インドも経済発展に伴い大都市では次々と地下鉄が開業しています。チェンナイも2016年に地下鉄が開業しました。この記事では、チェンナイ地下鉄についてご紹介します。
チェンナイメトロの概要
チェンナイメトロは写真にある通りJICAの支援を受けて2016年に開業しました。JICAが64億ドル無利息で貸したそうです。2019年時点ではブルーラインとグリーラインの2つの路線が開業しています(まるで横浜市営地下鉄のようです)。
首都のデリーでは2002年に地下鉄が開通し、既に何路線も開業していて市民の重要な交通手段となっています。一方のチェンナイメトロはいつでもガラガラで、お世辞にも市民の足となっているとは呼べません。
赤字のため駅構内は冷房がついておらず地獄のような暑さで、綺麗な廃墟と呼んでも過言ではありません。電車賃は20〜150円程度と日本の感覚では安いのですが、一般の市内電車は10円〜15円程度で乗れるので、地元の感覚では高すぎるようです。
電車やバスを使っている層からすると高すぎる運賃ですが、地下鉄の運賃を難なく払える中間層であれば地下鉄よりもタクシー(OLAやUBER)を使ってしまうので中途半端な価格設定と言えます。
地上を走っている電車はボロボロですが、地下鉄だけは先進国に引けを取らないほどピカピカで、正直なところ都市の発展がまだそこまで追いついていないというのが現状です。
チェンナイメトロの路線
画像引用元:チェンナイメトロ公式ホームページ https://chennaimetrorail.org/schematic-map/
チェンナイ地下鉄は主に、左下のAirport駅と、右上(ブルーラインとグリーンラインが再度交差する駅)のChennai Central駅を結んでいます。チェンナイ空港で降りて、鉄道に乗るためChennai Central駅へ向かうという人にとってはちょうど良いのではないかと思います。
しかし、チェンナイの観光地はもう少し海側にあり、チェンナイを観光しようと思ったらメトロは使い物になりません。だからと言ってビジネスで使える路線という訳でもないので、空港に行くとき以外には使うことはありません。
※普通のチェンナイ在住日本人は空港へ行くときも使いません。乗ったことのない人がほとんどではないでしょうか。私は個人的に電車が好きなので乗っているだけです。
駅構内の様子と切符の購入方法
ブルーラインのNUNDANUMという駅へやって来ました。
外は歩道に穴が開いていて、路肩を車が逆走して、中央分離帯では牛が餌を食べていて、その隣では人が寝ているというカオスな光景ですが、一歩地下鉄の駅構内へ足を踏み入れると外の喧騒が嘘のように静寂に包まれます。
あまりにも静かすぎて不気味なほどです。冒頭でも書いた通り利用者がほぼいないため、赤字であることが感じられます。
乗降客が少ないので2つある改札のうちの1つは閉じています。そして、地下鉄の駅としてとても違和感があるのは駅構内に売店が1つもないことです。売店を開いても誰も買わないのでしょう。切符売場では案内係の方が暇そうにしていて、とても丁寧に切符の買い方を説明してくれます。
券売機がありますが、券売機は現金専用です。それも、コインと10ルピー、50ルピー、100ルピー札しか使えません(20ルピー、500ルピーと2000ルピー札は使えません)。
クレジットカードは駅係員のいる窓口で使うことができます。インドのカードだけでなく、日本で発行されたカードも使うことができました。
ここから、券売機でのトークン(切符)の購入方法をご説明します。最初にお伝えしておきますが、駅構内は携帯が圏外なので、心配な方は以下のところを画面保存して行ってください。
まず最初の画面では"What do you want to do ?" (何がしたいですか?)と出ますので、"Normal Class(一般席)" をクリックします。
なお"Special Class(特別席)"というのはNormal Classの2倍の運賃が取られるそうですが、見たことがありません。ソファーが少し特別で、荷物を置けるスペースがあるのだそうです。
同じ画面で、"Check History"や"Recharge"というのがありますが、チェンナイ地下鉄にもSuicaやICOCAのようなトラベルカードというカードがあるようです。但し私は買ったことがありませんし、そこまで乗る用事のある方もいないと思うので普通にトークンを購入すれば大丈夫です。
"Normal Class"をクリックすると、MAPが出ます。画面右の方に「いくらのトークンを買いますか?」と表示されますが、そんなの知らないよ・・・って話なので無視してください。
マップで、降りたい駅のあたりをクリックしてください。
拡大されたマップが表示されますので、降りる駅をクリックしてください。
目的地までの運賃が表示されますので、画面右の方にある"Number of Tokens"の箇所で購入枚数を選択してください。私の場合は1枚なので、"1"をクリックしました。
お金を投入するよう指示がありますので、コインかお札を入れます。間違えた場合は画面の"Cancel"をクリックします。
お金を投入したまま安心してボーッとしていると最初からやり直しになります。最後に"Confirm"をクリックしたらトークンが発行されます。
トークンが発行されたら改札口へ向かいますが、改札の前でセキュリティチェックがあります。但し、チェックする係員はスマホを片手に適当にやっているので形式的なもののようです。
雑談をした後、ホームへ降りると、なんと天井までのホーム扉がついていました。これはとても費用がかかるはずのもので、東京の地下鉄でも南北線くらいしか見たことがありません。莫大な費用をかけて建設されていることが伺えます。
10分ほど待って電車に乗り、空港まで20分ちょっと乗っていましたが、最後まで満席になることはありませんでした。外を眺めると「インド」なのですが、地下鉄自体はとても近代的で、インドにいることを一瞬忘れます。
これからチェンナイ地下鉄の路線はどんどん拡張していく計画なのだそうですが、どう見ても赤字路線なので心配です。
空港の駅へ着くと、こちらの駅も構内には売店も何もなくガラーンとしています。ATMが一台ありましたが、壊れていました。インドの5大都市の1つであるチェンナイの玄関口を代表する駅としては少し寂しい気がします。
チェンナイ空港の地下鉄駅では、改札を出たところで一般的な南インド料理を食べることのできる食堂があります。
空港の駅については、改札を出ると階段下にフードコートが見えます。そして、長い渡り廊下を歩くと空港に到着します。
空港からメトロに乗るときは、写真の通り床に「Metro」と書かれた矢印のシールが貼ってあるため、その案内に従って歩いていけば駅に到着します。
アジアの都市でみると、東京に初めて地下鉄ができたのは1920年代、ソウルが1970年代、シンガポールは1980年代、上海は1990年代なのだそうですが、都市がある程度発展したときに地下鉄が建設されます。
それでいくと、チェンナイはまだ地下鉄をオープンさせるのは少し早いのかな?という気がしないでもありませんが、チェンナイはどんどん発展してきているので、これからの賑わいに期待です。