私は2022年11月から中国の広州に住むことになりました。
2022年11月現在では、世界の多くの国々ではウィズコロナへ移行していましたが、中国は引きつづき厳格なゼロコロナ政策を運用し入国者に対しも8日間の隔離を求めていました。
まさに11月にゼロコロナ反対のデモが発生したことをきっかけに12月からゼロコロナ政策が緩和され、2023年1月8日から入国時の隔離が不要になりました。
この記事では、中国の隔離のリアルな状況を知りたい方に向けて、私が体験したホテル隔離や自宅隔離の様子をご紹介します。
Contents
日本の出国準備から中国への入国まで
入国前に必要なPCR検査
私が入国した時は出発前48時間以内に2回のPCR検査が必要でした(2022年11月11日から緩和されました)。出発日の2日前に1回目、出発日前日の午前中に2回目のPCRです。
しかも1回目と2回目は別々の病院でPCR検査を受けなければならず、2回目の検査は中国政府が指定する病院(東京都内では13か所)で受けなければなりませんでした。
中国政府指定の陰性証明書を発行してもらう必要があるため、1回目も無料のPCR検査場で受けるわけにはいかず、1回あたり2~3万円の費用がかかりました(私は会社負担だったので良かったですが、自己負担の場合は大変です)。
しかも中国は、他の国のように署名済の陰性証明書を取得すれば終わりではありません!陰性証明だけ取ってホッとしていたら、空港の手荷物カウンターで青ざめることになります。
中国政府のウェブサイトへ陰性証明のPDFをアップロードしてから「健康コード」というQRコードを取得しなければなりません。
渡航前日の私のスケジュールは以下の通りです。
11:00 都内の病院でPCR検査
16:00 検査結果が出る
17:00 健康コードの申請(18:00が締切)
21:00 健康コード(グリーンコード)の発行
健康コード申請後、きちんと当局からコードが発行されるのか心配でした。健康コードが発行されないと片道航空券代の約20万円が無駄になります。
このように渡航の前日はバタバタしていたので、それ以前に荷造りは終えていました。
2022年11月11日以降は48時間以内に1回のPCR検査を受ければ十分になったので、だいぶ楽になりました。
成田から広州への渡航
成田空港で搭乗手続きをする際には、カウンターでグリーンコードと電子公告の確認を受けました。
グリーンコードを申請していなければ搭乗できませんが、電子公告を忘れていた場合には、その場で入力をさせてもらえます。
広州便の搭乗口には、テレビでしか見ないような全身真っ白な防護服(スズメバチの駆除業者が着るような服)を着た医療関係者が大勢待機していて、物々しい雰囲気でした。
私が搭乗したのは全日空の国際便でしたが、中国政府の指導により、なんと機内食がありませんでした。機内食どころかお茶やコーヒーも配られませんでした。
飛行機の搭乗口でパン5つと水のペットボトルを手渡され、それを食べるしかありませんでした。
飛行機の離陸時刻は午前8:40でしたが、このあと夕方5時ごろまで飲まず食わずになる可能性があるので、出国手続き後に日本の空港で飲み物を少し多めに買っておくのがオススメです。
機内食もなければ免税品の販売もゴミの回収もなかったので、成田から広州までゆっくり寝ることができたのは良かったです。
機内で「着陸態勢に入りますとお手洗いの使用はできませんので、その前にお済ませください」というアナウンスが入った後、普段にも増してトイレが大行列になっていたので、「これは空港でトイレを使えないのかも?」という予感がしました。
広州白雲国際空港到着
予感は的中し、空港のトイレは殆ど封鎖されていて使用不可となっていました。
飛行機を降りると、空港の職員は全員、全身真っ白の防護服を着ており、厳戒態勢でした。
「これが噂に聞いていたゼロコロナか!」と実感しました。2年前の世界へタイムスリップした感覚です。
私はコロナ発生当初の2020年はインドにおり、厳格なロックダウンをインドで経験しましたが、その頃へ戻った感覚でした。
白雲空港の「動く歩道」は全て停止されていたので長い道のりを歩くと、早速PCR検査を受けさせられました。
PCR検査後、入国手続きを経て荷物受け取りレーンのところまで到着するのに40分近くかかりましたが、ここで初めてトイレに行くことができました。
荷物受け取りレーンからスーツケースが次々と出てきましたが、全ての荷物がビショビショに濡れています。
「あれ?ずっと晴れてた気がしたけど、いつの間に雨が降ったんだ?」と思いましたが、よく見ると水ではなく白い液体がかけられていたので、消毒液を念入りに吹きかけらていたようです。
荷物を取って税関ゲートを通過すれば通常は空港の外へ出られますが、今はゼロコロナ中なので、更に空港の中を歩かされます。
バス乗り場へ到着すると、その場で約30人ずつまとめられ、隔離施設へとバスで移動します。
空港から隔離施設への移動
空港で「このバスに乗ってください!」と案内されます。
羽田空港で政府隔離を受けた時は運転手の方が荷物を床下のトランクに入れてくれてましたが、中国へ来てそんな甘い意識でボーッとしていたら置いていかれます。
もちろん、中国では自分でスーツケースをトランクへ入れなければなりません。
そして、中国の方々は荷物が多く、しかもスーツケースを斜めに押し込んだりするので、既に入っているスーツケースを整理して隙間にスーツケースをねじ込まなければなりません。
しかも、頑張ってスペースを作ってスーツケースを入れようとすると、横からすかさず別の人が荷物を押し込んできたりするので、全く油断ができません!
なんとか自分のスーツケースを押し込んでバスへ乗ると、バスの通路にも大量のスーツケースが置かれていました。
皆さん(後ろに行くのが面倒くさいのか)前から座っているので、後方の座席はガラガラです。
仕方がないので、スーツケースと座席の間の狭いスペースを縫って何とか後方の座席へ辿り着きました。
私の更に後ろから来た中国人は「なんで前から座ってるんだ!後ろへ行け!!!」と怒鳴ったので、前の方に座っていた人たちは渋々面倒くさそうに後ろへ移動しました。
中国は声が大きい方が勝ち、強く主張しないと状況は変わらないということを実感しました。
そして無事に全員が着席し、バスが移動し始めましたが、どこへ行くのかは到着するまで全く分かりません。まさにミステリーツアーです。
なお、隔離ホテルは当たりとハズレの格差が凄いそうです。
ハズレのホテルだと、建設途中のマンションのような場所で、トイレも中国式(≒和式)で、ロクな冷暖房設備もなく雨漏りがするような施設へ入れられたという話も聞きます。
そして、ご飯も腐りかけの肉のようなものを出されたという話も聞きます。
一方、日系企業が多く進出している大連などでは立派な隔離ホテルでご飯も日本食が出たという話を聞いたこともあります。
当たりの施設であることを願うばかりです。
1時間ほどバスに揺られた後、ホテルらしき場所へ到着しました。
中国政府指定ホテルでの集中隔離生活
ホテルへチェックインするまで
到着すると1人ずつバスから降ろされ、自分でトランクからスーツケースを取って、ホテルの入口へ向かいます。
ホテルの入口もやはり厳戒態勢で、やはり全身真っ白な防護服の人から、服と荷物を全て消毒されました。
服や靴も消毒されるので、あまり高級な服や靴を身に着けて中国へ入国することはオススメできません。スーツケースの中身までは消毒されないようなので、貴重品はカバンの中にしまいましょう。
スマホをポケットに入れていたら、消毒液でスマホが壊れたという話も聞きます。
ホテルの入口で弁当と書類を渡され、部屋へ入ります。既に夕方5時ごろでしたが、廊下などは全て消灯されていて自然光のみなので、かなり暗かったです。
WeChatグループへの参加
部屋へ入ると、とても広々として快適そうでした。ラッキーなことに私は大当たりでした。
先ほど入口で手渡された書類を見ると、A4用紙20枚ほどで全てビッシリ中国語だけで書かれています。
読むと、ホテルの連絡用と医療用のWeChat(LINE)グループに参加しろと書かれています。
このWeChatグループは、同じ日にチェックインした人たち約30人が全員参加しています。
それぞれに参加すると、参加して1分間で一気に50件くらいのメッセージが(全部中国語で)来ました。
メッセージを読み解いていくと
- 広東省の健康コードアプリ(粤康码)を登録してください
- 身分証のスキャンをホテルのフロントに提出してください
- 心理的な問題が発生していないか、アンケートに回答してください
という重要な要求がありました。また連絡事項として
- ご飯は8:30、12:00、17:30に届けます。食事を取る時は必ずN95マスクを着用してください。忘れると隔離機関が延長になります。
- ゴミを捨てられる時間は決まっています。指定時刻は日によって変わるので、別途ご案内します。
- ご飯が足りなかったら自分でデリバリーを注文してください。但しデリバリーした食べ物は全て15分間消毒します。
- ホテル代金は、お渡しした書類のQRコードからWe Chat PayかAripayで支払ってください。
などの重要なメッセージもWeChatグループへ送られて来ます。
そういった重要なメッセージに紛れて宿泊者が
などと、「それって全員に向けて発信する必要あるの?」と突っ込みたくなる内容をみんなが好き勝手に言いたい放題全発信するので、あっという間にWeChat通知が50件になってしまうのでした。
しかも、どうでも良い通知の間に重要な通知が埋もれてしまうので、ホテルの管理人から「健康コードを登録してください!」のような重要な通知が何度も繰り返し送信されてきました。
それがメッセージ数の増加に拍車をかけていました。
20分くらい、ちょっとシャワーを浴びて戻ってきたら未読メッセージ数が(複数スレッドの合計で)182になっていました。
ここは恐らく文化の違いで、日本人の私は「重要な通知を見逃さないように注意しよう」と神経質に考えてしまいますが、中国の方々は「本当に重要なことなら10回くらい言ってくるだろう」と考えて、全てのメッセージには目を通していないようでした。
そんな折、フロントから電話がかかってきました。電話に出ると
と言われました(漢字は聞き取れた箇所、カタカナは聞き取れなかった箇所です)が、肝心なことが聞き取れなかったので"English Please?"とお願いしたところ
と、一部英語で話してくれたものの、肝心の聞き取れなかった箇所は中国語のままでした。
とにかく、ホテルのWeChatグループに参加して身分証を送れという指示であることは分かったので
"我已经参加了饭店微信群,我会立即把身份证照片发给您。不好意思,我听不懂你在说什么。麻烦您给我发微信信息联系我(既にホテルのWeChatグループには参加済みで、身分証の写真はすぐに送ります。すみませんが、あなたが何を話しているのかよく理解できないので、お手数ですがWeChatメッセージでご連絡ください)"
と話したらブツっと電話が切れました。
このやり取りを全て翻訳アプリにかけたり、中国人の知り合いへスクショを送って翻訳してもらうのは難しい状況だと思うので、今の中国へ入国するにはある程度の中国語力が求められるのではないかと思います。
なお、聞き取れなかった単語を音から調べたところ
サオミャオ→扫描(スキャンする)
アーウェイマー→二维码(QRコード)
ジエトゥー→截图(スクリーンショット)
でした。つまり
と言いたかったようです。
中国語は「QRコード」「スクリーンショット」などの英単語を全て漢字に直しているので、覚えるのが大変です。
個人情報の提出
ホテルのフロントからWeChatグループへも「警察へ提出する必要があるので、皆さんの身分証のスキャンデータを送ってください」と連絡がありました。
すると、なんとWeChatグループのスレッドに3名くらいが立て続けにパスポートや居民証(日本でいうマイナンバーカード)のスクリーンショットをアップロードしました。
たまたま同じ日にホテルへチェックインしただけで、どこの誰かも分からない人たちのWeChatグループです。
そこにパスポートやマイナンバーカードの情報を晒さなければならないとは驚きました。
中国の方は個人情報に対する感覚が日本とは違うとは聞いていたものの、ここまで違うとはビックリしました。
「郷に入れば郷に従え」とは言いますが、さすがにこれは従えないなぁ・・・と思っていたところ、ホテルの管理人からすぐに
とメッセージが入り、グループチャットに身分証を晒した人達はすぐに取り消しました(WeChatは送信後2分以内に限り送信取消ができます)。
私もホテルのフロントの人へDMでパスポートの写真ページのスクリーンショットを送付します。
WeChatでDMを送付するためにホテルのフロントの方のアカウントを追加すると、その人の個人投稿も見ることができてしまいます。
「今日は、母がワンちゃんの美容院に行ったそうです」といった、ホテルのフロントの方のプライベートな投稿も私のWeChatのニュースフィードへ流れてくることになりました。
日本だと、LINEやインスタグラムなどはプライベートの繋がりに限定され、行政手続きなどでLINEの使用を強制されることはまずありません。
しかし、中国ではWeChatのアカウントがなければ生きていくことができません。
そして、WeChatに私的な投稿をアップロードする人も多いので、日本に比べて公私の境界が曖昧と言えるかもしれません。
ホテル費用の支払
昨年、羽田で日本政府の強制隔離を受けたときには日本政府がホテル費用を支払ってくれましたが、中国の政府隔離ホテル代は自己負担です。
ホテルの部屋に支払方法の案内が置いてありましたが、WeChat PayかAri Payで支払わなければなりません。
中国では現金が殆ど使われていませんが、コロナウィルス感染防止もあり現金での支払は不可です。
WeChat Payは中国の銀行口座と紐づけなければなりませんが、初めて中国へ来る外国人は中国の銀行口座を持っていないためWeChat Payは使えません。
中国国内の銀行口座を持たない外国人でも使える唯一の支払方法はAripay(支付宝)になりますが、Aripayを利用するには日本のクレジットカードと紐づけておく必要があります。
実際のところは会社にホテル代を負担してもらうケースが殆どだと思うので、QRコードを写真に撮って会社の方へ送付し、支払ってもらいます。
私が宿泊したホテルは1泊380元(約7600円)+食事代でした。
ホテルでの食事
ホテルでの食事は以下の通りでした。
朝ごはん:お粥+焼きそば+ゆで卵(10元:約200円)
昼ごはん:白米+炒め物3品+スープ(30元:約600円)
朝ごはん:白米+果物+炒め物3品(30元:約600円)
チェックイン日からチェックアウト日までずっと、このローテーションでした。
中華のご飯なので非常に美味しいのですが、やはり朝から晩まで油がギトギトで胃もたれが酷かったです。
胃腸が弱い方は、サバ缶など、何か食べ物を持参した方が良いかも知れません。
水については、500mlのペットボトル2本/日(7日間なので、計14本)が予め部屋に準備されていましたが、足りなければデリバリーをする必要があります。
チェックイン初日は、空港で受けたPCR検査の陰性結果が出るまで扉を開けてはいけなかったため、夜ご飯が19:00頃となりました。
朝ご飯は8:00、昼ご飯は12:00、夜ご飯は17:30に配られます。
部屋の扉の前に置かれ、弁当が置かれるとノックされます。
弁当が置かれたら10分以内を目安に取らなければならず、もたもたしていると部屋に電話がかかってきて「早く弁当を取ってください!」と催促されます。
そして弁当を取る時にはN95マスクをしなければなりません(部屋にN95マスクが5枚ほど置いてあったので、日本からN95マスクを持参する必要はありません)。
廊下は、全ての部屋の前に監視カメラが設置されており、隔離者が勝手に逃げ出さないように24時間見張られているようです。
そして、もしご飯を取る時にN95マスクをし忘れると
「○○号室の△△さん、先ほどご飯を取る時にマスクをし忘れていましたね?次やったら隔離を2週間延長するので注意してください!」
とWeChatグループで警告を受け、宿泊者全員の前で恥を晒されることになります。
ご飯は割と融通が利くようで
など、いろいろな要望をしている人がいましたが
とのことでした。
デリバリーも利用することができますが、デリバリーも各ご飯の締切時刻が決まっていて、過ぎると次の食事へ回されます。
例えば、夕食のデリバリー締切が18:00の場合、18:30に届いたデリバリーは翌日の朝食に回されます。
デリバリーは15分も消毒されるらしいので注意が必要です。
ホテルでのゴミ捨て
ゴミの時間は毎日指定されていて、その時間帯に捨てる必要があります。日によってはゴミを捨てられない日もあります。
大抵は夜ご飯後の18:00~19:00でしたが、昼過ぎの場合もありました。
11:30頃に突然「今日のゴミ捨ては12:00~13:00です」というメッセージが来て、そのメッセージに気がつかずゴミを捨てられない日もありました。
ゴミは、部屋の外の扉の前にあるペダル式のゴミ箱に捨てますが、ゴミ箱を手で触ってはならず足でペダルを踏んでゴミ箱を開けなければなりません。そしてゴミを捨てる時も(部屋の扉を開けることになるため)N95マスクは必須です。
もちろん、ゴミ捨ても監視カメラでチェックされています!
「○○号室の△△さん、先ほどゴミ箱の蓋を手で開けましたね?ゴミ箱は足のペダルを踏んで開けてください。また手で開けたら隔離を2週間延長するので注意してください!」
とWeChatグループで警告されている宿泊者もいました。
ゴミは「感染性廃棄物」とデカデカと書かれた真っ黄色のゴミ袋に捨てます。
毎日のPCR検査
ホテル生活での毎日のルーティーンには、3度の食事とゴミ捨ての他に毎日のPCR検査があります。
毎日午前中に検査員が部屋の前に来て扉をノックし、PCR検査を実施します。
日によっては、スマホやテレビのリモコンからも検体を採取することがありました。
PCR検査員から大量の(中国語の)書類を手渡され、署名しなければならないこともありました(心理的に問題がないかどうか、猿痘に感染していないかどうか・・・などのアンケートのようでした)。
ご飯とゴミ捨てとPCR検査以外には特にやることがないのですが、朝から晩までひっきりなしにWeChatの通知が届くので心理的には落ち着かなかったです。
宿泊者同士で仲良くなっているようで、「なんか面白い映画ない~?」などのやり取りをしているようでした(私はやり取りに参加しませんでしたが・・・)。
突然の隔離緩和
2022年11月11日に、中国の政府から突然「入国者の隔離機関を7+3(ホテル隔離7日・自宅隔離3日)から5+3(ホテル隔離5日・自宅隔離3日)へ短縮します!」と発表がありました。
そして、宿泊者のWeChatグループが蜂の巣をつついたような大騒ぎになりました。
この発表で、宿泊者のWeChatグループは「やったー!」という狂喜乱舞の嵐になりました。
そして、チェックアウト日となる5日目の朝となりました。すると突然
この突然の発表に、宿泊者のWeChatグループでは怒号が飛び交いました。
結局、他都市への移動は認められなかったようで、他都市に自宅がある方々は追加で3日間のホテル隔離となってしまいました。
交通費のキャンセル料を結局誰が負担したのかはよく分かりません。
中国のWeChatは投稿内容を全て中国政府に監視されていると言われており、変な投稿をすると警察が飛んでくるという噂を聞いたことがあったのですが、想像していた以上に皆さん自由な主張をしていたので驚きました。
隔離の短縮が決まってからは、毎日何百通というWeChatメッセージが飛び交い、とても初めて会った人達とは思えないほど仲が良くなり、結束力を固めているようでした。
この距離感は日本では(少なくとも、東京では)経験したことがないので新鮮でした。
自宅隔離生活
社区委員会による移送
私は自宅が広州市内にあるので、無事に5日目で隔離施設から出ることができました。
事前に会社の同僚を通じて地元の社区委員会(日本の町内会のようなものですが、日本とは異なり中国共産党の組織だと思われます)に連絡をし、ホテルから自宅へ移動する車を手配してもらいました。
チェックアウトする時もやはり物々しく、ホテルの入口は無人で薄暗く、無数の監視カメラに見守られながらホテルを出ました。
ホテルのロータリーには1台の車が止まっており、ナンバープレートを見ると私の社区委員会の車でした。
委員会からは、車に乗る時、降りるとき、自宅に着いたときにセルフィーを撮ってWeChatで社区委員会へ送付するように言われました。
車に乗ると、運転手はやはり全身真っ白の防護服を身にまとっており、運転手と後部座席は(感染防止のため)分厚いビニールシートで仕切られていました。
そして、コロナウィルスを外へ撒き散らさないように窓は開かないようになっていました。いわば囚人護送車のような車です。
11月とはいえ30度近く、冷房の効きはあまり良くなかったので大汗をかきました。
途中、別のホテルによって他の人を2名ピックアップしたのですが、その人が1時間くらい現れず、ずっと待たされました。
その間、トイレに行くことはできないので、念のため出発前にトイレを済ませておくことが重要といえます。
自宅隔離
社区委員会の車で自宅へ到着し、会社の同僚から鍵を受け取って自宅へ入りました。
自宅へ到着して1時間ほどすると社区委員会の人がPCR検査へ来ました。
社区委員会の人と一緒にマンションの管理人も来て、私の家のドアに
「隔離中だから近づかないように!」
と書いた大きな紙を貼り付け、警報機を取り付けました。
勝手に外出しないように、家の扉を開けるとけたたましく警報機が鳴ります。
ホテルと同じく、ゴミ出しと食事の受け取りとPCR検査時のみ扉を開けることができます。
もちろん、ホテルとは異なり食事は出てこないので、自分でデリバリー(中国語では「外売」)を注文しなければなりません。
通常、デリバリーはマンションの入り口の宅配ボックスまでしか届けてくれませんが、部屋から外に出られないので部屋の前まで届けてもらう必要があります。
デリバリーを注文するとき、以下のようなメッセージを書く必要がありました。
由于我是居家隔离人员,不能外出,麻烦外卖员把我的外卖放在我门口,谢谢(私は自宅隔離中で外出できないので、お手数ですが部屋の玄関の前まで届けてください。ありがとうございます)
このようなやり取りも、やはり中国語で行う必要があります。
8日目に解放
自宅隔離は3日間(3泊4日)でしたが、1日目と3日目にPCR検査がありました。
社区委員会からは「PCRが陰性なら、4日目の午後2時に解放です!」という連絡がありました。
しかし4日目の朝にマンションの管理人から「今日の(全住民強制の)PCR検査は午後1時までです」という連絡がありました。
広州はスーパーでも地下鉄でも、どこへ行くのにも48時間以内の陰性証明書が必要なので、今日のPCR検査を受けられなければ非常に不便なことになりました。
「午後2時の解放だと今日のPCRPCR検査を受けられなくて困るんだけど・・・」と伝えたところ、「あなたは陰性だから、もう外出してOK!」と連絡があり、4日目(11月17日)の午前10時に無事解放となりました。
徹底した水際対策
以上、中国への入国から隔離終了までの様子でした。
私は2021年に日本でも羽田空港で政府隔離を受けましたが、やはり中国の水際対策は徹底しているという印象でした。
隔離が終わった後の続きは【現地レポ】2022年12月中国広州でのゼロコロナ解除と感染拡大・収束の記事をご覧ください。