
中国の面積は日本の25倍もあり、日本にゆかりのある観光地も多数あるので、中国はバックパッカーの旅行先として非常に魅力があります。
また、中国は日系企業が最も進出している国で、日本人の滞在者数はアメリカに次いで世界第2位です。
仕事や旅行で中国へ行くときに、最も問題になるのが中国語です。
私は中国で生活をしていますが、周りの日本人を見ていると、やはり全く中国語ができない人達は生活に不便を感じているようです。
この記事では、中国語を全く話せない個人旅行者や在住者が、できるだけお金や時間をかけずに、最低限中国で生き延びるために必要な中国語のレベルと学習法をご紹介します。
Contents
中国では英語が通じない
香港やマカオは別として、中国本土では驚くほど英語が通じません。

香港から深圳へ一歩足を踏み入れた瞬間に、英語が一言も通じなくなってビックリした
という声を非常によく聞きます。上海ですら(他の都市よりは多少マシですが)あまり通じません。
- パスポート
- クレジットカード
- QRコード
といった、日本では英語だと認識されていないレベルの、世界中どこでも通じそうな単語も通じません。
中国での英語事情については【中国で英語は通じる?】中国は英語のみで旅行できる国なのか?の記事で詳しく説明しています。
目標とする中国語のレベル
どのレベルを目標とするかは、学習時間と必要性によります。
レベル | 目標 | 学習時間 |
入門1 | 街中の看板を読める | 10時間 |
入門2 | 中国人と筆談ができる | 20時間 |
初級 | 中国旅行で不自由しない | 200時間 |
中級 | 不自由なく中国生活ができる | 600時間 |
上級 | ネイティブと対等に議論できる | 数千時間 |
初級レベルは中検4級レベル、中級は2級レベル、上級は準1級レベルです。
入門レベル中国語の学習法
私は、中国へ旅行・出張する人は、できれば簡単な単語を学んでから行った方が確実に楽だと思います。
中国へ向かう飛行機の中で学習するだけでも良いです。
入門レベルとは?
入門レベルは、中国で街中の看板の意味を理解できるレベルです。
例えば「出口」「北京」などは中国語も日本語と全く同じなので学習不要ですが、以下のように中国語と日本語で異なる単語もあります。
中国語 | 日本語訳 |
酒店 | ホテル |
洗手間 | トイレ |
汽車 | バス |
火車 | 電車 |
まずは日本語と違う単語だけサッと覚えてしまうだけでも、街中の表示を読むことができ、中国旅行が格段に楽になります。
例えば、中国の街角で「酒店」という単語を見たとき、それがお酒を売ってる店ではなくホテルだと分かるようになります。
発音とリスニングは捨てる
中国語は発音が非常に難しいです。
多くの中国語学習者は、中国語の発音が難しすぎて、勉強し始めて30分くらいで挫折します。
そして、カタカナ発音の中国語は全く通じません。
例えば、「地球の歩き方」の巻末を見ると「中国語を使おう!」というコーナーがあり、簡単な中国語を紹介しています。
「いくらですか?」のカタカタ発音は「ドゥオシャオチエン」と書いてありますが、これをカタカタ通りに読んでも全く通じません。
厳しい言い方になりますが、中途半端にカタカナ発音を勉強しても何の役にも立たず、時間の無駄になるので、完全に捨ててしまった方が良いです。
逆に、中国語の発音やリスニングを勉強するなら腰を据えて徹底的にやらないと意味がありません。
それよりは、「いくらですか?」は中国語で「多少銭?」と書くので、日本人ならこの漢字をササっとメモに書いて筆談した方が速いです。
中国語は漢字を使っているので、発音を無視して単語だけ勉強したら、簡単な読み書きができます。
私は、短期の旅行や出張をするだけなら発音やリスニングは捨てて、単語だけ覚えるのが良いと考えています。
単語の学習法
キクタンの入門編がオススメです。
この単語帳の中国語の漢字を見て、知らない単語の日本語訳を覚えます。それだけです。日本人なら、もともと3分の1くらいの単語は知っているはずです。
ピンイン(声調)や例文は全て無視です。
知らない単語だけチェックして覚えていきます。
これで街中の看板を読めるようになります。
例えば「火车站」という看板を見つけたら、たとえ発音が分からなくても電車の駅だと分かります。
中国語が読めなくてもGoogle レンズを使えば街中の看板は読めますが、いちいちスマホを出してVPNに繋いでGoogleレンズに翻訳させるのは大変です。
読めない漢字は日本の漢字を調べる
例えば「认识」という中国語を見ても意味が分からないですよね?
しかし実は、「认」は「認」の中国版漢字(簡体字)、「识」は「識」の簡体字です。
つまり「认识」は「認識」なんです。
これを応用すると、「知识」は「知識」、「确认」は「確認」だと分かります。
このように漢字が分かると芋蔓式に中国語を読めるようになります。
同じように「买卖」は「売買」の簡体字です。
これが分かると「购买」は購買、「卖场」は「売場」だと分かるようになります。
また、「车」は車を表すので、「停车场」は駐車場を表すと分かります。
このように、中国の漢字(簡体字)を少し覚えるだけで多くの単語を読めるようになるのです。
中国語で読めない漢字はGoogleで日本の漢字を調べましょう。
中国の漢字を書けるようにする
中国の漢字・中国語を読めるようになったら、今後は先ほどの「キクタン」で「日本語→中国語」を書けるようにします。
ここでも発音を覚える必要は一切ありません。
例えば「いくらですか?」という中国語を見て「多少銭」と書けるようにします。
読み方は「たしょうせん」「たしょうぜに」と日本語の読み方のまま覚えて問題ありません。
中国に着いたら、ポケットに小さいメモとペンを入れてササっと書くか、スマホに文字を打ち込んで中国人に見せれば「トイレどこですか?」みたいな簡単なコミュニーションが可能になります。
「指差し会話帖(アプリでも可)」でも使えますが、表現が限定されるので、自分で漢字を書けた方が速いし応用が効くと思います。
初級レベル中国語の学習法
上記の「入門レベル中国語学習法」は、中国語に全く興味のない人が付け焼き刃で数日間の出張・個人旅行を乗り切る方法です。
もちろん中国語に興味がある方は単語・文法・発音・リスニングをしっかり勉強した方が良いです。
初級レベルとは?
中国で最低限サバイバルする中国語のレベルは、アメリカで最低限サバイバルできるだけの英語力と同じと考えましょう。
「サバイバルできる」というのは、なんとか食べ物やホテルを確保できて、旅行先で路頭に迷わず、安全に日本へ帰ってこれるレベルです。
英語の場合には、一般的には中学卒業レベル、英検3級レベルの英語を使えれば何とかコミュニケーションは取れると言われています。
但し、時制や三単現のSを間違えて使っていても、あるいは関係代名詞などを使いこなせなくても、単語の羅列だけでも最低限のサバイバルはできますので、英検3級レベルを完璧にマスターしている必要はないと思います。
中国も英語と同様に、単語の羅列でもある程度はどうにかなるので、文法に多少の難があっても大きな問題はありません。
特に中国語は漢字なので、もし聞き取れなければ「書いてください」という伝家の宝刀があります。
どこでも筆談ができるよう、常にメモとボールペンを持ち歩いて聞き取れない漢字を書いてもらうか、スマホに入力してもらいましょう。
日本人の場合、たとえ相手の話している中国語を理解できなくても、漢字で書いてもらえば理解できるケースも多いです。
従って私は、英語でいえば英検4級レベル、中国語でいうと中国語検定4級合格レベルを目指せば十分だと思います。
できれば中国語検定3級まで目指すのが理想ではありますが、3級では複文など多少難しい文章の組み立ても必要となり、サバイバルレベルを少し超える印象です。
最低限学習すべき内容
サバイバルのために最低限勉強すべき内容は以下の通りです。
- 発音
- 単語
- 文法
- リスニング
中国語はまず何よりも発音が重要です。
初心者は、殆どの学習時間を発音に充てるべきと言っても過言ではないです。
英語は、RとLの区別などのポイントを押さえて話せば多少カタカナ英語でも通じないことはないですが、中国語は発音が少しズレただけでビックリするほど通じません。
逆に中国語は、発音さえできれば、文法は英語ほど複雑ではないですし、単語に至っては半分くらい日本語と共通しているので、楽です。
日本語と異なり、中国語は1つの漢字に1つの音しかない場合が多いので、発音を覚えてしまえば漢字の読み方が分からくて困ることもありません。
また中国語は発音記号通りに発音すれば絶対に通じるので、発音をマスターできるかどうかがサバイバル中国語をマスターするための鍵です。
発音の学習法
中国語の発音を懇切丁寧に解説してくれている動画があります。
この動画を見てマネして発音すれば大丈夫です。
ただ、自分では発音できているつもりでも、実際には発音できていないケースがあります。
できれば中国人の知り合いに、正しく発音できているかチェックしてもらいましょう。
もし中国人の知り合いがいない場合には、ココナラ で「中国語」と検索し、会話のトレーニングをしてくれる方を探してチェックしてもらうのがオススメです。
理想的には中国語スクールに申し込むべきですが、そこまではハードルが高いと言う場合には、ココナラで発音のチェックだけしてもらうのがオススメです。
単語の学習法
サバイバルするための単語は、キクタンの入門編で十分です。
「中検準4級レベル」とありますが、この1冊で4級まで対応できます。
- まずは全ての単語に一通り目を通して、見て分からない単語を覚えます。日本人であれば、半分くらいの単語は元々知っているはずです。
- 全ての単語を覚えたら、音声を聞いて単語の意味が分かるようにします。
- 最後は、日本語を見て中国語の漢字とピンインが思い浮かぶところまでを目標にします。
もしもう少し学習したければ初級編も覚えましょう。
文法の学習法
正しい発音であれば、単語の羅列だけでもサバイバルできないことはありませんが、できれば多少の文法を抑えておいた方が良いです。
文法が分かると、駅やレストラン、ホテルに貼られている簡単な注意書きを理解できるようになります。
最低限の文法を理解するには「ゼロからスタート中国語」がオススメです。
初級者が学ぶべき中国語文法が簡潔に分かりやすくまとまっており、この1冊だけで最低限のコミュニケーションは問題ありません。
英語でいうと、この本が英検4級レベルです。
もし余力があれば、先ほど紹介した阿波連さんのYouTube動画でも中国語の文法を分かりやすく説明しているので、スキマ時間にぜひチェックしてください。
リスニングの学習法
いくら正しい発音で単語を言えても、中国人の話を全く聞き取れなければサバイバルは難しいです。
リスニング力を鍛えるためにはシャドーイングがオススメです。
先ほどご紹介した「ゼロからスタート中国語」をシャドーイングの教材として使いましょう。
シャドーイングの方法については、阿波連さんの下記動画で詳しく説明しているので、ぜひチェックしてください。
ここまで学習すれば、中国で路頭に迷うことなくサバイバルすることはできます。
中国で快適に過ごすレベルを目指す学習法
中国語検定(中検)4級レベルであれば最低限のサバイバルはできるものの、本当に最低限です。
中国語のストレスを感じることなく、中国を快適に旅行したい場合には中検3級レベルまで目指すのがオススメです。
中検3級は、英語でいうと英検3級に相当し、中学卒業レベルに相当します。
中検3級まであれば、あまり不安を感じることなく中国での旅行や生活を楽しむことができます。
瞬間中国語作文
「瞬間英作文」という有名な英語学習書籍がありますが、その中国語版があります。
日本語の文章を読んで、中国語の意味がすぐに浮かぶようにする訓練です。
このトレーニングは非常にハードで時間がかかりますが、サバイバル能力は上がります。
個人的には、次に紹介する文法や単語の強化よりも、サバイバル能力を上げるためには優先度が高いと思います。
このトレーニングをすると、驚くほど言いたいことがスッと中国語で出てきます。
ただ、いくら言いたいことが素早く口から出てきたとしても、発音が間違っていたら全く通じないので、正しい発音で話せることが前提です。
最初に紹介した発音のトレーニングが最も重要度が高いです。
「地球の歩き方」巻末のフレーズを覚える
「地球の歩き方」の巻末に、中国語のフレーズがたくさん載っています。
これはホテルやレストランなど旅行先で頻出のフレーズなので、これらを押さえておくと便利です。
地球の歩き方の該当箇所を見せて、「旅の指さし会話帳」のようにコミュニケーションを取っても良いのですが、これらのフレーズを自分で言えた方がスムーズです。
そこで、先ほどの「瞬間中国語作文」の学習方法と同じ要領で、地球の歩き方に書いてあるフレーズ集の日本語を見て中国語を言えるよう練習します。
地球の歩き方の中国語集にはカタカナが振ってありますが、カタカナ通りに読んでも全く通じないのでピンインを読みましょう。
カタカナ読みするくらいだったら本を見せて筆談した方がマシです。
単語と文法
単語と文法は先ほどご紹介した勉強方法と同じですが、教材がもう一段階上がります。
単語はキクタンの初級編を学習します。
中検4級レベルと書かれていますが、この単語帳で3級レベルまで網羅されています。
受動態、処置文、補語など、明らかにサバイバルレベルを超える文法にはなりますが、ここまで学習すれば中国語の文法は終わりです。
相手の話が聞き取れない場合に使えるテクニック
ここまで、中国でサバイバルするための中国語学習法についてご紹介しましたが、それでも通じない場合に使えるテクニックをご紹介します。
通じない場合は、以下の文章を相手に見せましょう。
不好意思,我是外国人,我听不懂你说的话,麻烦您写一下。
(すみません、私は外国人なので、あなたが言っていることが分かりません。お手数ですが書いて頂けますでしょうか)
この中国語をスマホにコピーして会話相手に見せて、言いたいことを紙に書くなりスマホに入力してもらいます。
それをdeeplで翻訳します。
できれば、DeepLの入力画面に直接入力してもらいましょう。
資格試験は中国語検定とHSKのどちらを受けるべきか?
中国語の学習をする場合、学習の目安やモチベーション管理のために資格試験を活用するのがオススメです。
日本で有名な資格試験には、HSKと中国語検定の2つがあります。
TOEICと英検の違いのようなものです。中国語検定とHSKを比較すると以下の通りになります。
中国語検定 | HSK | |
主催 | 日本中国語検定協会 | 中国政府教育部 |
対象 | 日本人 | 世界中の非ネイティブ |
受験地 | 主に日本国内 | 全世界 |
中国語初心者がサバイバル力を鍛えるためにはどちらがオススメかというと、圧倒的に中国語検定がオススメです。
理由は、中国語検定は日本人学習者向けの試験だからです。
HSKは全世界の人向けの試験なので、初級レベルのHSKの読解問題は、漢字が読める日本人にとっては無学習でも雰囲気で解けてしまう簡単な問題が殆どです。
それに対して中国語検定は、きっちり中国語を学習していなければ解けない問題ばかりなので、初学者には中国語検定がオススメなのです。
HSKは中国政府教育部が主催している試験なので、中国での就職や留学には有利です。
しかし、初級レベルのHSKを持っていたところで何のアピールにもなりませんので、中検3級に合格するまではHSKを受ける必要はないというのが私の考えです。
HSKは1級が最も簡単で、数字が増えるほど難しくなり、今のところ6級が最難関です(近いうちに、7~9級が増設されるそうです)。
中検3級に合格したのであればHSK3級には簡単に合格できますので、わざわざ受験する必要もなく、HSK4級や5級にチャレンジするのがオススメです。
HSK5級で180点以上取っていれば、中国での就職や留学でも有利に働きます。
この記事では中国語にサバイバルするための学習法をご紹介しましたが、もう少し時間をかけて体系的にキッチリ中国語を学習したい方には、中国語検定トレーニングブックがオススメです。
中国語を丁寧に学ぶために必要な単語、文法、リスニングが網羅されているので、この教材を一通り学べば正しい中国語を身につけることができます。
但し時間がかかりますし、最低限のサバイバルに必要なレベルは超えます。
本気で鍛えるなら中国語のコーチングがオススメ
この記事は、私が経験に基づいてオススメ学習法をご紹介しましたが、私は専門の中国語教師ではありません。
この記事に書いた方法で最低限のサバイバル中国語はできるようになると思いますが、1人での学習は質問もできないし、自分の発音が正しいかもわかりません。
もし本気で中国語を身につけたい場合には、中国語のコーチングを受けるのがオススメです。
中国語初心者でも、2か月のコーチングを受ければ最低限のサバイバル中国語力は身につくのではないかと思います。
中国旅行を思いっきり楽しみたい方、安心して中国の出張や駐在をしたい方には、コーチングスクールのthe courageがオススメです。
the courageをオススメする理由は以下の記事をご参照ください。
【the courage】本気で中国語を学びたい人向けのコーチングスクール