オートリキシャというのは三輪タクシーのことで、令和現在の日本で見かけることはほぼありませんが、インドではどの都市へ行っても黄色いオートリキシャが走っています。
タイのバンコクなどのオートリキシャ(トゥクトゥク)は観光客向けで地元の人は使わないなどといった話も聞きますが、インドではオートリキシャは地元の人の大切な足となっています。
オートリキシャは使いこなせば便利な反面、利用にあたってのリスクもあります。そこでこの記事では、オートリキシャのメリットと注意点についてご紹介します。
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オートリキシャの3つのメリット
オートリキシャを利用するメリットは大きく分けて3つ挙げられます。
すぐに乗れる
インドの多くの都市では日本、中国や東南アジアで見られるような四輪の流しのタクシーは見られず、タクシーはUBERやOLAといった配車アプリを利用した白タクか空港のプリペイドタクシーのみです(ムンバイやコルカタなど一部の都市では四輪の流しのタクシーもあります)。
電車やバスを利用する(人はインド在住者ではほぼいませんが・・・)と駅やバス停まで歩かなければなりませんし、UBERやOLAで白タクを呼んだ場合には到着まで数十分待たなければなりません。
一方、オートリキシャは街中を流しで走っているので、見つけたらすぐに乗ることができます。
また三輪は小回りがきくので、道が渋滞していても車の間を縫って進むことができます。
料金が安い
オートリキシャは地元の一般市民が利用しているものなので、料金相場はUBERやOLAなどに比べると安い印象です。
特に乗り合い(複数の人が乗る)リキシャーであれば、UBERで100ルピー(160円)以上かかるところでも10ルピーで行くことができたりします。
但し外国人が使う場合には足元を見られてボッタくられるので、土地勘のないところでは信頼できる地元のインド人と一緒に乗るか、予め相場を聞いておいた方が無難です。
もし信頼できるインド人もいないようであれば、OLAかUBERなどのアプリで値段を調べて、それよりも著しく(1.5倍など)高ければ強気で交渉しても良いかも知れません。
ムンバイなど一部の都市のオートリキシャはメーターを使ってくれるようですが、デリーやチェンナイを始め多くの都市ではメーターは使いません。
私はチェンナイに住んで約1年で、家から近所のスーパーなどへ行くときには面倒なのでリキシャーを利用しています。ここは土地勘があるので相場も分かりますが、同じチェンナイ市内でも離れたところでは未だに相場がよく分かりません。
「多少ぼったくられても、タクシーを待つより良い」という場合もありますので、利用する時にはある程度の割り切りも必要かもしれません。
いざとなったらすぐに飛び降りられる
オートリキシャは席が開放されているので、赤信号や渋滞などで停止したときにはどこでも飛び降りることができます。
車でもいざとなったら扉を開けて降りることはできますが、リキシャに比べると少しハードルが上がるのではないでしょうか。
特にバックパックを後ろに積んでしまった場合などは飛び降りるのが難しいはずです。
そして、後述しますが、オートリキシャでトラブルに遭ったときには飛び降りなければいけません。
オートリキシャ利用時の注意事項
オートリキシャは小回りがきいて非常に便利なのですが、特有の注意事項があります。
緊急事態が発生したら飛び降りる
上述の通りオートリキシャは気軽に飛び降りられるので、緊急事態になったら飛び降りなければなりません。
私が経験した事例をご紹介します。
と言い、道を走ってしばらくしてから突然アリエナイことを言いだしました。
こうなったら、適当な場所でリキシャーから飛び降りるしかありません。
- 携帯の電波が通じる(その場ですぐにUBERかOLAを呼べる)
- 人通りが多くて人目がある(リキシャーの運転手が逆上したら周りに助けを呼べる)
上記の2つの条件を満たした場所を探し、携帯の電波状況を見ながら、大きなモールなどの前で停まったら飛び降りようと機会をうかがっていたところ、なんと地下鉄駅の看板が見えました。
運転手が正直にそう言ってくれたので私は赤信号で停車したタイミングでリキシャーを飛び降り、50ルピーだけリキシャーの椅子に置いて逃げ出しました。
運転手は血相を変えてワーワーヒンディー語で怒鳴っていましたが、車道のど真ん中でリキシャを飛び降りて逃げ出し、歩道の人ごみへ消えた私を追いかけることはできません。
たとえ運転手が素直に「地下鉄の駅だ」と答えなくてもGoogle Mapを見れば地下鉄の駅だと分かるわけですが、そもそも土産物屋へ連れて行く前に、遠回りをせずに地下鉄の駅前を通っている時点でかなり段取りの悪い運転手だと思います。
今までもクトゥブミナールから土産物屋へ観光客を運んだことは何度もあるはずなのですが、途中で飛び降りる人が誰もいなかったというのも不思議に思います。
いずれにせよ、私が住んでいる南インドのチェンナイではこういったトラブルは殆どありませんが、北インドの観光地でオートリキシャを利用する時は要注意です。
必ず通信できる状況で利用する
緊急事態になったら飛び降りるという話をしましたが、前提として飛び降りた後に迷子になってはいけません。
Google Mapで位置を確認してリキシャーを降りたら電波の通じるところでOLAかUBERを手配することになりますが、それも前提として通信ができなければなりません。
SIMカードもモバイルWiFiもない状態では車を呼ぶこともできないので、インド旅行の個人旅行では事前にSIMカードを購入するかモバイルWiFiをレンタルすることが必須です。
また、これは私の住んでいるチェンナイでよくあるのですが、運転手が悪気なく道を間違えることがあります。
筋金入りの方向音痴ドライバーに当たった場合、いつまで経っても目的地に辿り着かないどころか遠ざかり、全然違うところで降ろされることがあります。
こういった場合にはGoogle Mapを見ながら目的地へ近づいているか確認し、道を間違えていたら"No No"と言ってガイドしなければなりません。
深夜にオートリキシャは利用しない
ある駐在員の方から聞いた話ですが、日系企業の多くが集まりインドで最も多くの駐在員が暮らすグルガオン(首都デリーから地下鉄で1時間の場所にあります)で、深夜2時にオートリキシャに乗ったところ、暗闇へ連れていかれ暴行を受け身ぐるみ剥がされたそうです。
頭に石を投げつけられたため気を失ったそうですが、運良く通りかかった若者グループに病院へ運んでもらい一命は取りとめたそうです。
デリーで偽の旅行代理店に高額のツアーを組まされ、その行程通りに行動すると(釈迦が悟りを開いたブッダガヤに近い)ガヤ駅に深夜到着する・・・などと言うこともあります。
ガヤはOLAやUBERのサービス提供外なのでリキシャーに乗るしかありません。
昼間は人通りが多く明るいため逃げようもありますが、深夜は人通りもなく極めて危険です。
デリーで騙されたうえにブッダガヤで身ぐるみ剥がされたのでは踏んだり蹴ったりですが、深夜にオートリキシャに乗らなければならない状況に陥らないよう旅行の計画を組む必要があります。
深夜にオートリキシャに乗るくらいであれば朝まで駅や空港で待機した方がまだマシではないでしょうか。
便利だが中上級者向けのオートリキシャ
オートリキシャはとても便利なのですが、厄介なトラブルに巻き込まれることも少なくないため、初心者には少しハードルが高いかも知れません。
私が上記で紹介した「途中で椅子にお金だけ置いて逃げ出す」というのも、ある程度インドに慣れていないと少し度胸がいるかも知れません。
日中、GoogleMapを片手に近距離から試してみるのがオススメです。