海外就職が決まり、いざ出国をするとき、日本で必要となる手続は多岐に渡り、どこから手をつけて良いのか分かりません。人によって必要となる手続きも異なりますが、1つずつ見ていきましょう。

住民票の海外転出届

海外へ移住する場合、渡航日の2週間前から住民票の海外転出手続きをすることができます。この手続きは自分が住んでいる区市町村の役所・役場で行います。

住民票は、必ずしも抜く必要はなく、残したまま渡航する人もいます。しかし、住民票を抜かないまま渡航した場合には、以下の費用を毎月支払わなければなりません。

  • 住民税
  • 健康保険料
  • 国民年金

国民年金は、住民票を抜いても任意で加入することができます。

健康保険は、加入していると日本にいるとき3割負担で病院へ行けるというメリットがあります。しかし、海外就職者は年に1〜2回しか帰国しません。

海外の病院が信用できないから病院は日本で行きたいという方もいるかも知れませんが、その時の病院代のために毎月決して安くはない健康保険料を払うのであれば、一時帰国の時だけ10割自己負担で病院へ行った方が安いのではないかと個人的には思います。

住民税は、1月1日時点で住民票がある人に対し、6月から翌年5月まで課せられます。詳しくは下記記事の「1.住民税」をご参照ください。

国民年金任意加入

上述の通り、住民票を抜かなかった場合、国民年金への加入は必須となります。住民票を抜いた場合には、日本国籍である場合に限り国民年金へ任意で加入をすることができます。

この手続きは区市町村の役所・役場または最寄りの年金事務所で行います。

私の住んでいた市の役所では、手続きに必要な書類は以下の通りでした。

  • 年金手帳
  • 身分証(パスポートや運転免許証)
  • 厚生年金を離脱したことを示す証明書(会社発行の離職票または退職証明書)

※念のため、お住まいの役所・役場にご確認ください。

しかし通常、退職証明書は退社日以降に会社から発行されるものです。従って、最終出社日後の退職日前(有給消化中)に海外へ出国する場合には退職証明書を受け取れません。その場合には出国前に手続きができないため、退職後に退職証明書を実家等へ送ってもらい、親族または知人に代理で手続きをしてもらう必要があります。

※私の場合は退職日前に勤務先から退職証明書を発行してもらうことができ、また市役所にもそれで国民年金任意加入の手続きを進めてもらうことができました。

海外在住者が国民年金に加入する場合には、「国内協力者」が必要になります。年金事務所で確認をしたところ、国内協力者は、必ずしも親族である必要はなく、知人でも可能です。

国民年金へ任意加入をする場合、支払方法は引落か振込になります。引落の場合には銀行口座を登録して、その口座から毎月引き落とされることになります。

※口座登録に必要なものはキャッシュカードと届出印でしたが、お住いの役所・役場にご確認ください。なお、ネット銀行は不可でした。

初月のみ引落が間に合わず、振込になる場合があります。振込の場合、国内協力者宛に振込用紙が送付され、国内協力者が立替をして支払ってもらうことになります。

住民税の納税管理人選定

「1」でご説明した住民票の離脱手続きをすると、役所・役場の住民税を扱う部署から納税管理人選定に関する資料が渡されます。住民税は、会社に在職中は給料から天引きされますが、退職の翌月から翌年5月分までは自分で住民税を支払う必要があります。住民票を抜いた時点で役所へ行って「住民税を払いたい」と言っても、その場では払えません。

親族や友人(または税理士事務所など)に納税管理人をお願いし、役所へ登録すると、退職の翌月頃に

※なお、納税管理人の選定が求められるのは住民税の場合だけで、国税の場合には原則として納税管理人の選定は必要ありません。詳しくは「還付申告」の項目で説明します。

携帯電話のSIMロック解除

通常、日本で購入した携帯電話には「SIMロック」がされています。その携帯をそのまま海外へ持って行ってしまうと、海外で使用することができません。海外で使用するためには、日本で予め「SIMロック解除」をする必要があります。SIMロック解除の手順については、「携帯会社名 SIMロック解除」とGoogleで検索をすればやり方が分かります。

面倒臭い方は、携帯電話ショップへ行けば約3000円の手数料で対応してもらえます。古い機種の場合にはSIMロック解除ができない場合があるので、予め調べる必要があります。もしSIMロック解除ができない機種の場合には、日本で予めSIMフリーの携帯電話を購入するか、現地へ到着してから携帯電話端末を購入する必要があります。

携帯電話の解約または休止

日本の携帯電話を解約しなければなりません。携帯電話は、「今月末の日付で解約」ということができないらしく、ショップへ行くとその場で即解約となってしまいます。出国ギリギリまで携帯電話を使いたい場合には、空港の携帯ショップで手続きをしましょう。朝は空港の携帯ショップが閉まっている可能性もあるので、早朝便の場合にはショップの営業時間を調べておく必要があります。

解約するのが心配な場合には、月額300~400円程度の費用を支払うことで携帯電話の番号をキープすることも可能です。なお、端末の一括購入による割引を受けていた場合には、解約に伴って一気に請求が来る場合があるので要注意です。

郵便局への転居届提出

郵便局への転居届を提出するのを忘れてしまうと、郵便物が旧住所宛に届き続けます。実家等へ転送するように設定しましょう。近くの郵便局へ行くと転居届を受け取れます。

下記ウェブサイトでも手続きができます。

日本郵便 e転居申し込みページ

金融機関の登録住所変更

最も注意すべきなのはクレジットカードと、ネット銀行です。カードの更新などがあった場合に転送不可郵便で新しいカードを郵送してくる場合があり、届かないと信用情報に傷がついたり口座停止となったりするリスクもあります。忘れずに住所変更をしましょう。

確定拠出年金の個人型年金への切替

こちらは退職後に会社から(実家などに)案内が送られてきますが、退職後に確定拠出年金を企業型から個人型へ移す必要があります。申込資料を日本からインドへ郵送してもらいましたが、届かずに3回も送ってもらったので大変でした。

所得税の確定申告・還付申告(渡航後)

日本で会社へ勤めていると、11月ごろに「扶養控除申請書」という、年末調整に必要な書類を記入します。所得税は毎月の給与から概算で天引きされますが、この天引き額は通常多めになっています。そこで、年末に医療保険などの控除額を再計算して、払い過ぎた分が戻ってきます。これが年末調整です。

しかし、1年の途中で会社を退職して海外へ渡航してしまうと、年末調整がされないため、多めに所得税を支払っている状態になります。これを取り返すのが「還付申告」です。海外移住後、一時帰国のタイミングで自分が住んでいた地域の税務署を訪問して手続きを行います。持ち物は、退職した会社から発行された源泉徴収票と、控除対象となる証憑類です。

※医療保険の控除証明書など。

この還付申告は、対象期間のあと5年間可能です。還付申告については、やらなかった場合には自分が損するだけなので延滞税などのペナルティはありません。退職前、サラリーマンで給与以外の収入がなかった人の場合には還付申告のみが対象で、確定申告は必要ありません。

それに対して、(家賃収入など)給与以外に収入があった人は確定申告をしなければなりません。これをやらないと脱税になり、延滞税などが科せられます。確定申告は対象年の翌年2月15日から3月15日に行わなければなりません。

しかしこの期間に日本へ一時帰国できない方も多いと思います。その場合は、出国前に税務署を訪問して予め納税管理人を指定しておかなければなりません。住民税の納税管理人とは別に、国税の納税管理人を選定しておく必要があります。住民税の納税管理人選定については住民票を海外へ移した時点で役所の方から連絡をくれますが、国税の納税管理人について税務署から連絡が来ることはありませんので、注意が必要です。

以上、海外渡航前にやるべきリストでした。

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