違いについて知ったのは20代後半になってからでした。

しかし、大阪や他の土地の地名を知らないことで不便を感じたことはありませんでした。

「日本では・・・」と言って東京の話をする

インドへ来て私が

日本の通勤ラッシュ地獄の生活は本当に大変だったのですが、インドへ来て通勤ラッシュから解放されただけでも海外生活はいいなと思いました。ただ、車の利用が多く歩く機会が減ったので、日本の生活に比べて運動不足ですね

と言いました。すると、ある方から

ある日本人
電車での通勤ラッシュが酷く、かつ車を使わない生活をしているのは日本でも首都圏と大阪近郊だけじゃないかなぁ。

と言われました。

東京都民が全員東京のことしか考えてないとは言わないものの、東京で少し雪が降っただけで全国ニュースで大騒ぎしてしまうあたり、「東京=日本」と考えてしまう東京在住者は私だけではないように思います。

私はインドへ来てから、地方在住者の感覚を経験しています。というのも、インド在住の日本人約9000人のうち、半分を超える約5000人が首都のデリー・グルガオン周辺に住んでおり、日本国内以上に一極集中が進んでいるためです。

インド在住日本人向けの情報はほぼ「デリーに住んでいること」を前提に発信されており、インド在住日本人向けのイベントなどもほぼデリー近郊で開催されているため、チェンナイに住んでいると疎外感を覚えることがあります。

全国ネットで東京のローカルニュースを放送していることに驚く

東京(首都圏)に住んでいると、どこまでが全国ネットでどこからがローカルの放送なのか、見分けがつきません。NHKニュースでも、全国ニュースを読んでいるアナウンサーがそのまま首都圏のニュースを読みます。

従って、どこからが全国の放送なのかということを意識することがありませんでした。

しかしある時、広島県でテレビを見ていたところ、東京にある渋谷という駅の工事に関する特集が放送されていたのを見て驚愕しました。

東京でテレビを見ていて「広島県の駅工事に関する特集」などを見ることはほぼありません。九州新幹線開通とか、そのくらいの強烈なインパクトがある話題でなければテレビでは放送されません。

神奈川県民の誇り高さ

私は結婚後に東京から神奈川へ引っ越し、神奈川で6年ほど暮らしていました。テレビで神奈川県民(特に横浜市民)のプライドの高さというのは聞いたことがあったものの、実際に神奈川に住んでみて神奈川県民の感覚が分かるような気がしました。

東京都民の私にとって、正直なところ神奈川は埼玉・千葉と並んで東京の周辺県の1つでした。中華街などへ行ったことはあったものの、週末にわざわざ「横浜へ行こう」ということにはなりません。

東京にも表参道や代官山といったオシャレなイメージの町はありますし、ベイエリアに行きたければお台場へ行けば良いですし、高校を卒業するまで横浜のことは全く知らず、特段の興味もありませんでした。

東京の人のこの感覚は、神奈川の人からすると鼻持ちならないかも知れませんが、神奈川へ住んでみると神奈川県民の感覚がよく分かりました。

  • 神奈川には全てが揃っている。湘南には海があり、鎌倉のように歴史ある街もあり、丹沢のような山もあり、箱根のような温泉街もあり、横浜のようなオシャレな都会もある。
  • 「たまプラーザ」「青葉台」「湘南台」など意識高い系のオシャレな駅名が多い。
  • 埼玉や千葉の人は神奈川へ遊びに来ることがある。一方、神奈川の人が埼玉へ行くことはない。また神奈川の人が千葉へ行くのは東京ディズニーランドと成田空港(旧・新東京国際空港)くらい。

なお神奈川の中でも横浜、鎌倉と湘南(藤沢など)は特にプライドが高いとよく言われますが、それ以外の地域(県央地域など)は埼玉や千葉と何も変わらない印象です。

関西では奈良より神戸の方が格上だったこと

高校の頃まで、私が京都・大阪・奈良・神戸に対して漠然と抱いていたイメージは

大阪>京都=奈良>神戸

でした。ところが実際に関西の人と接すると、その認識は全くの誤りだということが分かりました。関西の方と接して感じた私の感覚は以下の通りです。

京都の感覚 京都>神戸>…>大阪>奈良
神戸の感覚 神戸=京都>大阪>奈良
大阪の感覚 大阪=神戸>京都>奈良
奈良の感覚 大阪=神戸=京都>奈良

※違っていたらご指摘ください。

いずれにしても、神戸の地位が高く、奈良の地位が低いということが非常に意外でした。

大学の時に何度か関西へ行き、奈良の交通が比較的不便な一方で、神戸は京都や大阪からのアクセスも非常に良く発展していることを知り、初めて事情を理解しました。

以前何かのテレビ(確かケンミンショーだったと思います)で見たのですが、東京で「三都物語の『三都』はどこを指すと思いますか?」とインタビューをしたら、多くの人が

東京人
大阪・京都・奈良じゃない?

と回答し、関西出身のタレントが全員ショックを受けていた記憶があります。私も高校までは関西の中心と言えば「京都・大阪・奈良」だと思っていましたが、実際の三都物語は京都・大阪・神戸です。

なぜこのような誤解が違いが生じるのかについて考えたところ、理由は2つあります。

  • 歴史の浅い東京にとって、京都と奈良は憧れ

歴史の面では東京は京都・奈良にはかないません。日本の歴史や文化という面では京都・奈良に憧れを抱いている人も多いと思います。

修学旅行などでは京都と奈良をセットで回ることが多く、「京都=奈良」というイメージが強いのではないかと思います。

  • 「東京>横浜=神戸」という感覚

大阪の人と話すと、大阪の人は神戸に対してオシャレなイメージを持っていると感じました。一方、前述の通り東京都民はそこまで横浜に興味がありません。

従って、東京都民は必然的に神戸に対しても横浜同様にそこまで興味がなく、奈良の方が神戸より格上という感覚になるのではないかと考えています。

東京の人は観光のことしか知りませんが、関西へ行けば奈良よりも神戸の方が圧倒的に発展していることがすぐに分かり、「奈良の方が神戸よりも格上」などというのは一般的な関西の方の生活感覚からするとかなりズレていることを実感しました。

京都の人から東京の批判を受ける

近畿地方の中心と言えば大阪というイメージがあったので、大阪の人は東京に対して対抗意識を持って接してくるのではないかというイメージがありました。

しかし実際に関西の人と接してみると、東京のことを露骨にディスってくるのは大阪よりも京都の人に多いと感じました。

大阪は戦後復興の歴史や町の雰囲気が東京と似ていると感じ(例えば大阪の日本橋は東京の秋葉原に似ており、梅田は新宿、天王寺は上野、心斎橋は表参道に似ていると思います)、実際に大阪を訪れると非常に親近感がありました。

それに対して京都は東京とは全く異質な都市だと感じました。

京都人から受けたカルチャーショック

率直なところ、高校の頃まで抱いていた京都のイメージというのは奈良と同じで、歴史ある古都として伝統文化の面では尊重するものの、少なくとも明治以降は一地方都市というイメージでした。

実際、関西の私鉄のターミナルは全て大阪市営地下鉄の御堂筋線沿いにありますし、多くの企業も淀屋橋のあたりを中心に大阪へ集まっています。

大学の頃に京都の繁華街である四条河原町を何度か歩いたこともありましたが、梅田や難波に比べれば寂れていて静かで、「歴史ある地方都市」という印象でした。

私が経験した京都人の発言をご紹介します。

印象深かった京都人の発言
京都の食堂に入ったとき、店員から「お客さんはどこから上って来たんですか?」と聞かれる。
⇒「東京から下りの新幹線に乗ってきましたけど」と突っ込みたくなりました。但し東京の人も地方出身者に対して「いつ上京したんですか?」などと「東京が上」という発言を無意識にしているので、お互い様かも知れません。

京都御所の隣にある有栖川宮邸を見学したとき、係員に出身を聞かれ「東京です」と答えると「東京も発展してますよね」と言われる。
⇒深く考え過ぎかも知れませんが、「京都が一番ですが、東京もそれなりに発展してますね」と遠回しに見下されているニュアンスに聞こえました。

運転免許の合宿へ行った時、ある京都出身の人に「所詮、東京は田舎者の集まりなのに都会ぶってるよね」と言われる。

⇒「全国から人が集まるということは、それだけ東京が魅力ある都市だということではないでしょうか?もし京都に京都出身者しかいないのであれば、それは他の地方出身者にとって京都が魅力ある都市に感じられないということではないでしょうか?」という反論が瞬時に頭をよぎりましたが、口には出しませんでした。

実は京都も日本の首都だった

京都の方から

京都人
正式には京都も首都なんだが、日本全体が「なし崩し的」に東京だけが首都という”雰囲気”になってしまったんだよなぁ

という話を聞いたことがあります。私は日本の首都は東京だと思いこんで育ってきたので、京都の人がジョークを言っているのかと思いました。

しかし京都の人がとても真剣に話していたのでジョークとも思えず改めて調べたところ、確かに京都の人が言う通り日本の首都が東京だとは決まっておらず、京都も首都だという解釈は成立します

794年に桓武天皇が平安遷都の詔を発して首都が奈良の平城京から京都の平安京へ移りましたが、それ以降(福原京を除き?)正式な遷都は行われていません。

東京奠都(とうきょうてんと)は、明治維新のとき江戸が東京とされ、都として定められたこと。京都との東西両京としたうえで、慶応4年7月17日(1868年9月3日)に江戸が東京と改称され、同年9月に元号が明治に改められ、同年10月13日に天皇が東京に入り、明治2年(1869年)に政府が京都から東京に移された。

「遷都」というのは「都を移す」という意味ですが、「奠都」というのは「都を置く」という意味です。

都を置くだけなので、古い都(京都)も都のままです。東の都である東京に対して京都を西の都とし、「東西両京」という呼び方があったそうです。

長野県松本市にある旧開智学校という博物館へ行った時、明治時代の小学校の教科書が展示されていましたが、その教科書に記載されていた算数の問題に

「東西両京は約400Km離れている。時速40Kmの汽車では何時間かかるか」

といった問題がありました。(「東西両京」という単語以外はうる覚えなので、全然違う問題だったかもしれません・・・)

明治時代に作成された鉄道唱歌の東海道編にも

ここは桓武のみかどより 千有余年の都の地 今も雲井の空たかく あふぐ清涼紫宸殿

鉄道唱歌東海道編

という歌詞があり、京都が「(今も現役の)都の地」として歌われています。

これらの事例から、少なくとも戦前までは「京都も首都」という意識が日本全国で広く共有されていたのではないかと感じます。

京都以外の人はそんな経緯は忘れてしまい、令和現在では少なくとも東京近郊に住んでいる人で「京都も日本の首都だ」と考えている人は少ないと思います。しかし京都の人は東京奠都の経緯を忘れていません。

  • 京都御所こそが今でも天皇の本当の住まいで、東京の皇居は仮住まい
  • 京都は今でも日本の首都

という話を、京都の人から耳にタコができるほどかされきましたが、京都人の認識の方が正しいようです。

ただ「平安遷都以来、遷都の勅令は出ていないから云々」という理屈でいくと、「奈良時代の743年に発令された墾田永年私財法は明文で廃止されていないから今でも有効」などという話にもなりかねません。

京都の範囲の狭さ

宇治や伏見の人と話すと「一応、京都府出身です」とか「京都の宇治市出身です」という言い方をします。

こちらが「京都のご出身なんですね!」と聞き返すと、「京都と言っても宇治ですが・・・」などと返答されます。

誰にも気兼ねなく堂々と「京都」を名乗れるのは京都市の中でも京都御所周辺のごく狭い範囲の人々だけで、それ以外の京都府民が「京都」を名乗るのは「京都の中心の人々」に対して気兼ねするそうです。

これもカルチャーショックの一つでした。

東京も千代田区・港区・中央区が「都心3区」として東京の中心とされていますが、別に足立区や八王子市、奥多摩町の人が「東京出身です」と名乗ったからと言って、東京都民は「そこは東京じゃないだろう」とまでは言いません。

中国の北京市も京都と同じような傾向がありますが、歴史が長くなるとそういう傾向が出てくるのかも知れません。

なぜか私が出会った京都の人たちはケンミンショーや「月曜から夜更かし」に出てくるようなステレオタイプの(遠回しだが露骨に東京への不満を表明する)方が非常に多かったのですが、実際に京都にはそう言う方が多いのでしょうか・・・

ひょっとしたら、私が無意識に「東京が一番」オーラを出していたことで京都の方の反発を招いたのかも知れません。

「東京が一番」というのは、「東京が日本の首都として政治経済文化の中心であるのは疑いのない事実で、その事実に反対する日本人は誰もいないはずだ」という思い込みです。

福岡が日本の三大都市だという九州人

三大都市圏と言えば「東京・名古屋・大阪」だと学校で習った記憶がありますが、社会人になって知り合った九州(大分)出身の人が「東京・大阪・福岡」だと言っていたのでビックリしました。

その人だけなのかと思っていたところ、ケンミンショーで多数の福岡県民が「東京・大阪・福岡」と答えていたのを見たので、九州では一般的なのかも知れません。

私の感覚では「札幌⇄福岡、仙台⇄広島、東京⇄大阪」という形で東西の都市が対になっており、福岡が三大都市なら札幌も含めるべきではないかと思ってしまいます。(この場合、日本の中心都市が名古屋なのか京都なのかという微妙な問題が生じそうですが・・・)

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