
インドが仏教発祥の地であることは日本でも広く知られていると思いますが、仏教の開祖であるお釈迦様が悟りを開かれたのがビハール州のブッダガヤです。
インドには仏教聖地が幾つかありますが、お釈迦様が悟りを開かれたブッダガヤはそれらの聖地の中でも最大の存在と言えます。
お釈迦様が悟りを開かれた菩提樹のある場所には大菩提寺という寺院が建てられており、日中韓、ベトナム、ミャンマー、タイ、スリランカ、ブータンなどアジア各地の仏教徒が巡礼に訪れています。
ブッダガヤは単なる仏教遺跡ではなく、現在でも現役の仏教聖地としての熱気とエネルギーに溢れています。
この記事では、ブッダガヤで観光すべき見どころや体験すべきこと、そして気候やアクセス方法などの参考情報をご紹介します。
この記事を読めばブッダガヤへの旅行で困ることはありません。
Contents
ブッダガヤ観光の基本情報
ブッダガヤは約2500年前にお釈迦様が悟りを開かれた場所で、今でも現役の仏教聖地としてアジアの仏教国や欧米諸国から多くの人が訪れます。
私はインドで初詣をしたいと思い年末年始にブッダガヤへ行きましたが、まさに初詣と言える物凄い熱気がありました。
日本の初詣などより遥かに信仰深い方々が集まっていて感動します。
ブッダガヤ訪問のベストシーズン
ブッダガヤは10月から3月頃の冬の時期に訪れましょう。
ブッダガヤは4月から9月にかけて極めて猛暑になります。特に5月は50度近くになることもあり、どこを観光しても熱中症との戦いになります。夏の時期は巡礼者も少なく、街はガランとして誰も歩いていないそうです。
冬は多くの巡礼者が各地から訪れ、店も増えてとても賑わいます。
チベット仏教の僧侶が暮らすヒマラヤ山脈に近い地域(ダージリン、シッキムなど)は夏は涼しくて快適ですが冬にはとても寒くなります。従って、冬になるとそれらの地域からチベット仏教僧がブッダガヤを訪れ越冬します。
ブッダガヤにある仏心寺の住職さんによると、冬の中でもさらにシーズンが分かれるそうです。
- 10月、11月:上座部仏教
- 12月、1月:チベット仏教
- 2月、3月:上座部仏教
上記の通り、時期によって勢力が分かれます。私は年末年始に行ったので、チベット仏教の僧侶だらけで街はチベット仏教一色でした(もちろん、上座部の方も見ましたが)。
チベット仏教の地域であるブータン、シッキム、ダージリン、ラダックなどは非常に寒い地域なので、一番寒い時期に訪れるようです。
一方、上座部仏教のタイ、ミャンマー、スリランカなどは暑い国なので、少し前後の時期に来るそうです。
冬場には上記の写真のようなマーケットが開かれており、仏教圏の特産品を記念に購入することができます。
ブッダガヤへのアクセス
ブッダガヤはガヤという街の一部にあり、他の都市からは飛行機でガヤ空港へ、または鉄道でガヤ駅へ移動します。
私は飛行機でガヤへ行きました。ガヤ空港へは、コルカタやバラナシから直行便が出ています。また海外ではタイのバンコク、ミャンマーのヤンゴンから直行便があります。
ガヤはOLAやUBERといった配車アプリは利用できず、プリペイドタクシーのカウンターも見当たらなかったため、乗合リキシャを利用する必要があります。
乗合リキシャは市内まで200ルピー程度で行けるそうですが、外国人の場合には500ルピーほどぼったくられるのが通常だそうです。
私はリキシャの交渉が億劫だったので、高いけれども快適なチャーター車で市内へ向かいました(800ルピーでした)。
鉄道のガヤ駅はガヤ空港よりも遠いですが、現地のインド人が大勢利用しているからなのか、空港よりも安い150ルピーほどでブッダガヤ市内へ行けるそうです。
ブッダガヤ観光に必要な日数
私は4泊5日でしたが、だいぶゆっくりできました。最低限の観光であれば2泊3日で十分かと思います。
マハーボーディ寺院と各国の寺院はとても近い場所にあり、ブッダガヤの町は小さいので徒歩で回ることができ、1日で十分です。
スジャータ村はブッダガヤ近郊にあり、オートリキシャかチャーター車で行くことになりますが、半日あれば回れるかと思います。
ナーランダー僧院やラージキルはブッダガヤから80kmほど離れており、車をチャーターして日帰りで行く必要がありますので、そちらへ行く場合には最低でも3泊4日は必要です。
ブッダガヤの見どころ
ここからはブッダガヤで観光すべき見どころをご紹介します。
マハーボーディ寺院
ブッダガヤ観光の目玉は何と言ってもマハーボーディ寺院(大菩提寺)です。ここはお釈迦様が悟りを開かれた菩提樹があり、菩提樹の隣にはお釈迦様の悟りを記念した寺院が建立されています。
冬の時期は寺院内を、各国から集まった数千人(数万人?)の巡礼者が時計回りにグルグルと回っており、その光景は圧巻です。
まさに仏教の聖地で、メッカにも引けを取らないのではないでしょうか(私はメッカに行ったことはありませんが・・・)。
マハーボーディ寺院は入場無料ですが、スマートフォンの持ち込みはできません。その他、充電器、パソコン、タブレット、テープレコーダー、ライター、ビニール袋、タバコ、お酒やイヤホンなど持ち込めないものが細かく決められています。
カメラは100ルピーを支払えば持ち込めますので、写真を撮りたい方はカメラを持参しましょう(私はカメラを持参しなかったため写真はありません)。
こちらは、マハーボディー寺院への入場を待つ人々の列です。
セキュリティチェックはかなり厳重に行われます。寺院の前にはスマートフォンを無料で預けられるクロークがあります。
なお、お釈迦様が悟りを開いた菩提樹の周りには柵が張り巡らされており立ち入りができないようになっていますが、昔は柵はなかったそうです。
もともと立ち入り禁止だったのですが、1992年11月に麻原彰晃が勝手に金剛座(釈迦牟尼が悟りを開いたといわれている場所で立入禁止)に座り、現地の人たちとトラブルになるという出来事が発生し、それから柵が張り巡らされたのだそうです。
日本寺
ブッダガヤには日本のお寺が4つあります(郊外のラージキルにある日蓮宗の妙法寺を含めると5つあります)。
インド山日本寺
インド山日本寺はインド政府の呼びかけに応じて宗派を超えて日本の仏教徒が協力し、日本の文部大臣の認可を得て1968年に設立された財団法人によって建立されたお寺です(参考サイト:印度山日本寺ホームページ)。
ブッダガヤの日本寺の中でもっとも中心的な存在といえます。
上記の写真に記載の通り、日本寺では朝晩に坐禅会が行われます。日本人の僧侶が常駐している時には坐禅指導を受けることができますが、不在の場合には各自が勝手に坐禅を行うことになります。
個人的にインド山日本寺の最大の目玉は図書館です。インド人のスタッフが暇そうにしていますが、特に声をかけられることもなく、誰でも自由に無料で利用することができます。
図書館には、仏教やインドに関する日本語の書籍が多数置かれています。中には手塚治虫の「ブッダ」(文庫版)もあります。私はその図書館でお釈迦様が悟りを開かれた第6巻を改めて読み直しましたが、ブッダガヤの地で読むと「あ、あの木だ!あの川だ!あの山だ!」と、非常に身近に感じられ感慨深いものがあります。
この図書館は静かで落ち着いているので、とてもオススメです!
仏心寺
インド山日本寺以外のお寺は各宗派で建立した私設のお寺になります。まず、日本寺の隣には浄土宗の仏心寺があります。私の印象では、規模は小さいですがとても心がこもっている印象を受けたお寺でした。
朝7時と夕方5時にお勤めが行われます。こちらは浄土宗のお寺なので坐禅ではなく、木魚を叩きながら南無阿弥陀仏を唱えるお勤めです。
仏心寺には宿坊があり、宿泊することができます。詳しくは仏心寺のホームページをご参照ください。
私は昼過ぎに仏心寺を訪れたのですが、宿泊客の方達が懇談していたところに参加させて頂き、仏教の話を色々と伺いました。
仏心寺の住職、良将さんはツイッターでブッダガヤの情報を発信されています。
改めて、明けましておめでとうございます!新年のお勤めを、子供や両親、周りの人たちと行いました。また、台湾や日本の宿泊者の皆さんともお勤めを行い、みんなで賑やかにお正月を迎えました。今年もブッダガヤでお待ちしております!仏教の聖地でお待ちしております! pic.twitter.com/LMXoj8yBnn
— 良将🇮🇳インド ブッダガヤ 仏心寺 (@busshinji) January 1, 2020
仏心寺を訪れれば、住職の良将さんから様々な話を聞くことができます。
日蓮宗 大生山一心寺
こちらのお寺も常駐でお坊さんがいらっしゃるそうなのですが、あいにく私が訪れたときは無人で話を聞くことはできませんでした。
Google Mapで見当たりませんでしたが、ブータン寺の向かいあたりにあります。
正覚山釈迦堂 大乗教インド別院
大乗教インド別院は敷地が広々としていますが住職は見当たりませんでした。
大乗教インド別院のメインは本堂よりもこちらの大仏です。
鎌倉の大仏を思い出します。なお、鎌倉は阿弥陀如来ですがこちらは釈迦如来です。
インド人が多く訪れていましたが、みな大仏を見て驚嘆し、自撮りをしていました。
その他各国の寺
ブッダガヤは仏教の聖地だけあって、仏教各国の寺が集まっています。こちらは詳細について分からないので、非常に雑な紹介で恐縮ですが写真と場所だけご紹介します。
中国寺
インドと中国の中は悪いと言われますが、中国寺には中国人の方が訪れていました。空港などでも、中国パスポートの方をチラホラ見かけました。
中国寺はマハーボディ寺院からほど近いところにあります。
ベトナム寺
続いてベトナム寺です。
ベトナム寺には無料で休憩できる場所があります。ブッダガヤにはカフェは少なく休める場所も休憩できる場所もなかなか見当たらないので、疲れたらぜひベトナム寺へお越しください。
タイ寺
タイ寺はメイン通り沿いにあります。
ブータン寺
他にもバングラディッシュ寺、韓国寺やスリランカ寺、チベット寺、カンボジア寺もあったそうですが、私は訪問しませんでした。
様々な国の寺が集まっており、国ごとの仏教寺院の雰囲気の違いを感じることができます。
スジャータ村
スジャータは、釈迦が苦行を中断し沐浴をしていたときに、釈迦に乳粥を供養した方で、手塚治虫のブッダにも登場します。
スジャータさんがいた村はスジャータ村と呼ばれていますが、現在の実際の地名は全く異なるそうです。
スジャータ村は、マハーボディ寺院のあるブッダガヤの中心地からナイランジャナー川を挟んで反対側に位置し、徒歩で行くには少し遠いためオートリキシャかチャーター車を頼みます。
スジャータ村へ行くと、スジャータさんを記念したお寺が建てられています。
東南アジアの仏教徒の方の寄付によって建立された像が建てられています。
スジャータ村そのものには何もないのですが、逆にお釈迦様の時代の雰囲気を残していると言えるかも知れません。
スジャータさんの家があったと伝えられている場所にはストゥーパ(仏塔)が建設されています。
私は行く時間がなかったのですが、スジャータ村の近くには日本人に「トトロの樹」と呼ばれる大木があり、とても神聖な雰囲気を醸し出しているそうです。
前正覚山
前正覚山は、お釈迦様がマハーボディ寺院で悟りを開かれる前に修行をされた(しかし悟りは開けなかった)場所とされています。
その場にいたインド人には「前正覚山でお釈迦様が6年間修業をした」と説明をされ、そのように理解している方も多いようですが、仏心寺の住職である良将さんによると、お釈迦様が修行された期間のトータルが6年であって、前正覚山にいた期間はそこまで長くないそうです。
前正覚山はちょっとした山になっており、10分ほど登っていかなければなりません。それが面倒くさい方は籠も利用できますが、値段の相場は知りません。
前正覚山はチベット仏教が整備したようで、チベット仏教の装飾や建物が見られました。
お釈迦様が修行をされた洞窟の中に入ることができ、中には仏像が安置されています。
私が訪れたときはプジャ(祈りの儀式)をしており、大行列となっていました。
洞窟の外にはちょっとした博物館があり、洞窟の中にあるのと同じ仏像がありました。
内部が混雑するので、記念撮影用に同じ仏像を作成したのかも知れません。
霊鷲山(りょうじゅせん・グリッドラクータ)
霊鷲山はブッダガヤから80kmほど離れたラージキルという場所にあり、ナーランダー僧院と合わせてチャーター車を利用して日帰りで訪問することができます。
ラージキルはお釈迦様がいた時代に栄えていたマガダ王国の首都とされ、近郊の霊鷲山ではお釈迦様が説法をされたとされています。有名な仏典「法華経」などもこちらの霊鷲山で説かれたと言われています。
霊鷲山は大して大きな山ではないので徒歩でも登れますが、リフトがあります。チケットは1人80ルピー(インド人・外国人共通)です。
1人80ルピーで、丁寧にも人数別の合計金額が記載された表が用意されています。
このようなカラフルなリフトに乗って山の上まで行きます。
山の上には日蓮宗妙法寺が建立されています。ブッダガヤの中心地のような仏教徒の巡礼者は見当たらず、観光客のインド人がピクニック気分で訪れていたようでした。
霊鷲山は法華経が説かれた場所とされているため、法華経を重んじている日蓮宗のお寺が建てられているのかも知れません。
妙法寺の脇にある道を降りていくと、お釈迦様が説法をされたとされる霊鷲山へいたります。妙法寺からこの道へ行くときには、案内の看板もなく分かりづらいので、周りにいるインド人に場所を尋ねた方が良いと思います。
霊鷲山の上には、このように祭壇のようなものが準備されています。岩場ですが、お釈迦様が説法をされたこのエリアでは靴を脱がなければなりません。
こちらの場所は1903年に日本人の大谷光瑞が仏典を頼りに特定したとされています。
岩場があり、とても狭い場所ですが、ここで1000人以上の僧侶が集まってお釈迦様の話を聞かれたそうです。
マイクもないであろう時代にどうやって声を届けたのか、この狭い場所にどうやって1000人もの人が座ったのか、謎は深まるばかりですが、とても感慨深いです。
ナーランダー僧院
ナーランダー僧院は5世紀に設立された仏教の大学で、12世紀ごろまで仏教の中心として栄えていましたが、最後はイスラム勢力によって破壊され今では廃墟となっています。
最盛期には1万人近くが学んでいたとされ、西遊記で有名な中国の玄奘もナーランダー僧院へ来て学びました。
ナーランダー僧院はブッダガヤにしては珍しく入場料がかかり、600ルピーです。
いわば、西遊記のゴール地点と言えます。
現在は広々とした廃墟で面影はありませんが、歴史的に重要な場所なので多くの仏教徒が訪問をしていました。
2014年、ナーランダー僧院は近くに再興され、授業を再開したそうです。
ももたろーハウス
ブッダガヤには幾つか日本人向けのゲストハウスがありますが、私は知人の紹介でももたろーハウスに宿泊しました。
ももたろーハウスはインド人の旦那さんと日本人の奥さんとがご夫婦で経営されています。
ご夫婦のことはテレビでも放映されたようです。YouTubeをご覧ください。1:07から登場します。
なお、3:14から登場するお坊さんは上述した仏心寺の良将さんです。
さて、ももたろーハウスの部屋はとても広々としており、ちゃんとお湯もでます。
但しアメニティは一切ないので、バスタオルや歯ブラシ、シャンプーや石鹸などは持参するか街で購入する必要があります(こちらのゲストハウスに限らず、インドではどこでもそうです)。
2階にはソファーでゆっくりできる場所もあります。
こちらのゲストハウスの目玉は、何といっても奥さんが作る日本食です。
インドでここまでのクオリティの日本食はなかなか食べられません。高いお金をかければ大都市には美味しい日本食レストランがありますが、こちらの夕ご飯は350ルピーです。
ご飯、味噌汁に肉または魚とサラダがついており、油っこくなく、バランスが取れていてボリュームもあり非常に美味しいです。
朝食はトースト3枚と卵と飲み物、フルーツで、こちらは150ルピーです。
私はチェンナイという南インドの都市に住んでおり、比較的大都市にもかかわらず日本食の食材を入手するのはかなり困難です。どのように食材を入手されているのか聞いたところ、1年に1度の帰省の際に大量の味噌や醤油などの調味料はまとめ買いをするそうです。
冬はアジア各地から巡礼者が集まり、タイや中国の人も多く滞在するため、東アジアや東南アジアの食材は手に入りやすいそうです。春雨や青梗菜などはマーケットで売られています。魚も、冬はコルカタから直送されるそうです。
一方、オフシーズンの夏は巡礼者が誰もおらず閑散とするため、「芋くらいしか食べるものがない」とおっしゃっていました。
宿泊費は1名で600ルピー、2名の場合は1部屋で800ルピーです。
空港への送迎が800ルピー、ガヤ駅への送迎は1000ルピー、その他スジャータ村やラージキル(霊鷲山)へのチャーター車も手配してもらえます。
公式ホームページ:ももたろーゲストハウス
ブッダガヤで楽しめる食事
ブッダガヤは仏教国各地から巡礼者が集まるので、インドにしては珍しくインド料理以外の様々な料理を楽しむことができます。
上の写真はブータン料理です。
こちらはチベット料理のモモ(餃子のようなもの)です。インドのバラモンは菜食が原則ですが、チベットの僧侶は肉食で、牛肉は食べるそうです。ただ食べられる肉には制限があるようです。
チベット料理店ではバター茶も飲むことができます。
タイ料理や中華料理レストランがあるほか、チベット料理やブータン料理などヒマラヤ山脈の方の料理も豊富です。
私はあまりグルメに詳しくないので雑な説明になってしまい恐縮ですが、冬のブッダガヤでは仏教圏の料理を幅広く楽しむことができます。
ブッダガヤでの注意事項
ブッダガヤではいくつかの注意事項があります。
無暗に寄付をしない
ブッダガヤのあるビハール州はインドの中でもとても貧しい地域です。
ブッダガヤからナーランダーまで80kmほどの距離を車で走った時、車窓で目にした家は泥やレンガの壁に茅葺屋根を乗せた家ばかりで、鉄筋コンクリートの家は見かけませんでした。
私が住んでいるタミルナドゥ州の場合、農村の奥の方へ行っても鉄筋コンクリートの家が多く建てられており、「昔は茅葺屋根の家だったが、ここ5年で急速に成長した」といった声を聞きましたので、インド内での地域格差を目の当たりにします。
ブッダガヤの市内では、写真の通り小学校低学年くらいの女の子が親に綱渡りの芸をさせられているところを何組も見かけました。下で親が見物人からお金を回収します。
この地域格差は観光地の物乞いでも顕著です。
たとえば前正覚山への参道には無数の物乞いが待機しており、お金や食べ物を要求してきます。
ここではインド人の商売人がビスケットなどを売っていますが、この商売人からビスケットを買って物乞いに恵む人が大勢いるので、それを目当てに商売人と物乞いが集まるのです。
このような現状を目の当たりにすると、「何か役に立ちたい」と考える方も多いと思うのですが、その気持ちに漬け込んでお金を請求する人達がいます。
ブッダガヤを観光していると「学校を建設するから寄付をして欲しい」などと頼まれることがあります。
実際に、寄付した金額の1割程度は学校建設に使われるようですが、残りの9割は寄付を募る人のポケットマニーになると言われています。
バブルの時代には多くの日本人が寄付をしていたそうですが、多くのお金が消えてしまったことで印象が悪くなるといったこともあったそうです。
今でもブッダガヤには日本人に対して寄付をお願いする人がいるようなので、慎重に話を聞いて納得したうえでお金を使うようにしてください。
小銭をたくさん用意する
ブッダガヤは物価が安く、袋一杯のポップコーンでも10ルピーで買えますし、ローカルの食べ物も数十ルピーで食べられるものがたくさんあります。
500ルピー札ばかり用意していると「釣りがない」と言われてしまうので、できるだけ小銭を用意していった方が無難です。
トイレなども5ルピーや10ルピーで利用するところが多いです。
日本からいきなりブッダガヤへ来てしまうと小銭を作る暇がないかも知れませんが、他の都市を回る場合にはできるだけお釣をもらうようにして小銭を貯めこんでから向かいましょう。
またブッダガヤにATMは少なく長蛇の列になっているので、他の都市で現金を引き出して持ってくることをお勧めします。
また、カードを使えないレストランも多いです。
携帯の電波には期待しない
私が行った年末年始は大勢の巡礼者が世界中から集まる冬の時期で、携帯電話の電波は極めて貧弱でした。
LINEでのテキストメッセージのやり取りは問題ありませんでしたが、YouTubeは見られませんし、ツイッターで画像を投稿するのも極めて長い時間がかかりました。
酷い日になるとGoogle Mapも表示されません。電波が貧弱な前提で計画を立ててください。
雨が降ったり混雑している時にはホテルのWiFiも高速ではありませんでした。
ガヤ空港での注意事項
ガヤ空港はインドの地方都市にある小さな空港です。
プライオリティパスラウンジラウンジなどは勿論ありません。あまり早く行き過ぎても手持無沙汰になってしまうので、2時間前くらいで良いのではないかと思います。
こちらは年末年始にガヤ空港を訪れたときに空港の出口に置かれていた釈迦像ですが、両脇をサンタで囲い前にクリスマスツリーを配置するという、宗教に無頓着な日本人でもビックリな構図でした。
ブッダガヤは仏教の聖地ですが他宗教にも寛容な様子が伺えます。
ガヤ空港の問題点は、飛行機が頻繁に遅延するということです。霧などが原因の場合もありますが、1~2時間は遅延することが多いようなので、次の空港での乗り継ぎには余裕を持ったスケジュールを組むことをお勧めします。
もう1つ変わった特徴として、国際線と国内線の出発エリアが一緒ということが挙げられます。
私はエアインディアの国内線でガヤからコルカタへ向かったのですが、出国審査のところで「国内線です」というと出国審査官はパスポートや搭乗券を見もしないでそのまま通過させてくれました。
同じ時間にはバンコク行きの国際線があったのですが、もし私がバンコク行き国際線の乗客であれば、そのまま出国できてしまうことになります。
まとめ
「徹底的にインド」という場所を経験したい方にはコルカタかバラナシをオススメしますが、ブッダガヤは仏教の聖地として典型的なインドとは異なる雰囲気を放った独特な町です。
宿坊かゲストハウスに長期滞在し、朝晩はマハーボディー寺院を訪れたあとに坐禅かお勤めをし、昼は図書館へ行って仏教の本をゆっくり読む・・・という過ごし方が個人的には理想です。
「仏教」というと、葬式の時に行われる呪術のようなイメージをお持ちの方もいるかも知れません。
しかし本来の仏教は呪術などではなく、悟りを開くためのトレーニングプログラムです。
日本は不景気が続き社会全体の雰囲気も決して明るくはありませんが、こういう時代のこそ本来の仏教が必要とされるのではないかと思います。
ブッダガヤへ来て信仰深い各国の巡礼者の様子を見れば、仏教をとても身近に感じることができ、仏教に対して興味を持つのではないかと思います。
ぜひ1人でも多くの方にブッダガヤへ訪れて頂きたいです。