インドで経験した人生観が変わるレベルの仰天エピソード5選

よく「インドへ行くと人生感が変わる」と言われますよね。

私は2018年から2022年までインド・チェンナイの会社で働いてたTATSUYAと申します。

確かにインドは、人生観が変わるレベルの衝撃体験のオンパレードでした。

そこでこの記事では、私がインドで経験した仰天エピソードを5つご紹介します。

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インドで人生観が変わる

チェンナイのヒンドゥー寺院

三島由紀夫さんの死の三日前の電話で三島さんはこんなことを言った。

「インドには行ける者と行けない者がいるけれど、君はそろそろインドに行けるんじゃないかな」

インドに行ける者といけない者/文・横尾忠則

三島由紀夫の「インドには行ける者と行けない者がいる」という言葉は有名ですが、インドにはスピリチュアルなイメージが付きものです。

「インドに呼ばれる」と言われますが、私自身もインドから呼ばれたような感覚がありました。

海外就職を検討した際、最初はインドなんて全く検討しておらず、マレーシアやベトナムなどで仕事を探していました。

しかし、東南アジアには心を動かされるような求人がなく、インドの求人だけがピカピカに光輝いて見え、気がついたらインドに住んでいました笑。

インドに滞在する時も、インドから日本へ帰任する人の送別会で

日本人1

インドを踏み台にしてキャリアアッできて良かったですね笑

日本人2

きっとインドも喜んでくれていると思います

と、まるでインドに人格があるかのように会話されます。

多くの人がインドへ来て非常に印象深い経験をしています。

インドは好き嫌いがハッキリ分かれますが、少なくとも

インドへ行ったけど、特に印象に残ったことはなかったなぁ

という感想だけは聞いたことがありません。

「インドなんて大っ嫌い。二度行きたくない!」という人も、それだけインドで強烈な体験をしているのです。

私は、せっかく地球へ生まれてきたのに、インドへ行かないまま人生を終えるなんて勿体ないとすら思っています。

私は皆さんのインドに対する期待値をどんどん上げていますね。

これだけハードルを上げると、皆さんは

インドへ行ったら、どんなに奇想天外な経験ができるんだろう

と期待に胸を膨らませていることかと思います。

一方で、インドへ行って本当に期待するほど奇想天外なことが起こるものなのか?という不安もあると思います。

しかし、安心してください!

インドは、どんなに高い期待を抱いて行っても、その期待の遥か斜め上を行く奇想天外な経験をさせてくれます。

「想像の遥か斜め上を行く」という点において、インドは絶対に皆さんの期待を裏切りませんので、そこだけはインドに対して絶大な信頼を置いて大丈夫です!

エピソード1:パンツ一丁で面接へ来た応募者

インド人の面接は色々と衝撃的でした。

まず、3人に1人は面接へ来ません。

ドタキャンではなくブッチです。つまり無連絡で来ません。

私はインド人にとっては好待遇なホワイトカラー正社員の面接をしていたのですが、ブッチの頻度は日本のアルバイトの面接より酷いです。

全員が来ることはほぼなく、面接を10人入れても6-7人しか来ません。

だからこちらも、全員が来たらパンクするようなキツキツのスケジュールで面接の日程を組みます。

で、面接へ来る場合でも指定時間の前または後1時間以内に現れれば定時という状況です。

これは、インドの交通事情が予測不可能なので、ある程度仕方ないかなという気はします。

ここまでは普通のことなのですが、インドでも経験のなかった驚くべき応募者がいました。

その人は、面接にパンツ一丁、裸足で現れたのです。

街中ではパンツ一丁で歩いている人を見かけることもありましたが、貧しい人なのかな?と思って気にしていませんでした。

ホワイトカラーの面接にパンツ一丁で現れた人がいたのは衝撃だったのですが、更に衝撃だったのが社内のインド人は誰も驚かず、何事もないかのように面接が始まったことでした。

インド人同士が

「志望動機を教えてください」

「ここの職務経歴は、具体的にはどういう業務内容だったんですか?」

という一般的な面接の真面目なやり取りを真顔でしているのですが、応募者はずっとパンツ一丁なんです。

面接中だから笑ってはいけないのですが、コントにしか思えず、私は笑いをこらえるのに必死で、笑った瞬間に「TATSUYA!アウト!」と言われてタイキックされるんじゃないかとビクビクしていたほどでした笑

面接の最後に、同僚のインド人から

同僚

TATSUYAさんも何か質問はありますか?

と聞かれましたが、みんな真顔なので

なんで服を着ていないんですか?

と質問できる雰囲気でもなく、服のことが気になり過ぎて他の質問は何も思いつきませんでした。

私は「裸の王様」という物語を思い出し、私にだけ応募者の服が見えていないのではと錯覚してしまうほど、みんな普通に接していました。

そもそも「面接には服を着ていくべき」という私の観念が、グローバルスタンダードから外れたガラパゴスな日本社会の常識に囚われていただけのではないか?とすら思えたほどでした。

応募者が帰った後、同僚に「なんで彼は服を着ていなかったの?」と聞いたところ、彼は宗教的な理由で1か月くらい服を着てはいけないのだそうです。

インドにいると本当に色んな人がいて、私も当初はいちいち「あの人は何やってるんだ?」「なんであんな格好をしているんだ?」と好奇心を爆発させてインド人に色々聞いていました。

しかしインドにしばらくいると、次から次へと意味不明な人達が現れるので、好奇心が根負けして段々どうでも良くなってきました。

例えば、高速道路の中央分離帯で布団を敷いて寝ている人がいたとして、インドへ来た当初は「なんであんなところで寝てるんだろう?!危険ではないのかな?」と興味津々だったのですが、しばらくすると「まぁそこは寝心地がいいんだろうな。知らんけど」くらいにしか思わなくなりました。

最近、世界各地で「ダイバーシティ(多様性)」が叫ばれていますが、インドは正に多様性を極めた国と言われています。

多様性は、行くところまで行くと他人に対する無関心になるのではないかと思いました。

つまり、自分と異なる価値観や生活習慣の人がいても、その人達を批判しようとか排斥しようという気力すら奪われます。

「自分には理解できない人達がいるけど、興味ないしどうでもいいわ」と放置した結果、社会の多様性が保たれるということです。

欧米のように声高に多様性の大切さを叫ぶ必要すらないという感じです。

例えば、コロナウイルスが流行った時

インド人1

ヒンドゥー教で神聖な存在とされている牛のおしっこを飲めばコロナにかからないぞ

とか

インド人2

牛のウンチを身体に塗れば免疫がついて健康になるよ!

とか言って実行していたインド人が大勢いたことが、日本で衝撃ニュースとして報道されていました。

参考リンク:コロナ対策に「牛の尿を飲む」 インドで広がる非科学的療法

参考リンク:牛ふんのコロナ治療効果否定の活動家、インド最高裁が釈放命令

しかしインドに住んでいた私からすると

まぁそういう人もいそうですね。しらんけど

くらいの感覚でした。

インド人は自分と異なるコミュニティで生きている人達に関心がなく、放置する傾向があります。

そのため多様性は保たれていますが、インドを経験するとあらゆる基準値がおかしくなります。

私は2022年から中国へ引っ越したのですが、中国の日本人交流会で知り合った人が

中国人は面接に3分も遅刻するし、ワイシャツ1枚で面接へ来るし、本当にいい加減だ。面接はスーツにネクタイ、5分前到着が常識だろう!

と怒っていました。

確かに言われてみれば中国人は面接に5分くらい遅刻する人もいるし、日本人のようにビシッとスーツにネクタイをしてくる人は少なく、カジュアルです。

でも私はインドで「30分の遅刻なら定時」という感覚が出来上がってしまっていたので、5分遅刻は遅刻とすら認識していませんでした(もちろん自分が人と会う時はキッチリ時間通りに行きますけどね)。

中国人は全員ちゃんと面接に来るし、服も着てるし、中国は日本と変わらない国だなぁ

と感じていたので、中国でカルチャーショックを受けていた日本人に対して驚いてしまいました。

日本のビックリ度を0点、インドのビックリ度を100点とすると、今の中国の都市部での生活のビックリ度は5点くらいで、日本と殆ど変わらない印象です。

ちなみに2006年頃、私が初めて中国とインドを旅行した時は、インドよりも中国で受けたカルチャーショックの方が強烈でした。

インドも中国も2003年頃からBRICSのメンバーとして注目されてきましたが、すっかり成長して快適な国になった中国に対して、インドも成長はしていますが相変わらず強烈で、さすが「悠久の国インド」と言われるだけのことはあると感じます。

インドで仕事を探した時、転職エージェントから

転職エージェント

インドを経験したら世界中どこでもやっていけますよ

と言われたのですが、確かにインドを経験したら世界中どこでも大丈夫そうです。

インドからアフリカ(ケニアやナイジェリアが多い)へ引っ越す日本人もよくいるのですが、インドとアフリカを比べるとインドの方が発展しているものの、アフリカの方がインドよりも意味不明なトラブルは少なくて暮らしやすいと聞きます。

もちろん紛争地帯や殺人や強盗が多発している国はインドよりハードシップが高いと思いますが、治安が安定している国の中ではインドが一番ではないかと思います。

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エピソード2:約束の3時間遅れでも問題なし

ある日、朝11時にクライアントと会議があり、社内のインド人と一緒にクライアントへ向かっていました。

しかし道は大渋滞で、もう10時なのに、まだ1時間以上はかかりそうです。

私は焦っていたのですが、同行していたインド人が

あの店のモーニングは11時までやってるよ。食べていこうよ

と言い出しました。

会議に日本人が参加するなら問答無用で朝ご飯は却下ですが、今回はインド人のみで、日本人はいません。

「郷に入れば郷に従え」で、インド人が大丈夫だと言ってるなら大丈夫なんだろうと思い、クライアントに1時間くらい遅刻する旨を電話したところ

ん?そんな用件でわざわざ電話してきたの?

という反応でした。

結局12時半くらいに到着したのですが、今度はクライアントのインド人が外出して不在です。

結局打ち合わせは14時から何事もなかったかのように普通に始まりました。

「遅刻は問題だ」と思ってインド人を叱ると実際に問題が起こるのですが、そもそも遅刻しても問題ないと思えば問題は解決(消滅?)します。

「問題はそれを『問題だ』と思うから問題になる」を実感した瞬間でした。

問題は私の頭の中だけで発生していて、現実には何も問題が発生していませんでした。

仏教に「唯識」という、「客観的事実は存在せず、認識があるだけだ」という考え方があるらしいのですが、正に仏教はインドで生まれたんだなと実感しました。

インドで人生観が変わると言われる理由はこの辺りにあるのかも知れません。

エピソード3:突然の祝日変更

インドは州の権限が強く、州毎に祝日も異なります。

インド各地に支店がある場合、支店によって祝日が異なるのです。

そして、同じ州でもヒンドゥーの祝日とイスラムの祝日と・・・などもあり、社長がイスラム教徒の場合は州のヒンドゥーの祝日は休まず営業するという会社もありました。

なので祝日が近くなると、取引先に

御社は休みですか?

と聞いて回っていました。これは日本の年末年始やお盆前の休暇と似てるかも知れませんね。

ここからは日本では考えられないことです。

ある週、翌週の火・水・木が休みという週がありました。月・金は出勤です。

すると、金曜日の夕方5時くらいに州政府からメールで

州政府公式

やっぱり来週は月曜と金曜も休みにします!つまり9連休!

というメールが来ました。

そんなことある?!

月曜日に取引先のインド人と打ち合わせを予定していたのですが、祝日になったので打ち合わせできなくなってしまいました。

打ち合わせ後、その取引先の日本本社へ資料を提出する予定だったのですが、そのスケジュールも狂ってしまい、ドミノ倒し式にバタバタとスケジュールが崩れていきました。

お客さんもインドのヤバさは理解しているので、怒られることもなく理解は示してくれるのですが、だからと言って

インドなので仕方ありません。ご理解ください

という雑な対応をしていると日本人がインドで働く存在意義がないし、調整能力がつきません。

せっかくインドで働くのであれば、「ひょっとしたら突然祝日が入るかも知れない」くらいのリスクは想定して働きたいものです。

インドではよく“Change is only constant”(変化するということだけが不変だ)と言われますが、本当にその通りで、あらゆることがクルクルと変わります。

日本では消費税の増税について何年も議論して時間をかけて対応しますが、インドでは「再来週から消費税の税率を変えます」とか、「微妙だったので、やっぱり戻します」みたいなのが日常茶飯事です。

空港でも似たような問題があり

  • 無連絡で搭乗口が突然変更になる(初級トラブル)
  • 遅延してたはずの飛行機が知らない間に定時離陸に戻っていて乗り遅れそうになる(中級トラブル)
  • 表示されてる飛行機の行先が実際の行先と異なり、係員に聞かないと正確な行先が分からない(上級トラブル)

などの、「なんでそうなる?」という問題が起こります。

とにかく、あらゆる状況がクルクルと変わるので、固定された事実はないとか現実は幻想であるという考えになりがちです。

まさに色即是空・諸行無常・諸法無我(つまり現実は実体がない)を実感します。

ここから日本人の対応が2つに分かれるのですが、想定外のことが起こり続けるので

楽観派日本人

何が起こるかなんてどうせ事前に予測できないし、人生なるようになるさ

と徹底的に流れに身を任せ、将来の不安や過去の後悔を考えずに今ココの幸せだけに集中し始めるタイプ

慎重派日本人

インドでは何が起こるか分からないから、徹底的にリスクを洗い出してバックアッププランも3つくらい用意しとかないと

と、不安がエスカレートして徹底的にリスクマネジメント能力を鍛え上げるタイプに分かれます。

ちなみに私は後者です。

このあたりも、インドで人生観が変わると言われる理由ではないかと思います。

エピソード4:お金を払ったら敗け

企業間の取引の場合、日本では請求書の支払日までに払うのが当たり前ですよね。

支払遅延等があれば会社の信用問題に関わるので、万一遅れる場合は事前に取引先へ電話します。

しかし、支払いが遅れるということは取引先から「資金繰りが危ない会社なのかな?」と思われるので、普通そんなこともしません。

支払い漏れなどがあれば平謝りです。そして給与の支払遅延等があれば倒産するのではないかと思われるでしょう。

ところがインドでは事情が全く異なり、支払いを遅らせれば遅らせるほど財務担当者の手柄になります。

とにかくインド企業はお金を払わないです。

給料も払わないです。

源泉税を徴収しておきながら政府へは納税せず、経営者が懐に入れたので、日本人従業員の所得税が未納になっていて就労ビザが更新できなかったなんて話も聞きます。

初めてインドで就職する時は、できれば日系企業、少なくとも欧米企業で就職した方が安全です。

もちろんインド人でも信頼できる立派な人達は大勢いますが、見抜けませんよね?

インドは民主主義国なので裁判することも可能ですが、何年かかるか分かりませんし気力も奪われるので、「現世は裁判に捧げて、来世で取り返す」くらいの心構えが必要になります。

インドに慣れて来て、信頼できるインド人の見抜き方も分かり、人脈もある状態ならインド企業への就職も良いかも知れません。

しかし、初めてのインド就職で右も左も分からない状態で魑魅魍魎の跋扈するインド企業へ就職してしまったら、格好のカモにされるかも知れません。

インドでは請求書の期日までにお金を払わないのがデフォルトなので、支払日が近くなったらクライアントへ電話をかけまくります。

とにかくお互いに電話をかけて「いつ支払いますか?」というのを何度もやるのですが、外国人の私から見るとインド全体で無駄なエネルギーが使われてるなぁという印象です。

家賃のデポジット(敷金)も戻ってこないことがよくあります。

信頼できない大家だとデポジットを取り返すのが大変なのですが、特にバンガロールはデポジットが家賃10か月分、チェンナイは6ヶ月分なので、戻ってこなかったら大問題です。

エピソード5:面白い日本人が多い

インドは「バックパッカーの聖地」と呼ばれ、世界一周旅行をする多くのバックパッカーが立ち寄ります。

そして、インド各地に日本語で利用できる日本人向けのバックパッカー宿があります。

最も有名なのはプリーという街にあるサンタナです。

ここはバックパッカーのオアシスで、多くの日本人が沈没しています。

沈没とは何かというと、世界一周旅行をしているうちに言葉の壁などに疲れ、快適に過ごせるサンタナでヌクヌクとしているうちに半年すぎてしまった・・・という状況です。

ここは本当に色んな日本人がいて、日本ではなかなか知り合えないような人と知り合えます。

インドは観光ビザで半年滞在できるので、半年はインドで沈没し、残りの半分は日本でフリーターをするという生活を何年もやっている人もいます。

インドにいると様々なインド人と出会いますが、インド人は日本人とは異なるので、刺激は受けますが「私達とは違う世界の人達だからな」という感覚があります。

それに対して、今まで会ったことがないタイプの日本人と会うことは別の意味で人生観が変わります。

どうやって生活しているのかよく分からないような人達が大勢いました。

学校を卒業して会社へ勤めるだけが人生ではないんだなと理解できます。

物価が安いからという理由もありますが、インドにいると「人生なんとかなるでしょ」という不思議な安心感を覚えます。

個人的には、人生に行き詰まった人は何も考えずにインドへ行ってみたら何か発見があるのではないかと思います。

旅行するだけでも人生観は変わる

今回の記事は、私が仕事や生活で経験したインドのカルチャーショックをご紹介しましたが、年末年始やお盆休みに1週間観光旅行するだけでも、それなりに衝撃はあります。

三島由紀夫が「インドは行ける人しか行けない」と言ったそうですが、この記事を引き寄せている時点で、あなたもインドから呼ばれているかも知れません。

最近、刺激がないし、人生退屈だなぁ

と感じている方は、ぜひインドへ行ってみてください。退屈さは一瞬で吹き飛びます。

今回ご紹介したエピソードはほんの一部に過ぎず、インドでは息をして歩いているだけで次から次へと無数のカルチャーショックを経験できます。

インド生活で最も衝撃的だった経験を、以下の記事でご紹介しています。

インド生活で最もヤバかった体験 ~インド警察との闘い~

 

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