【2024年】中国のキャッシュレス電子決済状況まとめ【日本人の対策】

日本のニュースでも報道されている通り、中国ではキャッシュレス決済が進んでいます。

シンガポールなど多くの国でキャッシュレス決済は進んでいますが、中国の場合は「キャッシュレスが進んでいる」というレベルではなく、もはや現金だけでは生きていけません。

QRコード決済が必須の中国ですが、幸いなことに日本人でもQRコード決済は利用できます

この記事では

噂には聞くけど、中国のキャッシュレスって実際にどんな感じで普及しているの?

という疑問にお答えします。

写真も豊富に掲載していますので、現地の臨場感を体験して頂けます。

中国への赴任や中国旅行を予定している方は、事前に中国のキャッシュレス社会の状況を理解しておきましょう。

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中国のキャッシュレス状況

中国 カフェ

まずは中国のキャッシュレス社会全体の状況をご紹介します。

中国では現金はほぼ使わない

2023年現在の中国では現金はほぼ流通しておらず、スマホ決済が主流です。

中国のQRコード決済が日本の現金に相当すると考えて問題ありません。

どういう意味かというと、日本国内でもキャッシュレス決済が増えているものの、現金決済ができない店はまだ少ないですよね?

逆に中国では、自動販売機などで現金を使えないことはありますが、QRコード決済ができないことはまずありません。

私はかなり田舎の観光地や商店まで行きましたが、QRコード決済を使えなかったことは一度もありません。

中国 田舎

例えば、こんな農村地帯で70代のおばあさんが営んでいる食堂のチャーハンを食べた時ですらキャッシュレス決済でした。

2022年の調査によると、農村住民のうち45.5%がキャッシュレスを好み、17.9%が現金を好み、36.6%が決めかねているそうです(参考記事(中国語))。

日本の25倍の面積がある中国で、これだけ短期間にキャッシュレス決済が普及したのは驚くべきことです。

ここからは、極度にキャッシュレス化した中国社会の様子をご紹介します。

レストランのキャッシュレス決済

都市部のレストランでは、テーブルに貼られたQRコードを読み込んで注文と決済をします。

中国 キャッシュレス

上記のQRコードをWeChatPayアプリかAlipayアプリで読み込むと、注文画面が表示されます。

中国 キャッシュレス

アプリで表示されたメニューから食べたいものを選んでいきます。

テーブルのQRコードからメニューを読み込むだけであれば日本の居酒屋でもよく見かけると思いますが、会計は最後にレジでしますよね?

ところが中国の場合、アプリで支払いまで完了してしまうのです。

アプリ内で決済まで完了してから初めて注文が完了となります。

つまり、日本でいうなら松屋など食券を購入するお店と同じシステムで、前払いなのでお店にとっては食い逃げを防げるメリットがあります。

中国 餃子

あとは黙っていてもメニューが運ばれてきて、食べ終わったらそのまま退店できます。

入店から注文、支払、退店まで店員と会話をする必要が一切なく、しかも全てのメニューに写真が表示されているので、中国語が苦手な外国人にも利用しやすいシステムです。

中国語ができない駐在員は「テーブルにQRコードが貼ってないレストランには怖くて入れない」と言っていました。

テーブルにQRコードが貼ってない店では、日本と同じように紙のメニューを見ながら店員に注文し、食べ終わった後にQRコードで決済をします。

テーブルに貼ってあるQRコードで決済が完了するため食券販売機を購入する必要がなく、店舗にとっては設備投資費用を押さえられて便利です。

非常に便利なので日本でも導入したい店舗は多いはずですが、日本ではなかなか普及しません。なぜでしょうか?

例えば、もし日本のレストランがLINE PayやPaypayのQRコード決済で注文する仕組みを導入したら

LINE Payなんて使ったことないぞ!現金で支払わせろ!

というクレームが殺到するのが明らかだから、食券購入機が必須なのです。

一部の客はPaypayやLINE Payで前払いをして、一部の客はレジで後払い・・・などという仕組みにしたら、逆に複雑で店員の手間が増えてしまうでしょう。

WeChatPayとAlipayが寡占状態になっている中国だからこそ実現できるシステムだと言えます。

ただ、もし現金しか持っていなければ、店員に「現金しか持っていないので紙のメニューを持ってきてください!」と言えば、紙のメニューを持ってきてくれて現金決済でも対応してくれます。

自動販売機もキャッシュレス

しかし、たとえ現金決済をしたくても交渉の余地がないケースもあります。

それが自動販売機です。

例えば、こちらの自動販売機は、一見すると日本の自動販売機と同じに見えます。

中国の自動販売機

ところが近づいてみると、硬貨(硬币)投入口が塞がれていることに気づきます。

中国の自動販売機

「現金支付(支払)」の案内もありますが、紙幣の投入口も塞がれているため、現金では購入できないのです。

中国の自動販売機

付属のタブレットを利用して、WeChatPayやAlipayで支払わなければなりません。

自動販売機は有人店舗と違って「現金でも支払えますか?」という交渉ができないので、現金しか持っていなければお手上げですね。

トイレットペーパーの購入もキャッシュレス

中国 トイレットペーパー販売機

飲み物の自動販売機であれば、もし現金しか持っていなければ買うのを我慢して、コンビニなどの有人店舗を探せば問題ありません。

しかし、中国ではキャッシュレスに対応できなければ窮地に追い込まれる状況もあります。

中国では、地下鉄の駅やショッピングモールのトイレにトイレットペーパーが備え付けられておらず、トイレットペーパーを購入しなければならないことがあります。

このトイレットペーパーの自動販売機もキャッシュレス決済しかできません。

だから緊急事態の場合に現金しか持っていなければゲームオーバーとなります。

全てがQRコード決済の中国ではスマホの充電切れは死を意味するので、街の至るところに有料の充電器レンタル機があります。

しかしスマホの充電を決裁するのもQRコード決済なので、充電器に辿り着く前にスマホの充電が切れたらゲームオーバーです。

もし現金しか持っていなかった場合にどうするかは後述します。

街角の物乞いや大道芸人もキャッシュレス

中国の物乞い

中国の街角にも大道芸人や物乞いがいます(経済発展により、物乞いは昔より圧倒的に減りました)。

海外の大道芸人や物乞いは、地面に帽子やお椀をおいて、その中へコインやお札を入れてもらいますよね。

ところが中国では、帽子やお椀の代わりにQRコードを置いています。

通行人はQRコードをスキャンすることで物乞いに寄付したり、大道芸人に報奨を払います。

路上にいる物乞いの他に、観光地でお土産を売りつけてくる物売りも首からQRコードをぶら下げて来ます。

道端の屋台や、リヤカーを引いて果物や野菜を売っているおじいちゃん、おばあちゃんですらQRコード決済です。

え?!ちょっと待って?!さっき、レストランのQRコードを読むとメニューが表示されてたけど、道端でリヤカーを引いているお爺さんやお婆さんも野菜や果物のメニューを表示するWebサイトを作ってるってこと?

と誤解されることがありますが、そうではないです。

個人商店が使っているQRコードを読み込んでも特にWebサイトは表示されず、WeChatPayやAlipayの金額入力画面が表示されるので、金額とパスワードを入力して決済をすれば完了です。

今の中国の高齢者は大躍進政策や文化大革命、改革開放など、日本人の私には想像を絶する凄まじい時代を生き抜いてきたと思うのですが、高齢になってもゼロコロナやキャッシュレスなど中国社会の変化に対応し続けなければならず、本当に激動の人生だろうなと頭が下がる思いです。

お寺のお賽銭もキャッシュレス

中国のお賽銭 キャッシュレス

日本の神社仏閣では賽銭箱に現金をお布施しますが、中国ではやはりQRコード形式です。

写真はお寺の鐘ですが、鐘を突く前にWeChatかAlipayのQRコードで任意のお布施を支払います。

仏像に賽銭をお布施する時も同じです。

仏前でスマホを取り出してQRコードを読み込んで寄付額を入力し、決済が済んだら仏様に手を合わせることになりますが、慣れてないと仏様の前でバタバタすることになります。

日本人

さすがに賽銭までQRコード決済にしたらご利益がないんじゃないか?

という人が多いのですが、慣れると意外とそうでもなく、個人的には宗教もテクノロジーで進化するものだと感じています。

とはいえ、現金の賽銭箱が完全に撤去されている寺院や廟はまだ少なく、賽銭箱の現金投入口の横にQRコードが貼り付けられているケースが多いです。

また、日本でもお寺の池にコインを投げる人が多いですよね?(お寺に限らず、東京ディズニーランドですら池にお金を投げている人を見たことがあります)

中国でも同じように、お寺や廟の池にコインやお札を投げ入れる習慣があるのですが、流石にそれはキャッシュレスでは物理的に不可能なので、今でも現金を池に投げ入れている人達はいます。

博物館もQRコード決済

中国 博物館

また博物館などでも、WeChatで入館予約をし、入館料の支払いを済ませてから入場する場所が増えています。

これはキャッシュレスだけでなく、実名認証も兼ねているようです。

中国では鉄道や長距離バス、ホテルなど至る所で身分証(外国人の場合はパスポート)が必要になりますが、観光地や博物館でもチケット購入時にパスポートの提示が必要になります。

WeChatPayは登録時に実名認証をするので、改めてパスポートを提示する必要なくオンラインでチケットを購入でき便利です。

大抵の博物館は「售票处」(チケット売り場)で現金購入が可能ですが、入場者の多い博物館ではWeChat等での事前予約を必須としている場合があります。

省立の博物館に多いケースですが、せっかく博物館まで行ったのに「本日の予約枠は満員です。明後日以降の日付でWeChatで予約して来てください」ということがあります。

行きたかった観光地が事前予約制で入場できないと旅行の計画が狂ってしまいますので、事前にWeChat検索をして予約が必要か確認しておくのがオススメです。

電車やバスでは現金を使える

ここまでキャッシュレス事情を説明してきましたが、地下鉄やバスでは現金も使えます。

但しバスではお釣りが出ないので予め小銭を用意する必要があります。

地下鉄やバスの乗り方については以下の記事を参照してください。

地下鉄の乗り方:中国本土の地下鉄の調べ方・乗り方と注意事項

バスの乗り方:中国での路線バスの調べ方と乗り方【百度地図アプリの使い方】

またレストランでも「現金しか持っていない(我只有现金)」と伝えれば現金決済が不可能ではなく、博物館や観光地でも現金決済の入場券売り場があるので、現金だけでの中国旅行も不可能ではありません。

但し、以前と比べると店員から

なんでWeChatPayを使えないの?

と怪訝な顔をされる可能性は高いです。

中国で使えるキャッシュレス決済

中国のキャッシュレス

中国のキャッシュレス事情は、他の国とはだいぶ異なります。

「日本はガラパゴス」と言われますが、中国のガラパゴス具合は日本より上を行っている印象です。

しかし人口が14億人いるので、ガラパゴスというよりパラレルワールドという方がしっくり来るかも知れません。

ここでは、中国国内で使えるキャッシュレス決済をご紹介します。

中国ではVISAやMASTERを使える店が少ない

とりあえずVISAかMASTERのどちらかを持っていれば世界中どこへ行っても安心ですが、中国は違います。

中国でVISAやMASTERを使えるのは外国人の多い高級ホテルや高級レストラン、超有名な観光地などに限られ、一般のホテルやレストラン、観光地では使えません。

中国人はVISAやMASTERを利用しないからです。

イランやロシアのようにアメリカの経済制裁が原因でVISAやMASTERを使えないのではなく、単純に中国では普及していないのです(理由は後述します)。

中国で普及しているのはスマホ決済の微信支付(WeChatPay)か支付宝(Alipay)、もしくは銀聯(Union Pay)という中国ブランドのQR決裁やクレジットカードです。

ただ、UnionPayしか使えない場所は基本的にないので、WeChatPayとAlipayを登録しておけばUnionPayは不要です。

中国では自国の決済ブランドが普及しているので、もし中国がアメリカから経済制裁を受けても国内の決済が滞ることはありません。

海外在住の外国人でもキャッシュレスを使える!

今までWeChatPayを利用するには中国国内の銀行口座との紐づけが必須でした。

国外在住の外国人はWeChatPayを使うことができなかったのですが、2023年7月から日本在住の日本人も中国国内でWeChatPayを使えるようになりました!(参考:WeChatペイとアリペイ、海外クレジットカードとの連携が可能に

私の記憶では2019年頃は中国国外在住の外国人でもWeChatPayを使うことができたのですが、セキュリティの観点から規制が厳しくなり、2020年ころから中国の銀行口座との紐づけが必須になりました。

コロナの3年間は、非居住者の外国人が中国へ来ることは殆どなかったので、旅行者や出張者がキャッシュレスを使えない状況でも殆ど問題にはなりませんでした。

しかし、コロナが明けて外国人旅行者や出張者が中国へ渡航するようになり

WeChatPayを使えなかったら、どうやって中国で買い物をするんだよ!

というクレームが外国人や外国政府から殺到したのではないかと私は想像しています...

WeChatPayとAlipayは

  • パスポートの情報
  • SMSを受信できる電話番号(日本の電話番号で可)
  • VISA、MASTERなどの海外のクレジットカード

があれば登録できますので、中国へ渡航する前に日本で登録を済ませておきましょう。

日本の電話番号でも登録は可能なのですが、中国へ出張・旅行をするなら念のため中国の携帯電話番号を用意しておいた方が無難です(詳しくは【中国渡航】日本で準備すべきネット規制対策【VPN/ローミング】の記事をご参照ください)。

この記事でWeChatPayやAlipayの登録方法と使い方を丁寧に解説しようかと思ったのですが、既に詳しく解説している記事がネット上に多数ありますので、省略します。

詳細は「WeChatPay 登録方法」「Alipay 登録方法」のキーワードでGoogle検索して登録してください。

殆どの場所ではWeChatPayとAlipayの両方を使えますが、どちらかしか使えないサービスもあるので、念のため両方とも登録しておいた方が良いです。

例えば、博物館の入館予約などはWeChatPayでなければできないことがあります。

なお、外国人でもWeChatPayやAlipayを使うことはできるのですが、交通カードとの連携など一部機能は中国の銀行口座との紐付けが必須な場合があります。

外国人は国外でWeChatPayやAlipayを使えない

日本国内でもWeChatPayやAlipayで支払える店がありますが、外国人は中国国外ではWeChatPayやAlipayを使うことができず、外国人がWeChatPayやAlipayを使えるのは中国大陸のみです。

香港やマカオでも外国人はWeChatPayやAlipayを使えないので注意が必要です。

中国本土旅行の感覚で、パスポートとケータイだけ持って香港へ行ってしまうと無一文になり詰みますので、中国在住者が香港やマカオへ行く時には必ず財布(現金やクレジットカード)を持っていくようにしましょう。

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中国で現金を使う状況

人民元

中国でキャッシュレスが進んでいることはご理解いただいたと思いますが、それでは現金はどこまで使えるのでしょうか?また、現金は必要でしょうか?

現金も使えるルールになっている

キャッシュレス化が進んでいる中国ではありますが、現金の支払いもできます。

中国のキャッシュレス決済は、WeChatPayやアリペイですが、いずれも民間企業が運営する決済方法です。

つまり、中国の決済は民間企業が独占しており、政府のメンツが立たない状況になってしまっています。

中国の街中を散歩していると、銀行の電子掲示板に「中国の唯一の法定通貨は人民元なのだから、人民元の決済を拒否してはいけない!」という通達が表示されているのをよく見かけます。

つまり、お店は現金での支払いを拒否することができないのです。

実際、人民元での受け取りを拒否した企業が処罰されている事例すら発生しています(元記事(中国語))。

中国の一般市民の多くは店舗で現金決済ができないと勘違いしていますが、お店側は現金決済を拒否すると処罰されることを知っているので、現金払いも受けつけてくれます。

現金でも押し通すことはできますが、日本人が中国で現金を使うと「10年前からタイムスリップしてきた方ですか?」という顔をされることは覚悟する必要があります。

欧米系や中東系だと、顔が全然違うので「外国人だから仕方ないね」という反応になりますが、日本人だと中国人と区別がつかないので、「え?!」という一瞬の間ができる可能性があります。

また上述の通り自動販売機では無理ですし、現金だけではとても不便なので、中国へ出張や旅行へ来るならWeChatPayやAlipayは必ず事前登録しておきましょう。

私の知人で、2023年現在でも「私は現金しか使いません!」と頑なに頑張っている人が1人だけいるのですが、側から見ると非常に不便そうな生活をしています。

2023年の日本で例えると、未だにスマホを持たずガラケーを使っているような感じでしょうか。

1年間の中国生活で、街中で現金を使っている人を見かけたのは5回だけです。

中国の旅行や出張では現金を手元に持っておくべきか

多くの中国人は現金を持たずに外出しますが、個人的には(特に中国に慣れていない出張者や旅行者は)念のため現金を持っていた方が無難かなと思います。

滅多にないことですが、決済をしようとした時にケータイの電波が弱かったり、電池がなくなったりして支払えなくなることがあります。

私も一度だけ、タクシーから降りようとした時に圏外になっていて困ったことがありましたが、手元に現金があると万一の時も安心です。

ただし現金が一般的ではない中国では相手がお釣りを持っていない可能性があるので、細かい現金を持っていた方が良いです。

現金を崩せる場所も滅多にないので、ホテルのフロントか街中の銀行店舗などでお願いしましょう。

なお中国のQR決済は自分のQRコードを店に提示する場合と、店のQRコードを読み込んで支払う場合があるのですが、前者の場合は電波が圏外でも問題ありません。それに対して後者は圏外だと支払いができません。

またバスに乗る場合など、QR決済でモタモタしていると運転手や後ろに並んでる人から怒鳴られることがあります。

バス代は1〜2元なので、QR決済に慣れていない旅行者なら現金で支払ってしまった方が早いでしょう。

キャッシュレスを使えず困った場合にはどうするか?

スマホが壊れたり、キャッシュレスをうまく使えず困った場合にはどうすれば良いでしょうか?

具体的にいうと、駅のトイレの自販機で今すぐトイレットペーパーを買う必要があるが、現金しか手元にない緊急事態などを想定しましょう。

その場合には、近くの人を捕まえて現金を渡し、代わりに買ってもらいましょう。

我的手机没电了,麻烦您帮我买纸巾,谢谢(携帯電話の電池が切れたので、お手数ですがトイレットペーパーを買ってくれませんか?)

などと伝えましょう。もし中国語ができなければ、上記の文言に加えて

我是外国人,不会说中文(私は外国人で、中国語を話せません)

と紙に書いて見せれば大丈夫です。

書くべき中国語はDeepLなどで翻訳しましょう。DeepLは中国国内でもVPNなしで使えます。

他にも、レストランでのメニューや決済が全てQRコードだったり、博物館の予約がWeChatPayのみだったりすることがありますが、係員に事情を説明すればどうにか対応してくれます。

中国人が現金を使う状況

余談ですが、今でも中国人が現金を使う状況は少しあります。

具体的に言うと、結婚式のお祝儀や正月(春節)のお年玉(紅包)などです。

結婚式で新郎新婦にお祝儀袋を渡す習慣までは流石にQRコード決済にならなかったようです。

また、私の経験でこんなこともありました。

寝台列車に乗っていたとき、私は下の段を予約していて、上の段は70代後半くらいのおばあさんが予約していました。

おばあさんが梯子で上の段へ上るのは厳しいと思い、上と下の段を交換しました。

すると、とても喜んでくれて、「お礼がしたいのでWeChatPayで送金させてください」と言われました。

お金を受け取るほどのことではないので断り続けたのですが、最終的に私が眠っている間に枕元に現金20元(約400円)を置いていたようで、そのお婆さんは知らない間に降車していました。

とても律儀な方でしたが、相手の同意なくお金を渡すこともキャッシュレス決済では不可能ですね。

逆に言うと、相手の同意なくお金を奪うのも不可能で、送金履歴は全て実名での記録がつきますので、街角でチンピラからカツアゲされるリスクは日本よりも少ないかも知れません。

どうして中国ではキャッシュレス決済が爆発的に普及したのか?

中国茶

ここまで中国のキャッシュレス決済の状況と対策をご紹介しました。

ここからは余談ですが、中国で爆発的にキャッシュレスが普及した事情としてよく耳にする説をご紹介します。

寡占状態なので使いやすい

日本ではPaypayやLINE PayなどのQR決済が乱立しており、しかもスイカやクレジットカードを使う人も多いので、何を登録したら良いのか迷う人も多いと思います。

しかし中国ではWeChatPayとAlipayの2社が寡占状態です。これは消費者にとっては便利です。

先ほどレストランのQRコード注文のところでご紹介したように、全ての人がWeChatPayやAlipayを使える前提なので、店舗側は費用を抑えて導入可能です。

また、全員がWeChatPayやAlipayを使っているので、個人間送金はアプリ内で無料で行います。

日本のように、個人間送金にまで銀行へ振込手数料を払ったり、友達と割り勘するために小銭を準備したりする必要もないので便利です。

導入コストが安い

上の項目でも少し書きましたが、中国のキャッシュレスはQRコード読み込み式なので、クレジットカードの読み取り機や食券販売機のような設備の導入が不要です。

街角でリヤカーを引いているお爺さんは、A4用紙にデカデカと印刷されたQRコードを、山積みされたスイカの上に置いています。

紙に印刷するだけで導入できるので便利です。

中国でVISAやMATSERなどのクレジットカードが普及しなかった理由もここにあるのではないかと私は考えています。

現金決済だと偽札のリスクがありますし、お釣りも用意しなければならず、盗難のリスクもあるので、QR決済の方が安心安全なのです。

しかも中国のキャッシュレス決済は全て実名認証制なので、どこで誰が何の支払いをしたのかが全て記録として残るため、不正も起こりにくくなります。

クレジットカードなどが殆ど普及していなかった

一般的に、新しい技術が導入されると、後発国は先発国を一気に追い抜きます。

例えば、日本では騎馬や馬車が普及せず、江戸時代まで移動手段の基本は徒歩でした。

幕府の飛脚も人力で走っていましたし、庶民のお伊勢参りも徒歩で回っていました。

一方、海外では紀元前から馬車が利用されていました。

例えばローマ街道は2台の馬車が行き来できる車道が整備されていましたし、アニメ「キングダム」を見ると紀元前の中国でも馬車が利用されていたことがわかります。

日本で馬や馬車が全く普及しなかった理由には様々な説があるそうですが、日本は山が多く、例えば馬車で東海道の箱根の山を超えるのは無理があるためなどと言われています。

馬車が普及していなかったお陰で、明治時代になって鉄道が導入されると諸外国と比べても爆発的なスピードで敷設が進み、庶民の足として広く利用されるようになったと言われています。

それと同様に、中国では信用力の低さからクレジットカードが普及しておらず、またパソコンなども普及していませんでした。

中国が最も飛躍的な経済成長を遂げた時期が、世界でスマートフォンが普及した時期と重なり、また2010年代まで現金経済だったため、QRコード決済を妨げる既存の枠組みがなかったようです。

中国旅行・中国出張の前には必ずキャッシュレス決済を登録する

以上、中国のキャッシュレス決済の状況をご紹介しました。

キャッシュレスを使いこなさなければ中国での旅行・出張・生活が難しいことをご理解いただけたと思うので、必ず中国渡航前にWeChatPayとAlipayを登録しましょう。

英語・中国語ですが、下記リンクで外国人の中国での決済方法の説明を読むことができます。

Guide to Payment Services in China 外籍来华人员支付指南

 

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コメント一覧
  1. とても詳しい説明をありがとうございます。2つ質問させてください。
    私と夫(米国人)はシニア世代で、2015年から18年まで4回、2カ月ずつ長期旅行(主に地方)を楽しみました。コロナも終わり、米国人用の10年マルチビザが切れる直前の今年、再訪したいと思っています。

    1つ目の質問は、やはりスマホは各自持つ必要がありますよね?夫は持ってないんです(^^;;
    2つ目の質問は、日本のスマホを常時使うとなれば、接続料気が膨大になりませんか?中国でSIMを入れ替えるということでしょうか? 以前は、私のスマホはずっと飛行機モードにし、電話機能だけ使えるようにしていました。
    18年ごろがまだ、米国発行のクレジットカードで支払い、ATMで現金を引き出して何ら問題なく旅行できたのに、ものすごい変化ですねー。

    • コメントありがとうございます。

      1つ目の質問について、スマホは常時一緒に行動するのであれば1台でも大丈夫かとは思いますが、一瞬でも離れる可能性があるなら念のため各自持っておいた方が無難だと思います。
      中国の変化は本当に凄まじいです。中国の1年は日本の5年分くらいの変化だと感じます。コロナで更に激変したので、2018年なんて日本で言えば昭和くらいの大昔の感覚です笑

      2つ目の質問は、中国用のSIMカードを購入された方が良いと思います。
      中国のインターネット接続については下記の記事で詳しくご説明しているのでご参照ください。

      【中国渡航】日本で準備すべきネット規制対策【VPN/ローミング】
      https://asianlifeblog.com/chinese-internet

      中国本土でSIMカードを購入してしまうとGoogleもYoutubeもFacebookもWhatsAppもLINEも何も使えないので注意が必要です。

  2. 早々にお返事をありがとうございます。
    スマホ接続は、もしかして全土でフリーWIFI なのかと思いましたが、やはりSIMかグローバルモバイルが必要なんですね。
    私たちは2カ月滞在しても、GoggleもFBもLINEもなしで全然不自由ないんです(爆)。15年当時でも地方の宿でWIFIがあり、Yahooはすべての機能が問題なく使えました。

    今回は行くとしても2週間程度なので、ネット接続は宿のWIFIで十分なのですが、公共交通機関や食事がQRコードしか使えないとなると、困るなと思って。。。
    特に交通機関の改札は2人で1つのスマホで通れないですよね? 化石世代の質問で恐縮です。

    • 全土でフリーWiFiではないです。中国ではフリーWiFiの利用にも中国本土の電話番号での実名認証を求められることが多く、逆に以前よりも不便になっているかも知れません。
      ホテルのWiFiは宿泊者であれば実名認証なしでも使えます。

      地下鉄やバスなどの公共交通機関は現金も使用可能です。バスはお釣りがでませんが、その点は5年前も同じだったと思います。
      地下鉄の券売機は必ず現金対応している機械が1台は設置されています。

      法令上は現金の受け取りを拒否してはいけない規則になっているので、レストランでも現金決済はできるはずです(お釣りを持ち合わせていない可能性はあります)。
      但し店員が現金に慣れていないため、少し怪訝な顔をされる可能性はあるかも知れません。
      もし中国語ができるのであれば外国人旅行者でQRコード決済ができない旨を説明すればスムーズかと思います。

      結論としては、現金でも乗り切れると思いますが5年前と比べるとお釣りが出ない可能性が多いので小銭の確保がより重要になるかも知れません。

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