インドで人生観を変える第1歩 プリーのサンタナゲストハウス

東インドにプリーという、「一般の日本人は誰も知らないが、インドでバックパッカーをしている日本人なら誰でも知っている」という、正に知る人ぞ知る場所があります。

バラナシで宿泊した日本人向けゲストハウス「サンタナ」のスタッフさんから、「プリーにサンタゲストハウスの本店があるので是非来てください」とお誘い頂き、3月頃に行ってきました。バラナシのサンタナについては下記記事をご参照ください。

プリーのサンタナには様々な経歴の日本人が大勢長期滞在しており、「こういう生き方もあるのか」と学ぶことが多いです。

プリーに集まる大勢の日本人

プリー サンタナホテルフロント

プリーというのは東インドにある小さな町で、全く聞いたことがない地名でした。チェンナイに住んでいる日本人に聞いても、「プリー」という地名を知っている人はほぼいませんでした。

プリーというのは、バックパッカーの間では非常に有名なのに駐在員や現地採用の人は誰も知らないという、非常に不思議な場所です。

プリーは、最寄りの空港から車で片道約1時間半、しかも道の途中は荒地と畑だけという非常に辺鄙な場所にあります。観光する場所はほぼありません。こんな所にどうして日本人宿があるのか?自分達の他に宿泊者がいるのか?と不思議に思っていました。

ところが、いざサンタナゲストハウスに到着してみると宿泊者(全員日本人)が30人以上もおり、非常にビックリしました。

宿泊者のうち約半分はヨガ教室の生徒でした。サンタナ・プリーでは45日間のヨガコースを開講していて、日本からヨガを習いに来ている人達(全員女性)が宿泊していました。ほぼ全員インドは初めてで、それどころか海外が初めてという人もいました。

残りの半分はバックパッカー達でした。下は10代から上は何と70代まで正に老若男女問わず様々な人達がいました。

多くの宿泊者がプリーに長期滞在する理由

プリー サンタナホテル 中庭

プリーに滞在しているバックパッカーには一つ共通していることがありました。それは、宿泊期間が長いことです。短い人でも1週間程度、長い人は3ヶ月も宿泊しています。

過去に別の場所で会ったバックパッカーは、有給を利用したり転職の合間に来ている忙しそうな人が多く、みんな長くても2泊程度で次の場所へ移動していました。しかしプリーは観光する場所が少ないにもかかわらず何ヶ月も宿泊している人が多いので、一体何をしているのか不思議に思いました。

そこで1ヶ月以上の長期滞在者に滞在理由を聞いてみると

人生の休憩中です

沈没中です

1週間で次の町へ行くつもりが、居心地が良すぎて抜け出せなくなりました

などの回答が返ってきました。

あるバックパッカーが「ここは日本人バックパッカーの沈没宿だから、インドの他のゲストハウスとは違うんだよ」と教えてくれました。私は初めて「バックパッカーが沈没する」という言葉を聞いたのですが、世界を旅行する人たちの間ではよく知られた事象なのだそうです。

バックパッカーの沈没とは
バックパッカーがある町に滞在するうちに他の都市へ移動するのが億劫になってしまい、その町から移動できなくなってしまうこと
インドへ来て詐欺や盗難に遭ったり、毎日宿を替えたり長距離移動をしたりというのを繰り返しているうちに疲れてしまい、新しい場所や人に出会っても感動がなくなってしまうという人もいるようです。

そんな人達にとってプリーのサンタナは正にオアシスです。

プリー・サンタナの居心地が良い理由
  • プリーは治安が良く、デリーやコルカタのように騙されることがない
  • サンタナには1泊300円程度で止まることができ、100円程度で昼食も夕食も日本食を食べる
  • 宿泊客は全員日本人で、日本の本やマンガも充実し、全て日本語の環境で快適に過ごせる

インド旅行に疲れたバックパッカーにとってここまで居心地の良い場所は他にないので、次の都市へ行くのが億劫になってしまい、ついつい長期滞在になってしまう人が多いそうです。プリーのサンタナは代表的な沈没宿として日本人バックパッカーの間で有名なのだそうです。

プリー・サンタナで暮らす

プリー 海岸の牛

「サンタナ・プリーに長期で泊っている人が全員沈没者だ」というわけではありません。プリーでのんびりするためだけに日本からわざわざ来ている人もいました。

65歳を過ぎて国民年金を毎月5万円受け取っても日本で暮らしていくのは大変ですが、サンタナであれば月3万円くらいで十分に暮らしていけますので、老後をここで楽しそうに満喫している人もいました。

しかし月3万の費用も工面できない場合、プリー・サンタナではスタッフとして清掃や調理補助の手伝いをすると3食と宿泊費が無料になります。

インドの観光ビザは3か月ごとに更新をしなければならないので海外へ出なければなりませんが、その飛行機代を除けば殆ど何もお金がかかりません。シャンプー、歯ブラシ、服と携帯電話くらいですかね。

なおビザの更新は日本まで帰る必要はありません。インド大使館のホームページの「質問3」を見て頂くと

3:日本国民は日本でしかインドのビザを申請できないのでしょうか?他の国のインド大使館/領事館ではできませんか?

答え: 日本国民はどの国のインド大使館、領事館でもインドのビザを申請できます。しかし、日本で申請する場合よりも長い期間が必要になり、料金も高くなります。

とあります。
ネパールやバングラデシュなどのインドの近隣諸国であればインドから近いので日本ほど移動代もかかりません。

日本で行き詰ったらとりあえずインドへ

65歳を過ぎて国民年金を毎月5万円受け取っても日本で暮らしていくのは大変ですが、プリーのサンタナであれば月3万円くらいで十分に暮らしていけるので、老後をここで楽しそうに満喫している日本人も数名いました。

日本だとネットカフェや山谷・西成(あいりん)のドヤに1泊するだけでも2000円くらいします(最安値は1泊500円があるそうですが)。食事代もバカにならず、あいりん地区の食堂でも200円くらいは出さないとマトモなものは食べられなかったと思います。

従って本当に人生が切羽詰まった人は青木ヶ原樹海や東尋坊を目指す前に、片道の航空券代だけどうにか工面してインドへ来てしまったら良いんじゃないかとすら個人的には思いました(日本人はアライバルビザでインドへ入れます)。

プリーには本当に個性的な人が集まっていて、日本ではまず出会うことのないような面白い経験をしている人達との交流や情報交換の機会があります。日本国内だけで考えると行き詰ってしまっても、世界へ目を向ければ道が開けることもあるのではないでしょうか。

「インドへ来ると人生観が変わる」とよく言われますが、インドにいる日本人自体がかなり個性的な人が多く、バックパッカーの日本人と交流するだけでも「こんな生き方があるのか!」と、視野が広がります。

毎日入れ替わり立ち替わりやってくる多くの旅行者と交流するうちに、やりたいことやチャンスも見えてくる可能性があるのではないでしょうか?

「インドは無理」という人も多いと思いますが、とりあえず「こういう世界がある」ということを、多くの人に知って頂きたいです。indiasantanatravel.com

日本にいると老後の心配が尽きませんが、プリーで70代の日本人のおじいさんから「ここで2か月、人生の無駄遣いしてます(笑)。」と言われると、老後の心配をするのがバカバカしく思えてきます。

日本にいると会社の人以外と交流する機会も少ないですが、インドへ来てバックパッカーと会っていると「老後はどうにかなる。本当に困ったら誰かが助けてくれる。それよりも、今を楽しめない方が将来後悔するのではないか」と思えてきます。

常識人
ただの怠け者のクズじゃないか
という意見もあるかと思いますが、「死ぬときに後悔するリスト」として、ネットで検索すると以下の5つがよく挙げられています。

後悔その1:自分に正直な人生を生きればよかった

後悔その2:働きすぎなければよかった

後悔その3:思い切って自分の気持ちを伝えればよかった

後悔その4:友人と連絡を取り続ければよかった

後悔その5:幸せをあきらめなければよかった

このリストには、「もっと出世するための努力をしておけば良かった」とか「もっとお金を稼いでおけば良かった」という項目はありません。死ぬ瞬間には貧乏や能力不足、努力不足などは特に後悔しないようですね。

プリーでは「世界一周してるんですが、お金がなくてお先真っ暗なんです」と言っている人もいましたが、人生を楽しんでいるのは間違いなく、また優しくて魅力的な方が多かったです。

「良い学歴・良い職歴」という世間的な価値観からは大幅にズレるのかも知れませんが、みんな表情は明るく後悔はなさそうでした。

なお「インドに興味はあるが、脱サラするのは不安」という方にはインドでの転職もお勧めです。インドで働きながら週末バックパッカーという方法もあります。詳しくは下記の記事をご参照ください。