チェンナイ在住の日本人は日常的に、UBERやOLAといったタクシーを利用して移動します。日本人がチェンナイで電車やバスといった公共交通機関を利用することは殆どありませんが、日本とは色々違って興味深いのでご紹介します。

市内電車

市内電車駅入口

電車の切符を買って階段を上がると、そこはもうホームでした。改札がありません。聞くと、駅に改札はなく、時々ランダムで検札があるそうです。ホームで待っていると、すぐに電車が入ってきました。動画の通り、ドアが全開のまま走ってきます。

さすがに屋根の上に人はいませんでしたが、テレビでしか見たことのなかった光景を生で見られたので、正直とても嬉しかったです。

市内電車ホーム

チェンナイでもメトロは扉が閉まりますが、昔からあるこの郊外電車は走行中も扉が全開で落ちたら即死です。それでも、今にも落ちそうな体勢で居眠りをしている人がいます。

よく、「日本人はどこでも居眠りをするので外国人が驚く…」と聞きますが、インド人の居眠り具合は日本の比ではありません。チェンナイはインドの中でも治安が極めて(日本以上に?)良く、人はみんな優しくて温かいので、物を盗まれる心配をせずにどこでも安心して眠れるのかも知れません。

ただ、高速道路の中央分離帯の上とか、穀物を目一杯積んでいるトラックの荷台(急停車したら絶対落ちる)とか、本当に死にそうなところで爆睡している人が多く、見ているこちらが心配になります。

市内電車車内

さて、私が乗った直後に電車が走り出し、私の後ろにいた人は走りながら電車を捕まえて飛び乗りました。「乗車が完了してから発車」ではないようです。

途中駅で電車が止まると、なんと!目の前の人がホームと反対側から線路へ飛び降り、反対方面のホームをよじ登って階段を降りていきました。電車の中でホーム側の扉へ移動するより、線路へ飛び降りた方が楽だったようです。

チェンナイ市内バス

市内電車のThrivanmiyur駅で降りてバス停へ向かうと「ここにバスが来るよ」と教えてもらった場所にはバス停らしき標識は全くなく、1人で来ていたら戸惑ったはずです。そして、バスが目の前を次々と通過していくので「ここは本当にバス停なの?」と不安になっていたところ、1台のバスが停まりました。

降りる人を待って乗ろうとすると、私が乗る前にバスが走り出したので、慌てて飛び乗りました。私の後にも次々と人が飛び乗ってきます。

バスの行き先はタミル文字で書かれており、系統番号の数字しか読めないので、1人でバスに乗りたければ系統番号の数字をgoogleで検索して行き先を調べる必要があります。スマホがない時代だったらお手上げだったかも知れないです。

バスの車内ではアナウンスも案内板もないため、1人で乗ったときはgoogleマップを見ながら降りるバス停を確認しないといけません。今日は同僚が周りの乗客に私の行き先を伝えてくれました。私の家に最寄りのバス停が近づくと、親切にも周りの乗客が次々と「次で降りなさい」と教えてくれました。

バスが停まったのは3車線の道路の真ん中の車線でした。そこで、降りようとした瞬間に右からバイクが突っ込んできて、危うく衝突するところでした。

インドは元々左側通行なので、バスを降りた時に右からバイクが突っ込んで来るはずはないのですが、要するに逆走です。チェンナイでは路肩の逆走は日常茶飯事です。

インドの場合、道路を渡るときだけでなくバスを降りるときも左右をよく確認する必要がありますが、あまりにも慎重に確認していると降りる前にバスが発車してしまい、逆に危ないかも知れません。

改めて、チェンナイの人はとても親切でみんな優しいと感じました。また電車は扉が全開のおかげでとても風通しが良く、非常に気に入ったのでまた乗りたいです。でも交通事故は要注意です。

地下鉄 メトロ

チェンナイ地下鉄JICA貢献の証

チェンナイには「チェンナイメトロ」という地下鉄があります。写真にある通りJICAの支援を受けて2016年に開業したのですが、2019年時点では1号線と2号線の2つの路線が開業しています。現在開業している地下鉄は空港とチェンナイの中央駅を結んでいて、私の生活圏とはズレているため普段私は地下鉄を使うことはありません。

しかし、旅行で空港へ行く時にはメトロを使うようにしています。「北海道」という日本食レストランで昼食を食べて、Nandanamという駅までスーツケースをゴロゴロと引きずりながら徒歩で歩き、地下鉄に乗って空港へ向かいます。なぜそうするかというと、チェンナイ地下鉄があまりにも日常離れした存在であるため、地下鉄に乗っただけで旅情を味わうことができるからです。タクシーで空港まで行ってしまうと、空港に着くまで日常生活や仕事の延長という気がしてしまうのです。

そのくらい、地下鉄はチェンナイの中では場違いな存在です。チェンナイを走っている地上電車はメトロを除いてみんな扉を開けっぱなしで走っており、ガタガタとうるさい昭和の?吊り掛け駆動車です。それに対して、地下鉄は他の国と何ら変わらずピカピカです。

扉を開けっぱなしで走っている市内電車は人が線路に落ちそうなほど満員であることも少なくありませんが、地下鉄はいつでもガラガラです。なぜガラガラかというと、値段がとても高いのです。初乗りで10ルピーの区間もありますが、端から端まで乗ると70ルピー(約110円)もします。110円というと日本の感覚では安い気がしますが、現地の感覚では驚愕の高運賃です。MRTSという、いつも混雑している市内電車は端から端まで乗っても5ルピー(8円)です。

オートリキシャも、乗り合いであれば10ルピーでかなりの距離を走ってくれます。そんな中、わざわざ70ルピーも払える層であれば地下鉄ではなくタクシーに乗ってしまいます。従って、いつ乗っても乗客は数人しかいませんが、一方で低賃金の清掃員が常時何十人もいてピカピカに床を磨いているので、ホームや改札は日本と比べても遥かに清潔です。ニューデリーやグルガオンのメトロは値段が同じでもかなり混雑していましたから、まだチェンナイはちょっと発展が遅れてるのかなという気がします。

チェンナイ地下鉄NANDANAM駅入口

外は歩道に穴が開いていて、路肩を車が逆走して、中央分離帯では牛が餌を食べていて、その隣では人が寝ているという光景ですが、一歩地下鉄の駅構内へ足を踏み入れると外の喧騒が嘘のように静寂に包まれます。あまりにも静かすぎて不気味なほどです。たった一方踏み込んだだけで、一気にバンコクか台湾へでも来たかのような感覚に襲われます(人は少ないですが)。

チェンナイ地下鉄NANDANAM駅構内

Nundanam駅では、乗降客が少ないので2つある改札のうちの1つは閉じています。そして、地下鉄の駅としてとても違和感があるのは売店が1つもないことです。売店を開いても誰も買わないのでしょう。駅の構造は北京の地下鉄そっくりなのですが、とても閑散としています。切符売場では案内係の方がいて、とても丁寧に切符の買い方を説明してくれます。

チェンナイ地下鉄NANDANAM駅改札
トークンを受け取ると、改札機の前にセキュリティ検査があります。これはニューデリーや北京の地下鉄と同様です。しかし、検査を受けようとすると「いや、そのまま通っていい。それより、どこから来たの?シンガポール?」などと聞かれました。

チェンナイ地下鉄NANDANAM駅コンコース
雑談をした後、ホームへ降りると、なんと天井までのホーム扉がついていました。これはとても費用がかかるはずのもので、東京の地下鉄でも南北線くらいしか見たことがありません。莫大な費用をかけて建設されていることが伺えます。

チェンナイ地下鉄NANDANAM駅ホーム電光掲示板

10分ほど待って電車に乗り、空港まで20分ちょっと乗っていましたが、最後まで満席になることはありませんでした。外を眺めると「インド」なのですが、地下鉄自体はとても近代的で、インドにいることを一瞬忘れます。これから地下鉄の路線はどんどん拡張していく計画なのだそうですが、どう見ても赤字路線なので心配です。

チェンナイ地下鉄空港駅ホーム

チェンナイ地下鉄空港駅構内

空港の駅へ着くと、こちらの駅も構内には売店も何もなくガラーンとしています。ATMが一台ありましたが、壊れていました。インドの5大都市の1つであるチェンナイの玄関口を代表する駅としては少し寂しい気がします。

チェンナイ地下鉄空港駅食堂

チェンナイ地下鉄空港への通路

空港の駅については、改札を出ると階段下にフードコートが見えます。そして、長い渡り廊下を歩くと空港に到着します。

チェンナイ空港メトロへの案内表示

空港からメトロに乗るときは、写真の通り床に「Metro」と書かれた矢印のシールが貼ってあるため、その案内に従って歩いていけば駅に到着します。
アジアの都市でみると、東京に初めて地下鉄ができたのは1920年代、ソウルが1970年代、シンガポールは1980年代、上海は1990年代なのだそうですが、都市がある程度発展したときに地下鉄が建設されます。それでいくと、チェンナイはまだ地下鉄をオープンさせるのは少し早いのかな?という気がしないでもありませんが、チェンナイはどんどん発展してきているので、これからの賑わいに期待です。

 

 

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